悪の帝国のテクノクラート   作:トラクシオン

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シン・ウルトラマンを見てきました!!
ネタバレになるので何も言えませんが、実に素晴らしい映画ですよ。


第四十一話【それぞれの計画】

「状況はどうなっている!?」

「早急に、軍の偵察部隊を現地へ派遣いたします」

 

目の前で起きた事態に、エスメラルダ王宮は混乱の渦中に有った。

 

ベリアルの配下に下ったパルデス・ヴィータの死刑宣告。

それと共に途切れたチシタリアからの通信。

 

最悪の事態がエメラド王の脳裏を過る。

 

「チシタリアへ全帯域の通信で呼びかけるのだ!!ともすれば通信が繋がるかもしれん」

「直ちに」

 

エメラド王が指示を出し、宰相が部下へと指示を出そうとする。だが……

 

「通信が回復しました!!」

 

意外にもチシタリアへの通信はすぐに繋がる。

無事だったのか、と胸を撫で下ろしながら交信を開始しようとした、が、

 

『御機嫌よう、全宇宙の諸君』

 

通信画面に映ったのはつい先ほど、チシタリアへの死刑宣告を行ったパルデス・ヴィータの姿だった。

先ほどまで騒然としていた玉座の間を沈黙が支配し、一気に緊張感が広がる。

 

そんな中で、画面に映ったパルデスは悠然と語り始めた。

 

『波動砲の発射実験はどうだったかな?反逆を起こした惑星はこの通りだ』

 

画面が切り替わり、漆黒の宇宙空間が映る。

そしてその中央には、粉々に砕け散った小惑星帯が広がっていた。

「まさか……」とエメラド王は、恐ろしい事実へと至る。そしていとも簡単に、パルデスはその考えを肯定した。

 

『可哀想に、哀れな彼らに祈りを捧げてくれたまえ』

「白々しい、この悪魔めがっ!!」

 

閣僚の一人が発した悪態が玉座の間へと響く。

その言葉に周囲に居た閣僚が内心で頷いた時だ。

 

『……悪魔、か。確かに君達から見れば、私は悪魔にも見えるだろうな』

「なっ!?」

 

聞こえているのか?と動揺する閣僚らを見回したパルデス。

すっかり委縮してしまった閣僚だが、ここはエスメラルダ王宮の玉座の間である。

 

エメラド王は玉座から立ち上がり、その年相応に深い皺が刻み込まれた顔に爛々と光るその双眸で、パルデスを睨みつけた。

 

「何があろうと、どんな事があろうと、お前達の行動を許す事は出来ない」

 

そして臆する事無く、エメラド王はパルデスへと語り掛ける。

その瞳に燃える炎は、罪無き民を屠った冷酷な賊への怒りそのものだ。

だが、そんな怒りにも、パルデスが動揺する事は無かった。

 

『そうだろうね、だが、ベリアル銀河帝国は止まる事は無い』

 

その瞬間、パルデスのみを映していた映像がズームアウトした。

パルデスの姿が小さくなると共に、その周囲に居た三人の人影がフレームインする。

 

濃紺の体色に四個の赤い眼が光る【暗黒参謀ダークゴーネ】

黄土色の強固な巨体を誇る【鋼鉄将軍アイアロン】

 

そして……

 

その背後で、漆黒の堂々たる体躯を悠々と玉座に収め、橙色の吊り上がった眼で此方を睨むその存在。

エスメラルダの閣僚達がその姿を見るのは初めてだが、一目で理解した。

 

「奴が、カイザーベリアル……」

 

この宇宙を征服せんと業火を振りまく、銀河帝国の絶対的支配者【銀河皇帝カイザーベリアル】

 

『我々はここに宣言する、この宇宙を収めるのはただ一人、カイザーベリアル皇帝陛下であると!!そしてこの宣言をもって、エスメラルダを筆頭とした各惑星への宣戦布告とする!!』

 

今、更なる戦端が開かれようとしていた。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

通信を切り、俺は一つ溜息を洩らすと手元のコンソールを操作した。

最後のボタンを押した瞬間、空間をノイズが走り、背後に控えていたベリアル、ダークゴーネ、アイアロンの姿が背景と共に掻き消え、アンドロメダ級の艦橋が姿を現す。

 

そう、今までの背景は全てホログラムだ。

今頃ベリアル本人はニュークシアの迎賓館で寛いでいるだろうし、ダークゴーネとアイアロンは辺境の征服や支配地域のパトロールに繰り出している。

 

……まあ、そんな事はどうでも良い。

 

「アナライザー」

『コスモリバース正常稼働、チシタリアの()()採取完了』

「成功したか!!」

 

良かった、一番懸念していた事はどうやら乗り越えられたようだ。

これで希望は繋がった、後は……

 

「しばらくの間、眠っていてくれ、チシタリアの民よ」

 

ベリアルが打倒され平和を取り戻した暁には、彼らは再び自らの足で、自らの故郷の地を踏む事が出来るだろう。

そう、()()()()()()()()()()()()()によって。

 

「フフフッ……」

 

歓喜のあまり抑えられない笑いを零しながら俺は船を反転させ、ニュークシアへと向けて発進した。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

「フフフフッ」

 

とある宇宙の片隅で、奇しくもパルデスと同じく微笑む者がいた。

鮮やかなロイヤルブルーのスーツに身を包み、悠然とボールチェアに腰かける女。

 

「最初はとんだガラクタだと思ったけど、コレはとんでもないお宝だったわ」

 

「そうでしょ、イラテ、ガナエス」と言いながら背後を見れば、同じくロイヤルブルーのスーツに身を包んだ、屈強な体格の二人の男が恭しく首を垂れる。

その様子に満足した女は背後から視線を外し、その長い足を悠然と組みながら正面に鎮座する()()へと視線を移す。

 

「あなたのおかげで、私の計画も順調に進みそうよ」

 

女の視線の先に有るのは、一体の巨大なロボットだった。

壁に埋め込まれ、拘束具を取り付けられたそのロボットは、今は身動き一つせず静かに女を見下ろしている。

 

宇宙空間を漂うこのロボットを見つけられたのは万分の一、いや、億分の一の確率の偶然だ。

だが、その運命的な偶然の産物により、この女の野望は動き出そうとしていた。

 

「ニセウルトラ兄弟の生産も順調に進んでおります」

「もう間も無く、時空移動装置の調整も完了いたします」

 

イラテとガナエスの報告を聞き、更に女の気分は高揚した。

『今こそ、計画を実行に移す時だ』と。

 

「全宇宙は、この偉大なるサロメ星人へロディア様の物となるのよ!!」

 

そう宣言すると女、いや、サロメ星人へロディアは高らかに笑い声を上げるのであった。




書こうか概要だけで済ませようか悩みましたが、やっぱりダークロプス編も書いていこうかなと思います。
主人公にとってはゼロとのファーストコンタクトになりますね。
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