その前に今週の更新を…
「『保護』ねぇ……」
ゾフィーの『表向きの言葉』に、『本当はこんなヤバい奴、一刻も早くしょっ引きたいだろうに』と思いながら、ゼロは「ふうん」と声を漏らす。
そんなゼロの思考に気付いたのか、ゾフィーは先程までの眼光を緩め、自嘲するかのように微笑みを漏らす。
「大量破壊兵器の不法所持という罪状で捕縛する事も可能だ、しかし……」
「まあ、少なくとも俺達をどうこうしようって感じでは無かったし、下手な事して敵対するよりはマシだよな」
「理解が早いようで助かるよ」
「それに、俺はあんま関わってないけど、銀河連邦関連で色々メンドクサイんだろ?」
肩をすくめ、鼻白んだかのように溜息を洩らしながら、ゼロはソファーから立ち上がった。
そして足早に扉の前まで歩いて行くと、ドアノブに手をかける。
「お偉いさんへの対応は任せたぜ、ゾフィー隊長」
「期待しているよ」
言うが早いか、ゼロはゾフィーの投げかけた言葉を聞いたのかも怪しいぐらいの手早さで、執務室から退出して行った。
ガチャリとドアが閉まったのを見たゾフィーは、自らのデスクチェアへと腰を下ろす。
「親子というのは、やはり似る物だな」
その呟きは、誰に聞かれる事無く、霧散して行った。
―――――――――――――――
「チッ!!」
先程のゾフィーとの会話に意識を削がれていた為か、ゼロの動きにコンマ1秒単位のラグが現れる。
普通なら見逃す程の隙、しかし、高性能センサーを搭載したダークロプス達に対しては、致命的な物になる。
《ガンッ!!》
「ぐっ!?」
ダークロプスの蹴りが、ゼロの胸部を強打する。
衝撃に思わず息が詰まった所で、二体のダークロプスに両腕を押さえられ、完全に身動きが取れなくなった。
「放せっ!!」
必死に藻掻いて拘束から逃れようとするゼロだが、ダークロプスの腕力は凄まじく、全く外れる気配が無かった。
ゆっくりと歩み寄って来る三体目のダークロプスに、無駄だと分かりつつも威嚇するように睨みつけるゼロ。
もはやこれまでか、と思われた時だった。
「デュワッ!!」
ゼロへと迫るダークロプスを遮るように、突如として現れた深紅の影。
見た物全てに強者の威厳を感じさせる、ガッシリとした体格。
頭部に光る、堂々とした大ぶりのスラッガー。
ゼロにも似た、苛烈な炎を宿す黄金の眼光。
そう、ウルトラマンゼロの父親にして、ウルトラ兄弟ナンバー3の実力者、ウルトラセブンである。
「ゼロッ!!」
「親父ッ!!」
セブンの姿を確認したゼロは、突然の乱入者に混乱したのか、僅かに緩んだダークロプスの拘束から逃れるべく、空中へと飛び上がる。
そんなゼロの急な動きに対応出来ず、ダークロプスはあっさりとゼロを取り逃がしてしまった。
「シェアッ!!」
轟音を立てて着地したゼロは、間髪入れずにエメリウムスラッシュを放つ。
気付いたダークロプス側も、防御に徹した為に急所には当たらなかったものの、接触した箇所から侵入したエネルギーが軽微なダメージを与え、先程よりも動きが鈍る。
「テュワッ!!ディヤッ!!」
「フッ!!ハッ!!デリャッ!!」
そのまま格闘戦へと移るセブンとゼロ。
セブンはミドルキックで怯んだ一体のダークロプスの腕を掴み、その腹へ何発ものボディーブローを叩きこみ、
ゼロは同時に攻撃を繰り出して来る二体のダークロプスの腕を掴んで、柔道の山嵐の如く投げ飛ばす。
しかし、何度攻撃を与えても、ダークロプスは素早く体勢を整えて、セブンとゼロへ迫って来る。
「フゥッ、フゥッ……」
