悪の帝国のテクノクラート   作:トラクシオン

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第七十七話【異世界脱出作戦】

「波動砲?」

 

目の前で疑問符を浮かべるレイとヒュウガ、そして無言でじっとこちらを見て来るウルトラマンゼロの様子を見て、俺は溜息を吐くのを寸での所で堪える。

というか、俺ってこの時空に来てから溜息を吐いてばっかだな。主にベリアル様とかベリアル様とかベリアル様のせいで……

 

おっといかん、思考が逸れた。

時間が無いから手短に説明しなければならない。

 

「波動砲というのはアンドロメダに搭載された戦略兵器だ、威力的にはおそらくヨハネニウム爆弾と同等かそれ以上といったところだろう」

「ちょっと待て」

 

先程から此方を見ていたウルトラマンゼロが険を帯びた声で俺へと突っかかって来る。

……まあ、大体何が言いたいのか予想はつく。

 

「そんな物騒な物を搭載した宇宙船で、お前は何をしようとしていた?」

「ヨハネニウム爆弾と同等かそれ以上……という事は、惑星破壊級の兵器を搭載しているという事か!?」

 

ほら、だから波動砲の事は話したくなかったんだ。

今回は緊急事態だという事で口外せざるを得なかったが、こうなる事は目に見えていた。

先程よりも鋭く此方を睨んで来るゼロと、動揺した面持ちで顔を見合わせるヒュウガとレイ。

 

勿論、ベリアル様の事は話せないし、現時点で俺の計画が知られるのは困る。

仕方ない、ココはゴリ押しで通すか。

 

「……安全保障上の理由で口外は不可能だ」

「お前っ!!」

「それに、そんな悠長に話してる時間はもう残されていないぞ?」

「……チッ」

 

爆発までの時間が差し迫っている事を告げれば、ゼロは一応は口を閉じる。

だが、また邪魔をされたら敵わない、念の為に保険を掛けておくか。

 

「もしも()()この空間を脱出出来たなら、答えられる範囲で質問に答えよう」

「……本当だな?」

「ああ、約束しよう」

 

俺が質問に答える事を約束すれば、ゼロは大人しく身を引く。

まあ言うだけならタダだ。どうせこの作戦が成功すれば……

 

おっと、時間が無いんだった。

俺は打開策を説明するべく、端末のホログラムディスプレイを拡大して周囲から見えやすいようにする。

 

「この波動砲なら、惑星を覆う強力なバリアを突き抜ける事が可能な筈だ」

「それでヨハネニウム爆弾を直接破壊するって事だな!!」

「ところがそう簡単にはいかない」

 

本当に、ヨハネニウム爆弾を破壊するだけなら簡単なんだけれどね。

ただ、波動砲にも重大なデメリットが有る。

チャージ時間に関しては敵の居ない現状では問題にはならないが、問題は()()()()()()()()()である。

 

「波動砲は原理上、射線上に余剰次元を展開する事になる」

「つまり?どういう事だ?」

 

疑問符を浮かべるレイとヒュウガ、そしてゼロへと向けて、俺はなるべく簡潔に説明していく。

 

「簡単に言えば、人工的に作られた不完全なこの宇宙で、次元に干渉する兵器を使用すればどのような事が起こるか想像がつかない」

 

原典である宇宙戦艦ヤマト2199で解説されているが、波動砲とは

 

『波動エンジン内で発生した余剰次元を射線上に放出し、余剰次元が“我々の暮らす宇宙”を押しのけて“別の宇宙”として展開し始める際、その小さなサイズに見合わない膨大な質量によってマイクロブラックホール化し、それが放つホーキング輻射のエネルギーにより域内の敵を破壊し尽くす』

 

という兵器である。

 

つまり、ヘロディアがダークロプスゼロのディメンションコアを用いて作ったこの不完全な宇宙で、もしも波動砲を使用すれば、どうなるのかは全く予想が付かない。

同じような異空間内で波動砲と同様の仕組みを持つ『デスラー砲』を撃つ描写は一応ヤマトの原作にも有るものの、宇宙戦艦ヤマト2199ではデスラー総統が亜空間ゲート内でデスラー砲を撃とうとした際に「自殺行為です」とタランが止めようとしていたし、

宇宙戦艦ヤマト2202では、ヤマトを撃破する為に異空間内のアケーリアス文明の遺跡にデスラー砲を発射した結果、異空間そのものが崩壊している。

 

シチュエーションが違う為に参考になるかどうかは微妙ではあるが、どちらにしろ高リスクである事は変わらないだろう。

 

「それじゃあどうするんだよ!!」

「だからそれを今から説明するんだ、静かにしていて欲しい」

「っ!!ゴメン……」

 

ヒートアップしたレイを諫め、俺はホログラムを全員に見せる。

そこには分かりやすく簡素化された図で、惑星チェイニーと軌道上に存在するヨハネニウム爆弾の位置関係が示されていた。

 

「作戦はこうだ、軌道上にダークロプスゼロを向かわせる、なるべくヨハネニウム爆弾の近くに」

 

俺が指をスワイプすると、ホログラムに小さな人型が現れ、軌道上に有るヨハネニウム爆弾の近くで止まる。

おそらくこの人型がダークロプスゼロを示しているのだろうと、その場に居た全員が理解する。

そして再び指を動かせば、そこに一条の光線が迫り、バリアを突き抜けてヨハネニウム爆弾へと直撃した。

 

「そしてヨハネニウム爆弾が爆発した瞬間に、波動砲を発射する。幸いにもアンドロメダの超空間センサーにより、爆発までの大体の時間は掴んでいる」

「あと何分か分かるのか!?」

「すまないが、その説明をするには時間が無い、とにかく今は黙っていて欲しい」

 

レイを黙らせて、俺は説明を続ける。

 

「ヨハネニウム爆弾が爆発した瞬間、ダークロプスゼロのディメンションコアを発動させる。波動砲とヨハネニウム爆弾により発生する莫大なエネルギーによりディメンションコアを限界稼働させ、この空間を消滅させると共に我々を元の宇宙へと押し出す」

 

「これが今回の作戦だ」と俺は締める。

理論上ではこの方法で全員が脱出できる上に、原作のように『もう一つのペンドラゴン』のクルー達も元に戻るはずだ。

 

「一つだけ質問がある」

「時間が無いから手短に頼む」

 

だが、この案に対して『とある疑問』を抱いたレイが、質問して来る。

 

「ダークロプスゼロはどうなる?」

「ああ、その事か」

 

それに対して答えようとした俺だったが、コレが予想も出来ない展開を生み出すとは、この時の俺は夢にも思っていなかった。

 

「ダークロプスゼロは、この空間と共に消滅する」

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