悪の帝国のテクノクラート   作:トラクシオン

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だいぶ間が開いて申し訳ありません。


第百五十五話【要求】

さて、と。

 

目の前でバリバリに敵意を向けて来るゼロとナオ、困惑した表情で此方を見つめて来るエメラナ、そして唯々此方を見つめて来るゼクダス。

まあ無理も無いだろう、敵の幹部がこんなにも無防備に姿を現すとは思ってはいなかった筈だ。

その上、本来なら二次元人に認められていない俺はここに来られない筈なのである。

 

驚くのも無理は無いだろう。

 

俺は四人へと歩み寄り、後10歩ほど進めば触れられるであろう所まで接近して立ち止まると、そのまま顔を上げて俺達を見下ろす『伝説の巨人』の像を眺める。

何処か硬質でありながらも慈愛を感じさせるその像は、ただ静かにその双眸を此方へ向けていた。

 

「伝説の巨人、ノア、か」

 

初めて見る筈のその姿、いや、前前世(最初の生)の時には幾度も見た姿だ。

Nプロジェクトの顔であり、ウルトラマンネクサスの最終話に登場した神の如き力を持つ白銀の巨人。

後にこの世界の人々の想いを汲み取り、後にゼロへとウルティメイトイージスを授けるのだ。

 

そこまでは知識として知っている。

 

が、それ以外に何故か、朧気ながら既視感を感じていた。

そして何かを忘れているような焦燥感も。

 

ひょっとして、コレは前世――アケーリアス時代の記憶なのか?

 

「パルデス、貴方は何をしたいのですか?私達に、何を求めているのですか?」

 

物思いに耽っていた俺の意識は、エメラナからの質問の声に引き戻される。

そうだ、今はこんな事を考えても仕方ない。

 

「何をしたい、か、私がやりたい事は今も昔も変わらんよ……すべてはニュークシアのためだ」

 

そう、俺の行動原理はただ一つ、惑星クシアの再興である。

ギルバリスを生み出し、多くの同胞が亡くなる原因を作った事に対する贖罪。

それが全てである。

 

「グレンファイヤーは!?グレンファイヤーはどうしたんだ!!」

 

ふむ、質問が多いな。今度はナオからか。

それにしてもこうして見るとまだ子供じゃあないか。それなのにこんな激しい戦いに身を投じるとは見上げた精神だ。

 

子供ながらに必死に戦うナオへ敬意を表し、俺は少し屈んで視線を合わせる。

そしてまるで親が子供へ言い聞かせるように口を開いた。

 

「君は親御さんから『火の始末はキチンとしなさい』と教わらなかったのかね?」

 

「そんな……」

 

俺が発した言葉を聞いた途端、ナオは固まり、エメラナは両手で口を覆ったまま震える。

まあ予想はしていたがね。

 

「テメェっ!!」

「っ!?」

 

激昂したゼロの拳が迫る。

 

早いとかそういう感想が思い浮かぶよりも前に、咄嗟に背後へ倒れ込むように転がり、かろうじてその拳を避ける事に成功した。

いや本当に危なかった。鼻先を掠めただけなのに摩擦でチリチリ痛む程の威力だ。

まともに当たったのなら昏倒していた事だろう。

 

受け身の要領で転がった体勢から少しよろめきながらも立ち上がり距離を取る。

拳法の使い手であるゼロの事を見越し、念の為に合気道の本を読んだ事を自画自賛したい。

 

まあそんな事は置いておいて……

俺は一つ溜息を吐くと、ゼロが追撃に移る前に懐のホルスターから銃――コスモドラグーンを取り出してゼロへと銃口を向けた。

 

構えは解かないまま、ゼロは凄まじい形相で此方を睨みつけて来る。

おお怖い怖い、マジで生死を賭けた戦いを繰り返してきた戦士の殺気だ。

心臓が早鐘の如く鼓動し、冷や汗が額から垂れる

 

「彼も戦士だ、挑み掛かって来たのなら、それ相応の反撃を受ける覚悟はあっただろう」

「だからって、彼を……」

「先程も言った通り、私には成すべき事が有るのでね、君が国の人々を想う心と同じだよ」

 

さて、雑談はこれぐらいにしようか、時間も無い。

ここでグダグダしてたら堪え性の無いアイアロンが二次元世界をバッキバキにしてしまうからな。

 

「ゼロ、私は君に用が有ってここに来た」

「俺が目的?何がしたいんだ」

「ベリアル様からの命令でね、君を銀河帝国の首都であるマレブランデスへ招待したいんだ」

 

「素直に応じてくれるなら君の仲間には手を出さない」と付け加え、ゼロからの返答を待つ。

やはりと言うべきか、ゼロは迷っているようだ。自分が要求に応じれば仲間には手を出されない。

信頼できるかどうかは分からないだろうが、一考の価値は有るだろう。

 

一方で、俺はこうして一人でやって来ている訳だ。

俺の要望を突っぱね、身柄を拘束する事も可能だろう。

その選択肢を選ばれると流石に困るので、俺は保険を掛ける事とした。

 

「私が一人だからと余計な気は起こさない方が良い、私も星を消すのは心苦しいのだよ」

「やめろっ!!」

「君が素直に応じるのなら、そんな事はしないよ」

 

銃を片手に持ちながら、俺はゼロの目の前に掌を差し出す。

疑問を浮かべるゼロの目を見ながら、俺はもう一つの要求を突き付けた。

 

「まずはウルトラゼロアイを渡してもらおうか」

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