【募】こんな小説を書けこの野郎【リクエスト】 作:hasegawa&friends
ノイン!(ここのつ!)
◆頂いたお題、概要◆
あのテレビ番組で数々の伝説を打ち上げた、(どう考えても着ぐるみがやるようなアクションじゃないだろ的な意味で)ガチャピンが、武の極みを!! 宇宙空間を!! アクションスパイ活動を!! 微笑みデブを一兵士に仕立て上げる所を見てみたいな~と思う、団子より布団の欲望丸出しの募集です。(団子より布団)
※今回のお話は、メタなネタが含まれます。
「よし……やっと一時間を切ったよ……」
自分以外、誰も居ない荒野。
有り体に言えば、オレンジ色の夕日が照らすアラスカの大地の上で、ガチャピンがその構えを解いた。
やれやれといった風に、ひとつため息をついて。
「一日一万回、感謝の正拳突き……、一時間切り達成だよぉ~」
10年かかった。この【ガチャピンチャレンジ】を番組の企画として命じられてから、丸10年の月日が経っていた。
「なんか、ボクがひたすら正拳突きしてる間に、
それはぼくの責任じゃない。ポンキッキーズが終わったのは、時代の流れという物なんだ。
とりあえず、ぼくはやり遂げたぞ――――」
気が抜けたように、バタリと倒れ込む。もう疲れましたとばかりに。
なんでこのボクが“音を置き去りにする拳”なんて覚えなくちゃいけないのか、皆目見当がつかないけれど……。ボク別に武道家じゃないのに、何この無意味な十年間……。
そんな事を思うけれど、とりあえずガチャピンはやり遂げたのだ。せめて自分だけでも自分に「お疲れ様」と言ってあげたい。よく頑張ったねと褒めてあげたかった。
だって他に誰も褒めてくれないんだもの。番組終わったからスタッフ居ないんだもの。
「帰ろう、日本へ……。10年ぶりの帰国だよ……。
じゃあね、アラスカ。ボクは日本に戻るよ。
辛い事しか無い日々だったけど……、もうどれだけよく考えても、楽しい事なんかひとつも無かったけど。正拳突きしかしてなかったけれど……。
でもありがとうアラスカ。ばいばい……」
こうしてガチャピンは、まるで尺取虫のようにうねうねしながら(もう歩くのさえシンドイのだ)、ここから約600キロほど離れた空港に向けて、出発したのであった。
来るべき、次の“チャレンジ”に向けて。
◆ ◆ ◆
「ムック、久しぶりだね。ちょうど10年ぶりになるのかな?」
「ホントですなぁガチャピン~! いやぁー会いたかったですぞぉ~」
後日、何か月もかけて帰国したガチャピンを、彼の親友であるムックが出迎えた。
羽田空港のロビーにて、感動の再会である。
「ん? 別に来れば良かったじゃない。会いたいんならさ?
ボクずっと、アラスカのおんなじ場所に居たよ? 一回も移動しなかったもの。
そう言えばこの10年、君は
ボクの顔なんて、見たくも無かったんだ……」
「いやいやいや~。そのような事は無いですぞぉ~!
まったくガチャピンたら冗談ばっかりぃ~♪ ほっほっほ♪」
まともに取り合う事なく、愛想笑いで流される。
ガチャピンは「じとぉ~!」っと睨んでみるけれど、彼にはまったく堪えた様子が無かった。
「すいませんガチャピン~。実はわたくし、ペットを飼っておりましてな?
まだ小さな子ですので、放り出して海外へは行けなかったのです。
どうか気を悪くしないで欲しいですぞぉ」
「ふーん、ペットねぇ~。……ちなみに何を飼ってたの?」
「ハムスターですぞぉ。小さくて可愛いですぞぉ~」
「いや、ハムスターって
いったい何周ハムスターの人生見届けたの? ハムスターの業者? 来れたよねアラスカ?」
「ではガチャピン、早々ではありますが、わたくし貴方への“指示”を承っておりましてな?
