悪の帝国のテクノクラート   作:トラクシオン

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※誤った箇所が有ったので修正しました。(1/15)


第八十話【迫る者共】

徐々に波動砲の発射準備が整っていく。

ただ、その準備にかかっている時間はいつもよりも遅い。

別にトラブルがあるという訳ではなく、これは意図的な物だ。

 

「ヨハネニウム爆弾の方はどうなっている?」

『間もナク臨界に達しマス、爆発までノ時間は約4分程と思ワレます』

 

アナライザーが読み上げる情報を基に、俺は一つ一つプロセスを進めていく。

そう、今回は波動砲の発射タイミングがかなり重要だ。

ヨハネニウム爆弾の爆発と同時に、波動砲を発射する必要が有る。

 

「ダークロプスゼロ、ディメンションコアを開放しろ」

『了解』

 

ダークロプスゼロの胸部プロテクターが解放され、内部から迫り出してきたディメンションコアが露出する。

波動砲とヨハネニウム爆弾のエネルギーが交われば、時空が歪むほどの膨大なエネルギーが発生する。

そのエネルギーをディメンションコアに取り込む事で、この歪んだ時空を反転させ脱出するのだ。

 

そうやってプロセスを進めていくと、突如として艦橋に電子音が鳴り響く。

 

「何だ?」

『外部からノ通信を検知、繋ぎマスか?』

「繋いでみろ」

 

俺が指示を出すと、プツリという音と共に女の怒声が艦橋に鳴り響く。

 

《お前っ、一体何をしようとしているっ!?》

 

「……音量を下げてくれ、鼓膜に悪い」

『了解』

 

頭に響く程の大声に眉間を抑え、アナライザーにスピーカーの音量を下げるように指示を出す。

その間にも《聞いているのか!!》だの《馬鹿にしているのか!!》だのギャアギャア喚く声が響くが、

俺は然程慌てる事も無く、常識的な音量になった所で悠々と言葉を返した。

 

「耳の遠い老人でもあるまいし、そんなに怒鳴らなくても聞こえているよ、ヘロディア」

《その声……パルデス・ヴィータか、質問に答えろ!!》

 

どうやら、声から俺の正体を察したようだ。

まあだからと言って、あの女は自らの策略(バリア)のせいで、もう此方に手出しなど出来ないのだが。

完全に発狂している様子のヘロディアに、俺は「女のヒスって怖いな」と他人事のように考えつつ、言葉を返していく。

 

「君に話す必要が有るのかね?私達を死地に閉じ込めた君に?」

《何を!?》

 

狼狽えるヘロディアの声に、溜飲が下がるのを感じる。

何だかんだで、俺はあの女に怒りを感じていたらしい。

死の罠に嵌めてくれた高飛車な女の顔が歪むのを想像し、口の端が吊り上がるのを感じた。

 

「大方、莫大なエネルギーを検知してこの艦を見つけたのだろうが、もう手遅れだよ」

《手遅れ、だと?》

「これからこの時空そのものを破壊する、それだけは言っておこう」

 

それだけ言って、俺は《待て!!》だの何だの叫ぶヘロディアからの通信を無理矢理切断し、作業へと戻った。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

「クソッ、クソッ、クソッ!!」

 

悪態を吐きながら地団太を踏むヘロディア。

脳内を支配するのは、まるで噴火する火山のごとき怒り。

長年身を尽くしてきた計画の破綻もそうだが、何よりヘロディアを憤らせたのは、ある一人の科学者。

 

「許さない……許さないわ、パルデス・ヴィータッ!!」

 

ギリギリと歯を軋ましながら、ヘロディアはモニター上に映るパルデスの戦艦(アンドロメダ)を睨む。

 

突如としてヘロディアの目の前に現れたパルデス・ヴィータという男。

 

サロメの科学に勝るとも劣らない優れたロボット兵器であるダークロプスゼロ、

平行宇宙を自由に行き来し、次元を操る事も可能なディメンションコア、

小型拳銃なのに、ニセウルトラ兄弟を破壊する程の強力さを誇るコスモドラグーン、

 

ヘロディアは悟った。パルデス・ヴィータという男の技術力は、母星で天才と持て囃された自分を大きく超えると。

どうにもならない劣等感に苛まれる中で、更に惑星破壊クラスの兵器を搭載した軍艦の所有と来て、とうとうヘロディアの怒りのゲージは振り切れた。

 

「基地に残っているロボット兵器を全て起動させろ!!」

「しかし、製造した物は全てレイブラッドの攻撃によって……」

「五体満足じゃなくても良い、やれっ!!」

「はっ、はいぃぃぃっ!!」

 

凄まじい憤怒の形相で、唾を飛ばしながら怒鳴りたてるヘロディアのあまりの剣幕に、イラテは怯え引き攣った表情で渋々と従う。

そして痛む腕でコンソールを操作し、コマンドを崩落している基地へと送信するのであった。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

「ダークロプスゼロは大丈夫なのか?」

「今はパルデスさんを信じるしかない」

 

上空約一万メートルの高度でホバリングするスペースペンドラゴンのコックピットで、レイとヒュウガはアンドロメダとダークロプスゼロが居るであろう空を見上げる。

 

「絶対に死ぬんじゃねぇぞ」

 

その機体の横を、同じく空中で静止しながらウルトラマンゼロも見上げている。

 

三人の心を占めるのは、決死の作戦を遂行しているであろう、パルデスとダークロプスゼロの事。

本当なら同行して事の推移を見守りたかったのだが、波動砲のエネルギー放射による衝撃の危険から、こうしてチェイニーでの待機を求められたのだった。

成功するかは五分五分……だが、今はこれに賭けるしかない。

 

そんな事を、三人が考えていた時だった。

 

「何だ?」

 

最初に気付いたのはウルトラマンゼロだった。

 

遠く地平線の方から登っていく複数の光。

あそこは確か、サロメの基地が有った方角のはずだ。

 

「あれは一体何なんだ?」

 

次に気付いたヒュウガが、ペンドラゴンに搭載された光学カメラを光の方へと向ける。

そして、ズームアップしたところで、レイと共にその顔を引き攣らせた。

 

「まさか、あれは!?」

 

モニターに映ったのは、無数のロボット……サロメが造ったニセウルトラ兄弟の成れの果てだった。

レイブラッドによるプラントへの攻撃によって破壊され、マトモな姿の者は一体も居ない。

ある者は腕が無く、ある者は足が欠け、中には上半身だけの者や、外装が壊れて中のメカがむき出しの者も居る。

 

そんな空飛ぶゾンビみたいなロボットの軍団が、一直線にある方向へと飛んで行っている。

 

確かあの方角は……

 

「まずい!!あっちにはアンドロメダが!!」

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