悪の帝国のテクノクラート   作:トラクシオン

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超決戦! ベリアル銀河帝国編
第八十四話【復活の儀式】


「ハァ……」

 

ニュークシアに返ってきた俺は、自室のソファーに身を預けると深い溜息を吐く。

慣れ親しんだ場所に戻って来れて、体中から力が抜ける。それと同時に、無意識にため込んでいたストレスの重さを思い知る。

 

思えば、バリアで星に閉じ込められたのはギルバリスに次いで二回目だ。

あの時程の絶望は感じていなかったが、それでも命がけの状況にストレスが高まらない訳が無い。

というか、バリア使い多すぎでは?いや、俺も波動防壁や位相変換装甲を持ってるし、他人の事言えないか。

 

まあ、それはさておき……

 

「問題はベリアル様だな」

 

あの後は本当に大変だった。

起き抜けに凄まじい怒りを振りまくベリアル様に、どうにかこうにか状況を話しつつも宥めるという高難度の仕事をしなければならなかったのだから。

 

それでもどうにかこうにかベリアル様を落ち着かせる事に成功した訳だが、その代わりというか、無理難題を押し付けてきやがった。

 

「『ギガバトルナイザーより凄い武器を作れ』とか、ただでさえ忙しいというのに」

 

ベリアル様が俺に課した無理難題、それは『ギガバトルナイザー以上の武器を製作しろ』というもの。

「そんなの無理~」なんて言えない。絶対に言えない。

まあ技術的には無理ではないし、とりあえず作るだけ作ってゼロとの最終決戦に()()()()()()()()()()()のもアリか?

 

「とりあえず、もう休むか……」

『入浴、並びに夕食ノ用意、既に完了してイマす』

「分かった、ありがとうアナライザー」

 

時刻は夜更け、元々は日本の中心であった東京だったとはいえ、無人と化した今、光を発するのはこの研究所と宇宙戦艦を建造している東京湾のドックぐらいだ。

明るい月あかりが周囲を照らし、研究所の周囲を囲う木々を照らしている。

 

ちなみに迎賓館に居るであろうベリアル様は、今頃既に夢の世界へと旅立っているはずだ。やはり若々しく見えても15万歳越えのオジサンなだけあって夜は早い。

そして朝も早い。元光の国の住人だからか微妙に真面目な面も有り、朝昼夜の食事はドン引きする程の大食漢ぶりを披露するが、食後は研究所の周囲――つまりは皇居周辺をランニングする。

 

まさかベリアル様が皇居ランナーになろうとは、長生きしてると何が起こるか分からないな。

 

おかげでベリアル様が間借りしている海賊の体は、初見の小太りで不健康な印象から、今や腹筋が割れ、胸筋もBカップは有りそうなバキバキの健康体へと変貌している。

そのビフォーアフター具合は、見る度に脳内で某ライ○ップのCMが流れるぐらいには衝撃的だ。

 

……おっと、無駄な考え事をしていると風呂も夕食も冷めてしまうな。

 

俺は疲れた体を清めるべく、今後の予定を考えながら、まずは風呂へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

それから二日後……

 

研究所の地下数百メートル、大深度地下と呼ばれるこの場所に広大な空間が広がっていた。

面積はサッカーコート数十面分、天井高数十メートル程、地下空間とは思えない巨大さの空間を薄ボンヤリと電灯が照らしている。

 

そんな場所で、俺は機械の最終調整を行っていた。

 

「まだか?」

「もう間も無く最終確認が完了いたします」

 

5メートル程離れた場所に設置された寝台に横たわるベリアル様が、退屈そうに俺へと話しかけて来る。

そう、とうとうベリアル様の復活を行う日がやって来たのだ。

 

ダークロプスゼロの捜索に向かう前にほとんどの準備は完了している為、後は詳細なデータを目の前の機械――コスモリバースシステムへと打ち込むだけだ。

理論上はコレを使用すれば元に戻れるはずだが、油断はできない。

大体の場合、想定範囲外のイレギュラーはつきものだからだ。

 

「必ずベリアル様を蘇らせる事……それが貴方の一番の仕事ですからねぇ」

「もしも失敗したら……分かっているだろうなぁ」

「少々黙っていてくれないか?気が散る」

 

額に薄っすらと汗をかきながら作業する俺の後ろからダークゴーネとアイアロンが口出して来る。

俺とコイツらとの関係も相変わらずのもので、やはり良好な仲とは言えない。

やはり単独では然程の力を持たない俺に対してバカにしている面も有るのだろう。

 

まあ、なれ合おうとは思わないし、面倒事も避けたいので好都合という奴である。

 

「最終チェック完了、いかがいたしますか?ベリアル様」

「さっさと始めろ、野暮なことを訊くんじゃねぇ」

「失礼いたしました……ではこれより、ベリアル様の肉体を復活させるプロセスを開始いたします」

 

データを打ち込み終わった俺は、キーボードの横に有る起動ボタンを押した。

 

一拍を置いて、ベリアル様が横たわる寝台の上に設置された黄金の機械――コスモリバースシステムが起動し、内部の機関が回転を始める。

徐々に甲高くなっていく起動音、それに伴ってシステムの計器に表示される数値も上昇していく。

 

「肉体よりベリアル様の魂を抽出」

 

工程を読み上げたのとほぼ同時に、ベリアル様の体が、まるでスイッチを切られたかのようにだらりと弛緩し、ピクリとも動かなくなる。

背後でダークゴーネとアイアロンが息を呑む音と、「本当に大丈夫なのか!?」と詰問してくる声が聞こえてきたが、知ったこっちゃない。

俺は淡々とプロセスを遂行していく。

 

「魂を記憶のエレメントへと変換……」

 

肉体より出て来たオーラ――ベリアル様の魂であろうソレが凝縮し、肉体の上部に紫色の光球となって浮かぶ。

『まるでベリアル様のカラータイマーのようだ』と心中で感じつつ、俺は最終プロセスへと移行した。

 

「記憶のエレメントにより、肉体の再構築を開始」

 

瞬間、眩い閃光が地下空間を覆いつくす。

俺はこの事を予期して懐から取り出した遮光ゴーグルを装着していたが、そんな事を知る由もないダークゴーネとアイアロンは悲鳴を上げながら目を覆っている。

 

フッ、ざまあ

 

やがて光は徐々に治まっていき、地下空間に静寂と暗闇が戻った。

計器に表示される数値は軒並み降下していき、やがて0を指すと、モニターに【コスモリバース起動終了】のアナウンスが表示された。

 

高エネルギーが炸裂した影響か、周辺は水蒸気による湯気で覆われている。

さて、計画通りならベリアル様は蘇っているはずだが……

 

濃霧の如く周りに立ち昇る湯気のせいで、周囲一帯の景色が遮られており、一寸先も見えないような状況だ。

そんな中で目を凝らしていると、首筋に何やらヒヤリとした物が当てられた。

 

「動くんじゃねぇ……」

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