悪の帝国のテクノクラート   作:トラクシオン

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誤字報告ありがとうございます。
割と深夜に執筆している事が多いので、結構ミスりやすいんですよね。
なので非常に助かります。


第七十八話【作戦を阻むもの】

この戦いによってAIの顕著な成長が見られたダークロプスゼロを放棄してしまうのは、正直言って惜しい。

命の尊さを学習したAI、将来的にはギルバリスへの対抗手段となるかもしれない可能性を秘めている。

 

ただ、命あっての物種だ。背に腹は代えられないだろう。

それに所詮は代えの利く機械であり、ここで放棄したとしても然程のデメリットは無い。

きっと全員納得してくれるだろう。

 

そう思っていたのだが……

 

「ダメだ!!」

 

レイが声を上げた。

その顔は険しく、その強い意志を宿した瞳を俺へと向けて来る。

 

「ダークロプスゼロを犠牲にするなんて、絶対に嫌だ!!」

 

ダークロプスゼロを庇うレイに、俺は混乱した。

一体どういう事だ?ダークロプスゼロを助けようとするなど……

突然の出来事に思わず閉口すると、他のメンバーも次々と俺へ意見をねじ込んで来る。

 

「俺もダークロプスゼロを犠牲にするのは反対だ」

 

そう続けるヒュウガ。

同じくダークロプスゼロを破壊する事に反対のようだ。

 

「俺も反対だ。見た目は気に食わないが、コイツは悪い奴じゃねえ」

 

まさかのウルトラマンゼロまでもが、ダークロプスゼロの破壊に反対を表明する。

 

一体何故だ……と考えた所で、俺はふと、ある重大な事実に気付く。

そもそも、ダークロプスゼロとウルトラマンゼロが、ほぼ敵対していないという事実に。

 

初対面から異空間へとウルトラマンゼロを飛ばすまでは確かに敵対関係にあったと言って良いだろう

しかしその後は指揮権が俺に戻った事で、敵であるネローゴモラやニセウルトラマンタロウとの戦闘では完全にガッツリと共闘しているのだ。

その上、ヒュウガとレイにとっては命の恩人といっても良いぐらいダークロプスゼロに借りが有る。

 

つまり、彼らにとってダークロプスゼロは『仲間』のカテゴリーに入っているのだ。

まさかの事態だ。こうなる事は流石に予想していなかった。

 

ここで俺は考える、取れる選択肢は二つ。

 

一つは強引にでもダークロプスゼロへとコマンドを出し、作戦を完遂する。

この選択肢なら確実に命は助かるだろうが、ウルトラマンゼロからの心証は最悪になるだろう。

ベリアル銀河帝国(今後)の事を考えるなら、出来れば避けたい。

 

もう一つは、何らかの奇跡が起こるのを待つ事。

ウルトラ族、それもウルトラマンゼロは不可能を可能にする奇跡を、これまでも、そしてこれからも起こしてきた。

プラズマスパークから認められ、ウルトラマンノアからウルティメイトイージスを授けられ、三位一体の奇跡の戦士(サーガ)となり、時を自由に操る輝きの戦士(シャイニング)となる。

危機に陥る度に、ウルトラマンゼロは奇跡を起こし、それを乗り越えて来た。

 

きっとウルトラマンゼロなら、この危機的状況をどうにかしてくれる筈!!

……なんて、おめでたい考えに浸れたら、どれだけ楽だった事か。

 

「反対というのなら、何かこの状況を脱する良い案が有るのだろうな?」

「それは……」

 

対案を求める俺の言葉に、レイ、ヒュウガ、ゼロは三者三様の反応を返して来るが、概ね内容は同じだ。

自分達が助かる為には、俺が提示した案に従う以外に、選択肢は存在しない。

 

時間が有れば、まだどうにかなったのかもしれないが……

 

「別に俺は構わない」

「そんな……良いのかよ、お前はっ!!」

 

俺の提案をすんなりと了承したダークロプスゼロに、ウルトラマンゼロが食って掛かる。

その顔には、自らの命をないがしろにしようとする存在への怒りで満ちている。

しかし、ダークロプスゼロはいつもと変わらない平静とした態度だ。

 

「俺はマスターに創られた存在、マスターの命を守る事は俺の使命だ」

「そうだ、そうする事がお前の義務だ。ダークロプスゼロ」

 

完全に俺の言葉を肯定しているダークロプスゼロに、ウルトラマンゼロは悔しそうに押し黙る。

レイとヒュウガは、痛々しそうな表情で見て来るが、やはり俺の提示した案以外に思いつかないのか押し黙ったままだ。

 

そうだ、それで良い。

君達にはこの先も宇宙を守っていく義務が有る。

こんな所で死んでいい存在ではないのだ。

 

「俺の命を、マスターの為に捧げる事は喜ばしい事。だが……」

「……何だ?ダークロプスゼロ、言いたい事が有れば言え、手短にな」

 

何かを言いよどんでいるダークロプスゼロに、俺は疑問を覚える。

ロボットというのは、当たり前だが機械であり、そのAIはいつだって明快な答えを返して来るはず。

『言いよどむ』という反応を見せる事自体、実におかしなことだ。

 

俺がダークロプスゼロの反応を疑問に思っていると、当の本人が戸惑うような、どこか困惑した調子で口を開く。

 

「俺のAIを乱す、コレは何なんだ?マスターの生存こそ俺の喜びの筈……なのに……」

 

先程まで平静としていたダークロプスゼロの口調が乱れる。

それは、まるで何かを耐えるような様子で。

「まさか……」と俺の脳裏にある考えが過った。

 

「命の尊さを知った事で、死への恐怖も生まれたのか」

 

予想外の事態に、俺は思わず顔を顰めた。

 

実に厄介な事態だ。

恐怖は頭脳を狂わせる。

微妙な力の調整が必要なこの計画に邪魔な物である。

 

無理矢理従わせる事は可能だが、このままでは失敗してしまう可能性が高い。

 

さて、どうすべきか。

このダークロプスゼロの発言により、ウルトラマンゼロやレイ、ヒュウガが騒ぎ立てる。

もう時間が無いというのに「見捨てられない」などと。

 

『ご主人様、一つ提案ガ』

「何だ?アナライザー」

 

俺達の会話を通信越しで聞いていたアナライザーが、()()()()を出して来る。

それを聞き、俺は一つ溜息を吐く。

確かに、このアナライザーの提案ならどうにかダークロプスゼロを助ける事は可能だろう。

 

が、目の前の三人には肝心な事は何も話せない。

何せこの船に搭載された最高機密を使うのだ。

だが、これ以外の提案を実行しようにも、どうしても時間が足りない。

 

仕方ない、この手で行くか。

とりあえず目の前で必死に俺を説得しようとする三人へと向き直る。

 

「分かった、ダークロプスゼロの命は保証しよう」




ひょっとしたら年内最後の投稿になるかも。
出来れば来年の一月~二月ぐらいにはベリ銀編へ入りたいところ。
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