悪の帝国のテクノクラート   作:トラクシオン

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第二十二話【ニュークシア防衛戦:4】

開戦から数時間が経ち、ベリアル軍の戦艦が複数隻、火焔直撃砲と瞬間物質移送機による防衛ラインを超え始める。

ただ、激しい攻撃を潜り抜けて来た事も有り、その艦体には大小様々な損傷が見られた。

 

それでも彼らに「逃走」という選択肢は無い。

ここに居るのは出自は様々だが、全員がベリアルに忠誠を誓った者だ。

いくつもの星を襲い非道な行為を繰り返して来た彼らを受け入れる者は居ない、既に退路は無いのである。

 

そんな彼らを迎えるのは、ニュークシアが誇る強力な戦力。

 

ビーム砲を発射するベリアル軍の艦隊に対して、ニュークシアの艦達は臆する事無く堂々と進行する。

最新鋭の設備を誇るニュークシア側の艦は、分厚い装甲や対ビームコーティング、それにシールドを備えた艦も有り、従来のビーム砲ではまるで歯が立たない。

 

前線へと切り込むのは速度と機動性に秀でた磯風型とケルカピア級の二種。

敵艦隊をかく乱しながら、陽電子砲や魚雷で敵艦を相手取る。

陽電子砲の火力はかなりの物で、二発三発も当たれば艦は爆散するほどの威力だ。

空間魚雷の威力も申し分ない物で、直撃を食らえば一溜りもない。

 

さらにその後方では、大火力を誇るメダルーサ級、金剛型、プレアデス改級が援護を行う。

メダルーサ級は距離の問題から、決戦兵器である火焔直撃砲の使用は不可となったものの、艦首に搭載された五門もの大砲塔による攻撃力は破格。

さらに磯風型よりも強化されている金剛型の陽電子砲や、プレアデス改級の重核子砲の威力も途方も無く、まともに当たれば木っ端微塵だ。

 

それらの強力な艦に追い立てられたベリアル軍の艦隊は、やがて一か所へと集まっていく。

だが、これはベリアル軍側が連携した訳ではない。

全てはニュークシア側の作戦の一環だ。

 

今まで後方に待機していたカラクルム級がとうとう前へと姿を現す。

その様子を見て何かを察したのか、数隻の戦艦が逃げ出そうとしたが、遅かった。

 

次の瞬間、ベリアル軍の艦を無数のビームが襲う。

 

雷撃旋回砲、カラクルム級戦艦が搭載する決戦兵器。

それは艦首部分へ円状に展開した雷撃ビットから、無数のビームをシャワー状に拡散放射する兵器だ。

切れ間無い高密度の弾幕が、辺り一面の広い範囲に向けて絶え間なく降り注ぐ。

その圧倒的な制圧能力を前に、容赦無く沈められていく艦達。

 

それでも運良く生き残った艦達が一生懸命に反抗するも、最早ベリアル軍の艦隊は壊滅寸前だった。

 

先を行くベリアル、ダークゴーネ、アイアロンを除けば、だが。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

「ブルァァァッ!!」

 

強力なビーム砲をその身に受けながら、アイアロンが全速力で戦艦へと突き進む。

斜めに体を逸らす事で傾斜装甲の要領でエネルギーを分散しつつ、そのまま突っ込んだ。

そしてぶつかると同時に、至近距離からのアイアロンソニックで敵艦を破壊していく。

 

「フッ、ハァッ!!」

 

他方ではビーム砲を巧みにかわしながら、ダークゴーネが戦艦へと攻撃を仕掛ける。

特殊合金をも切り裂くゴーネブレードを駆使してシールドを破り、動力部をピンポイントで狙って分厚い装甲へとその刃を突き立てる。

動力部を貫かれた艦はそのまま沈黙する物も有れば、爆散する物も居る。

 

そしてそこから少し離れた場所で、ウルトラマンベリアルは自らを囲む戦艦群と戦いを繰り広げていた。

 

その巨体からは考えられないようなスピードで飛び回り、攻撃を繰り出す。

パンチ一発で戦艦の装甲をぶち抜き、蹴りの一発で行動不能な程に破壊してしまう。

徐に後ろへと振り返り、背後から迫って来る戦艦に対して手を翳せば、強力なウルトラ念力が発動して戦艦同士が衝突する。

そのまま団子のようになった戦艦に対してベリアルはニヤリと笑い、腕をクロスさせた。

 

「デスシウム光線!!」

 

クロスさせた腕から赤黒い稲妻のような光線が迸り、戦艦群を貫いた。

 

『ケルカピア級15号・20号、磯風型3号・7号・11号、撃沈シマシタ』

「知っていたとはいえ、これ程とは……」

 

アナライザーが読み上げる損害状況を聞きつつ、目の前のモニターに表示された光景を眺める。

 

ベリアルの強さというのは本当に底知れない。

あまりにもあっけないやられ方にニュークシアの戦艦が弱く見えてしまうが、これでもこの宇宙で最強クラスの戦艦群だ。

 

『プロトタイプ波動砲、目標軌道に到達、コレより発射シークエンスに入りマス』

 

だが、それでも十分な時間を稼いでくれた。

ニュークシアの衛星軌道上に配置したプロトタイプ波動砲。

隕石の迎撃用と趣味の研究を兼ねて設置した物だが、まさかこんな形で役に立つとは……

 

『波動砲への回路ヲ開きます、全非常弁閉鎖、強制注入器作動』

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

ニュークシア付近の小惑星帯。

そこに紛れるように隠れながら、ジャンバードは戦況を逐一記録する。

 

「ベリアル軍がこれ程の戦力を揃えているとはな」

 

カイザーベリアルを首魁とした新興の無法集団が星を荒らし回っている事は認知していたが、まさかここまで戦力が膨れ上がっていたとは。

これだけの戦力なら、普通の惑星程度なら難無く制圧出来てしまうだろう。

 

特にカイザーベリアル本人は破格の強さだ。

本来の姿(ジャンボット)へと変形したとしても勝てるかどうかは微妙なところである。

 

「それにしても、まさかニュークシア側がここまでの戦力を持っていたとはな」

 

だが、それに対抗するニュークシア側の戦力も凄まじいものがある。

複数隻の戦艦は、どれもが強力な装甲やシールドを備えており、小型艦に至るまで高火力の砲を備えている。

ベリアルに対抗出来ているかどうかは微妙ではあるものの、その他の戦艦に対してはほぼ無双状態だ。

 

そう考えながら、目の前の戦況を分析して記録していた時だった。

 

「何だ!?」

 

突如としてセンサーに観測された高エネルギー反応。

どうやらニュークシアの軌道上からその反応は発せられているらしく、ジャンバードは戦況の観察を一旦中断して軌道上へと視線を移した。

 

「あれは?」

 

ジャンバードに内蔵された偵察用カメラが映したのは、軌道上に設置された衛星であった。

その衛星は、どうやら攻撃用の軍事衛星らしく、先端に設置された砲門らしき部分にエネルギーが収束していくのが見える。

 

しかし、そのエネルギー量が尋常ではない。

見る見るうちに、そのエネルギー量はエメラル鉱石数万トン分にまで達し、すぐにセンサーの観測上限へと達した。

 

「エネルギー量、計測不能……」

 

目の前の光景に、ジャンバードは戦慄する。

あの兵器が炸裂した場合、どのような事態になるのだろうか?

 

ジャンバードの懸念を他所に、また戦況は動き出そうとしていた。

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