【募】こんな小説を書けこの野郎【リクエスト】 作:hasegawa&friends
――――hasegawa的“アメリカ三部作”。三本目。
↓今回のお題はこちら。
◆ ◆ ◆
内容は、「もしも悟飯爺さんが亡くなった後悟空がブルマと出会うまで人里で育ったら」という設定です。
ある日、防衛軍の偵察機がパオズ山付近に飛んだ時に、見た事のない大猿を目撃する。
後日、調査の為に軍と目撃者の兵士と学者を連れて、山に向かった。
そこで尻尾の生えた少年と出会った。
その少年こそ悟空であった。
悟空は見た事のない彼らを大猿の怪物の仲間と思って攻撃する。
優勢に進めるが、弱点の尻尾を握られて拘束されてしまう。
その後事情を聞き、勘違いを知って拘束を解いてもらった。
そして、悟飯爺さんが死んで一人で生活をしている事を知って、彼を連れて一度下山した。
悟空は、お風呂や社会常識を知らない事と、また衛生上悪いので、まず服を脱がされてお風呂に入れられる。
その後、検査を受けて一日が過ぎた後、形見のドラゴンボールと如意棒と僅かな私物を持って、山を下りて施設に入る。
そして、兵士の知り合いの道場の主人の養子となった。
その人物は、悟飯爺さんの知り合いで、手紙で悟空の事を知っており、出会い、仲良くなり、お風呂に入ったり勉強したり学校に通ったりして、一般常識を覚えた。
また食費がかかるので、食べ放題の店や大食い大会に参加して優勝して驚かされる。
他にも武道をしていたのもあって、格闘大会少年の部で優勝したりして、その業界からも一目置かれていた。
だが怒られたりして、自分がお仕置きを食らわれたりしたが、それで絆が深まった。
そして、誕生日を祝われたり悟飯爺さんの命日には、山に帰って供養をした。
それから一年して、ブルマがやって来てドラゴンボールの事を聞いて、旅に出る事になった。
というプロットを参考に書いてくれるのをお願い致します。
※ドラゴンボール二次創作
「うーん……この辺りのハズなんだけどな~」
手元のレーダーが、ピッピと音を立てて点滅している。
お昼時、空の真上にある太陽の日差しは、とても強い。
彼女は眉の所に手を当て、帽子のツバのような形で日光を防ぎながら、キョロキョロと辺りを見回す。
「もうちょっと西かな?
とにかく、絶対この近くだわ。間違いない」
頭をポリポリとかき、ウムムと眉を顰める。
すぐ傍に停めている車からは、今も低いエンジン音が鳴り続けており、その音だけが、この殺風景な場所に響き渡っていた。
ここは何もない山道。辺りには小高い山々が並ぶのみで、人っ子ひとり居ない寂しい風景。
何故こんな所に、まだ16才の女の子である自分が、ひとり車を飛ばしてやって来たのかというと……、それはちょっとした好奇心の賜物だった。
加えて、彼女生来の活発さや、若くして天才と称されるほど優秀な頭脳、あとは「素敵な恋人が欲しいな~」という淡い願いなどが、そうさせた。
いま学校は、ちょうど夏休みの時期だ。
この30日間の休みを利用して、ちょっとした冒険でもしようかな~と思い立ち、この地へやって来たのだ。
活発さを感じさせる、ポニーテールに結われた水色の髪。
オレンジ色の縦じまTシャツと、膝よりずっと短い丈のミニスカートは、冒険に相応しい動きやすさと、女の子らしい愛らしさを兼ね備える。
腰に着けている大きなポシェットも、良く似合っている。
彼女の名は“ブルマ”。
某大会社の一人娘であり、自他共に認める
彼女は辺りの風景と、お手製の“ドラゴンレーダー”なる機械の画面を、暫しのあいだ交互に見比べた後……、「ふんすっ!」と気合を入れ直して、車に乗り込む。
そして元気よくエンジンを吹かし、再び走り出すのだった。
「わっ!!!!」
だが突然、彼女が大声を上げる。
この山道は、まるで心電図のように昇り坂と降り坂が連続していて、あまり見通しが効かない場所だった。
ようやく登り坂が終わったと思い、かっ飛ばそうとアクセルを踏み込んだその途端、いきなり進行方向に子供らしき人影が見えたのだ。
「わぁぁぁーーッ!!!!」
「っ……!?!?」
脊椎反射で急ブレーキ。
ブルマの車はドリフトめいた機動で、キキキィーーっと地面を滑る。
砂埃をたくさん舞い上げ、あわや横転かという所だったが、それでも子供いる場所から20cmというギリギリの距離で、なんとか停止する事が出来た。
「……び、ビックリしたぁ~! 心臓止まっちゃうかと……!
