悪の帝国のテクノクラート   作:トラクシオン

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サーガ10周年、実にめでたい。


第二十八話【ニュークシア防衛戦:10】

「どういう事だ?」

 

ダークゴーネの言葉に、俺はしばし考える。

 

何かを仕掛けているのか?だが、ベリアル軍の艦隊は既にほとんどが逃走している。

すでにノイズから回復したレーダーにも、何か特筆すべき反応は無い。

 

ひょっとしてハッタリか?

けれども逃げる素振りも見えない。

 

首をひねって考えていた、その時だった。

 

『警告、隕石がコチラへ向かっテ落下してキテいる模様』

「隕石?画面に出せ」

『了解』

 

アナライザーへと指示を出した瞬間、モニターに藍色に染まった空が映る。

時刻は日本時間にして夕刻、太陽が沈んでしばらく経った時間。

その藍色の空に光の筋を描きながら、数個の隕石が降って来ていた。

 

「タダの隕石か?いや……」

 

一見、タダの隕石に見える。もしくは破壊した敵の船の一部か。

だが、暫くその隕石をジッと見ていた俺はある違和感に気づいた。

 

「あの隕石にズームしろ」

 

モニターに映る隕石、その中で一番小さい物にズームアップする。

その瞬間、俺の背筋に悪寒が走る。

大気圏を通り抜ける際の断熱圧縮による高熱で眩い光を帯びたその中、明度を落とした画像には、確かに人影らしき物が映っていた。

 

「対空戦闘!!」

 

すぐさま、研究所の敷地周辺に設置されたパルスレーザー砲やミサイルを起動させ、迎撃態勢に入る。

今の俺が鏡を見れば、そこには苦虫を噛み潰したように顔を顰めた自分の姿が有るだろう。

“やられた”という一言が脳裏を駆け巡る。

 

ダークゴーネとアイアロンとの戦闘に気を取られている隙に、人間サイズで侵攻して来るとは……

そもそもベリアルの身長は55メートルも有り、索敵はその事を前提にした物だった。

なのでまさかこんな搦手で侵攻して来るとは思わなかったのだ。

 

「戦艦を戻せ!!」

『敵の飛来マデ3分、最寄りの戦艦ガ研究所へと駆け付けるマデ20分、間に合いまセン』

「クソッ、隔壁を閉鎖しろ!!」

 

このニュークシアには対人戦闘の設備がまだ出来ていない。

ベリアル軍の到来を予想した設備を優先したため、巨大怪獣や宇宙船に対する設備を先に整えたからだ。

今は大量にロボットを製造し、大幅に自動化が進んだのでマシになったが、それでも俺一人しかマンパワーが無いので優先順位をつける必要が有った。

 

それがまさかこんな事態になるとは。

 

『空中でノ迎撃は失敗、後1分で隕石が落下シマす』

 

モニターに研究所周辺のマップが表示され、その中に赤い点で落下地点が示される。

 

『予想落下地点、東京駅デス』

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

東京と呼ばれた街の中心地に有る巨大ターミナル、東京駅。

かつては日本の中心とも言え、人の絶えない場所であったそこも、無人になって久しい。

ただそれでも、丸の内に立ち並ぶ壮麗な高層ビルが朽ちていく中で、重厚なレンガ造りの建物は威風堂々としたその姿を留めている。

 

そこに、一つの星が降った。

 

《ドォォォォォン……》

 

ソレが落ちた瞬間、発生した衝撃波が周囲へと広がる。

その衝撃で、耐久性が落ちていた高層ビルの一部が崩れ落ち、東京駅の全ての窓や放置されていたバス・タクシーが吹き飛んだ。

 

「ここがニュークシアか、随分と寂れた場所だな」

 

丸の内駅前広場に開いたクレーターの中心で人影が立ち上がった。

吹き上がる土煙の中で爛々と光る眼だけが不気味に浮かび上がる。

 

「さて、と、気配を感じるのはあそこか」

 

やがて周囲に立ち並ぶ高層ビルが起こす乱流により土煙が晴れると、そこに立っていた人影はジャンプしてクレーターの中から飛び上がる。

常人にはあり得ない跳躍により一飛びでクレーターの淵に立った人影は、数百メートル先に生い茂る森を睨む。

 

「歓迎の花火はまだまだ終わってなかったようだな」

 

一歩、歩き出そうとしてその人影は立ち止まり、その視線を空に向けた。

そして、自分へ向かって殺到する迎撃用のミサイルを視認し、不敵な笑みを浮かべて空中に手を翳す。

 

それからコンマ一秒も経たず、盛大な爆発音が周囲に響き渡った。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

『現在、ミサイル攻撃ヲ実施中、しかし敵へノ効果は無い模様』

「バケモノめ」

 

アナライザーの報告に舌打ちをすると、ブラスター銃を握る。

ミサイル攻撃も効かない敵に、こんな物は豆鉄砲同然であるという事は分かっている。

だけどそれでも、無いよりはマシだ。

 

画面の中で一人の人間……おそらくはベリアルであろう男が、東京駅から皇居跡に建設した研究所へと迫る。

 

「おそらく」と言ったが、ほぼ間違い無くベリアルで間違いないだろう。

腕を十字にして光線を撃てるような生命体が、ウルトラ族以外に居てたまるか。

 

『ベリアル、桔梗門に到達』

「ミサイル攻撃を中止、この近さでは爆発で研究所へも被害が及ぶ」

『了解』

「時間が無いな……」

 

人間の形態でデスシウム光線が使えるとなれば、隔壁を破られるのも時間の問題だ。

 

腹をくくるしかないか。

 

俺は震える手で、ブラスター銃のホルスターを装着した。




【オリ怪獣解説】

名称:サルヴァラゴンVer.2
別名:レネゲードジャッジメンター
身長:65メートル
体重:6万7千トン
出身地:惑星ニュークシア

『概要』
主人公がサルヴァラゴンにさらなる改造を加えて誕生したロボット怪獣。
見た目は「ギャラクトロンMK2」に近い物となっているが、ボディーカラーはサルヴァラゴンへの改造当時と変わらないモスグリーン、金色の仮面の代わりに漆黒の仮面が装着されている。

より進化したAIを搭載しており、敵の行動パターンや高性能センサーで、より高精度に敵の行動予測が可能。
また、主動力機の次元波動機関も改良型を搭載しており、モーターの高出力化や武装の高火力化に貢献している。

サルヴァラゴン時代に装着していたギャラクトロンシャフトやギャラクトロンブレードは廃されたが、その代わりにサルヴァラゴンベイルを装備。
超高硬度アロイ合金により優れた強度を誇るそれは、攻撃から身を守る盾にもなる。

内蔵武装は手の甲に装着された製作されたサルヴァラゴンシュトラール(収束圧縮型衝撃波砲)と、指先に装着されたサルヴァラゴンゲベール(パルスレーザー砲)。
前者は高い破壊力を誇り、後者は高い連射性能で濃密な弾幕を張る事が可能。

防御面もミゴヴェザーコーティングはそのままに、波動防壁発生装置が搭載された事で大幅に改善している。
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