上映中にガチ泣きし、終わった後は呆然となっていましたね。
《ガァンッ!!》
「うぉっ!!何事だ!?」
ブリガンテ3隻が艦首超大型固定砲を発射した直後、突如として艦体を揺らす衝撃に俺は多少混乱しながらも状況確認を行う。
敵のビーム砲は何度か喰らったが、全て位相変換装甲で無効化してきた筈だ。
それなのにこの衝撃……まさかここに来て敵の新兵器か?
『状況ヲ確認、艦体下部に敵が攻撃を加えている模様』
メインモニターに艦体下部の様子が映し出される。
「グレンファイヤー!?」
そこに映し出されたのは全身から炎を噴出しながら艦体に接触するグレンファイヤーの姿だった。
レギオノイド達は何をしているのか?と思ったが、どうやら奴の炎があまりにも高温の為に近づけないようだ。
モニターに映し出される温度は大気圏突入を超え、恒星へ至近距離にまで迫ったレベルになっている。
『このままデハ装甲が持ちまセン、現在の消耗率60パーセント』
「クソッ……」
ここまで位相変換装甲が消耗しているとなると、ブリガンテ級の砲撃で排除しようにもグレート・プレアデスの艦体にまで損傷が入る可能性が有る。
というか、ブリガンテ級は他の海賊船への対応で精いっぱいだ。
この状況を打破するには……
「やむを得んな」
ブリガンテにもレギオノイドにも頼れない以上、この危機を打破する手段は一つ。
本当は
「本艦に搭載された試験機を使用し、グレンファイヤーを引き離す」
『アノ試験機は調整が不十分デス』
「構わない、この状況を打破する為に手段は選べん」
俺は目の前のコンソールを操作し、試験機の起動コードを打ち込む。
粗方の試験を終えてグレート・プレアデスの格納庫に放置されていた物ではあるが、性能的には十分にグレンファイヤーを追い払う事が可能なはず。
セッティングがキチンと施されていない事は不安ではあるものの今は緊急時である。この際細かい事は横に置いておこう。
「
一抹の不安を感じながらも、俺は起動ボタンを押した。
―――――――――――――――
全身から炎のエネルギーを噴出させながら、グレンファイヤーは敵の旗艦へと突撃した。
拳にありったけのエネルギーを込めて突き出し、その分厚い特殊装甲を削って行く。
グレート・プレアデスの位相変換装甲は加わった衝撃に対して逆位相のエネルギーをぶつけて相殺するシステムだ。
その為、断続的にエネルギーをぶつけられるとエネルギー不足を起こしてしまう。
もしもそうなった場合、グレンファイヤーの炎を通常の装甲だけ受け止められるかと言えば微妙な所だろう。
周囲で戦うブリガンテ達は海賊船への対処で動けない。
目の前で仲間がやられて怯むかと思いきや、炎の海賊団はより奮起してベリアル軍へと攻撃を加えて来る。
頑強な装甲で跳ね返そうにも限界が有り、ついには一隻のブリガンテが爆発した。
「ウォォォォォォォッ!!」
あと少し、あと少しで装甲が破れる。
そう思いながら体内の全エネルギーを拳の一点に集中させようとした。
《ヒュインッ!!》
「ガハッ!?」
その時だった、
銀色の何かはグレンファイヤーの腹へと接触し、衝撃と共に戦艦から弾き飛ばす。
「痛ぇ~っ……」
痛みに悶えるグレンファイヤー。
その脇腹に刻み付けられた一条の傷から、体内の炎が血のように流れ出す。
咄嗟に体を捻った事で幸いにも致命傷は免れたが、敵の旗艦からは距離を開けられてしまった。
「待てコラ!!うぉっ!?」
それを追いかけようとしたグレンファイヤーの目の前に立ちふさがる影。
ブロンズとブラックを基調としたカラーリングに所々シルバー色が入った、グレンファイヤーと並ぶサイズのヒューマノイドタイプの巨人。
顔には鋭い一つの真っ赤な眼が輝き、その眼光がグレンファイヤーを睨みつける。
ただならぬ気配にグレンファイヤーは旗艦を追いかける事を一旦中断し、目の前の敵へと正対した。
「テメェ、何者だ?」
「……俺はダークロプスゼロ」
ダークロプスゼロと名乗ったその巨人の周りを、銀色の物体が周回するように飛ぶ。