ちょっとアンタぁ! 危ないじゃないのよぉ!」
危ないも何も、これはブルマの前方不注意だ。
どうせ誰もいないだろうと高を括り、スピードを出し過ぎていたのがそもそもの原因。
こんな田舎の山道に、車道や歩道などあろう筈も無いし。
だがブルマは、その持ち前の
彼女にとって「
「このスカポンターン! ちゃんと端っこを歩けって、お母さんに教わらなかっt
「――――Stay away from cheese burger!!!!」
……。
…………。
………………。
その時、もの凄く流暢な英語が、ブルマの言葉を遮った。
「Stay away from cheese burger! Stay away from cheese burger!」
(チーズバーガーから離れていろ! チーズバーガーから離れるんだ!)
「えっ」
窓から身体を乗り出し、拳を振り上げていたブルマは、思わず動きを止める。
いま車の真ん前にいる“ちんまい少年”が、なんか異国の言葉で、なにやら怒鳴り散らしていたから。
「Son of a bitch! Get me fuckin' cheese burger! Fuckin' cheese burger!」
(なんてヤツだ! 私にチーズバーガーを持って来て下さい! くそったれなチーズバーガーを!)
よく見れば、今ブルマの車のボンネットに、おそらくマク〇ナルドのものであろう紙袋が乗っている。
きっとこれは少年の持ち物で、先ほどの事故によってポーンと投げだしてしまい、車の方へ飛んで行ってしまったのだろう。
「I never be forgotten cheese burger! This is America! This is America!」
(私はチーズバーガーを決して忘れません! これぞアメリカです! これぞアメリカです!)
よく分からない怒声、よく分からない出来事、時折聞き取れるチーズバーガーという言葉。
そんな全てにポカ―ンとしている内に、少年が素早くこちらに近付いて来て、車の下に潜り込んだ。
「――――I asked you for a cheese burger!! Cheese burger is good!!」
(私はチーズバーガーについて貴方に訊ねました! チーズバーガーは良い物です!)
そして気合一閃――――車を投げ飛ばす。
信じられない事に、ブルマは車ごと10メートルも放り投げられ、ドガンと音を立てて地面に激突した後、ゴロゴロと転がる。
もちろん、乗っていた車はぶっ壊れ、窓は割れるわタイヤは外れるわのスクラップと化した。
「Come get some! I'll beat your ass french frie!」
(かかって来なさい! 私は貴方のケツを叩きます! このポテト女め!)
「こっ……こんにゃろーッ!!」
少年は棒のような物を構え、なにやらこちらを威嚇している様子。徹底抗戦の構えだ。
ブルマはワケが分からないまま、とにかく壊れた車の窓から顔を出し、即座にピストルの引き金を引く。
これは一応、護身用にと持ち歩いている物であったが、もう躊躇なく少年に向けて発砲した。
「Gun? Are you from Texas too?」
(あれっ、拳銃? 貴方もテキサスから来たのですか?)
「……は?」
するとどうだ。少年は何気ない仕草で
そもそも最初は自分に非があったのに、もう「ぶっ殺してやる!」とばかりに撃ってしまったブルマ(しかも子供に対して)は、つられてキョトンとしてしまう。
目の前の少年は、既に先ほどまでの構えを解いている。
そして、なんか嬉しそうな顔をしながら、トテトテこちらに歩いて来た。
「Hi! I'm “GOKU”. From Texas where a gun and a fist fly about」
(おっすオラ悟空! 銃と拳が飛び交う街、テキサスから来たぞ!)