「ハァッ、ハァッ……」
戦う内に、いつしか一カ所へと追い詰められていくセブンとゼロ。
とうとう背中同士が触れ、互いの背後を預けたような状態となり、その周囲を三体のダークロプスが囲む。
ジリジリと距離を詰めるダークロプス、住人が避難した事で静かになった街中に、瓦礫が燃えるパチパチという音と、セブンとゼロが肩で息をする呼吸音だけが響く。
「……」
静止し、互いの懐を探るかのように敵を凝視する両者。
緊張が支配する中、構えを解かずにただ相手の出方を待つ。
『『『!!』』』
先に動いたのはダークロプスだった。
三体が一斉に腕をL字に組み、その腕から紫色の必殺光線――ダークロプスゼロショットを繰り出そうとする。
しかし、腕が動いたその瞬間、次の攻撃を悟ったセブンとゼロが空中へと飛び上がった事によって光線は外れ、セブンとゼロが居た筈の交点で交わり、互いを打ち消し合う。
「ハッ!!」
「デュワッ!!」
ダークロプスを上空から見下ろす形になったセブンとゼロは、頭部のスラッガーを同時に敵へと飛ばす。
アイスラッガーとゼロスラッガー、合計三枚のスラッガーは、ウルトラ念力による制御で自由自在に空中を舞い、敵を刈り取ろうと鋭利な刃を輝かせる。
対するダークロプス達は、こちらも頭部のスラッガーを手にし、飛び交う三枚のスラッガーを相手に立ち回る。
熟達したスラッガー使いであるセブンとゼロをもってしてもダークロプス達は中々に手強く、凄まじい速さで飛び交う三枚のスラッガーを、時にはいなし、時にははじき返す形で捌いて行く。
しかし、『ウルトラ兄弟ナンバー3』と『若き最強戦士』の二つ名は伊達ではなかった。
そのままでは埒が明かないと見るや、セブンとゼロは三枚のスラッガーを一カ所へと集めてY字型を形作ると、まるで丸鋸の如く回転させる。
『『!?』』
防御をするべく構えようとしたダークロプスだったが、全てが無駄に終わった。
元々の鋭利な切れ味に二人分のウルトラ念力が合わさった破壊力は凄まじく、目にも留まらぬ動きで二体のダークロプスを真っ二つに切断した。
倒れる暇すら与えられずに爆発するダークロプス達。
そしてその爆炎を見ながら着地したセブンとゼロ。
二人が油断なく見据える煙の中から、最後の三体目のダークロプスが逃げ去ろうとする姿が目に入る。
「逃がすかよっ!!」
持ち主の元へと戻って来たゼロスラッガーが、ゼロの胸部のプロテクターへと装着される。
そして、ゼロが逃げる敵の背を睨みつけながら、胸を張るようにしてエネルギーを込めた瞬間、二枚のスラッガーが眩く光り、青白い極太の光線――ゼロツインシュートを放った。
ゼロ最大の必殺技とも言えるゼロツインシュートだが、発射したゼロ自身への反動も莫大であり、その足元が地響きと共に陥没する。
だが、それだけに得られる戦果も素晴らしく、逃げていくダークロプスをグングンと追い上げて行き、あっという間にエネルギーの奔流の中へと飲み込んで行った。
《ドォンッ!!》
数秒と持たずに三体目のダークロプスは爆散し、その破片がパラパラと落ちて来る。
その光景を見ていたセブンは、すぐさま破片の調査へと向かおうとするが、傍にいたゼロが妙に静かである事に気付き、振り返った。
「ゼロ?」
「何で……」
振り返ったセブンの視線の先には、降り注ぐ破片を眺めながら、どこか複雑そうな、悲しみと怒りが綯交ぜになったような表情を浮かべたゼロの姿が有った。
「アンタは何がしたいんだよ、パルデス……」
その問いに、誰も答える事は出来なかった。