悪の帝国のテクノクラート   作:トラクシオン

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スランプを脱したかと思ったら、そんな事は無かったぜ…


第百三十七話【逆襲】

スペースニトロメタンの海で続く炎の海賊+ウルトラマンゼロVSダークゴーネ率いるベリアル軍部隊の戦いは、時間が経つにつれてその激しさを増していく。

 

一見すれば、経験に裏打ちされた一騎当千の実力を持つ炎の海賊とウルトラマンゼロが優位に戦いを進めているように見える。

レギオノイドの動きは単調で、ゼロやグレンファイヤーの動きに全く付いて行けない上に、ブリガンテが放つ砲の照準もかなり甘くアバンギャルド号の砲撃の正確さには及ばない。

 

が、先人の言う通り『戦いは数』なのである。

 

「虫みたいにワラワラ湧きやがってよぉ!!」

「チッ、数が多過ぎる……」

 

グレンファイヤーとゼロが、肩で息をしながら悪態を吐き、敵を睨みつける。

次から次へと湧き出て来る敵の軍勢に、流石の二人も疲弊しつつあった。

 

その上、状況もかなり悪い。

 

ジャンバードは大切な主であるエメラナを搭乗させている事も有って、戦闘へは不参加だ。

アバンギャルド号は強力なレーザー砲で応戦するものの、攻撃を掻い潜って接近して来たレギオノイドには成す術が無い。

 

その為に【後方の二隻を守りつつ、やって来る敵を撃破して行く】という戦闘を二人は強いられている。

 

しかし、何事にも始まりが有れば終わりも有る。

戦っている内に、目に見えて戦況に変化が表れ始めた。

 

「レギオノイドの数は少し減って来たな」

 

言いながら、ゼロは周囲の状況へと目を配る。

 

先程まで雨あられと追いすがって来ていたレギオノイドも、先程よりは減っているように見える。

それでもまだ、敵の方が数的優位に立っているのは違いないが、初めの頃は無秩序に襲って来たレギオノイドが、今では1対5ぐらいの数にまで減少し、後方で砲撃に専念する者も現れ始めた。

 

明らかに、敵は守りの姿勢に入っている。

 

「オラオラァッ!!最初の威勢はどうしたぁ!?」

 

逃げ腰になった敵に対し、グレンファイヤーはここぞとばかりに攻勢に出た。

ファイヤースティックで周囲の敵を薙ぎ払い、一気にダークゴーネが座乗する艦へと距離を詰めようとする。

 

レギオノイドに囲まれたゼロはそれを見送る形になったが、ふと、ある事に気付く。

 

『敵のロボットが、アイツを避けている?』

 

ゼロに対応するレギオノイドが距離を詰めて来る一方で、グレンファイヤーに対応するレギオノイドは遠巻きにビームを撃つばかりだ。

一体、敵は何を狙っている?敵に拳を叩き込みながら周囲へと気を配っていたゼロは、不意に感じた悪寒に思わず叫んだ。

 

「下だっ!!グレンファイヤー!!」

「はぁ?グハッ!?」

 

次の瞬間、下から飛んで来た【何か】が、避ける間も無くグレンファイヤーへと衝突する。

凄まじい勢いで弾き飛ばされたグレンファイヤーは、小惑星二つを打ち砕いた後、三つ目の小惑星に叩きつけられてようやくその勢いが止まった。

 

「ぐっ、痛ってぇ~っ」

 

一体何が起こったのか、軋む体を起き上がらせたグレンファイヤーの目にソレは映る。

立ち昇る砂埃の向こう、暗褐色の皮膚に、血を内包したかのような赤いヒレ、そして鋭い眼光で此方を睨んで来る一体の怪獣。

 

「へっ、今更新手か?」

 

肩の可動域を確認するように回しながら、グレンファイヤーは不敵に笑うと身軽にその場から立ち上がる。

そんなグレンファイヤーの目の前で、怪獣は俯いて身震いを始めた。

 

「何だぁ?」

「フッフッフッ……ハァーッハッハッハッハッ!!」

 

突如として怪獣が、その身の震えをそのままに高笑いを始める。

まるで血の底から響いて来るような、悍ましい声。

 

そして拳を握り、遠巻きで訝し気に見ていたグレンファイヤーへと凄まじい勢いで距離を詰めた。

 

「ハァッ!!」

「グゥッ!?」

 

振り出された怪獣の拳を、腕をクロスさせてグレンファイヤーは受け止める。

何とか耐えしのいだものの、その拳の重さに思わずうめき声を漏らした。

 

そんな苦し気なグレンファイヤーの様子を、目の前の怪獣はニヤニヤと愉悦に染まった表情で嘗め回すように見る。

 

「久しぶりだナァ、炎の海賊!!」

「人違いじゃねぇか?テメェみたいな奴知らねぇ……よっと!!」

 

瞬時に片手にファイヤースティックを形成し、突如として現れた目の前の怪獣へと投擲するグレンファイヤー。

が、怪獣は事も無げにファイヤースティックを弾き飛ばすと、大きく息を吸い込み火焔を吐き出す。

 

「ハッ、俺に炎の攻撃なんて……アッツゥッ!?」

 

炎の属性を持ち、体内に溶岩を宿すグレンファイヤーにとっては、正面から受けても問題の無い攻撃のハズだった。

しかし、怪獣の炎に飲み込まれたグレンファイヤーの体に、猛烈な激痛が走る。

思わず小惑星の地面に倒れ込み、転がって炎を消すグレンファイヤー。

 

「ハッハァッ!!闇のエネルギーが混じった炎だ、流石のテメェでも火傷するぜ?」

「小狡い手を使いやがって」

「ハッ、宇宙海賊に狡いもヘチマも有るかよ!!」

「グッ……」

 

そのまま、怪獣はグレンファイヤーへと再び殴り掛かる。

時には受け流し、時には腕で受け、どうにか致命的な攻撃は防いでいるが、グレンファイヤーが押されている事には変わりは無い。

 

「どけっ!!」

 

ゼロはその光景を見て助太刀に入ろうとするが、目の前に立ち塞がるように数体のレギオノイドがゼロを囲う。

グレンファイヤーと分断させる気だと気付いたゼロは、苦々しく思いながらも目の前の敵に対して攻撃を繰り出すが、中々前には進めない。

 

このままではグレンファイヤーが危ないとゼロは焦るが……

 

「オラッ!!」

「!?」

 

流石は歴戦の勇士と言うべきか、

グレンファイヤーは敵のモーションが大きくなった一瞬の隙を突いて、脇腹に蹴りを叩き込む。

 

無防備な場所に深々と突き刺さる爪先、だが、敵の強固な外皮がその攻撃を防いだ。

しかしグレンファイヤーにとってはそれでも問題は無かった。

 

そのままキックを蹴り抜くと、両者の間にある程度の隙間ができる。

コレがグレンファイヤーの真の狙いだったのだ。

 

「何者だ?テメェ!!」

「『何者だ』って?ハッハッハッハッ!!」

「何がおかしい!!」

 

激怒するグレンファイヤーを見て、怪獣は再びグレンファイヤーへと向き直ると、怪獣は高らかに名乗り上げる。

 

「俺はザウラー……青光の団の頭領、キャプテン・ザウラー様だ!!」

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