小学校の低学年くらいの身長。ビヨンと前に飛び出たツンツン頭。手にしている如意棒。
そして赤青白という、
◆ ◆ ◆
「オラの家に来ますか? ブルマは同胞なので、ごちそうします」
そう嬉しそうに言われ、ブルマは彼の家に向かう事となった。
銃弾も効かないような相手と喧嘩したくは無いし、それは別に構わないのだが、未だに腑に落ちない気持ちでいる。
子供とはいえ、得も知れない相手だし。
「チーズバーガーを食べます。たくさん買うしたので、大丈夫と思います。
オラとブルマが分けます」
ちなみにだが、この
ブルマが困っているのを察してか、すぐにこちらの方で話すようになったのだ。
しかしながら、それはどこか
軽く訊いてみた所、「元々は普通に喋っていたけど、最近はずっとEnglishばかりだったので、少し忘れてしまっている」との事。
ついでに言えば、彼のEnglishはまだまだ未熟で、細かな文法や使い方など、おかしい部分が多々あるのだそうな。
ブルマはずっとこの国で育ってきた人なので、帰国子女やバイリンガルの苦労など、知る由も無い。
「というか……ずいぶん優しいのねアンタ? なんかイメージと違うわ。
さっきはあんなに乱暴だったのに。……力も常人離れしてるし」
「
先ほどの大暴れは、「チーズバーガーを盗られる!」と思い込み、ついやってしまったらしい。
本来の彼は、とても礼儀正しく、親切な子である事が窺えた。
つい先ほど会ったばかりで、しかも轢かれそうになったというのに、それを気にする事なく食事に招こうというのだから、言わずもがなである。
余談だが、GOKUにとってチーズバーガーとは、自身の好物というのみならず、本当に大切な物なのだそうだ。
いわく――――
これはアメリカ人の魂であり、
ブルマにはよく分からなかったが。
とりあえず、車がオシャカになってしまった事もあり、今ブルマはGOKUと並び、トテトテと山道を歩いている。
別に歩くのは不得意じゃないし、食事をご馳走してくれると言うのだから不満はないのだけれど、やはり色々と考えてしまう。
こんな辺境の山に、袋いっぱいのチーズバーガーを抱えた子供がいて、しかもこの子は今、一人で暮らいるのだという。ここの山頂にある家で、親御さんの庇護も無しにだ。
こうして何気ない雑談をしつつも、それを少し訝しんでしまうのは、仕方のない事だった。
「
弱い人は、
鉛玉と拳が飛び交う
さっきからチョイチョイ話に出てくるのだが……この“テキサス”というのは何だろう?
どこかの地名だというのは察しているのだが、ブルマはそれを一度も聞いた事が無く、ただ首を捻るばかりだ。
(なんか変なヤツ……。でもあのパワーは、役に立つかもね)
そう人知れず頷く。
悟空が機嫌良さげに前を歩いているのを良いことに、ブルマはなにやら悪い顔をしていた。
これ女の子の一人旅だし、冒険というのは危険が付き物。人手があるに越したことは無いし、コイツならボディガードに持ってこいかもしれない。
子供だから口で言い含めるのも楽そうだし? これは丁度良いかもしれないわね……、なんて事を考えていた。
「あら、ちいさなお家ね。
「はい、待っててほしいと思います。
ブルマのことを
やがて、のほほんと歩いて行く内に、二人はこじんまりした一軒家に到着。
GOKUはヒャッホーイと家の中に飛び込み、なにやらタンスの方に向かって、手を合わせ始めた。
「Hey grandpa! Fuckin' asshole woman came to our house!」
(じっちゃん! くそったれなケツ穴女 めんこい女の子が来たぞ!)
ブルマには分からない言葉だったが、「なんか褒められてるな~」という雰囲気は感じた。
それはともかくとして、家の前で手持ち無沙汰のブルマは、ふと家の中を覗き込んでみる。
見た所、この家は外見の通り、質素な家具しかない感じの、慎ましい住処であるようだった。
しかし、GOKUがいま手を合わせているタンスの方を見た時……、彼女は驚愕に目を見開いた。
「ああーーっ!! あったわ! ドラゴンボールだぁーーっ!!!!」
思わず出した叫び声が、小さな家中に響く。
そして突然の声にビックリしている彼にも構わず、ブルマは「きゃー!」とか言いながら、タンスの上に飾ってあるドラゴンボール(
「レーダーに映ってた通りだわ!