聞いて頂けますかぁ~」
ムックが鞄をゴソゴソし、ガチャピンへの指令が書いた封筒を取り出す。
もう彼には、ガチャピンの話を聞くつもりなど、微塵も無いようだった。友情とかはどこ行ったんだろう? たしか親友だったハズだが。
それにしても、このタイミングで指令とな?
まだガチャピンは一度も家に帰って居ないし、たったいま羽田に到着したばかりなのに。
まさかこのまま、チャレンジと称してどこかへ向かわせる気でいるのだろうか?
家に帰すこともせず、また飛行機に乗せると?
「ちょっと待ってよムック。ボクいま帰国したばっかりだよ?
せめて富士そばに行かせてよ。日本食が恋しくて仕方ないの。
君に分かるかい? ある日突然、なんの脈絡もなくアラスカに連れ去られ、10年も
「ではでは、その封筒を開いて下さいませぇ~。
あ、カメラもう回しておりますので。スマイルスマイルですぞぉ~」
ほう、それじゃあ殴れないな――――
カメラが回っている所で、ムックをブチ殺すワケにはいかないや――――
今のボクって凶器なんだよ? 後で感謝の正拳突きを見せてあげるね。
とりあえずガチャピンは、ムックをぶちのめすのは置いといて、受け取った封筒をビリビリと開ける。
そこには、読み間違えようもない程に大きな文字で書かれた、ガチャピンに対する次の指令があった。
◆NEXT ガチャピンチャレンジ!◆
【悟空の元気玉を喰らって、無事に生き延びてみよう☆】
「――――ねぇ! ボクが憎いなら、ハッキリそう言いなよッ!!」
カメラとムックに対し、“音を置き去りにする拳”を叩き込んだ後、ガチャピンは声を荒げた。
「殺せばいーじゃんっ! そんな事しなくても! 今ここでッ!!
ボクが憎いんならそう言いなよ! なんでわざわざ湾曲的にやるの?!
――――殺したらいーじゃん! 殺せッ! 殺せよぉぉぉおおおーーーッッ!!!!」
そう怒鳴り散らすけれど、ムックはいま地に倒れ伏し、ふわふわと宙に霊魂が浮いている。話を聞ける状態では無かった。
「ボクはねぇ! もう感謝の正拳突きを10年やったり! 金色に光ったアンパンマンにグーで殴られたり! 対魔忍のセクシーなピッチリスーツを着せられたりしてるんだよっ!
……なのにこの上、命まで奪おうって言うのかっ!!!!
僕は前世で、それほどまでの罪を犯したって言うのかっ!!!!
――――ねぇ! そんなにボクが嫌いなのかお前はッ!!?? なんとか言いなよ!!!!」
胸倉を掴み「ひどいひどい!」と振り回す。
でも前述の通り、ムックはいま幽体離脱をしているので、返事をすることは出来なかった。
「オッス! オラ悟空! いっちょやってみっかぁ~!」
「――――なんでもう来てるの!? 仕事が速いよムック!!」
振り向けは、そこに悟空さの姿。
こうなる事(幽体離脱する事)を見越してかは分からないが、ドラゴンボールの主人公さんは、すでに羽田空港のロビーに到着していた。
「悟空さんっ! これは何かの間違いなんですっ!
ボクは決してフリーザ様でも、魔人ブウでもないんですぅ!」
「でもオメェの拳、
オラわくわくすっぞ」
「――――ちきしょう! 覚えたスキルが裏目にッ!
図ったな! 旧ポンキッキーズのスタッフめ!」
ガッデムとばかりに空を仰ぐ。もうこの世にボクの味方なんていないんだ。
かの世界的な有名漫画であるドラゴンボール、その最大の威力とされる必殺技が、ボクみたいなモンに対して光栄にも使われるんだ。
そう思うと、自然と涙が零れてきた。そんな光栄いらないと。
「えっと……悟空さん悟空さん?
