悪の帝国のテクノクラート   作:トラクシオン

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戦闘シーンは難しいわ…


第七十三話【赤き刺客との決着】

《ピシッ、ピシッ……》

 

空に走った一筋の亀裂はクモの巣上に広がって行き、空の一角を覆いつくしていく。

そして、その亀裂の中心が閃光を発した瞬間だった。

 

《パァンッ!!》

 

空の中央、何も無かったはずの空中に次元の穴が開く。

空気を震わせる音に、周囲に居た全員がそちらの方を見た瞬間、目にも留まらぬ速さで()()が飛び出してきた。

 

「デリャァァァァァッ!!」

「ぐうっ!?」

 

その何かは、ダークロプスゼロに飛び蹴りをお見舞いすると、そのままの勢いで地面をスライドして行き静止する。

そして突然の出来事に対応出来ず、その蹴りをモロに食らったダークロプスゼロが悶絶しているのを尻目に、ゆらりと立ち上がって鋭い眼光を向けた。

 

「待たせたな!!」

 

鮮やかな赤と青に彩られた肢体、鋭く光る頭部の二枚のスラッガー。

そう、先程ダークロプスゼロによって異次元へと飛ばされた筈の、若き最強戦士の姿。

 

「ウルトラマンゼロ!!」

 

レイが嬉しそうにその名を呼ぶ。

それに答えるように、何か――ウルトラマンゼロは「ジェアッ!!」と力強く掛け声を出して構えた!!

……ダークロプスゼロへと向かって。

 

「ゼロ!!」

 

その光景を見た俺は、慌ててウルトラマンゼロへと呼びかける。

ヤバいヤバい、ゼロがダークロプスゼロと邂逅したのは、このダークロプスゼロがサロメの支配下に有った時だ。

まだゼロの目には、ダークロプスゼロは敵として映っているのであろう。

 

つまり、誤解を解かなければヤバい。

 

「ん?お前は、あの時レイと一緒に居た……」

「ああ、あの時は名乗っていなかったね、初めまして、パルデス・ヴィータという者だ」

「悪ぃな、今は時間が無いから、話はコイツを倒してからで……」

「待て待て待て待て!!」

 

俺は時間が無いので端折りながらも、必死になってダークロプスゼロについて説明をする。

勿論、ベリアル様の事を話す訳にはいかないのでボカした形にはなるが、今のダークロプスゼロと、ついでにメカゴモラにも危険は無い事を説明した。

 

「本当かぁ?というか、何で俺ソックリなんだよ」

 

だが、どうにかこうにか説明自体は出来たものの、ゼロは胡散臭げな表情で此方を見て来る。

完全に説明出来ない以上、信用できないのは分からないでもないが、今はそうも言ってられないだろう。

こうしている間にも、劣勢に追い込まれたゴモラの鳴き声が響き渡っているのだ。

 

「その辺は後で話す、だから今はレイに加勢してやって欲しい」

「……チッ、分かったよ!!」

 

「後で詳しく聞くからな!!」と宣言して、ウルトラマンゼロはニセウルトラマンタロウと戦うゴモラに加勢する為に駆けていく。

そして俺もダークロプスゼロとメカゴモラへと加勢するよう指示を出したと同時に、手元の端末からアナライザーへと通信を繋いだ。

 

「アナライザー、聞こえるか?」

《感度良好、ご要望を》

「コスモシーガルを遠隔操縦してコチラへ寄越せ、ベリアル様を回収する」

《了解》

 

呼びかけた瞬間に返ってきた返事を聞き、俺はアナライザーへと指示を出した。

数分もしない内に、コスモシーガルがこの場所へ向かって飛んで来るだろう。

後はベリアル様を回収し、どうにかこうにかゼロを撒けば、この件は終わりだ。

 

ニセウルトラマンタロウの方は……まあ心配は要らないだろう。

ゼロが来た以上、もう長くは無い。

 

「もうすぐ全てが終わり、この惑星(チェイニー)はこの宇宙諸共消えて無くなる……まあ身の振り方は、ゆっくりとでも考えれば良い」

 

背後で黙り込んだままのレイブラッドへ向けて話しかけるが、相変わらず黙ったままだ。

余程図星を突かれたのがショックだったのだろうか?数万年もの間、全宇宙を支配したという割には豆腐メンタルだな。

 

まあ良いか、大人しくなったのだからこれはこれで。

レイブラッドから視線を外し、俺は華麗な活躍を見せるウルトラマンゼロの姿を堪能する事にした。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

