年末は色々と忙しく、身体的な不調もあり更新が少なくなったのは本当に申し訳なかったです。
来年もどうにかこうにか執筆を進め、未定ではありますが完成にまでこぎつけたいと思っておりますので、今後もよろしくお願いします。
それと最後になりましたが、誤字の報告ありがとうございました。
「痛って~」
咄嗟に着地が出来たゼロとゼクダスに対して、ナオは思い切り尻から着地してしまい、思わず涙目になりながら悶絶する。
しかし、そんなナオを心配する余裕が無いぐらいに、ゼロとゼクダスは戸惑っていた。
「ここは何処なんだ?」
先程までは周囲を岩場や鍾乳石に囲まれた薄暗い洞窟の中に居た筈だ。
それなのに今目の前に有るのは、等間隔に配された照明が明るく周囲を照らし、塵や染み一つ無い平滑な天井、壁面、床が奥の方まで続いている通路。
一体どういう事だ、と暫く瞠目していた三人だったが、不意に壁面の一部から光が射しこんだのを見て、そちらへと駆けて行った。
「これは……」
光が差し込んだ場所へと来てみれば、そこに有ったのは一枚の窓であった。
窓の外には遥か遠くまで続く砂礫の大地が見え、眼下を見下ろせば仰向けになりジタバタ藻掻く数体のレギオノイドの姿が見える。
突然変わった状況に追いついていなかった三人だったが、体に軽い浮遊感を感じた瞬間ようやく自らが置かれた状況を悟った。
「宇宙船だ!!」
ランとゼクダスの方を向き、ナオが叫ぶ。
三人はあの赤い輪によって宇宙船の内部へと転送されたのだ。
宇宙船はゆっくりと上昇し、船首を明後日の方へと向ける。
その際、地上から呆然と此方を見ているキャラバンの住人たちが見えたが、通信する術は無い。
「うわっ!?」
軽く襟首を引かれるような衝撃が走った瞬間、真昼の日光が燦燦と射しこんでいた窓が一瞬で漆黒に染まる。
何らかの手段で遮光したのかと思ったが、窓の外で瞬く無数の星の姿に宇宙空間へと出てしまった事が分かった。
「これは普通の宇宙船じゃないな」
状況を目の当たりにしたゼクダスが呟く。
惑星重力圏から数十秒程で宇宙空間へと進出する急加速。
そしてそんな急加速をしても、身体に負担を感じさせない程の慣性重力装置。
その性能は、明らかに通常の宇宙船とは一線を画している。
『
ゼクダスは記憶に有るパルデスの宇宙船を思い返すが、この様な宇宙船を開発していた覚えは無かった。
というか、周囲を見る限りこの宇宙船の意匠は明らかにパルデスの趣味ではない。
おそらくは【どこかしらの高い身分を持つ者が所有する宇宙船】といったところか。
「とりあえず、進行方向からしてこっちに操縦席が有るか?」
そう言いながらゼロが奥の方へと歩き出す。
罠かもしれないが、放っておけばタダでは済まなかったところを救ってくれたのだ。
少なくとも害は無いと見ていいだろう。
そう考えたゼクダスもゼロに続いて歩き出し、後を追うようにナオも歩き出す。
船内はどこも手入れが行き届いており、チリ一つ見当たらない。
「どうやら、ココが終点らしいな」
セキュリティ確保の為か入り組んだ通路を進んだ末に、三人は一枚の扉の前で立ち止まる。
これまで通過してきた扉と違い、その扉は大型の両開き戸となっており、表面にはシンプルながらも精巧な細工が散りばめられていた。
船の持ち主が居るとするなら、おそらくはこの扉の向こうだろう。
≪プシュゥゥゥ……≫
センサーが察知したのか、三人の前で扉がゆっくりと開いていく。
扉の向こうには、これまでと違って広い空間が広がっており、壁面には扉と同じく精巧な細工が施されている。
奥の方を見ると宇宙空間が表示された大型のパネルが設置されており、その手前には優美な曲線を描く一脚のソファー。
そしてそのソファーには、一人の人物が腰を掛けていた。
向こうを向いている為に後ろ姿しか見えないが、
上品なレースをたっぷりと使用したドレスと、よく手入れされているであろう艶やかな漆黒の長髪を見れば、おそらくはかなり身分が高い女性であろう事は容易に想像がついた。
「アンタが助けてくれたのか」
「僕はナオ、こっちは兄貴のゼロだよ、ありがとう」
ゼロとナオが女性に声を掛けるが、反応は無い。
いや、聞こえてはいるだろう。
チラチラと視線を向けては来る。
「どうした?」
その態度を不思議に思ったゼロとナオが、顔を見合わせた後に女性へと近づいていく。
後を追うようにゼクダスも近づこうとするが、僅かに聞こえた≪バチッ≫という異音に足を止めた。
「待て!!」
考えてみれば分かったはずだ。
目の前の女性のまるで
それが、自分達を害しようとする『罠』の可能性が高いという事など。
ゼクダスは目の前にいる二人を咄嗟に止めようとしたが、すでに手遅れだった。
≪バチバチバチッ!!≫
近づいた瞬間、電流のようなエネルギーが三人の体に巻き付き、縄のように体を拘束する。
そして先ほど入ってきた扉の方へと弾き飛ばされ、そのまま壁に貼り付けられた。
「クソッ……」
どうにか逃れようとするが、体を拘束する光の縄は人間の力ではどうにかなりそうにもない。
そうこうしている内に、絶望的な言葉が耳に入ってくる。
『記憶消去、開始します』
「記憶消去だと?」
電子音声と共に、モニターの上に設置されていた赤い球体状の装置から、光線が発せられる。
その光線はまっすぐに三人へと伸びていき、その体を包み込んだ。
「うああああああっ!?」
まるで頭蓋骨の中をかき混ぜられるかのような感覚。
覚醒と失神を繰り返し、視界がぼやけ、前後不覚の状態に陥る。
せめて意識だけは保とうとするが、それもいつまで持つか分からない。
数分か、はたまた数秒か、突如として始まった永遠のように感じる苦悶の時間は、終わるのもまた唐突なものであった。
「!?」
突如として拘束が解かれ、その場に崩れ落ちるように蹲る。
「大丈夫ですか!?」