悪の帝国のテクノクラート   作:トラクシオン

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原作に突入した途端に筆が乗って来たので、
「自分って割と現金な性格だったんだな」と感じております。


第五十三話【ニセゾフィー】

ダークロプスゼロの拳がテクターギアに当たった瞬間、凄まじい打撃音が響き渡る。

衝撃にテクターギアが耐えられず、高硬度であるはずの装甲に広がっていく亀裂。

 

その突然の行動に、ゼロは困惑しながらも構えを解かずに警戒する。

 

胸部に入った亀裂は、やがてテクターギア全体へと広がっていき、そして強度の限界に達した途端に弾け飛んだ。

 

「!?」

 

飛び散る破片を避けようと、ゼロは姿勢を低くして眼を庇う。

一瞬の後、ゼロが視線を上げればそこには……

 

「お前は……?」

 

動揺のあまり、思わず言葉に詰まるゼロ。

何が起こったのか、それはヒュウガの言葉によって代弁された。

 

「ウルトラマンゼロが、二人?」

 

ウルトラマンゼロの正面に立つのは、()()()()()()()()()()()()()()()()()だった。

その『何者か』はゼロの前で、ゼロソックリの声で自らの名を名乗る。

 

『俺の名は、ダークロプス・ゼロ』

 

とうとう対面した二体の間に緊張が走る中、俺はその様子を感慨深く見つめていた。

思い出すのは連日連夜出されるベリアル様からのダメ出し。

 

やれ「ココが違う」やれ「ココがズレてる」と何度も何度も叱責され、見た目で合格点を貰えたと思ったら、

今度は「光線のフォームが違う」だの「宇宙拳法の構えはこうだ」だの言われるという。

 

マジであの時はストレスマックスだったわ~

 

でもそのおかげで、誰が見てもウルトラマンゼロソックリのロボットが出来上がった。

センサー類の搭載の関係で単眼になったのと、見分けがつきやすいようにカラーリングを変えた所以外は、ベリアル様公認のウルトラマンゼロソックリさんである。

 

「ダークロプス・ゼロだと!?」

 

突如として現れた自らの偽物に、ワイドゼロショットをお見舞いするゼロ。

だが、その攻撃はダークロプスゼロが発射した『ダークロプスゼロショット』によって相殺させられる。

それならばとスラッガーを発射するが、今度は『ダークロプスゼロスラッガー』との鍔迫り合いで弾き飛ばされる。

 

埒が明かないと思ったのか、ゼロは自らの二本のスラッガーを合体させてゼロツインソードの形態にした。

流石にプラズマスパークが無い以上、このスラッガーの融合に関しては再現出来なかったが、それでもダークロプスゼロは十分な戦闘能力を持っている。

 

互いに駆け出し、距離を詰めるウルトラマンゼロとダークロプスゼロ。

そしてぶつかり合った瞬間、この場の勝敗は決定した。

 

ゼロツインソードで突っ込んだゼロに対し、ダークロプスゼロは両手に持ったスラッガーを頭上に構え、高速できりもみ回転しながら突っ込む。

「回転すればどうにかなる」というウルトラマンあるあるはダークロプスゼロにも有効だったようで、接触した瞬間にゼロツインソードは絡めとられ、遥か空へと弾き飛ばされていった。

 

「わぁぁぁぁっ!!」

 

押し負けたゼロはそのまま弾き飛ばされ、悲鳴と共に背中から地面へと叩きつけられる。

その傍らで、ダークロプスゼロは悠然と腕を組んで、ゼロ(敗者)を見下ろしていた。

 

「ぐうっ……」

 

起き上がろうとするも、戦闘のダメージで体中が痛み、うめき声を上げながら地面へとその身を横たえるゼロ。

そんな満身創痍のゼロへ追い打ちをかけるかのように、空から降り立つ4()()()()……

先程までゼロを追いかけていたニセウルトラ兄弟達がようやく追いついたのだ。

 

