悪の帝国のテクノクラート   作:トラクシオン

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第百三十六話【炎の攻防戦】

漆黒の宇宙に、恒星の光を反射して神秘的に光り輝くスペースニトロメタンの海。

その光に照らされた宇宙で対峙する二つの勢力。

 

方や全宇宙を恐怖に陥れる悪魔の手先、方や自由を尊ぶ宇宙の荒くれ者。

それぞれの目的や理想が、敵の命を刈り取とろうとする獰猛な光線の応酬として飛び交う。

 

そんな中でジャンバードとその乗員達は固唾を飲んで見守る事しか出来ない。

 

「ゼロ……」

「兄貴……」

 

エメラナとナオは、交わされる光線を掻い潜りながら攻撃を繰り出すゼロを心配していた。

 

遠い宇宙から、たった一人で来てくれた光の戦士。

ヒラリヒラリと踊るように舞う巨体を感じさせないその動きと、確実に敵を屠っていくその姿は、傍目から見てもゼロの戦士としての高い実力を感じさせるものだ。

 

だが、戦いでは何が起こるか分からない。

一騎当千の英雄が、雑兵の放った一発の弾丸でその命を散らす事だって起こり得るのだ。

 

だからこそ、エメラナとナオの心配は尽きなかった。

 

「……」

 

その一方で、背後から同じスクリーンを見るゼクダスは、画面の隅の方に映る巨大な移動要塞――自動惑星ゴルバへと視線をやる。

鮮烈な戦いが繰り広げられている宙域の只中にありながら、まるでオブジェの如く一カ所に鎮座しているゴルバ。

 

自動惑星ゴルバは無数の砲台による弾幕と惑星破壊レベルの攻撃にも耐え得る強固な位相変換装甲、そして重力操作という強力な技術を兼ね備えた移動要塞だ。

光の戦士に対抗出来るのかは未知ではあるものの、この宇宙に存在する文明のレベルなら一隻だけでも致命的な存在だろう。

現に重装甲を誇るブリガンテですらまともに食らえば沈むようなグレンファイヤー、ウルトラマンゼロ、アバンギャルド号の砲撃を容易く受け流している。

 

だが、攻撃の方はと言われると、時折ビーム砲を散発的に撃つ以外は特に動きは無い。

確かに主人(パルデス)はゼロに対して悪感情を持ってはいないが、目的としている『新たなる故郷(ニュークシア)の守護』を達成するのなら、脅威はココで排除するべきだろう。

例えカイザーベリアルに対して良い感情は持っていないとしても、選択としてはゼロの排除の方がベターな選択なのだから。

 

……まあ、ゼクダス自身もゼロに対しては思い入れも有るし、ランとナオも今となっては大切な存在である。

だからこそ、ゼロへと手を下そうとしない主人の行動にホッとしている面も有るのだが。

 

「一体何を考えているんだ?」

 

とはいえ、主人の行動は目的との整合性が取れず、今のところ不可解としか言えない。

訳の分からない難問に、ゼクダスは人知れず頭を痛めていた。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

戦闘が激化する中、俺は観戦気分で艦橋の外を眺めながら、紅茶を飲んで一息吐く。

ゴルバの位相変換装甲は惑星破壊レベルの攻撃、つまりは波動砲でも正攻法では破れない以上、鉄火場の只中で悠々と浮かんでいても特に問題は無いのだ。

 

「パルデス、あなたは何をしているのですか!?さっさと下郎共を抹殺しなさい!!」

 

まあ、一応は【敵を殲滅する】という作戦である以上、浮かんでいるだけでいるだけだと文句を言ってくる奴もいる訳だが。

俺は溜息を吐きながら、ダークゴーネへ加勢しないもっともらしい理由を口に出す。

 

「私はあくまでウルトラマンゼロをベリアル様の御前へと連れて行くのが目的、雑兵は君に任せるよ」

「貴様っ!!」

 

まあ幹部内で仲良しこよししている訳ではないのだ、理由も適当なもので良いだろう。

これでも出会った当初は良好な関係を築こうとしていたのだ。

そんなこちら側の努力も知らずに無礼な態度ばかりして来る奴に、今更手心を加えるつもりは無い。その上……

 

「君が率いているその戦艦やロボット兵は誰が用意した物か分かっているのかい?」

「ぐっ……」

「与えてやった分、仕事をしてもらわなくては困るのだよ」

 

胡乱気に言ってやれば、ダークゴーネは「痛い所を突かれた」とでも言いたげに言葉を詰まらせる。

そう、ベリアル銀河帝国の軍備の大体を揃えたのはこの俺である。

 

兵器や艦船の設計から製造の為の資源や人員の調達、それにプログラムの構築まで全てが俺の仕事だ。

まあ、それらは征服惑星の人々の有用さを示して、なるべくベリアル様による人命への損害を減らす為の努力ではあったのだが。

 

もっとも、今となってはコスモリバースシステムも出来たし、無尽蔵に兵器を生産可能な()()()()も稼働しているので、そこら辺の心配は薄いのだが。

 

「とはいえ、奴らは一筋縄ではいかない精強な奴らだ、手助けぐらいはしよう」

 

しかし、あまり敵対し過ぎても面倒だし、ここは()()()()()()()をこなす事でダークゴーネに加勢するとするか。

俺が手を振ると、アナライザーが格納庫へと通信を繋いでくれた。

 

「君の出番だ、約束通り《炎の海賊》の所へと連れて来てやったぞ」

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