悪の帝国のテクノクラート   作:トラクシオン

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遅くなってしまいましたが、明けましておめでとうございます。
年末年始は忙しく、中々更新が出来ずにすいませんでした。


第二十一話【ニュークシア防衛戦:3】

「フンッ!!」

 

中空に次々と現れる炎の柱を、ベリアルは紙一重のタイミングで避けていく。

途中から時々飛んで来るようになったミサイルは手先から放つ光弾で排除しつつ、ニュークシアへと徐々に距離を詰めていった。

 

背後を見れば、まともに付いて来ているのはダークゴーネとアイアロンぐらいで、

その他の戦艦は辛うじて付いて来る者も居れば、完全に停止して動けなくなっている者、そしてなす術なく炎に飲み込まれたりミサイルによって攻撃されたりで宇宙の藻屑と化す者など様々だ。

 

だが、ベリアルはその光景を見ても助けようなどとは微塵も思わなかった。

 

この残酷な世界では力が全てだ。

ココで脱落するような者など、自分の軍団には必要無い。

 

「コレで終わりか?」

 

距離を詰めていくと、やがて炎の柱は飛んで来なくなった。

どうやら転送装置の下限へと来たようだ。

ベリアルは敵の動向から、この兵器は転送装置の類を使用してエネルギー弾等を飛ばしていると見当が付いていた。

「それなら、転送させる距離にもある程度限界は有るだろう」とは考えていたが、どうやら当たっていたようだ。

 

転送装置の下限へと達したベリアルに対しては転送系の兵器は使えなくなったようだが、ニュークシア側もタダで通す訳が無い。

集結し始めている艦隊を見て、ベリアルは口元に不敵な笑みを浮かべた。

 

「予想以上に骨が有りそうだな」

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

『ベリアルが火焔直撃砲の発射下限を超えマシた』

「すぐに艦砲射撃を行え、何人たりとも大気圏を通すな」

 

俺はモニターに表示される情報を確認しつつ、アナライザーに指示を出す。

最近はAIの学習もかなり進み、ザックリと指示を出すだけでも細かく調整して実行してくれる。

なのでしばらくはアナライザーに任せ、俺は小休憩を取る事にした。

 

「ふぅ……」

 

ロボットが淹れたダージリンティーを片手にボンヤリとモニターを眺めていると、「何故こんな事になってしまったのか?」という感情が心中に湧き上がって来る。

そもそも、俺はただ静かに、穏やかに過ごしたかっただけなのに……

 

そもそもどうしてベリアルはニュークシアを狙った?

外交関係もごく一部に絞ったから情報も少ししか出ていないはずだし、そもそもこの星を攻めるぐらいなら近隣の惑星アルデラを攻めた方がリターンも大きいはず。

何故、ベリアルはニュークシアに……

 

ふと、何かが引っかかった。

俺とベリアル、この二つの存在に繋がるモノ。

 

「まさか」

 

アイツか?アイツのせいなのか?

いや、もうそれしか考えられない。

 

俺がその考えへ至るとほぼ同時に、アナライザーからの報告が入った。

 

『ベリアルが我が方の艦隊ト接触、現在戦闘中デス』

「そうか」

 

アナライザーの声に、ハッと我に返った。

そうだ、今はこの状況を何とかしないといけない。

 

おそらく、我が艦隊をもってしてもベリアルを足止めできるかどうかという所だ。

火焔直撃砲の転送範囲を超えた以上、そろそろ最終手段に移らなければならない。

 

「波動砲を発射する、艦砲射撃でベリアルを一定の空間に足止めしろ」

 

波動砲、言わずと知れた宇宙戦艦ヤマトの最終兵器。

その威力は途方も無く、ガミラスが木星に運んで来たオーストラリア大陸と同等の大きさを誇る浮遊大陸を一発で消し飛ばし、なおかつ木星そのものにもダメージを与えたほどの禁断の兵器だ。

そしてかつてのイスカンダルが帝国時代にこの兵器を使用してマゼラン銀河を征服していた事が明かされている。

 

あらゆるSF作品の中で様々な惑星破壊兵器が有るが、これほど小型で量産性が高い兵器はまず無い。

俺は多少のためらいを覚えながらも、ベリアル討伐のために波動砲発射の決断を下した。

 

『衛星軌道上の砲台ニ指令信号ヲ伝達、波動砲、発射準備』

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

巨大な火柱とミサイルの弾幕を避けながら、数隻の戦艦が宇宙を駆ける。

死と隣り合わせの状況の中で、船内では修羅場が繰り広げられていた。

 

目まぐるしく行われる操舵、射撃を繰り返す砲手、艦体の損傷へのダメージコントロールなど。

終わりの無い地獄が繰り返されるかと思ったところで、ようやくエレガンス号は弾幕から抜け出す事が出来た。

 

「どうやら、あの兵器はある程度の距離を詰められると打てないみたいだな」

 

後方では変わらず火柱とミサイルによる攻撃が続いているのに、ココは静かだ。

その後ろからチラホラと抜け出して来る艦が見えたものの、損傷が深い艦も多い。

 

「我が艦の損傷は?」

「左舷後方の第一装甲板が破損、上部機関砲二門が半壊」

「ふむ……」

 

エレガンス号の損傷度合いははまだ軽微な方だ。

そう考え、キャプテンはホッと胸を撫で下ろした。

 

だが、息つく暇は無い。

ニュークシアの方向を見れば何度も爆発と思しき閃光が迸っている。

 

「まだ勝つには早いってか?」

 

その中から近づいてくる戦艦を見て、キャプテンは引きつった笑みを浮かべた。

黒を基調とした平たく横広な艦体、そびえ立つ巨大な艦橋、艦上部に装備された巨大な砲がこちらに狙いを向けている。

 

「対艦戦闘用意!!」

 

キャプテンの指示に、再び艦橋が喧噪に包まれる。

「早くベリアル様に追いつかなければ」という焦りがキャプテンを動かす。

 

そして、エレガンス号の砲塔が黒い巨艦……『グレート・プレアデス』へと向けられた。




EXPO楽しかったです。
千秋楽の日に、偶然にも細貝さんを見かけたのはゴクジョーの思い出。
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