悪の帝国のテクノクラート   作:トラクシオン

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第百七話【襲撃と仮初の再会】

「きゃぁっ!?」

 

突然の轟音と地響きに、ゼロは咄嗟に踏ん張って耐える事が出来たものの、子供達は地面へと転んでしまう。

一瞬、呆然としていた子供達であったが、みるみるうちに、その目に大粒の涙が溜まり、零れ落ちた。

 

「うわぁぁぁぁん!!」

 

恐怖に泣き叫ぶ子供達を見て、ゼロは駆け寄って行ってその腕に子供達を抱擁する。

 

「ゼロお兄ちゃん!!」

「怖いよぉっ!!」

「大丈夫、大丈夫だからな」

 

子供たちの背を撫でながら、ゼロの視線は鋭く爆心地の方を見据える。

少し遠方の高層ビルの間から、黒煙が高々と上がっていた。

 

一体、何が起こった?

 

「俺は何が起こったのか見に行ってくる、お前達はあの煙から離れてろ」

「でも……」

「心配すんなって、俺はあのベリアルを倒したんだぜ?」

 

涙目ですり寄って来る子供達を励ましていたゼロは、視界の隅に駆け寄ってきた大人達の姿を捉え、そちらへと顔を向けた。

宇宙警備隊の隊員ではないようだが、基本的に善性を持つ光の国の住人なら、任せても大丈夫だろう。

 

「大丈夫ですか!?」

「大丈夫だ。いきなりで悪いが、子供達を安全な所へ連れて行ってくれ」

「ウルトラマンゼロ!?はっ、はい!!子供達の事はしっかり守りますっ!!」

「頼んだ!!」

 

大人達が子供を連れて避難する様子を見送り、ゼロはその場から飛び立った。

その衝撃で地面が凹んだが、緊急事態だ。

 

音速を超える猛スピードで、ゼロは爆心地へと向かって行った。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

「チッ!!」

 

爆心地へとやって来たゼロは、目の前の悲惨な光景に思わず舌打ちをする。

黒煙を上げる高層ビル群、傷つき動けないままに横たわる市民達、そして……

 

「こんな悪趣味な物、誰が寄越しやがった?」

 

手近なビルの屋上へと着地したゼロの眼前を、我が物顔で飛ぶ漆黒の飛行物体。

奇妙な縦長の形状のソレは、巨人であるウルトラ族と比較しても数十倍は有ろうかという大きさだ。

正面に備え付けられたセンサーと思しき単眼をギョロギョロと動かしつつ、街中を徘徊するかのように、ただゆっくりと動き回っている。

 

……まるで何かを探しているかように。

 

周囲ではいち早く駆け付けたであろう宇宙警備隊の隊員らが光線を斉射しているが、装甲が厚いのか傷一つ付かない。

飛行物体の進行方向に居た隊員らは、光線を放ちながら脇へと避けたり後退して行く。

 

プラズマスパークのディファレーター光線を直接浴びる事が可能な為、エネルギー切れは起こさないが、それでも光線技を放ち続けるという行動は体力も精神力も消耗する。

周囲を取り囲む隊員の顔からは、焦りと疲労が滲み出しており、ゼロの目から見ても危うい光景に見えていた。

 

もうあまり時間が無さそうだと悟ったゼロが、『ここはサッサとブッ倒すか』と思いながら肩を回した時だ。

 

《ジジッ……》

 

徘徊していた飛行物体が、唐突なノイズ音と共にゼロの目の前で動きを止める。

そのセンサーはゼロをじっと見つめており、どうやら此方の事を視認したらしいとゼロが気づいた途端、今まで徘徊するだけだった敵の飛行物体からエネルギー弾が発射される。

エネルギー弾は真っ直ぐゼロの方へと飛んで行き……

 

「ハッ!!」

《ドォンッ!!》

 

悠然と翳した左手に受け止められ、握りつぶされるように消滅した。

傷一つ無いものの、エネルギー弾の熱で湯気を立てる掌を一瞥した後、ゼロは飛行物体を見上げる。

 

