悪の帝国のテクノクラート   作:トラクシオン

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ウルトラマンデッカー、楽しみですね。


第四十五話【予期せぬ出会い】

照明が落とされた戦艦アンドロメダの内部。

中枢区画に設けられた居室の内、最も厳重な装甲に守られた区画にその一室が有る。

 

シンプルながらも上質なマテリアルで装飾されたその部屋は、通常時ではこの艦の主であるパルデス・ヴィータが在室する艦長室として機能しているが、今回は貴客の為の居室として使用されている。

そしてその室内にいる貴客……ウルトラマンベリアルは、暗い室内の壁際に設置されたキングサイズのベッドで、高らかな鼾をかいて寝こけていた。

 

柔らかなベッドは体圧を適切に分散し、いまだに人間の体を借りざるを得ない状態のベリアルを優しく包み込む。

多少の揺れは完全に吸収してしまうので、例えアンドロメダが多少不安定な状態になったとしてもその衝撃が寝台の主に伝わる事はほぼ無い。

その為、次元の穴に飲み込まれ、抜け出すまでの間も、ベリアルは完全に熟睡していた。

 

―――今この時までは。

 

突如として鼾が止まり、ベリアルの目がカッと見開かれる。

そしてそのまま、まるでビデオを逆再生したかのように、ベリアルは仰向けの状態から90度起き上がり、ベッドの上へと直立した。

 

「……この光の気配」

 

ベリアルの戦士として研ぎ澄まされた感覚、いわゆる『第六感』とも言えるようなモノで感じ取った気配。

忘れようも無い、その気配の主はかつて自分の野望を阻止し、屈辱的な敗北を味わわせた張本人。

 

若き最強戦士、ウルトラセブンの息子、その名は……

 

「ウルトラマンゼロォォォォォォォォッ!!」

 

ベリアルの咆哮が響き、室内が闇のエネルギーで満たされる。

凄まじい怒りの念で増幅されたエネルギーは、まるで巨大な嵐の如く瞬く間に室内のありとあらゆる物を破壊し、それでも荒れ狂う。

 

「八つ裂きにしてくれるッ!!」

 

瞬間、アンドロメダを揺るがすほどの衝撃が巻き起こった。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

《ドカァァァン!!》

「ホァァァァッ!?」

 

突如としてアンドロメダを襲った衝撃に、俺は耐える事が出来ずに叫びながら艦長席から転げ落ちた。

 

『第三区画の隔壁破損、閉鎖しマス』

 

俺は床に転がったまま呆然としていたが、アナライザーの声を聞いて我に返る。

 

何が、何が起こった?

攻撃はまだ受けていないはず、現にレーダーにはウルトラマンゼロとニセウルトラ兄弟しか映っていない……いや、いる!!

 

艦の真横に突如として現れた反応、約50メートル級の物体。

こんな物は先ほどまでいなかったはず、まさかステルスか?

 

このアンドロメダにはヤマト世界の技術がふんだんに使用されており、技術レベルで言えばこの世界では数世代先を行くものだ。

まさかそれを破る敵がいたとは……

 

だが、次に起こった出来事に、その考えは間違いだったと悟る。

 

艦橋のガラス越しに見える宇宙の光景に、艦の真横に居たはずの()()がヌッと割り込んで来た。

俺はあまりの驚愕に思わず固まり、ソレを凝視する。

 

筋骨隆々としたヒューマノイド型の巨大な身体、漆黒の体色に血のように赤いラインが走ったその姿。

 

「ベリアル様!?」

 

固まっている俺を他所に、ベリアルは雄叫びを上げながら猛然と前方へ向かって飛んで行った。

その先に有るのは……

 

「ヤバい!!アナライザー、ベリアル様の後を追え!!」

『艦体の損傷にヨリ一部機能がダウン、現在システム再起動中デス』

「ぬぁぁぁぁぁ!!」

 

俺は叫びながら地団太を踏む。

ヤバい、本当にヤバい、このままではウルトラマンゼロとベリアル様が……

 

俺は一刻も早く艦の機能を回復するべく、艦橋を飛び出して通路を走って行った。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

「デリャッ!!」

 

猛スピードで宇宙空間を飛行していたウルトラマンゼロは、突如としてその場で静止する。

 

「ワイドゼロショット!!」

 

そして対応できずに追い越して行くニセウルトラマン達の背中を確認し、L字に組まれた腕からワイドゼロショットを発射!!

 

青光のエネルギーは宇宙空間に直線の軌跡を描きながら飛び、ニセウルトラマンジャックへと命中。

腹部を貫かれたニセジャックは一瞬の痙攣の後に爆散、宇宙の塵と消える。

 

だが、まだ敵は残っている。

 

方向転換し向かって来る敵へ、ゼロはウルトラ念力を使ってゼロスラッガーを飛ばした。

不規則な軌道を描きながら飛んだゼロスラッガーを、ニセウルトラマンエースとニセウルトラマンは易々と避ける。

 

「へへっ」

 

その光景を見てゼロは笑みを浮かべると、指をクンッと折った。

途端、ゼロスラッガーはニセエースとニセウルトラマンの周りをグルグルと回り始めた。

 

危険を察知し脱出しようとするが、もう遅い。

 

「デリャッ!!」

 

ゼロの額から細い緑光が放たれる。

その緑光――――エメリウムスラッシュは、敵の方へ飛んで行くが、まるでさいしょから当てる気が無いとでもいうかのように、敵の横をすり抜けた。

 

だが、それはブラフだ。

 

エメリウムスラッシュは先に飛ばしたゼロスラッガーの一本へと当たり、磨き抜かれた刃に反射して明後日の方へと飛んで行く。

その先には、二本目のゼロスラッガーが待ち構えており、再びその刃に光線が反射する。

そして反射したその先には、初めに光線を反射した一本目のゼロスラッガーが待ち構えている。

 

縦横無尽に飛び回るゼロスラッガーが、まるでテニスのラリーの如くエメリウムスラッシュを繰り返し反射していく。

超高速で反射を繰り返す内、エメリウムスラッシュはまるで弾幕のようにニセエースとニセウルトラマンへ襲い掛かった。

 

「ジュワッ!?」

「ん゛ん゛っ!?」

 

エメリウムスラッシュがニセウルトラマン達を焼く。

人工皮膚が剥がれ、内部の骨格や駆動部が露出し、やがて動けなくなった両者の胸を貫いて爆散させた。

 

「ブリキの玩具程度が俺に勝てる訳無いだろ?おととい来やがれ!!」

 

敵を倒した事を確認したウルトラマンゼロは得意げにそう言うと、再び惑星チェイニーへと向かって飛翔する。

よからぬ企みでニセウルトラ兄弟を作ったであろう奴らを、絶対に倒さなければならない。

 

だが、目的地へと向かおうとしたゼロの行動を、邪魔する者が居た。

 

「ゼロォォォ……」

「なっ!?」

 

聞き覚えのある、いや、聞き間違えようも無いその声。

低く這いずるようなその声に反応したゼロがその場に静止し、背後へと振り返る。

 

そこにいたのは、かつて光の国からプラズマスパークを奪い、一度は壊滅にまで追い込んだ闇。

仲間であるウルトラ戦士達や、勇気ある地球人らと協力してどうにか倒したはずの巨悪。

 

「ベリ…アル…?」

 

光の国の大罪人、ウルトラマンベリアルの姿が、そこにあった。

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