原作のファイヤーマンを参考に「ファイヤーフラッシュ」としています。
(グレンファイヤーの「ファイヤーフラッシュ」は本来、ファイヤースティックでの打撃技です)
「させるかよっ!!」
ダークロプスゼロの行動に嫌な予感を感じ取ったグレンファイヤーは、ファイヤーフラッシュを連続で放つ。
重力異常のせいで多くの火球は曲がって行ったが、その中の一発が運良くダークロプスゼロへと直撃した。
「ガッ……ガガッ……」
頭部に火球が直撃したダークロプスゼロは、機械の声帯から不気味なノイズを上げて倒れこむ。
だが、グレンファイヤーの攻撃はダークロプスゼロを止めるには一足遅かった。
ダークロプスゼロが仰向けに倒れこんだ瞬間、白紫の光線、ディメンションストームはあらぬ方向へ向かって放たれる。
渦巻くエネルギーは、周辺で戦闘を繰り広げていた炎の海賊団やベリアル軍を敵味方関係無く巻き込みながら飛んで行き、宇宙空間に時空の穴を開けた。
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『強力ナ重力異常が発生しまシタ』
「姿勢制御ユニット最大稼働!!全速力で現宙域を離脱しろ!!」
ディメンションストームによって時空の穴が開いた事で激しい重力異常が発生し、グレート・プレアデスの艦体が震えるように揺れる。
グレート・プレアデスは艦側面に機動翼として装備された『積層型姿勢制御ユニット』により、他の宇宙戦艦を凌駕する高い機動性や、荒れた宙域でも安定して航行可能な高い安定性を両立している。
その制御能力をもってしても艦体が微振動をしているのだ。窓の外を見てみれば、そこには漆黒の地獄が広がっていた。
密集していた戦艦は接触して破壊され、制御を失った戦艦は四方八方へと回転し、中には時空の穴に吸い込まれてしまう戦艦もいる。
中には攻撃して来る骨の有る敵もいたが、重力異常により射線はブレてしまっていてグレート・プレアデスには当たらない。
『間もナク、ワープ地点へと到達しマス』
「よし、到達次第ワープを……」
《ガァンッ!!》
「なっ!?」
艦体に突如として衝撃が走り、俺は思わず艦長椅子から転げ落ちそうになる。
何事かとモニターを見てみれば、そこにはグレート・プレアデスを猛追するグレンファイヤーの姿が映し出されていた。
普通ならまともに飛べないだろう重力異常の空間で、火球を乱射しながらこちらへと向かって来る鬼気迫るその姿に、思わず「ヒッ!?」と情けない声が喉から漏れる。
早く逃げなければ命は無い、アナザースペースへと来てこんなに恐怖を感じたのは、ベリアルがニュークシアへと襲撃して来た時以来だ。
「まだワープ地点には着かないのか!!」
『到達マデ10秒』
後方へと重核子砲を発射しながら艦は進むが、グレンファイヤーは紙一重で避けながら此方へと接近して来る。
『9』
それもビームが体中に掠って炎の血液が噴出しているのにお構い無しだ。
『8』
グレンファイヤーの火球が、グレート・プレアデスの艦尾へと着弾した。
『7』
メインモニターに位相変換装甲が消失した事が表示される。
『6』
グレート・プレアデスからミサイル、並びに空間魚雷が発射される。
『5』
多くは重力異常によってあらぬ方へと飛んで行ったが、辛うじてグレンファイヤーの傍らへと接近したミサイルが起爆。
『4』
「やったか!!」と思った瞬間、グレンファイヤーが爆風に乗じて此方へと接近。
『3』
グレンファイヤーの拳に巨大な炎が灯る。
『2』
焦った俺は「ワープはまだか!?」と艦橋で叫んだ。
『1』
グレンファイヤーの拳が艦橋へと迫る。
『0』
「うおぉぉぉぉぉっ!?」
艦橋のメインモニターへグレンファイヤーが大写しになった瞬間、俺は恐怖のあまり思わず腕で顔を覆った。
だが、予想したであろう衝撃は待てど暮らせどやって来ない。
『グレート・プレアデス、ワープアウト』
恐る恐る腕を顔からどかしてみると、メインモニターに映し出されていたのは見慣れた恒星、ニュークシアが属する星系の太陽が映っている。
すぐに状況が掴めず俺はしばらく硬直していたが、アナライザーの言葉をようやく飲み込めた瞬間、脱力して床へとへたり込んだ。
「助かった……」
―――――――――――――――
「航行不能になった船の船員は航行可能な船へ移乗!!負傷者はすぐに船医へと報告しろ!!」
艦橋に通信員の声が響く。
先ほどの戦闘で敵艦隊を壊滅させる事に成功した炎の海賊団だが、その代償に多大な損害を受けていた。
100隻もの艦隊の内、軽微な損傷で済んだのはアヴァンギャルド号を含めた10隻程度に過ぎず、
重大な損傷を負いながらも最低限の航行能力を確保できた船が約20隻、完全に航行不能に陥った船が40隻、そして完全に破壊ないし次元の穴へと吸い込まれ行方不明になったのが30隻。
炎の海賊団には複数の艦隊が有り、ここに居る艦だけが全勢力という訳ではない。
だが、旗艦であるアヴァンギャルド号が率いるこの艦隊は炎の海賊団の中でも最精鋭の部隊だ。
つまり、今後もベリアル軍と戦っていく事を考えた場合、この損失はかなり大きい
「面目ねぇ、船長」
そんな旗艦であるアヴァンギャルド号の甲板で、グレンファイヤーは項垂れていた。
グレンファイヤーは炎の海賊団に用心棒として雇われた身、こんな惨状になってしまった以上、自分が用心棒としての仕事を果たせたとはとても思えなかった。
「今回ばかりは相手が悪かった」
「気に病むようなことはねぇ」
「俺達はまだまだ戦えるぜ」
そう言ってガル、グル、ギルの3兄弟は笑うが、内心では自分達も仲間を失った事に嘆いているだろう事は容易に想像がつく。
炎の海賊団に用心棒として雇われた日、最初グレンファイヤーはビジネス上の相手として当たり障り無く接していたが、一緒に過ごす内に自由を愛する気風に心惹かれ、いつしか情が芽生えてしまった。
だからこそ、グレンファイヤーは仕事の失敗だけでなく、自分が守れなかった大切な仲間への罪悪感も一緒に感じている。
だが、このまま止まってはいられない。
このまま立ちすくんで動かない事は、それこそ死んでいった仲間への冒涜になってしまう。
「待ってな、絶対に
一頻り落ち込んだグレンファイヤーは、頭部の炎を激しく舞い上がらせながらその顔を上げた。
その顔に、先ほどの悲壮感は無い。
「ベリアル軍、そして【パルデス・ヴィータ】、その名前は絶対に忘れねぇ」
VSグレンファイヤー編(仮)ひとまずの終わりです。
「ベリアル銀河帝国」へと繋げる為に、グレンファイヤーにゼロへのヘイトを買ってもらいたく書きました。
今後の展開をお楽しみに。