悪の帝国のテクノクラート   作:トラクシオン

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話を前に進めたい!!


第三話【せめてもの償い】

パルデス・ヴィータという青年は、勤勉で実直な若者だった。

優しい両親の下、恵まれた家庭で育ち、優れた成績で学業を修め、友にも恵まれた。

そして優れた上司の下、その才能をいかんなく発揮し、研究所の若手ルーキーとして知られていた。

残念ながら、両親は侵略者との戦争に巻き込まれ早逝してしまったものの、その悲しい別れの経験から「より多くの人を救いたい」と立ち直って前向きに生きて来た。

 

だが、その青年はもう居ないのだ。

 

「ごめんな、パルデス君」

 

俺はこの体の持ち主だった青年に、一人謝罪の言葉を呟く。

テラハーキス……ギルバリスによって暴走したロボットに吹き飛ばされたこの青年は、()()()()()()()()()()

正確には頭部に強い衝撃を受けた際、その影響で人格が替わったと言えば良いのか。

あまりにも出鱈目で、正直言って信じられない出来事ではあるが、現に今の俺にはパルデスの記憶自体は残っているものの、今の人格はパルデスとは全くの別物なのである。

 

そしてその記憶の中にはもう一つの人生の記憶も混ざっていた。

惑星アケーリアスで科学者をしていた記憶、おそらくは地球から惑星アケーリアスに転生し、そして今度はこの星の住民として再転生したのだろう。

この『()()()()()』に。

 

「まさか『宇宙戦艦ヤマト』の世界の後に『ウルトラマン』の世界に転生するとは……」

 

唸りながら、膨大な記憶を振り返っていく。

 

アケーリアス、宇宙戦艦ヤマト2199の劇中でその名前が出てきた古代の超文明。

その科学力は魔法と見紛うレベルのもので、数万光年の距離を一瞬で移動出来る亜空間ゲートや、惑星そのものを改造して任意に利用するなど、非常に高度な文明を築いていた。

そして俺はアケーリアスで生きていた時も、今世と同じく科学者として活躍していたらしい。

現に頭の中には、研究者として生きて来た経験や、オーバーテクノロジーとでも言うべき技術や学術の記憶が残っている。

 

ちなみにヤマトの世界で古代アケーリアス文明は『人型知的生命の始祖』として知られており、ザ☆ウルトラマンに登場した惑星U-40のように、全宇宙に人間の種を蒔いた文明でもある。

唯一U-40と違ったのは、広がった種が暴走した時の為の安全装置として『滅びの箱舟(超兵器)』を用意していた事だろうか?

まあ、俺も前世でその計画に関わっていたのだが、それは置いておこう。

 

今の俺の人格は、そのアケーリアス文明の科学者の物でもない。

地球で生きて来た一般市民、どこにでも居る一人のオタクの物だ。

勿論、宇宙戦艦ヤマトやウルトラマンの様々な劇中設定を覚えている以上、ある意味でとんでもない知識持ちであり、だからこそ今の状況の不味さを誰よりも理解出来ていたのだが。

 

「記憶の事に関してはこの際どうでもいい、今はギルバリスの事だ」

 

『劇場版ウルトラマンジード 繋ぐぜ!願い!!』のラスボスであるギルバリス。

全宇宙の平和を実現せよと命令された結果、人間同士の争いだけでなく自然界の食物連鎖をも争いに含め、平和の為には全宇宙の生命体を根絶やしにするしかないという結論を出したポンコツAI。

 

しかし導き出した結論はアレだが、この星の技術の粋を集めたコンピュータなだけに電子戦では無敵に近く、物質のデータ化というチートじみた能力をも持つ。

これまでクシアは敵性宇宙人との数々の戦いを切り抜けてきた事も有って防衛能力は優秀ではあるものの、それでも時間稼ぎ程度にしかならないだろう。

おそらくは近い内に軍事ネットワークもダウンしてしまう事は想像に難くない。

 

結論から言えば、脳内に存在する二人分の研究者の知識をもってしても、残念ながらクシアの滅亡は止めようが無いだろう事は分かっている。

だがそれでも、ギルバリスに対抗する為の方策は既に有る。

 

「微力ではあるが、出来る限りの事はやってみよう」

 

不可抗力とはいえ一人の未来有る青年の人生を奪ってしまった事への贖罪として、せめて「より多くの人を救いたい」という彼の願いだけは叶えてあげたい。

俺はベッドから立ち上がると、その決意を胸に抱いて病室を後にした。

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