「デリャァァァァァァッ!!」

 

炎を纏ったウルトラマンゼロの蹴りが、ニセウルトラマンタロウへと炸裂する。

対するニセウルトラマンタロウはクロスさせた腕で受け止めるも、勢いを殺しきれずに後ずさる。

 

「戻れ、ゴモラ!!」

 

その隙に、レイはバトルナイザーへとゴモラを戻した。

無事にゴモラが戻った事を確認すると、レイはバトルナイザーを労わるかのように一撫でする。

 

「ご苦労様、ゴモラ」

「レイ、よく頑張ったな」

「ボスこそ、危険な中で励ましてくれてありがとう」

「何、仲間の為ならこれぐらい、どうって事無いさ」

 

満身創痍のレイへと労いの言葉を掛け、ヒュウガは消耗してふらつくレイを支えるようにして、安全な場所へと下がって行った。

 

「フンッ!!」

 

そんな様子を尻目に、激しい戦いは続く。

 

態勢を崩し、膝をついたニセウルトラマンタロウの右斜め後ろから、ダークロプスゼロが攻撃を仕掛ける。

手に持った二本のスラッガーを超高速で飛ばし、その脇腹に傷を付けた。

赤い表皮が破れ、ニセウルトラマンタロウの内部機構の一部が、青白い火花と共に姿を現す。

 

そしてニセウルトラマンタロウがダークロプスゼロへと気を取られている隙に、今度はメカゴモラが両腕のナックルチェーンを飛ばし、ニセウルトラマンタロウの脚部へと命中させる。

 

「タァッ!?」

 

不意の攻撃により姿勢を崩された事で、ニセウルトラマンタロウは今度こそ見事に仰向けの状態でひっくり返った。

地響きと共に舞い上がる砂埃、一瞬とはいえ視界を遮られた事が、ニセウルトラマンタロウにとって致命的となる。

 

「エメリウムスラッシュ!!」

 

声と共に、ゼロの額から発射されたエメラルドグリーンの光線がニセウルトラマンタロウへと向かう。

不意を突かれる形となったニセウルトラマンタロウは咄嗟に横へと転がり回避しようとするが避けきれず、右半身へと着弾した。

 

「タァッ!?」

 

エメリウムスラッシュは、先程のダークロプスゼロの攻撃で内部がむき出しになった脇腹へと直撃し、小爆発が起こる。

そしてゼロが照射したまま顔を動かした事で、光線は右手を切断した。

 

「タァッ……」

 

どうにか跳ね起きたニセウルトラマンタロウへ、今度はメカゴモラが襲い掛かる。

重量級のその体はダークロプスゼロに比べれば鈍いものの、簡単には止める事は出来ない。

取っ組み合いの姿勢でメカゴモラを止めようとしたニセウルトラマンタロウではあったが、止めきる事が出来ずにズルズルと後ろへと押されていく。

 

《ドォォンッ!!》

 

やがて、押されていたニセウルトラマンタロウは、背後に聳え立つ崖へと激突した。

轟音と共に上部から岩が落ちて来るが、メカである二体には関係無い。

そのままダメ押しとでも言うかのように、メカゴモラは右胸のビームランプからクラッシャーメガを発射した。

 

至近距離からモロに破壊光線を浴びたニセウルトラマンタロウは、成すすべなく光線に身を焼かれる。

やがてメカゴモラが離れた時には、既に体中のほとんどの表皮が焼かれ、傷つき火花を上げる内部構造がむき出しとなっていた。

 

「これで決める!!ワイドゼロショットォッ!!」

「フンッ、ハァッ!!」

 

既に動けなくなったニセウルトラマンタロウへ、ウルトラマンゼロがワイドゼロショットを、ダークロプスゼロがダークロプスゼロショットを発射した。

二つの光線は目標へと一直線に飛び、やがて交点で交わると強力な一本のエネルギーとなってニセウルトラマンタロウへと着弾した。

 

「タァァァァァァァァッ!!??」

 

最後の足掻きとでも言うかのように灼熱の光線の中で藻掻いていたニセウルトラマンタロウだったが、それが実を結ぶことは無い。

光線のエネルギーによって身を焼き尽くされたニセウルトラマンタロウは、大規模な爆発と共にその身を散らした。

破片が周囲へと散らばり、焦げ臭い匂いが辺りへと充満する。

 

《ガンッ!!ゴロゴロゴロ……》

 

そして最後に、上空から落ちて来た『ニセウルトラマンタロウの首』が鈍い音と共に転がっていった。

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