悪の帝国のテクノクラート   作:トラクシオン

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更新が遅れて申し訳ありません。
執筆部屋のエアコンがぶっ壊れてしまい、あまりの暑さに集中して執筆する事が出来ませんでした。

ようやくエアコンが治ったので、執筆再開です。


第四十八話【ペンドラゴン】

「う~ん……」

 

主に輸送任務に使用されるコスモシーガルは、その機体後部に着脱可能なコンテナが装着されている。

コンテナは用途によって様々な種類が存在しており、今パルデスが就寝している機内泊用装備の物も有る。

 

一人で乗り込んだ敵地で就寝するという行動は一見不用心に見えるかもしれないが、

位相変換装甲のおかげでレーダーに探知できないステルス性を有しており、尚且つサロメ星人側はゼロに気を取られてコチラには気づかないだろうと見越した行動だ。

現に、数時間経っても敵からは気づかれていなかった。

 

後一時間もすれば、起床時間となって目覚ましが鳴り、パルデスは優雅な朝のルーティーンをこなして、いよいよベリアル様奪還の為の行動を起こす予定だったのだが……

 

《ドォォォォォンッ!!》

 

突如としてコスモシーガルを襲う衝撃と地響き。

 

「ほわぁっ!?」

 

あまりの振動にパルデスの体はベッドから浮き上がり、そのまま下へと落下した。

床に叩きつけられた衝撃でそのまましばらく痛みに悶えていたが、ハッと顔を上げるとパルデスは武器を手に取った。

 

「敵襲か!?」

 

緊張に息が乱れそうになるのを深呼吸で押さえ、パルデスはハッチのレバーに手を掛ける。

そして慎重に、機体の外へと歩み出た。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

荒れ果てた惑星の地表、そこに走る一筋の線。

その線の先には、かろうじて不時着に成功した一機の宇宙船の姿が有った。

 

「……どうやら、あのミサイルに助けられたようだな」

 

この宇宙船――スペースペンドラゴンを襲った謎の飛行物体。

そして、ペンドラゴンを助けるように飛翔して来たミサイル。

 

この疑問だらけの状況に混乱しそうになりながらも、それをおくびにも出さず冷静に機器を操作し、スロットルを安全位置に戻しながら人心地つく男。

数々の修羅場をその度胸と判断力で乗り越えて来たスペースペンドラゴンのキャプテン――いや、『ボス』であるヒュウガだ。

 

そしてその隣の席でコ・パイロットを務めているのが、かつて数奇な運命の下ヒュウガらスペースペンドラゴンのクルー達と出会い、

数々の戦いや試練の中で真の絆を紡いでいったレイオニクス(怪獣使い)のレイである。

 

出入口のハッチを開けてペンドラゴンの外へと出た二人は、荒涼とした地表へと降り立つ。

 

「かなり乾燥しているが、生命体の生存に適した大気のようだな」

 

周囲を見渡しながら、レイがポケットから取り出した端末で大気の組成を確認する。

岩石と僅かな植生のみが確認できる光景は、どこか物悲しくも感じる。

 

「救難信号はどうなっている?」

「信号は……ペンドラゴン正面三時の方向だ」

 

ヒュウガの質問に、手元の端末を操作して救難信号を確認したレイは、迷い無くそちらの方角へと歩き出す。

 

二人が何故この惑星へとやって来たのか、それは数時間ほど前まで遡る。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

事の始まりは、彼らが所属する組織であるZAPの基地が微弱な救難信号を受信した事であった。

信号を検知した基地側は、信号の発信地点であろうエリアに一番近い場所を航行していたスペースペンドラゴンへと調査、並びに救援の任務を命じた。

ペンドラゴンのキャプテンであるヒュウガは、この事態を受けて輸送任務をスピーダーへと任せ、救難信号の発信地点へと向かった。

 

そして、救難信号の発信地点を探していた彼らの前に現れたのが『宇宙の(ひず)み』だった。

 

未知のエネルギー放射を続けるその歪みを前に、調査の続行を決めあぐねていたヒュウガとレイだったが、

突如として歪みのエネルギーが逆転した事により、ペンドラゴンごと歪みの内部へと吸い込まれてしまった。

 

そして、たどり着いたのがこの宇宙だ。

 

自分たちが吸い込まれたのと同様の歪みが無数に存在し、時間さえも止まった奇妙な空間。

戸惑いを隠せない二人に、更に奇妙な事が起こる。

 

「おい、信じられるか?これは……」

 

ZAPの基地が受信したとされる救難信号の正体に、思わず絶句するヒュウガ。

目の前のディスプレイは、この救難信号が今自分達が搭乗しているはずのスペースペンドラゴンから発信されているという事を示していた。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

風により砂が舞い上がる岩山、その崖の下をレイとヒュウガは携帯端末を頼りに歩いて行く。

岩山にへばりつく様に生えた植物は、やはりと言うべきか地球には存在しないであろう奇怪な見た目をしていて、

この場所が地球外である事を、その視界に訴えかけて来る。

 

「それにしても、さっきのウルトラマンは何だったんだ?」

 

歩きながら、ヒュウガは疑問を口にする。

 

先ほどペンドラゴンが不時着する直前、すれ違った4体のウルトラマン達。

相手が猛スピードで飛んでいた為に判別は難しかったが、先頭を飛んでいたウルトラマンは分かる。

かつて共に戦った戦士、赤と青の特徴的なカラーリングが印象的なウルトラマン。

 

「先頭を飛んでいたのはウルトラマンゼロだったが、俺には追われているように見えた」

 

ヒュウガの疑問に答えるように、今度はレイが口を開いた。

 

猛スピードで飛んで行くウルトラマンを見送った後に、急に謎の飛行物体に追われた事で有耶無耶になったが、ゼロが出て来るような状況という事はかなりマズい可能性がある。

調査が必要だとは思う。だが、今のレイとヒュウガには優先すべき任務がある。

 

「今は救難信号の調査が先だ、要救助者がいる可能性がある」

「了解、ボス」

 

端末を確認しながら、二人は谷の間を抜けようと歩みを進める。

敵襲の可能性が有るため慎重に、それでいて要救助者の存在を鑑みて素早く。

 

神経をすり減らしながら、さらに前進しようとしていた時だった。

 

「――っ!?、ボス!!あれは……」

 

周囲を見渡していたレイの視界に、ある物が飛び込んできた。

レイの慌てたような声に、ヒュウガがその視線の先を辿ると、そこには……

 

「宇宙船?」

 

崖下の目立たない場所に、ヒッソリと置かれている一隻の宇宙船と思しき機械が有った。

全長は20メートル程度だろうか?その見た目は地球で採用されている輸送機にソックリではあるが、このような機種は見た事が無い。

見たところ汚れは少なく、まるでつい最近この場にやって来たかのような綺麗さだ。

 

二人が警戒しながら、その宇宙船へと近づいた時だった。

 

《プシューッ……》

 

「「!?」」

 

空気が抜けるような音と共に、宇宙船後部のハッチがゆっくりと開いた。

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