「チッ」

 

痛みを堪え、ゼロは素早く起き上がって構えを取り、周囲へと視線を配る。

 

ゼロを取り囲むニセウルトラ兄弟達――ニセゾフィー、ニセウルトラマンエース、ニセウルトラマン、ニセウルトラセブンは、ゼロの周囲を取り囲んでジリジリと距離を詰めていく。

そして、緊張感が頂点に差し掛かったところで、四体は一斉にゼロへと飛び掛かった。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

「ゼロがピンチなのに、俺達は何も出来ないってのか?」

 

必死に戦うゼロを見て、ヒュウガがポツリと呟く。

 

どうにかこうにかニセウルトラ兄弟たちの攻撃を捌いていくゼロだが、やはり多勢に無勢。徐々に押されていく。

その上、この四体を倒せたとしても、ゼロと同等かそれ以上の能力を持つダークロプスゼロが控えているのだ。

きっとゼロは最後まで諦めないだろうが、どう考えても勝ち目は薄い。

 

そんな厳しい状況を、悔し気に唸りながら眺めるヒュウガの肩に、俺は手を置いた。

 

「私達には私達なりに出来る事がある筈、無理をしたところで結局は仲間を悲しませる結果になるだけだ」

「分かってはいる。だが……」

 

それでも暗い表情を見せるヒュウガに対して、俺は励ますように笑顔を見せる。

まあ、ヒュウガには知りようも無い事だが、シナリオ通りならゼロは勝ち確だ。

 

不確定要素は有るが……

 

俺はチラリと、戦いの場に混じる『ニセゾフィー』へと視線を送る。

記憶が正しければ、原作沿いならこの場でゼロと戦っていたのはニセセブン、マン、エースの三体だけだった筈。

 

俺が介入した事で歴史が変わったのか?

 

まさかの不確定要素の出現に内心穏やかでは無いのは事実ではあるが、俺は深呼吸をして気分を落ち着ける。

ここは冷静に。不確定要素が現れたのなら、ここで排除すれば良いだけである。

 

手に持っていたコスモドラグーンを、ゼロと殴り合うニセゾフィーへと向けた。

 

「無茶だ!!そんな拳銃で攻撃しても、敵の注意を引いてしまうだけだ!!」

「心配はいらない、この銃の威力なら戦闘不能ぐらいには出来るだろう」

 

慌てて俺を制止しようとしたヒュウガへ、俺は笑顔を崩さずに心配無いという事を伝える。

撃鉄を引き、両手でしっかりとグリップを持つと、オープンサイト(照準器)を目標へと合わせる。

 

大丈夫、理論上は一発で戦闘不能に出来る筈。

理論上は、だが。

 

実のところ、ここしばらくは自らが戦闘に赴く機会が少なく、この銃の実射は初めてなのだ。

設計上は大丈夫の筈なのだが、不安が残るのも事実ではある。

 

でも、今は自分の腕を信じるしかない。

俺は覚悟を決めて、引き金を引いた。

 

《ピシュゥン!!》

 

甲高い発射音と共に、コスモドラグーンの銃口からエネルギー弾が発射される。

 

……結構反動がヤバい。

しっかりとセオリーに則った姿勢で撃ったのにも関わらず、腕が反動で跳ね上がってしまった。

その為、エネルギー弾が当たるかどうかが不安ではあったものの、幸いにもその心配は無かったようだ。

 

ニセゾフィーへと真っ直ぐに飛んで行くエネルギー弾。

自らの危機に気づいたのか、エネルギー弾を視認したニセゾフィーが回避行動を起こそうとしたが、僅かに遅かった。

 

《ドカァァァァァァン!!》

 

エネルギー弾がニセゾフィーの胸部へと直撃した瞬間、上半身が粉々に弾け飛ぶ。

そして、残った下半身はフラフラと数歩前へ歩いた後に、バッタリと倒れて動かなくなった。

 

――その場を沈黙が支配する。

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