悪の帝国のテクノクラート   作:トラクシオン

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とうとうベリアルを討った主人公。
だが、予想外の出来事が……


第二十五話【ニュークシア防衛戦:7】

『現在、波動砲発射の余波でノイズが発生してオリます』

 

呆然とした俺に、アナライザーの声が鼓膜を叩く。

 

やってしまった、取り返しがつかないことをしてしまった。

仕方がない事だったと自分を納得させようとするが、凄まじい罪悪感に苛まれる。

生まれるはずだったウルトラマンジードという可能性を捨ててまで手にした平和と安寧。

 

「敵艦隊はどうなっている……」

 

凄まじい疲労感に、椅子に座り項垂れながらアナライザーへと喋りかければ、

しばし考えるように頭部を回転させた後、俺が望んだ結果を吐き出してくれた。

 

『ノイズが解消しまシタ、敵艦隊は撤退シテいく模様です』

 

目の前のディスプレイのノイズが消え、そこには逃げ惑うベリアル軍の艦隊と、そこに追い打ちをかけるかのように攻撃を仕掛けるニュークシア側の艦の姿が映る。

 

「もう敵は戦意を失っているだろう、追い打ちの必要は無い」

『了解』

 

俺が追い打ちを止めさせれば、ニュークシア側の艦は一斉に攻撃を停止した。

これが好機だと思ったのか、ベリアル軍の戦艦は次々とワープして宙域から消えていく。

 

やがて、宙域のベリアル軍が全て消えた時、俺はようやく胸を撫で下ろす。

こちらからの攻撃のせいで行動不能になったのか、数隻の戦艦が宙域を浮遊しているが、まあ気にかける程の物ではないだろう。

ようやく終わったのだ、俺はこの星を守り切った。

後はウルトラマンゼロが来るのを待つだけ……ん?

 

「あれ?ベリアルを倒したって事は……」

 

確かウルトラマンゼロは、ベリアルが放ったダークロプスの動力であるエメラル鉱石を手掛かりに、こちらのアナザースペースに来たはず。

ベリアル自体が消滅したという事は、つまり……

 

「やっちまったぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

何故こんな簡単な事に気づかなかったのか。

ベリアルを倒してしまったらベリアル銀河帝国は始まらず、ウルトラマンゼロもこちらの宇宙へとやって来ないから俺がM78ワールドへ戻る事も叶わない。

 

それだけではなく、ウルトラマンゼロがウルティメイトイージスを手に入れる事が出来ない為、ゼロが深く関わる作品の世界では破局を迎える世界線が出て来てしまう。

例えば、ウルトラマンサーガのバット星人の暗躍を防げなくなるし、ウルトラマンギンガとビクトリーはエタルガーに対して成す術が無くなってしまうだろう。

 

自分が犯したミスに、俺は頭を抱えてのたうち回る。

どうしよう、マジでどうしよう。

 

思考を巡らせるが、答えは出ない。

こんな事態は予想外だった。

だが、どうにかしなければマジで世界の危機である。

 

本当にどうしよう……

 

『レーダーに感アリ、真っすぐ本星へと向かっテ来ていマス』

「何!?」

 

悩みながらどうしようかと考えていた時、アナライザーが突然の敵襲を知らせて来る。

俺はひとまず先ほどまで考えていた事を脇へと追いやってレーダーを注視、そこには二つの反応を示すシグナルが表示されていた。

 

『どうやら波動砲のノイズが原因で観測が遅レタ模様』

「そんな事は良い、早く迎撃を……」

『間に合いマセん、大気圏ニ突入』

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

小鳥の囀りや虫の鳴き声しか聞こえない、静寂に包まれた都市の廃墟。

その静寂をつんざく様に、天空から降って来た二つの物体が、地面へと激突した。

濛々と立つ土煙の中から、赤く発光する目だけが見える。

 

「ほう、ここがニュークシアですか」

「全くぅ、手こずらせてくれるぜぇ……」

 

土煙が晴れた時、そこに立っていたのは異形の怪獣、ダークゴーネとアイアロンだった。

彼らは砂埃を払い、歩き出そうとするが……

 

「ぐっ!?」

「全く、この程度で痛がるなんて軟弱で…い゛っ!!」

 

呻き声をあげて蹲る二体、その体中には大小無数の傷が刻まれている。

 

やはり、あの波動砲を無事で乗り越える事は不可能だった。

それでも生きているだけで凄い事ではあるのだが、それは「運が良かったから」としか言えない。

パルデスが波動砲の発射を躊躇わず、損傷の無い100%の出力で射撃していれば、彼らはチリ一つ残っていなかっただろう。

 

それともう一つ、彼らが生き残る事が出来た要因が有った。

 

「ベリアル様のバリアをもってしても、ここまでダメージを受けるとは……」

「ハッ、俺の事を軟弱だとどの口で言っているぅ?」

 

ウルトラマンベリアルが発動したバリア、それによって彼らの身は助けられた。

じゃあ今この場に居ないという事は、ベリアルは仲間を守って散っていったのか?

 

いや、そんな事はあり得ない。

 

「間もなく、ベリアル様は敵の本拠地を抑えにかかる筈だ」

「それまでは時間稼ぎ、だろぉ?」

 

おそらくはニュークシア側が寄越したであろう防衛用のロボットを見て、彼らはその身の痛みを我慢しながら構えを取る。

そして、ロボットがこちらにビームを撃つとともに、彼らはそれを避けつつ挑みかかった。




アイアロンの喋り方は、なるべく若本さんに寄せようとしてこんな事になってたりします。
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