悪の帝国のテクノクラート   作:トラクシオン

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第百三十八話【ダークゴーネの強襲】

―やっとだ、やっとここまで来たのだ―

 

目の前にいる忌々しき炎を見ながら、ザウラーは(わら)う。

 

炎の海賊に屈辱的なまでの惨敗を喫し、他の無法者たちから後ろ指を指されて馬鹿にされていた屈辱、それをやっと晴らす事が出来るのだ、新しく手に入れたこの力で。

まずは忌々しき炎――グレンファイヤーを血祭りにあげ、その後に残りの奴らも……

 

……ああ、そういえばウルトラマンゼロだけは捕縛するんだっけか?あとはあの宇宙船に乗ってるエスメラルダ王女も。

全く、パルデスの野郎も面倒臭い事を言いやがる。

だがまあベリアルとの関係は良いに越したことは無いだろう、残念だが奴には勝てる気がしねぇからな。

せいぜい、また旨い汁でも啜れれば良いさ。

 

上機嫌にそんなことをつらつらと考えていたザウラー。

だが、次にグレンファイヤーが発した言葉に思わず動きを止めた。

 

「いや、誰?」

「は?」

 

そう言いながら首を傾げるグレンファイヤーに、ザウラーは先程までの上機嫌はどこへやら、ただ呆然とグレンファイヤーを見やる。

対するグレンファイヤーは、腕を組んで首を傾げたまま、何かを思い出そうとするかのようにウンウンと唸る。

その様子は嘲っているようでも無く『本当に心底分かりません』という考えが透けて見える。

 

「おいおい、忘れたとは言わせねえぞ?一時は宇宙の闇社会に名を轟かせた伝説の宇宙海賊、青光の団のキャプテン・ザウラー様だ!!」

「だから分かんねぇって、弱っちい奴なんて一々覚えてねえもん」

 

―ブチッー

 

ザウラーの中で、何かが切れるような音が鳴り響く。

俺が苦汁を舐めている間、こいつらは呑気にノホホンと過ごしていたというのか?俺達の事を記憶の外に追いやって……

 

「きっ、貴様ァァァァァァッ!!」

「うぉっ!?」

 

ザウラーがグレンファイヤーへと突っ込んでいく。

怒りに任せた攻撃は直線的で、グレンファイヤーにとっては容易に躱せる攻撃ではあったが、

グレンファイヤーの体が横たわっていた場所に体がぶち当たり、小惑星は粉々に砕け散った。

 

「許さねぇ、俺様にこんな屈辱を与えておいて忘れただと?」

 

怒りに満ちたザウラーの背後で、四散して宇宙空間を漂う小惑星の破片。

もしもアレを食らったのが自分だったら……と考えて、グレンファイヤーの背筋に悪寒が走る。

 

「こりゃあ覚悟を決めねぇとヤベェな」

 

怒りのあまり背びれを光らせ、口の端から炎を漏らすザウラー。

それを一瞥し、視線の端で戦うゼロとアバンギャルド号をチラリと見る。

 

そして、宇宙空間に悠々と浮かぶ巨大要塞(ゴルバ)も。

 

「一丁かましてやるか」

 

そう言いながら、グレンファイヤーは頭の炎をかき上げる。

軽い口調とは裏腹に、その胸の炎は滾る決意に燃えているのであった。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

「戦闘も佳境かな?」

 

俺は紅茶を飲み干すとティーカップをソーサーへと起き、ディスプレイに表示された時刻表示を見る。

既に戦闘開始から7分弱が経ち、ウルトラマンゼロのエネルギーも底を突きかけているはずだ。

 

「それにしてもゼロの強い事といったら、ウルトラ銀河伝説(オリジン)でも描かれてはいたけど、正に無双の戦士だな」

 

ランスとスラッガーを巧みに操ってレギオノイドを翻弄し、時にブリガンテの砲口がアバンギャルド号へと向けられれば、隙を作って即座に駆け付けバリヤーを張る。

グレンファイヤーがザウラーへの対応に手間取っている為に、一人で八面六臂の活躍をしているゼロに、俺は感情の高ぶりと、一抹の不安を感じていた。

 

「あまりやり過ぎないように、尚且つダークゴーネにも気づかれないようにしろよ?」

『分かっテおりマすパルデス様、レギオノイド並びにブリガンテの機動調整ハ完璧デス』

「それなら良い、ゼロや炎の海賊がやられてしまえば元も子もないからな」

『しかしウルトラマンゼロはともカク、炎の海賊に関シテは排除しても構わナイのでは?』

「こっちにはこっちの事情がという物があってな、炎の海賊がやられても困るんだ」

 

アナライザーとそんな会話をしながら、俺は戦況を眺める。

ゼロは相変わらずアバンギャルド号の守りを固め、グレンファイヤーはザウラーと対峙している。

 

さて、本編通りならもう間も無く……

 

≪ピコン、ピコン、ピコン……≫

 

予想通り、ゼロのカラータイマーが鳴り始めた。

あともう幾ばくかすれば、ゼロ達や炎の海賊の仲間らを逃がす為に、グレンファイヤーがスペースニトロメタンの海へと身を投げて爆発を起こすはずだ。

 

≪ドガッ!!≫

 

暫く殴り合っていたグレンファイヤーとザウラーだったが、グレンファイヤーにも疲労が溜まっていたのか、ここでザウラーの拳が腹にヒットし、アバンギャルド号の方へと弾き飛ばされて来た。

……いや、ザウラーの拳が当たったのは偶然ではなさそうだ。

 

「流石に修羅場を潜って来ただけあるな」

 

グレンファイヤーは弾き飛ばされた勢いのまま、アバンギャルド号に取り付こうとするレギオノイド数体を弾き飛ばす。

おそらく、わざとこちらの方向へ飛ばされるように拳を受けたのだろう。

巧みに体を制御してアバンギャルド号の甲板に着地すると、そのまま低い姿勢でスライディングして勢いを殺す。

 

そして、目の前で戦うウルトラマンゼロを見て一言。

 

「おい大丈夫かお前、ピコピコ言ってんぞ?」

 

例のグレンファイヤーの迷台詞を聞き、俺はほくそ笑む。

 

さて、そろそろフィナーレか。

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