そして手をスッと前に出した瞬間、銀色の物体は吸い込まれるようにその手に収まる。
両手に握られたソレは、白銀に輝く二枚の刃だった。
「俺に喧嘩を売るたぁ、上等じゃねぇか!!」
その刃を見たグレンファイヤーは、自分に傷を付けた者の正体が目の前のダークロプスゼロだと悟る。
言葉を荒げてファイヤーフラッシュを撃つが、全てがその手の刃によって防がれる。
「主人を害する者は、ここから先に通さない」
「ハッ、テメェに俺が止められるかよ!!」
急接近したグレンファイヤーと、悠然と構えるダークロプスゼロ。
その拳が激しく交差する。
―――――――――――――――
「艦体から引き離せたか……」
グレンファイヤーとダークロプスゼロが戦いを繰り広げているのを見て、俺は一先ずホッと胸を撫で下ろす。
だが、戦況は良くない。
炎の海賊団は十数隻の船を失ってはいるが、こちらもすでにブリガンテを四隻も喪失。
単純な撃破数で言えばこちらに軍配が上がるが、比率で考えれば完全にコチラの完敗である。
敵の消耗率は15パーセント前後に対してコチラの艦隊は40パーセント前後の損失だ。
『ココは撤退シテ態勢を立て直すベキかと』
「そうだな……」
アナライザーの提案に、俺は考える。
確かにこの状況ではもう勝てる見込みは薄いだろう。
まあベリアル様は激怒するだろうが、そこはご機嫌取りでどうにか誤魔化せば良いし。
幸いにもこのタイミングでベリアル様が喜びそうな研究が完成しつつある。
「ブリガンテを盾に撤退する、グレート・プレアデス前進せよ!!」
『了解、ブリガンテ全艦は戦闘ヲ継続、グレート・プレアデスの離脱ルートを形成しマス』
本当なら後退したいところではあるが、ニュークシア本星は炎の海賊団の艦隊の向こう、
必然的にまわり道になってしまう為、もしも敵の別動隊が潜んでいた場合はアウトだ。
危険ではあるものの、ここはブリガンテを盾に前進して炎の海賊団の中を突っ切る。
そして最短距離をワープして本星へと帰還、それで行こう。
そう考えていた時、予想外の事態が起きた。
『警告、ダークロプスゼロ、ディメンションコアを展開、ディメンションストームの発射態勢に入りマシた』
「ハァ!?」
―――――――――――――――
周囲で戦艦同士が砲火を交える中、グレンファイヤーとダークロプスの戦いは続いていた。
ダークロプスゼロがパンチを繰り出せばグレンファイヤーが腕でガードし、
反対にグレンファイヤーが蹴りを繰り出せばダークロプスはヒラリと避ける。
その軽量さからもたらされる素早さと機械ならではの精密な技巧に優れたダークロプスゼロと、
屈強な身体から繰り出される怪力やタフネスに加えて積み重ねられた戦闘経験を誇るグレンファイヤーでは実力は完全に拮抗していた。
周囲を囲む両軍も加勢しようとするも、あまりにも激しい戦いぶりに手を出せない状態だ。
鍔迫り合いを続け、激しい戦いの末に両社は盛大な土埃を上げて周辺の小惑星へと着陸する。
「……タダのブリキの
土埃の中、グレンファイヤーは敵がいるであろう方向を睨む。
小惑星はその重力の低さから舞い上がった土埃は中々おさまらない。
周囲の気配に気を配りつつ、静かに脇を固めて構えを取る。
宇宙空間という漆黒の空間、小惑星は恒星の光を遮り冷酷な闇をもたらす。そんな中ではグレンファイヤーの炎は目立ってしまい不利だ。
油断をせずに警戒しているが、砂埃がほぼ収まった今になっても敵は中々襲って来ない。
「……逃げたか?」
そうグレンファイヤーが言葉を零した時だった。
突然、漆黒の中に閃光が走る。
あまりの眩しさに思わずグレンファイヤーが目にあたる部分を押さえたが、その隙をダークロプスゼロは見逃さなかった。
「虚空の彼方へ消えるがいい」
ダークロプスゼロの胸部が開き、ディメンションコアが露出する。
チャージされていくエネルギーが周囲に重力の嵐を巻き起こし、地殻が削れ舞い上がる。
そして……
「ディメンションストーム、発射」
とうとう出ましたダークロプスゼロ。
実は一応、この展開は原作の「あの番外編」の前日譚として書いております。