悪の帝国のテクノクラート   作:トラクシオン

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第百四十話【捨て身】

アナライザーからの報告を聞いた俺が艦橋から外を眺めれば、一筋の流れ星が弧を描き、その先端を此方へと向ける。

そして一直線に、ゴルバへと向かって来ていた。

 

「何故こちらに来る!?」

 

目の前の光景に、思わず気が動転してしまう。

 

本来の流れならグレンファイヤーはスペースニトロメタンの海に突っ込み、その爆発で出来た敵の隙を突いてジャンバード(ゼロ達)やアバンギャルド号は宙域から離脱する筈だ。

そしてゼロ達は鏡の星へ、炎の海賊とグレンファイヤーに関しては終盤まで出て来ないので途中の行動に関しては分からないものの、レジスタンスと二次元人の艦隊を引き連れて最終決戦に加勢しに来るはずなのだ。

 

「原作改変の影響か?」

 

そんな事を考えている間にも、グレンファイヤーは猛スピードで此方へと接近して来る。

 

「撃て、但し直撃は避けろ」

『難シイ事を……』

「今後に必要な事だ、撃てっ、撃てぇっ!!」

 

やむを得ない、俺は直撃は避けるように命じつつ、アナライザーへと射撃の許可を出す。

ゴルバには元々ハリネズミの如く無数の砲台が付いているし、側面には大口径重核子ベータ砲を8門も搭載している。

これらはエスメラルダの主力艦隊を一撃で屠った超大型重力場収束式ベータ砲には敵わないものの、チャージ時間が短く連射性能に優れた兵器だ。

 

そして、本来なら戦艦を一発で屠る程の兵器の筈なのだが……

 

「効かないだと!?」

 

掠める程度ではあるものの、戦艦レベルなら装甲が溶融する程のエネルギー量を誇るビームだ。

少しぐらいは怯むかと思いきや、方角をずらす事すら叶わずに、そのまま真っ直ぐ此方へと突っ込んで来る。

 

『攻撃対象に目立っタ効果は認めラレず』

「仕方ない、直接当てろ!!」

 

焦った俺は、とうとうグレンファイヤーへの直接攻撃を決断し、大口径重核子ベータ砲を発射した。

高度な射撃管制により、エネルギー砲弾は真っ直ぐグレンファイヤーへと向かって行く。

 

≪ドォンッ!!≫

 

直撃、爆炎が広がり、グレンファイヤーを飲み込む。

目を皿のようにして外を見るものの、その姿は見えない。

 

「グレンファイヤーは?」

『センサーにヨリ探索してイマス、が、ベータ波の乱流デ機能せズ、生死の確認不能』

「クソッ、何処だ?何処にいる!?」

 

内心焦りながら、俺はグレンファイヤーの行方を捜す。

ここでグレンファイヤーが死んでしまえば、カイザーベリアルとの最終決戦の勝敗がどうなるか分からない。

原作ではアークベリアルの魔手からウルトラマンゼロを助け、そしてファイナルウルティメイトゼロ発動の為に時間稼ぎをしていた。

 

それが無くなってしまえばどうなるか。

最悪、ウルトラマンゼロが死ぬ可能性も有るし、そうじゃなくてもベリアル勝利となってしまえば最悪だ。

 

「これで死んでたらシャレにならんぞ……」

 

広がる爆炎の中、目を凝らす。

無駄だと分かりつつも、不安感からかその行動を止める事が出来ない。

 

≪カッ!!≫

 

ん?今何か光って……

 

「ほぉっ!?」

 

そう思った瞬間に地面が、いや、ゴルバがグラリと揺れた。

俺は思わず悲鳴を上げながら、気の抜けたような悲鳴を上げて尻餅を突く。

 

一体、何が起こった!?

 

『艦体の中央部に、断続的ニ高エネルギーが接触してイマす』

「モニターに出せ!!」

 

アナライザーへと指示を出すと、大型モニターに艦体外装部の様子が映し出された。

そこに映っていたのは……

 

「やはり、そう簡単に死ぬはず無いか」

 

ホッとしたのが半分、面倒事の予感への辟易が半分、綯交ぜになった感情で俺はモニターを凝視する。

そこには炎を纏う流星となったグレンファイヤーが、ゴルバの中央部へと突進を続けていた。

 

『位相変換装甲は正常ニ稼働しておりマス』

 

ただ、ゴルバの艦体自体にはダメージを与える事が出来ていない。

俺はホッと胸を撫で下ろし、今後の方案を練ろうとした。

 

だが……

 

『警告、警告、機関出力低下、ガス帯の重力圏に引き寄せラレテいます』

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