「上等じゃねぇか!!」

 

その鋭い黄金色の目は鋭くギラつき、多くの人を傷付けた敵への隠し切れない怒りと殺気が滲み出ている。

腰を落とし、手を正面に構え、「フウ」と静かに息を吐いた瞬間……

 

「デリャッ!!タァッ!!」

 

ゼロが猛攻を仕掛ける。

掛け声と共に空気を切り裂くように空を飛ぶ、二枚のゼロスラッガー。

ゼロのウルトラ念力によって緻密に操られる白銀は、敵飛行物体の両側に張り出した部位を、まるでバターでも切るかのように、いとも簡単に切り離した。

 

《バチッ、バチバチッ!!》

 

その部位は飛行を司る重要なユニットだったのだろう。

敵飛行物体は、火花を上げながら地上へと落下して行く。

そんな敵へ、ゼロはとどめを刺すべく、スラッガーを頭部へと回収して跳躍した。

 

「デヤァァァァァァァァッ!!」

 

そのままキックの体勢をを取ると、雄叫びを上げながらゼロは敵飛行物体へと突撃する。

速度が上がり、右足には超高温の炎が噴出、ウルトラマンレオ直伝の技であるウルトラゼロキックだ。

勢いの付いたその体は、まるで彗星の如く炎の尾を引きながら、飛行物体の中央を貫いた。

 

《ドンッ!!バァァンッ!!》

 

ゼロのキックが炸裂すると共に敵飛行物体に大穴が開き、炎を噴き上げて爆発、空中で崩壊していく。

その光景を背に、キックの勢いを空中で殺したゼロは、地面へと軽やかに着地した。

 

「へへっ、呆気なかったぜ」

 

爆散し、降り注ぐ破片の中で、得意気に鼻を鳴らすゼロ。

光の国を襲撃した敵は、ゼロの活躍により撃破された――かに思われた。

燃え盛る瓦礫の中、ゆらりと立ち上がる三体の影。

 

『ダークロプス部隊より報告、光の国を確認』

「ダークロプスゼロ、だと?」

 

突如として現れたダークロプスの姿を見て、ゼロの脳裏に異世界で出会ったダークロプスゼロの姿が浮かぶ。

 

あの時、ダークロプスゼロは異世界からの脱出と引き換えに、自らの身を犠牲にして消滅した。

一応、製作者であるパルデスは、ゼロ、レイ、ヒュウガの説得により、ダークロプスゼロの復活を約束していたのだが……

 

「まさか……」

 

戸惑うゼロを他所に、目の前のダークロプス達は冷徹にゼロを見据える。

そして三体が、同時に姿勢を低くし、戦闘の構えを取った。

 

『ウルトラマンゼロを確認、作戦を実行する』

 

素早く駆け出すダークロプス達。

そこでようやく我に返ったゼロは、間一髪で拳を避け、自らも宇宙拳法の構えを取って応戦して行く。

 

「テメェら、パルデスに送り込まれたのか!?」

 

ゼロはギリリと歯を食いしばりながら、敵の攻撃を捌いて行く。

パルデス・ヴィータ、波動砲の(現時点では確定的ではないが)開発者にして、ギガバトルナイザーを創造した男。

否が応でも思い出す。先程のゾフィーとの会話と、ゾフィーによって与えられた指令を。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

「ゼロ、君に任務を与える」

 

ソファーから立ち上がったゾフィーは、その乳白色の目に常にない鮮烈な光を宿しながら、ゼロを見下ろす。

 

その眼光の強さに、ゼロはソファーに座ったまま返事も出来ずに押し黙った。

はたして、どのような難題を指示されるのか……とは思いつつも、この話の流れから、ゾフィーがどのような指示を出そうとしているかぐらい、流石のゼロにも容易に見当はついていた。

 

「重要参考人、パルデス・ヴィータの捜索及び保護を行って欲しい、なるべく穏便に」

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