実はボク、ドラゴンボールの大ファンなんですよぉ♪ 家に全巻あるんです♪」
「おぉ! そうなのかぁガチャピン~!
そいつぁオラも、頑張って元気玉作らねぇとな!」
「いえいえ、ぜひ作らないで頂きたいんです♪
まさか悟空さんともあろう人が、自分のファンである男の子を、遺骨も残さず無惨に消し飛ばしたりはしないでしょ?」
「ん、死にたくねぇのかオメェ? 心配すんなってガチャピン!
「――――この人サイコパスだよ! 戦闘民族だったよ!」
優しい顔してババンバン♪ でもイカれてるよサイヤ人ッ!!
いちおう全巻DBを読んでいるガチャピンは、ようやくその事を思い出したのだった。
「お、集まった集まったぁ! サンキュー地球のみんな!
じゃあちょっと痛ぇけど、我慢しろよ?」
「――――なんでみんな協力するの!? 地球人なんか大嫌いだ!!!!」
「オメェをぶっ倒せば、旧番組スタッフのヤツラが、謝礼をくれるんだってよ♪
楽しみだなぁ~王将いくの! 餃子1皿無料券のために、死にやがれぇー!」
「――――1皿!? 1皿でボクを?!?!
君は命をなんだと思ってるんだ! ブルマに殴られろぉ!」
◆ ◆ ◆
「決めたよムック。ボクはもう二度と、
「そんなこと言わずにぃ。お願いしますよぉガチャピン~」
後日、ガチャピンチャレンジに大失敗し、羽田空港ごと木っ端みじんにされてから、初めての収録。
「良い思い出が無いんだ。きっとボクのこと嫌いなんだと思う。
アンパンマンも、あのばいきんまんでさえ、ちょっとは良い想いをさせて貰ってるのに」
「そんなこと無いですぞ? ガチャピンはとても愛されております。
ワタクシが太鼓判を押しますから♪」
おやつのココアシガレットを、たばこに見立ててぷかぷかと吹かし、やさぐれながらソファーに腰かける。ガチャピンの心は今、とても荒んでいた。
「ではガチャピン、続いての指令になりますが、お渡ししてもよろしいですかな?」
「よろしいように見える? ホントにムックって、血も涙もないよね」
ルッキンフォー友情。ギブミー思いやり。
そうこう言いつつも、とりあえずは彼から封筒を受け取り、開封してみた。
◆NEXT ガチャピンチャレンジ!◆
【火垂るの墓の節子に、シャイニングフィンガー】
「――――血も涙もないよッ!! お前たちは人間じゃなぁぁぁーーいッッ!!!!」
ムックを千手観音でぶん殴ってから、天を仰いで叫ぶ。
「なんでそんな事するんだ! あの子がいったい何をしたって言うんだッ!
めちゃくちゃ良い子じゃないか!!」
そんなこと言っても、指令は覆らない。メッセンジャー役のムックでさえ、もう白目を剥いて気絶している。
「そんな事するくらいなら、ぼくは旧スタッフにゴッドフィンガーを決めるよッ!
超級覇王電影弾した後、石破天驚拳するよッ!」
「でもですねガチャピン……? これは番組からの指令ですから。従ってもらわないと……」
もう「うきゃー!」と怒り狂っている内に、なんとかムックも復活。
目を覚まして「まぁまぁ」とガチャピンを諫める。
「なんでだよっ!? ボクにこの手を汚せというのかっ!
幼子を手にかけろっていうのか君は!」
「その通りですガチャピン。
視聴率や動画再生数のためなら、我々は鬼にも邪にもなるのです」
「そんなにお金が欲しいの!? 地位や名誉やランキング一位が欲しいの!?
そんな物にいったい、何の価値があるって言うんだ!
「ではガチャピン、ジブリの世界に行ってらっしゃいませ♪
そこにある“どこでもドア”を使うのですぞぉ~」
「――――ドラえもんすらボクの敵かッ!!
