悪の帝国のテクノクラート   作:トラクシオン

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『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』を見てきました!!
その劇中で使えそうな設定が有ったので、今後の展開に反映されるかも。


第二十七話【ニュークシア防衛戦:9】

『現在、サルヴァラゴンVer.2が、アイアロン、ダークゴーネと戦闘中』

「諦めの悪い奴らだ……」

 

一つ舌打ちをして俺は画面を睨む。

 

アイアロンとダークゴーネ、ベリアル銀河帝国ではカイザーベリアルの腹心とも言えるキャラクターだった奴らだ。

アイアロンは自らの体に頑強な装甲を持ち、肉弾戦を得意とする武闘派。

ダークゴーネは高い知性を持ち、ベリアル軍の戦略を担う策謀派。

どちらとも侮れない敵である。

 

『現在ハ我が方のサルヴァラゴンVer.2の方ガ有利な模様』

 

だが、俺のサルヴァラゴンVer.2も中々に強力。

最初に作ったサルヴァラゴンをさらにカスタムし、進化したVer.2は、これまでとは比較にならない程に強力な性能となっている。

自律型のAIに、より強力な波動機関、並びに兵装を搭載、モーター出力も大幅に向上している。

 

その上、敵は二体とも波動砲により満身創痍の状態だ。

おそらくはそう時間を掛けずとも勝負はつくだろう。

 

だが、このまま殺すのも忍びない。

 

「奴らに呼びかける、サルヴァラゴンのスピーカーと繋げ」

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

「ぐおぉぉっ!!」

「ぬあぁぁっ!!」

 

叫び声と共にアイアロンは吹き飛ばされ、ダークゴーネは地面に膝をつく。

ニュークシア防衛用の怪獣であるサルヴァラゴンVer.2は、確実に敵へとダメージを与えていた。

 

「この程度、効かぬわぁっ!!」

「舐めてもらっては困ります…よっと!!」

 

再び立ち上がった二体が、サルヴァラゴンVer.2へと襲い掛かる。

 

その様子を見たサルヴァラゴンVer.2のAIが、センサーから収集される情報を瞬時に計算。

敵のこれまでの戦法、筋肉内を走る電気信号、周囲の状況、これらの情報からコンマ一秒以下の時間で弾き出される結果は、まるで未来予測のごとく精密であり、ともすれば神がかり的とも言える。

そしてその情報を基に、瞬時に大出力モーターがサルヴァラゴンVer.2へと動きを与える。

 

「ブルァァッ!!」

 

アイアロンテイルが唸りを上げ迫る中、サルヴァラゴンVer.2は片手に持った戦斧であるサルヴァラゴンベイルで受け止める。

強固な合金で造られたサルヴァラゴンベイルは並大抵の事では傷一つ付かない。

 

「ハァァッ!!」

 

さらにダークゴーネが発射したゴーネビームを、局所的に展開した波動防壁で難無く防御し、逆にサルヴァラゴンシュトラールを放つ。

青白い陽電子のビームが、避けようとしたダークゴーネの脇腹を掠めた。

 

「ぐぁっ!?」

 

その衝撃で、ダークゴーネは横っ飛びに吹き飛ぶ。

追撃をどうにか避けて距離を取ったものの、消耗は激しい。

 

「コイツ…ぬおぉっ!?」

 

ダークゴーネがやられているのを見て、アイアロンはどうにかサルヴァラゴンベイルを突破しようと押し込むが、サルヴァラゴンVer.2の大出力はそれを遥かに上回る。

逆にサルヴァラゴンベイルを押し込まれ、身動きが出来なくなった所へパルスレーザー砲であるサルヴァラゴンゲベールを指先から発射。

威力は低いものの、マシンガンの如く連射されるレーザー砲にアイアロンが怯んだところへ、追い打ちのようにサルヴァラゴンシュトラールが発射される。

その体に分厚い装甲を持つアイアロンではあったが、肩の部分に攻撃を集中され、3発目で融解した装甲を貫いた。

 

「グッ、アァァァァァッ!?」

 

