悪の帝国のテクノクラート   作:トラクシオン

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新年あけましておめでとうございます。
間が開いてしまいましたが、新年一発目の投稿です。


第七十九話【作戦開始】

「全く手間を掛けさせてくれる……」

 

やっとの思いでウルトラマンゼロ、レイ、ヒュウガを説き伏せ、遠隔操縦で飛んで来ていたコスモシーガルに乗り込む。

最後の方はほぼほぼ「お前ら死ぬぞ?」という脅しになってしまったが、まあ良いだろう。

全くグダグダと文句ばかり垂れおってからに……

 

そんな事を考えつつ、疲れと呆れに重くなった体でキャビンへと入った瞬間、目に入った光景に俺は思わず脱力した。

 

「遅かったな、待ちくたびれたぞ」

 

キャビンの椅子に座りながら、ティーカップを傾けて紅茶を嗜むベリアル様、いや、レイブラッド。

コイツ、俺の苦労も知らずにのうのうと……というか待て、その紅茶はお気に入りなんだ、人の居なくなった紅茶園をどうにかこうにか復旧して作った品なんだぞ、勝手に飲むんじゃねぇ。

 

「……生きていたのか」

「フン、何万年も精神体でやってきたのだ、この程度で死ぬはずが無かろう」

 

当たり障りの無い言葉で問いかければ、レイブラッドはさも当然かのように返して来る。

コイツ、雑草並みの生命力だな。

いや、これぐらいじゃないと宇宙を統べるとか出来ないという事か。

 

「これからアンドロメダへと帰投し、脱出作戦を実行する、邪魔はするなよ」

「ああ、分かっているさ、私としてもココから出たいのは同じだからな」

 

しゃあしゃあとしやがって。

一言何か言ってはやりたかったが、そんな暇は無い。

浮かんで来る色々な言葉(主に罵詈雑言)を飲み込み、俺は操縦席へと座った。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

惑星チェイニーの地表にはほとんど緑と呼べる物が無く、その大部分が赤茶けた大地に覆われている。

ごく僅かな部分に海と呼べる部分が有るが、地表の全面積と比べれば微々たるもの。

『大地と海の面積が入れ替わった地球』とでも言えば分かりやすいだろうか?

 

「こんな星に、人間が生存可能な大気が存在している事が不思議だな」

 

アンドロメダの艦橋から強化ガラス越しに荒涼とした惑星の地表を眺め、俺はしみじみと呟く。

そして地表から視線を外して上を見上げれば、青い光を発する膜――サロメ星人が貼ったバリアが見えていた。

今、俺はアンドロメダに乗り、地表から高度数百キロの地点を航行している。

 

『おそらくハ、サロメ星人ガこの惑星を拠点とスルにあタリ、簡易的なテラフォーミング処置を施シタと推測シマす』

「まあそうだろうな、この異空間でロボットの製造拠点に出来そうな大きさの惑星はココぐらいだし」

 

そう会話をしながら軌道上を探索するうちに、ようやくセンサーがお目当ての物を捉えた。

幸いな事にソレは軌道上を動かず、ジッと静止している。

良かった。もしも動いていたら、かなり手間がかかっていたところだった。

何せ、波動砲の射撃時は動く事が出来ないのだから。

 

俺はお目当ての物――ニセウルトラマンタロウの首から離れた場所に艦を静止させる。

肉眼では見えないが、艦に搭載されたセンサーとカメラによって、その姿は鮮明にモニターへと映し出されている。

 

惑星チェイニーの地表を見るように顔を向けているその首は、一定の間隔で目をピカピカと光り輝かせており、おそらくはこれが爆弾の起動を示すシグナルのようなものなのだろう。

バリア越しに見えるその首は、何も無い宇宙空間にプカプカと浮かんでおり、言い知れない不気味さを感じる。

 

「まさに『タロウの首がすっ飛んだ!』とでも言えば良いのかな?」

 

前世で有名だったウルトラマンタロウのサブタイを思い出しつつ、俺は作業に取り掛かった。

目の前のコンソールを操作し、お目当てのシステムを起動させる。

 

「波動砲発射準備」

『補助電源ヲ残し、艦内全テのエネルギー供給ヲ遮断』

 

アナライザーの一言とほぼ同時に、艦橋の電灯がチカリと明滅し、補助電源へと切り替わった事が分かる。

 

「さて...ダークロプス、出番だ」

『了解した、マスター』

 

波動砲の発射シークエンスが整っていく中、俺は周囲を飛んでいるであろうダークロプスゼロへと通信を入れた。

そして双方向の通信が切れて数秒後、艦の下方からぬっとダークロプスゼロが姿を現し、艦橋へと振り返る形でこちらの様子を伺ってくる。

 

その態度に、俺はダークロプスゼロが感じている不安を察しつつ、少しでも感情が和らぐように言葉を紡ぐ。

 

「大丈夫、命は保証すると言ったろう?」

『だが、バックアップを取ろうにも、もう時間は無いのでは?』

 

ふむ、ダークロプスも案外冷静に状況を理解しているようだ。

 

確かに、時間的な問題でバックアップははもう不可能だろう。

だが、それはあくまでも正攻法の話だ。

この艦の()()()()()を使用すれば、それが可能になる。

 

「バックアップシステムとしてCRSを使用する」

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

「今頃、奴らはどうしているかしら」

 

惑星チェイニーから離れた場所に停泊する一隻の宇宙船。

そのブリッジで堪えきれない笑いを零しながら、愛用のボールチェアにゆったりと腰を掛けるヘロディア。

目の前では、戦いで負った傷の痛みに顔を顰めながらも、目の前のコンソールを操作するイラテとガナエスの姿が有るが、気に留める事は無い。

いくらでも代えの利く部下よりも、今は己の優越を満たす事を優先していた。

 

「絶望のあまり泣きわめいているかしら、それともどうしようもない怒りに仲間内で争っているかしら……アハハハッ、自分の目で見られない事が本っ当に残念!!」

 

愉悦にギラついた視線をモニターに映る惑星へと向け、片隅に表示されたタイマーを確認する。

既に5分を切り、もう間も無くヨハネニウム爆弾が爆発するだろう。

そうすれば、文字通り『全て』が吹き飛ぶ。

 

「本当に、本当に待ち遠しいわ。奴らの破滅が目に浮かぶ!!」

 

刻一刻と刻まれるカウントを見ながら、興奮のあまり頬が紅潮していくヘロディア。

これから起こる『ショー』を夢想し、用意してあるシャンパンを傾けようとしたその時であった。

 

《ビーッ、ビーッ》

 

突如としてブリッジ内に響く警報音。

驚きつつもシャンパンのボトルを乱暴に置き、ヘロディアは目の前で機器を操作する部下へと向かって、怒鳴りつけるように問いかける。

 

「何事!?」

「惑星チェイニー表面に高エネルギー反応!!信じられない、コレは……」

 

イラテが戸惑いながらもコンソールを操作し、そこに表示された情報を叫ぶようにヘロディアへと報告する。

 

「センサーの針が振り切っています!!」

「は!?」

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