悪の帝国のテクノクラート   作:トラクシオン

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かなり更新の間が空きました、申し訳ない。


第百四十一話【俺ごと撃て!!】

「は?」

 

アナライザーの言葉に気の抜けたような反応をするのと、ゴルバがゆらりと揺れだしたのはほぼ同時の事だった。

 

俺は慌ててコンソールへと駆け寄り、機関の状態を確認する。

機関出力は低下している、しかし故障している訳ではなく……

 

「位相変換に莫大なエネルギーを消費している、だと?」

 

驚きのあまり、俺は目を見開いて数値の推移を見たまま硬直する。

 

位相変換装甲は分類でいえばエネルギーシールドの部類に入る物で、稼働にはエネルギーが必要であり、防ぐ攻撃が強ければ強いほどエネルギー消費は激しい。

ただ、この宇宙には波動砲クラスの兵器は存在しない為に、強化もやろうと思えばできたのを、ほぼ原作そのままの出力で設計した。

 

つまりこのゴルバもヤマト原作(リメイク版)と同じく、位相変換装甲は波動砲の攻撃にも十分に耐えられるように設計されているハズなのだ。

という事はつまり……

 

「戦士のエネルギー保有量を見誤っていたかっ!!」

 

苛立ちと焦りに、俺は額から冷や汗を流す。

 

現在のゴルバはグレンファイヤーからの攻撃を断続的に防ぐ形になっており、その為に位相変換装甲が莫大なエネルギーを消費している状態だ。

そう、動力に回すエネルギーすら工面できない程に。

その為にゴルバは押される形になっているのだ。

 

「ベータ砲で攻撃を!!」

『そうなレバ位相変換装甲を抜けラレます』

「ああ、クソッ!!」

 

俺は考えあぐねていた。もしも今この状況で位相変換装甲を弱めたらどうなるのか、グレンファイヤーに掛ける訳ではないが、文字通り『火を見るより明らか』だ。

更に、そんな状況へ追い打ちを掛けるかのように、グレンファイヤーはとんでもない事を叫び出す。

 

「チッ!!カッコ付けたは良いが、やっぱ俺一人じゃ抜けねぇか……仕方ねぇ、ゼロッ!!俺ごと撃てっ!!」

 

突如としてデスラー総統みたいな事を口走り始めたグレンファイヤーに、俺は思わず目を見開く。

まさか、位相変換装甲の弱点に気付いたのか?

 

「コイツ……」

 

心の何処かで炎の海賊を『蛮族だ』と舐めてかかっていた自分の甘さに歯噛みした。

そうだ、炎の海賊とは一度戦火を交えている、その中でグレート・プレアデスとも接触しており、その際に弱点に気付いた可能性が高い。

奴らは海賊であり、戦いのプロフェショナルなのだ。

 

「何を言ってやがる!?」

 

グレンファイヤーから突如として言われた言葉にゼロは動揺するも、迫って来るレギオノイドを切り伏せる手は止めない。

そんなゼロの背に、グレンファイヤーは畳みかけるかのように言葉を投げた。

 

「俺の見立てが合ってれば、コイツの装甲は攻撃された時のエネルギーを同等のエネルギーで相殺する仕組みだ。俺が攻撃を続けてる今なら、お前の攻撃で抜ける筈!!」

「けど、お前はどうするんだよ!!」

「ヘヘッ、グレンファイヤー様を舐めるなよ!!こんな修羅場、何度でも潜り抜けてやるさ!!」

 

ゼロはグッと押し黙り、しばし苦悩するかのように俯いた後、顔を上げて此方(ゴルバ)を睨んで来る。

爛々と輝くその瞳は、まるで心の中の覚悟を示しているようで、それを証明するかの如く、ゼロは腕を上げて光線の構えを取ろうとする。

 

まずいっ、本格的にヤバいっ!!

 

「炎の海賊よ、グレンファイヤーよ、少々対話の時間を設けてはくれないかね?」

「ハッ、答えは分かり切ってるだろ?」

「ぐっ」

 

鼻で笑い飛ばされ、俺は思わず呻き声を上げて押し黙る。

かくなる上は、仲間(一応)に頼むしか無いか、後でどんな要求をされるのかは予想できないが、死ぬよりはマシだ。

 

「ダークゴーネ!!ザウラー!!」

 

俺のヘルプコールに、ダークゴーネは無感動に腕を組んでコチラを見ているだけだ。

まあベリアル軍は実力主義、こうなる事は予想が付いていた。

本命はザウラーだ、奴は俺に恩義がある。助けざるを得ない筈。

 

「世話が焼けるなぁ、報酬は弾んで貰うぶぅっ!?」

 

ニヤリと笑みを浮かべたザウラーが、予想通りゴルバの方へと向かって来る。

よし、これで危機を脱する事が出来る……と思った瞬間、一条の緑色の光線がザウラーを直撃した。

 

「は?」

 

光線をまともに食らったザウラーは弾き飛ばされ、近くを航行していたブリガンテの一隻にぶち当たる。

ブリガンテの装甲はそれなりに厚いのだが、あまりにも凄まじい勢いだったのか装甲はクレーターの如く窪み、その中心にザウラーがめり込んでいた。

どうやら気絶してしまったようで、白目をむいてピクピクと痙攣している。

 

一体何が……なんて言うまでもない。

この光景を作り出した下手人、ウルトラマンゼロの方を見れば、腕を顎下にやるポーズ――エメリウムスラッシュの構えを解く所であった。

 

「ふざけんじゃねぇ!!」

 

叫ぶように声を張り上げたゼロ。

黄金に光るその目は、怒りと一握りの悲しみのような複雑な感情を湛えながらも、強い意志を持った瞳でグレンファイヤーを見据えている。

 

「お前を犠牲に出来る訳ねぇだろ!!」

「ハァ!?今ならコイツを倒せる!!こいつが居なくなれば、何万、いや、何億人も救われるんだぞ!?」

「それでも……それでも、俺には仲間を犠牲にする事なんて出来ねぇ!!」

 

自分を犠牲にすれば敵を倒せるというグレンファイヤーに、例えそれで救われる者が居たとしても絶対に誰かを犠牲にする手段は取らないゼロ。

目の前で繰り広げられるあまりにも尊く、熱いやりとりに俺は思わず目頭が熱くなる。

 

流石はウルトラ戦士、誰かを犠牲にするような手段を否定するか。

それでこそウルトラマンだよ。

 

俺の頬に、熱い雫が伝う。

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