悪の帝国のテクノクラート   作:トラクシオン

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いよいよニュークシア防衛戦も終盤に差し掛かって参りました。
はたして、波動砲でベリアルを討つ事が出来るのか?


第二十三話【ニュークシア防衛戦:5】

「ウォラァッ!!」

 

ベリアルは自分を取り囲む戦艦達へと光弾を続けざまに放ち、釣瓶撃ちのごとく破壊しながらニュークシアへと接近していく。

圧倒的な力を持つベリアルに、この宇宙で敵う者は居ない。

 

そんな自他ともに認める程の力を持つベリアルの目の前に、数隻の戦艦が立ちはだかった。

 

「ほう」

 

色はまるで宇宙の闇のような漆黒、扁平な艦体に天を衝く巨大艦橋。そう、プレアデス改級だ。

 

新たなる刺客に、ベリアルはその裂けたような口の口角を釣り上げた。

この程度の敵など造作も無い、とベリアルは無言で腕をクロスし、デスシウム光線を放った。

 

だが……

 

「!?」

 

デスシウム光線がプレアデス改級に当たった瞬間、まるで艦体の表面に波紋のように光が広がり、そして収束していく。

光の波紋が無くなった時そこに有ったのは、傷一つ無く悠々とこちらに砲門を向けるプレアデス改級の姿だった。

そして、極太の重核子砲が悪しき者の命を摘み取らんと発射される。

 

「面白ぇ!!」

 

重核子砲を避けて懐に入り、鋭い爪で艦体を切り裂こうとするが、また表面に例の波紋が現れ一向にダメージが入らない。

ベリアルは繰り返し攻撃を繰り出しながら、思考を巡らせていく。

敵の戦艦に打ち消されるように消されていく攻撃達、それが意味するところは一つ。

 

「位相変換技術か……」

 

敵の攻撃を波として捉え、逆位相のエネルギー波で打ち消す技術。

M78ワールドでは高等技術の一つとされており、実用化した星は少ない。

ちなみに、ストルム星という惑星に住む民は生まれながらにして位相変換を可能にする生体器官を持っており、闇の手の者から狙われているという話も聞く。

 

「この技術、俺様の野望を叶えるのに役立ちそうだ」

 

装甲の硬さに手をこまねくも、ベリアルはその笑みを崩さなかった。

 

「コイツでどうだ?」

 

笑みを崩さないままに、懐からある物を取り出す。

それはベリアルの巨大なカギ爪が付いた手をはみ出してしまう程に大ぶりなエメラル鉱石の結晶だった。

高純度のソレを口に持って来ると、迷う事無く噛み砕き、咀嚼して飲み込む。

 

「位相を反転するなら、反転出来ないぐらいの高エネルギーをぶつけりゃ良い」

 

臓腑に達した途端、体中を(ほとばし)るエネルギーにベリアルは咆哮を上げる。

そして、再び腕をクロスして、デスシウム光線の要領でエネルギーを収束していくが、そのエネルギー量は先ほどの比ではない。

限界までエネルギーをチャージした後に、その吊り上がった双眸で目の前の敵を見据えた。

 

「ヘル・デスシウム光線!!」

 

その瞬間、蓄えられたエネルギーが、極太の闇の閃光となって敵へと解き放たれた。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

目の前のコンソールが真ん中で二つに割れ、下からガングリップタイプの発射トリガーがせり出して来る。

この辺は、ほぼヤマトの発射機構を真似した物だ。唯一違う所と言えば、生体認証機能が付いている事ぐらいだろうか。

 

《バイオコードスキャン、生体認証完了、安全装置解除します》

 

俺が発射トリガーを握った瞬間、電子音声と共に画面上に[UNLOCK]と表示された。

後は照準を定めるだけだ。

 

「ターゲットスコープ、オープン」

 

口頭で指示を出すとともに、発射トリガーの前方に透明なスクリーンが展開された。

そこにはターゲットの距離、角度、想定される誤差などの情報が表示されている。

 

『薬室内タキオン粒子充填』

 

ディスプレイに表示されたエネルギーゲージが徐々に上がっていく。

 

10…25…50…75…100…

 

そして、エネルギーゲージの目盛が頂点に達する。

 

『エネルギー充填、120パーセント』

 

アナライザーの報告を聞きながら、俺はターゲットスコープに表示された情報を基に、射角を修正していく。

波動砲は強力な兵器だ、誤射すれば大変な事になる。

冷汗が伝うのを感じながら、慎重にダイヤルを回していく。

 

「照準、誤差修正+4度、照準固定」

 

最後の誤差修正を行い、ターゲットスコープの中央にベリアルの姿が映る。

今現在、ニュークシアで最も装甲の厚いプレアデス改級によって抑え込んでいるが、長くはもたないだろう。

おそらくこれが、ベリアルを討つ最初で最後のチャンスだ。

 

『発射10秒前、9、8、7、6……』

 

緊張のあまり汗で手が滑りそうになる中、俺はアナライザーのカウントダウンを聞きながら、ジッと前を見据えてターゲットスコープ内のベリアルを見つめる。

プレアデス改級をもってしても、暴れ回るベリアルを抑えるのが精いっぱいだ。

極太のデスシウム光線が、徐々にプレアデス改級の装甲を焼いていく。

 

『5、4、3……』

 

発射トリガーに指をかけた。

とうとうプレアデス改級の装甲を、デスシウム光線が貫いた。

一隻が爆発炎上した穴を、他の戦艦が埋めていく。

 

『2、1、0』

 

カウントダウンが0を指し、俺は発射トリガーを引く……

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

「ハッ、この程度か?」

 

プレアデス改級の一隻を破壊したベリアルは、余裕そうにゴキリと首の骨を鳴らす。

周囲を同型の戦艦数隻に囲まれてはいるものの、この調子ならさほど時間をかけずに殲滅できるだろう。

まだ、こちらにはエメラル鉱石のストックが有り余るほどに有る。

 

「ベリアル様!!」

「ご無事ですか?」

 

そうこうしている内に、アイアロンとダークゴーネがベリアルに追いついた。

二人はサッとベリアルの前へと出ると、主君を庇うかのように艦砲の射線上へとその身を置く。

 

「ほォら、どうしたァ?」

「我々の目が黒い内は、ベリアル様には指一本触れさせませんよ」

 

啖呵を切る二人を後ろから見ていたベリアルは、ふと、違和感を覚える。

 

敵は終始、戦略的な行動に徹していたはずだ。

現に先ほどまでは、自分、アイアロン、ダークゴーネは別々の場所に分断されていた。

それが急に、まるで作為を感じるぐらいのレベルで一気にこの場所へと幹部三人が集まった。

 

まさか……

 

「フンッ」

「ベリアル様!?」

 

突如としてベリアルは上方へと飛び上がろうとした、だが、間髪入れずに敵の重核子砲が発射される。

結果、攻撃に押し戻される形で、再び元の位置へと戻された。

 

ここで、ベリアルは敵の真意に気づき、苛立ちのあまり「チッ」と舌打ちをする。

 

「どうやら、敵の罠にハマったみてぇだな」

「罠ですか?」

「敵は俺達を、この位置に押し留めるように攻撃してやがる」

 

ベリアルは目を凝らす。

ちょうど正面に見えるニュークシア、その衛星軌道上で何かが輝いているのが見えた。

おそらく、あれが敵の真打となる兵器なのだろう。

 

「ここを突破するぞ、手伝え」

「了解ィ…」

「仰せのままに」

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