悪の帝国のテクノクラート   作:トラクシオン

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第百六話【疑問と任務と】

「これ全部が……」

 

凄まじい光景に、ゼロは言葉を失う。

これだけの量の波動砲が何のために造られたのか、そしてこれ程の波動砲で何が破壊されたのか。

その恐ろしい推測をするだけで、ゼロの背筋を悪寒が走った。

 

「私も最初は驚いたよ、だがこのような危険物を前に、手をこまねいている訳にはいかないからね」

 

ゾフィーが空中で指を動かし、次の画像を表示する。

そこに映っていたのは、数十人のウルトラ戦士と、それを指揮しているウルトラの父の姿が有った。

 

「銀河連邦の許可を得た超法規的措置として、一時的に光の国から持ち出したウルトラキーによる破壊処理が実行された」

 

先頭を飛ぶウルトラの父の手には、光り輝く巨大な鍵――ウルトラキーが握られており、

周囲のウルトラ戦士たちは、ウルトラの父を護衛するかのように取り囲み、周囲へと睨みを利かせている。

 

「一発で惑星を破壊出来るウルトラキーの最大出力でも、破壊までに20発ものエネルギーを消費した」

 

更に次の画像は、跡形も無く粉々になった漆黒の瓦礫が宇宙空間を浮遊している光景を映した物だった。

画像を見たゼロは、内心でホッと胸を撫で下ろす。

こんな危険な物、絶対にこの宇宙には存在していてはいけない。

 

「宇宙の脅威は完全に排除された……かに思われた」

「『かに思われた』だと?」

 

しかし、ゾフィーの話には更に続きが有った。

ゼロが訝し気に言葉を発した次の瞬間、部屋中に大小様々なホログラムディスプレイが表示される。

突如として現れた数十枚はあろうかというその画像へと視線を移したゼロは、驚愕のあまり固まった。

 

「最初にこの巨大物体が現れて以降、宇宙中で次々に同種の巨大物体が発見されたんだ」

 

多数表示されたディスプレイには、一つ一つに先程表示されていたのと似たような物体が映し出されていた。

小さい物は小惑星並み、大きな物になるとウルトラの星の直径に匹敵する物まで。

 

「内部には先程の砲――君の言い方に習うと波動砲だな、それと大型ミサイル、そして動作原理が不明な機械、そういった物が無数に搭載されていた」

「これも破壊したのか?」

「殆どは壊せた、だがこの物体は宇宙規模の範囲で出現している、残念ながら、いくつかの兵器はブラックマーケットに流れてしまった」

「じゃあそれの一つがマグマ星人に……」

 

悲劇を思い出したのか、ゾフィーは苦しそうな顔で俯く。

 

「幸いにもマグマ星人が所持していた波動砲は、無理が祟ったのか既に破損してはいたがね」

「見た感じ、無理矢理付けていた感じだったからな」

 

波動砲がマグマ星人へと渡った経緯と、しし座L77星が滅びてしまった理由を聞き、ゼロは痛まし気に眉根を寄せる。

しかし、それと同時に『ある疑問』が脳裏を過り、ゼロは口を開いた。

 

「けど、それだったら本当にパルデスが波動砲の製作者かどうかは分からないぜ?」

 

そう言って首を傾げるゼロ。

確かに、今までは巨大物体の存在を知らなかった為に、波動砲はパルデスが製作した物だとゼロは思っていた。

 

しかし、こうして宇宙中で発見されているなら話は別だ。

パルデスも、闇に流れていた波動砲を、どこかから入手したのかもしれない。

 

「確かに、その線もあり得るが、引っかかる事が一つ有る」

 

その意見を聞いたゾフィーは悩まし気に顎へと手を当て、考えるような素振りをしながらタブレットに画像を表示させる。

表示されていたのは、かのウルトラマンベリアルが使用していた武器。

 

「ギガバトルナイザー……」

 

かつて復活したベリアルが利用していたソレ。

負の感情を極限まで増幅し、死した者をも現世へと現出させる事が出来る闇の神器。

ゼロからしてみれば、実に苦々しいとしか言いようのない物だ。

 

「君からの報告によれば、ギガバトルナイザーはこのパルデス・ヴィータが設計したとある」

「レイがそう言っていたからな、本人も認めてたし」

「ふむ……」

 

ゼロの言葉に、ゾフィーは考え込む。

眉間に皺を寄せて、時々呻き声のような声を漏らすゾフィーを見て、ゼロは少々困惑しながらも、次の言葉を待つ。

そして数分経った後、ゾフィーはようやく顔を上げて、ゼロへと向き直った。

 

「ゼロ、君に任務を与える」

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

「よっと!!」

 

法定速度を守りながら空を飛んでいたゼロは、少しの距離を飛んだ後に地上へと降りて行く。

地面を抉らないように気を付けつつ、ゆっくりと足の裏をクリスタルの地面へと接触させたゼロ。

歩きながら振り返れば、先程まで居た宇宙警備隊本部が小さく見えていた。

 

「やっぱり、あいつは……」

 

ゼロの脳裏に有ったのは異世界で出会ったパルデス・ヴィータの事、そしてその事に関係して、ゾフィーから出されたとある任務。

長丁場になりそうだと考えていたゼロは、その場を後にしようと歩き出した。

 

「あっ、ウルトラマンゼロだ!!」

 

しかし、ゼロの耳に届いた甲高い声に、その足は止まる。

振り返れば、数人の子供が走ってゼロへと近づいて来ていた。

 

「本物だ!!」

「カッコいい!!」

「おう、ありがとな」

 

キャッキャと無邪気な賞賛の言葉を向けて来る子供を見つめながら、ゼロは礼を返しつつ、自分の腰よりも下に有る頭を優しく撫でる。

普段は剃刀の如く鋭いその眼差しは、慈愛に満ち満ちた優しい光を湛えていた。

 

昔は力を求めて道を踏み外した時期も有ったゼロ。

しかしレオやアストラやキング、そして唯一の肉親であるセブンの想いと手助けにより、現在では更生し、立派な戦士となって光の国を守っている。

そんなゼロは、光の国の子供たちにとっては身近なヒーローのような存在だ。

ベリアルを倒し国を救ったその戦功は、現在では国中に広まり知られている。

 

「元気なのは良い事だ、親の言う事はしっかり聞けよ?」

「「「「はーい!!」」」」

 

一頻り子供の相手をしたゼロは、子供達を家へと帰そうと、手をバイバイと振る。

それを見た子供達も、元気に手を振りながら「バイバイ!!」と声を出して、そのまま別れようとした。

 

だが……

 

《ドォンッ!!》

 

突如として、周囲に轟音が響き渡る。

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