悪の帝国のテクノクラート   作:トラクシオン

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最近は中々に小説の進行が悪くて悩む。


第十七話【迫りくる漆黒】

大気圏を突き抜け、断熱圧縮で赤く熱せられた機体が冷えた頃に、ウェルシュドラゴンは研究所の横に設けられたスペースポートへと着陸した。

下ろされたタラップから機体の外へ出ると、苛烈とも言える陽光に目を細める。

地球の季節は、既に夏になろうとしていた。

 

「一応、エスメラルダへ惑星閉鎖の一報を入れておいてくれ」

『リョウカイ』

 

かつての東京の中心部、ビルの廃墟が広がる中で唯一スペースが空いていた所へと建物を建造、アーク号から諸々の設備を移動して居住スペースを兼ねた研究所を稼働した。

本当ならバカンスで過ごした沖縄にそのまま定住したかったが、東京にはこの地球のあらゆるデータが残されていた事もあり、仕方なくここを拠点にする事としたのだ。

ちなみに、研究所を東京のどこに建てたのかというと「千鳥ヶ淵」「桜田門」と言えば大体分かるだろうか?

 

まあ、それは置いておこう。

 

俺は研究所の中枢部へと向かうと、設置されているコンソールを起動させる。

そこに表示された情報を確認した後に、アナライザーへと通信を繋いだ。

 

「エスメラルダへのメッセージは送ったか?」

『送信カンリョウ』

「よし、空間遮蔽装置起動!」

 

コンソールを操作し、俺はエンターキーを押した。

そうするとあっという間に、空の色が変わり始める。

それまで苛烈とも言えるほどに差し込んでいた太陽の光は弱くなり、青い空は徐々に明るい薄鈍(うすにび)色へと染まっていく。

 

『空間遮蔽装置、安定的に稼働してイマス』

 

やがて、見渡す限りの空の色が変化した頃、アナライザーから一報が届く。

これでようやく一息つける。

 

「俺は手助け出来ないが、後は頑張ってくれよ、ウルトラマンゼロ」

 

まだ来ぬ若き最強戦士へと祈りを捧げ、俺は休息を取る為に居住スペースへと向かって行った。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

「ニュークシアですか?」

 

このままならアルデラへの侵攻が決まるだろうと思われた矢先に、突如として主君であるベリアルから問われた質問に対してダークゴーネは困惑した。

確かに、ニュークシアにもエメラル鉱石は有るらしいが、つい最近まで鎖国をしていたような情報の乏しい星に攻め込むのはリスクが高い。

それにエスメラルダからの距離を考えても、絶対的にアルデラの方が優れているだろう。

 

「ああ、知ってる情報なら何でもいい」

「そうですね……」

 

ダークゴーネは思案した後、ニュークシアに関する知りえる限りの情報を言葉にする。

 

いわく、惑星そのものをワープさせる程のテクノロジーが有る

いわく、エスメラルダの艦隊を撃退した事がある

いわく、惑星の人口はたったの一人

 

事実なら色々と凄いが、何せニュークシアに関する噂というのは信ぴょう性が薄い。

唯一、確実な情報はエスメラルダからが開示したデータのみだ。

 

「惑星を所有しているのは、パルデス・ヴィータという男だそうです」

「……」

 

ダークゴーネが知る限りの情報を聞いて、ベリアルは黙り込む。

傍目から見ると考え込んでいるように見えるものの、その脳裏ではベリアルに取り付いたレイブラッドが、堪えきれないとでも言うかのように低く不気味な笑い声を漏らしている。

そんな様子に、ベリアルは心底ウンザリしていた。

 

『フフフッ、懐かしい名だな……』

「知り合いか、貴様の知り合いならロクな奴じゃないんだろうな」

『ああ、貴様の言うとおりだ、故郷の為に我のような者に魂を売ったのだからな』

「ほう」

 

レイブラッドに魂を売った男、自分と重なる境遇に多少なりとも興味が湧いて来たベリアルだったが、今はそんな些末な事よりも大事なことが有る。

 

「気が済んだなら、アルデラ侵攻を開始するぞ」

『まあ待て、アルデラよりもニュークシアの方が利用価値がある』

「はぁ!?」

 

情報も少なく、エスメラルダからも遠い星に何の価値が有るのだろうか?

まさか、そのパルデス・ヴィータという男にそんなに価値が有るのか?

 

「たった一人の野郎に何が出来るんだ?」

『奴の技術には億千金の価値が有る』

「ハッ!!」

 

惑星をワープさせる程度のテクノロジーなら、元居た宇宙にも有る。

下らないと一笑に付したベリアルだったが、次のレイブラッドの一言に目の色を変えた。

 

『パルデス・ヴィータ、奴はバトルナイザーの生みの親だ』

「!?」

 

バトルナイザー、レイブラッドの血を継ぐレイオニクスが怪獣を使役する為に使用する重要な機械だ。

かつて自分の前に立ちふさがったレイオニクスの青年、レイモンもコレを使っていた。

驚きのあまり思考を停止したベリアルに、レイブラッドは更に言葉を続ける。

 

『奴の故郷が危機に瀕した時、我はバトルナイザーの製作と引き換えに、我の権能をくれてやった』

「おい、それはまさか……」

『ああ、そうだ』

 

ニヤリと笑みを浮かべたレイブラッドは、ベリアルにとって決定的な一言を口にした。

 

『奴がギガバトルナイザーの設計者だ』

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

「……」

「カイザーベリアル様?」

 

考え込んだまま動かないベリアルに、恐る恐るダークゴーネが話しかける。

瞳から光を消し、宇宙空間に浮かびながら、まるで石造のように微動だにしないベリアルに、流石に周囲も騒めき始めた。

 

どうするか?、普段はあまり仲の良くないダークゴーネとアイアロンも困ったように顔を見合わせていたが、

 

「っ!!」

 

それからしばらくの時間が過ぎ、ようやくベリアルの瞳に光が灯った。

ビクリと体を跳ねさせたベリアルは、ゆっくりと周囲を囲む部下たちを見渡し、ポツリと「侵攻の準備を始めろ」と口にする。

それを聞いたダークゴーネは、すぐさま部下達にアルデラへ進行するように指示を出そうとしたが、

次のベリアルが発した言葉に行動を止めざるを得なかった。

 

「……ニュークシアだ」

「はい?」

「ニュークシアへと侵攻する!!」

「はっ、はいいっ!!」

 

何故突然、とダークゴーネは疑問に思ったが、ダークゴーネはその疑問を心中に押し込めて部下へと指示を出した。

その様子を見ながら、ベリアルは口元に凶悪な歯をむき出しにして嗤う。

 

「ギガバトルナイザーの設計者か、面白い」




とうとうベリアルに気づかれた主人公、はたしてその運命やいかに!
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