あの野郎ッ、金で魂を売りやがった! いつかぶっ殺してやるッ!!」
もうガチャピンを書いているとは思えない程のキャラ崩壊だが、なんやかんや説得した後、彼はヤケクソになってどこでもドアを潜って行ったのだった。
◆ ◆ ◆
「節子っ、これドロップちゃう! おはじきやないかッ……!」
住居としている洞穴同然の家に、清太の悲鳴にも似た声が響く。
この戦時中という食糧不足のご時世で、久しぶりに食料の調達に成功した彼は、意気揚々と帰って来たのだが……。
しかしうつろな瞳で布団に寝転がったまま、もう意識すらも朦朧としている妹の姿に、思わず口元を覆ったのだ。
「あ……にぃちゃあん……。おかえりぃ~。
ほら、これおあがりぃ……。おから炊いたんも、あげましょうねぇ……」
「……せっ、節子ッッ!!」
ただの汚い泥団子を、おはぎや食べ物だと言いながら、兄へと差し出す。
光を失った瞳。枯れ木のようにやせ細った腕。あんなにも愛らしかった妹の、あまりにも変わり果てた姿……。
「――――うおおおお!!!! シャァァァイニングぅ! フィンガァァァアアアーーッッ!!!!」
「にいちゃーん!」
「節子ぉーーっ!!??」
その時! 突然この場に駆けこんで来たガチャピンが、節子にシャイニングフィンガーを決めた。
「お前もだぁ馬鹿息子ぉ! シャァァァイニングぅ! フィンガァァァアアアーーッッ!!!!」
「うぎゃああああ!」
「にいちゃーん!」
即座に振り向き、清太にもシャイニングフィンガー。
流れるような美しい動きであった。流石はガチャピンだ。
「よし! 二人とも気絶したねっ! 成敗完了☆
このまま病院に運ぶよムック!」
「了解ですぞぉガチャピーン! 担架を用意しましたぁー!」
何の罪も無い、面識すらもない幼い兄妹に対し、シャイニングフィンガー。
そのせめてもの償いとして、ガチャピン達は彼らを病院に運び、救助してやった。
酷いとは思う。許せないと思う。なんて理不尽なと自分でも思う。
――――でもガチャピンのおかげで、節子ちゃん生存ルートなのだ! 彼らはハッピーエンドを手に入れたのだッ!
もう飢える事も、衰弱する事も無い。
不衛生な住居で暮らす事も、大人たちに見捨てられて死ぬことも無くなったのだ。
ならそれで良いじゃないか! なんにも問題ないじゃないか! 火垂るの墓・完!
ガチャピンはそう自分を誤魔化しながら、必死こいて働き、彼らの生活費&入院費を払い続けるのだった。
君達は今日から、ボクの家族だ! ボクが育てて見せる! ……シャイニングフィンガーしちゃったので!
今度は子育て――――それがボクの新たな【ガチャピンチャレンジ】だと、なんか上手いこと言ってみた。
この後もガチャピンは、スネークよろしく敵のアジトにスニーキングミッションしたり、伊良子よろしく無明逆流れを習得したり、はたまたハートマン軍曹みたくアメリカ海兵隊の新兵訓練をおこなってデブに撃たれたりするのだが、それはまたいずれ、機会があれば語ろう。
――――これ以上書いたら、私は本当に怒られてしまう!
ガチャピン&ムックのファンの方々に!
以前、作品の感想コメント欄に、「ガチャピンとムックが汚された……」という短いながら痛烈なコメントを頂いた時、私は死ぬほどご返信で謝罪をしまくった後、ひとりで3日くらい凹んだのだ。
なにとぞご了承頂きたく思う。
「ねぇムック? ボクらっていつか、幸せになれるのかな……?
幸せにして、貰えるのかな……?」
「分かりません。……でも戦うしかないでしょう。
戦うことだけが……! 我々の道だと……!」
ガチャピンチャレンジ×クロスオーバー 完ッ!!
◆スペシャルサンクス◆
団子より布団さま♪
PS ガチャピン、ムック、愛してるよ。