悪の帝国のテクノクラート   作:トラクシオン

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主人公vsベリアル軍

天下分け目の戦い。


第二十話【ニュークシア防衛戦:2】

滅亡に瀕した星。

全てが破壊され燃え盛る街の中、動き回る人影は二種類に分かれていた。

一つはこの状況から逃れようとする者、もう一つは……

 

《パァン!!》

 

破裂音と共に、逃げようと走っていた住民の一人が悲鳴を上げる間も無くその場に倒れる。

 

「お前ら収穫はどうだ?」

 

瓦礫の散らばったかつての大通りを、悠々と歩く一団。

その中で一番先頭を歩く男は着古したブルーのジュストコールを翻し、硝煙を燻らせた自慢の大型拳銃をこれ見よがしに回転させながら、腰のホルスターへと収める。

無精ひげを生やした顔は小汚くも見えるが、その目の奥はギラギラと怪しく光っており、見る人が見れば只者ではないという事が分かるだろう。

 

「キャプテン、こーんなに収穫が有ったぜ」

 

ブルーのジュストコールの男……キャプテンの声に、周囲を漁っていた部下たちが得意げに袋の中身を見せる。

その中には夫人が身に着けていただろう大粒の宝石や、宇宙共通通貨などが無造作に詰め込まれていた。

 

袋の中を一瞥したキャプテンは、満足そうにニヤリと笑みを浮かべると踵を返す。

そろそろ次の()()へと向かう時間だ。

 

「船に戻るぞ、ベリアル様が次の星へと向かうようだ」

「アイアイサー、キャプテン!!」

 

キャプテンが指示を出せば、周囲の瓦礫を漁っていた男達も我先にとキャプテンの背中へと続く。

 

彼らは宇宙を股にかける宇宙海賊『青光(せいこう)の団』

様々な星でお尋ね者になった奴や、表の世界では生きていけないゴロツキが集まったロクデナシ共。

ある時は物資を運ぶ宇宙船を襲い、ある時は古代遺跡のお宝を盗掘する。

儲ける為には自分の手を血で汚す事すら躊躇わない。

 

元々は独立した宇宙海賊だったのだが、ある時、彼らの悪行を聞き付けた『炎の海賊団』に戦いを挑まれ、全面抗争となってしまう。

結果は敗北、青光の団は艦隊の実に9割を喪失し、一気に弱小海賊へとなり下がってしまった。

 

炎の海賊団は精強にして堅固、その上、用心棒として炎の巨人『グレンファイヤー』を引き連れている。

最初から勝ち目は無かったのだ。

 

戦いからどうにか落ち延びた彼らは再起の時を図ってはいたものの、一度傾いた看板を立て直す事は容易ではない。

生き残っただけの負け犬たちに与する者など、どこにも居なかったのである。

 

辛酸を舐める日々、もうダメなのかと諦めの感情すら浮かんだ彼らに転機が訪れたのは、屈辱的な敗北から半年が経った時だ。

 

ウルトラマンベリアルという存在に出会ったのは。

 

圧倒的な力、圧倒的な闇、圧倒的な悪。

正に悪の帝王を体現したかの如く圧倒的な力で敵を蹂躙していくその姿に、キャプテンは確信した。

「このお方に付いて行けば、きっと全てを手に入れる事が出来る」と。

 

そして、彼らはベリアルへと(こうべ)を垂れたのだった。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

「何故だ、何故なんだ!?」

 

青光の団を率いる旗艦である『海賊船エレガンス号』

その艦橋は混乱の只中にある。

 

「一体どこから攻撃をされている!?」

「分かりません、何も無い所から攻撃が飛んで来るとしか……」

 

苛立ちを隠せずに「クソッ」とキャプテンが悪態を吐く。

主君と仰ぐベリアルの命令で、ニュークシアへと侵攻した彼らを待っていたのは地獄だった。

 

ベリアルの力でニュークシアの不可思議なフィールドを取り去ったと思ったら、突然襲って来た巨大な火柱。

避けようにも軌道が分からず、成すすべが無い。

今エレガンス号が攻撃されていないのは、あくまでも偶然の産物に過ぎなかった。

 

「ベリアル様は?」

「紙一重で避けています、ただ、あれは一瞬のタイムラグを見極めているだけかと……」

 

艦橋から外を窺えば、ベリアルは器用に炎の柱から避けていた。

だが、それはベリアルの反射神経と、身軽に避けられる機動力が有ればこそだ。

ダークゴーネとアイアロンも同様に避けてはいるが、自分たちが乗っている海賊船ではそこまでの機動力は出せない。

 

「早く解析しろ、じゃないと全員あの世行きだ!!」

「了解!!」

「その間はベリアル様の動きを見て続け、この際ある程度の船の損傷は構わん、生存第一だ!!」

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

『断続的にメダルーサ級戦艦の火焔直撃砲にヨル射撃を行っておりマスが、ベリアル撃破には至ってイマせん』

「瞬間物質移送機を稼働、ミサイルを敵艦隊へと直接転送しろ、火焔直撃砲も絶やすな」

『リョウカイ』

 

流石にコレだけでは決め手に欠けるか。

そう考え俺は手を打つが、流石にベリアルを討ち取るには至らない。

 

こうして話している間にも、ベリアルは着々とニュークシアへと近づいて来る。

仕方なく、俺は次の手を打つ事にした。

 

「現時点で完成している戦艦を全部投入しろ、沈められても構わん、それと……」

 

俺は躊躇いながらも、最悪の事態に備える為に指示を出した。

 

()()()()の発射準備を」

『アノ兵器は試作品です、危険デハ?』

「それだけの危険を冒さないといけない程、奴は危険なんだ」

 

コンソールを操作し、例の兵器の安全装置を解除していく。

 

「プロトタイプ波動砲、目標軌道まで移動」

 

そして最後のコマンドを打ち込み、エンターキーを押した。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

ニュークシア外縁軌道、普段は人工衛星以外何も無い場所に多数の影が集まる。

それらは鋼鉄で出来た宇宙戦艦たち、AIにより自動で動く艦は、一糸乱れぬ動きで戦闘隊形を組む。

 

パルデスが前世の知識を持って作った戦艦は、この世界に無い宇宙戦艦ヤマト世界の戦艦だ。

地球連邦軍の金剛型に磯風型、ガミラス軍のケルカピア級にハイゼラード級、ガトランティス軍のカラクルム級にメダルーサ級、デザリアムのプレアデス改級。

試験的に建造した物なので数は無いが、どれも強力な戦艦であり、アケーリアス文明とクシアの技術が注ぎ込まれた事で原作とは比較にならないスペックを誇る。

 

はたして、これでニュークシアを守る事は出来るのだろうか?

その結果は神のみぞ知る。




今年最後の更新です。
良いお年を。
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