装甲を貫かれ、肉を焼かれる苦痛にアイアロンが断末魔の叫びを上げる。

その大声に紛れるようにして気配を消したダークゴーネが背後から迫るが、センサーによって感知されたその攻撃をサルヴァラゴンVer.2が避けるのは容易い事であった。

 

「ギャアッ!?」

 

振り向きざまにサルヴァラゴンベイルでダークゴーネを薙ぎ払う。

ダークゴーネはどうにか後ろへ飛ぶことで威力を少し下げる事が出来たが、それでも胸部に痛々しく深い傷が出来た。

 

そして敵の足が止まったその時、サルヴァラゴンVer.2は瞬時に持ち前の大出力を活かした跳躍で飛び上がり、重力を制御して空中に留まる。

両手の甲に装着された砲にエネルギーが凝縮され……

 

《ズドドドドドドォォォォン!!》

 

一気にサルヴァラゴンシュトラールで敵二体を地面ごと焼いていく。

収束圧縮型衝撃波砲として換装されたサルヴァラゴンシュトラールは、高威力と高速射性を高い次元で両立させた兵器だ。

瞬く間に地面は抉れ、めくれ上がり、全てが灰燼と化していく。

 

周囲が爆炎と砂埃に包まれ視界はゼロになったが、サルヴァラゴンVer.2にとっては然程問題にはならない。

たとえ光学視界がゼロになっても、その他のセンサーで十分に補えるからだ。

 

着地して両腕のサルヴァラゴンシュトラールを構える。

数十秒後に煙が晴れると、砲口の先はアイアロンとダークゴーネの頭部に向けられていた。

 

「クソォッ!!」

「ここまでですか……」

 

砲口に光が集まり、エネルギーが渦を巻く。

あと数秒もせず発射されれば、エネルギー弾は二体の体を容易く貫くだろう。

そして、十分にエネルギーが充填され、後は発射されるだけという状態になる。

凝縮されたエネルギーは想像を絶するほどの熱を放ち、周囲の風景がユラユラと揺れる。

 

そして……

 

《ピシュウゥゥゥン!!》

 

とうとう、サルヴァラゴンシュトラールが発射された……空へと向かって。

 

「……情けをかけるつもりですか?」

 

忌々し気に目の前の敵を睨むダークゴーネに対して、サルヴァラゴンVer.2は腕を下ろして頭部のカメラアイを満身創痍の二体へと向ける。

 

『ベリアルを葬った以上、もうお前達を始末する理由も無い』

 

ダークゴーネへと向けられた声に、敵意は感じられなかった。

サルヴァラゴンVer.2のスピーカーから発せられる声は、あくまでも穏やかに語り掛ける。

 

『この星から去れ、そうすれば命だけは助けてやろう』

 

降伏を促す声。

無益な殺生はしないという決意。

それを聞いたダークゴーネとアイアロンは、思わず笑いそうになってしまった。

「何て甘い奴だ」と。

 

「愚問ですね」

「俺達はベリアル様に魂を捧げた下僕ぅ、この身を裂かれてもベリアル様に忠誠を誓うわぁ!!」

「あなたと意見が合うとは珍しい、私も同意見ですよ!!」

 

ベリアルへの絶対の忠誠、それを口にしながら二体は立ち上がったが、全身は既にボロボロの上に肩で息をしている状態、体力の限界なのか膝も震えている。

それでもなお、立ち向かって来ようとするその闘志に、サルヴァラゴンVer.2のカメラアイを通して状況を見ていたパルデスは心底呆れ返った。

 

「そんな事をして何になる」と。

 

だが、その決意は自体は嫌いではなかった。

なので一思いに抹殺してやろうと再びサルヴァラゴンシュトラールへとエネルギーを充填する。

 

その時だった、ダークゴーネがニヤリと笑ったのは。

 

「どうやら、時間稼ぎもこれで終わりのようです」

 

次の瞬間、一つの流れ星が空を走った。




本当ならメカニックの解説をしたいけど、気力が尽きたのでここまで。
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