流石は私が作ったドラゴンレーダー! やっぱ天才ね!」
目を丸くしているGOKUもほったらかしで、キャーキャーと騒ぐ。
これはじっちゃんの形見です、触ってはいけません。そう窘める彼の言葉に耳を傾けるまでには、暫く時間を要した。
「形見ぃ? これを飾りか何かだと思ってるワケぇ?
しょーがない、君にも教えてあげちゃおっかな~」
「?」
そしてブルマは、腰のポシェットから二つのドラゴンボールを取り出し、GOKUに見せてやる。
それは、彼が持っている物と全く同じ形で、中心に浮かんでいる星の数だけが、違っているようだった。
「これはドラゴンボールっていう、とってもすんごい物なの!
たまたま私ん
そこから文献とかを調べてみたんだけどぉ~」
そうして始まる、ドラゴンボールについての説明。
長くなるので割愛するが、とにかく「七つ集めればどんな願いも叶う」という概要を、彼に詳しく説明していった。
「……という事でぇ! その四星球を譲って欲しいのと、アンタにもドラゴンボール探しを手伝って欲しいな~って、そう思ってるんだけど……。
でもさっきから聞いてると、なんかSONくんって、複雑な事情がありそうよね」
テーブルに着き、二人でもぐもぐとチーズバーガーを頬張る。ポテトやコーラと一緒に。
ブルマはありがたくご馳走になりながらも、その間ずーっと喋りっぱなしだ。
先ほどまではワチャワチャしてたけど、ようやく腰を落ち着ける事が出来たのだし、この際だからGOKUの事を、色々訊いてみる事にした。
「SONくんはまだ小さいのに、こんな山奥でひとり暮らしをしてる。
でもおじいさんとか先生とか、前は誰かと一緒だったのよね?
しかも君って、なんか“変な言葉”を使ってるし……。
まだ会ったばかりだし、ちょっと不躾ではあるんだケド……、よかったら私にSONくんの事、教えて貰えないかな?」
好奇心はある、ちょっとした打算も。
けれど、明らかに普通とは違うGOKUの事情に……。まだこんなにも幼く、そして心優しい子がひとりっきりで居るという事実に、彼女は心を痛めていた。
自分の家は、大きな会社を経営しているので、それなりに顔が効く。ある程度の社会的な力もある。
ゆえにもしかしたら、何かこの子の為にしてやれる事が、あるかもしれないと思った。
そんな優しい気持ちが表情に滲んでいたからこそ、GOKUは彼女を信用する事が出来た。
まぁ彼は子供だし、まだまだ警戒心という物を培えていない年頃ではあるが。それでもブルマの心遣いは、しっかりと感じ取っていた。
この人は“トモダチ”なんだと――――
「Roger that bitch! Listen to my bullshit!」
(よかろうアバズレ、俺のたわごとを聞け そんじゃあ話すぞブルマ!)
「ごめんSONくん、普通の言葉でお願い。
私わかんないし」
……
…………
……………………
◇ ◇ ◇
今から約2年ほど前のこと。
パオズ山付近を飛んでいた飛行機が、見たことも無いような“巨大な猿”がドシンドシンと闊歩しているのを、偶然にも発見した。
その飛行機は、この国の防衛軍が所持する、パトロール用の偵察機だった。
すぐさま無線連絡を受けた防衛軍は、後日その地域の調査を行うべく、大勢の科学者と兵士を派遣した。
結論から言えば、その偵察機が見たという巨大な生物は、いくら調査しても発見できずに終わる。
しかし、その代わりというワケでは無いが……、この地域に住んでいたと見られる、一人の幼い少年を発見したのだ。
科学者達のみならず、その場にいた兵士達でさえも、驚愕した。
何故ならば、見つかったその少年の臀部には、明らかに装飾の類では無いことが分かる、血の通った本物の“尻尾”が生えていたのだから。
とにもかくにも、ここはほとんど人が立ち寄ることも無という、秘境といっても差支えないような場所。山の山頂である。
兵士たちは少年を保護すべく、優しく声を掛けながら近寄っていったのが、当の本人から凄まじい抵抗を受けるという、想定外の目に合ってしまった。
しかも、この少年の身体能力は、正に
猿や獣などと言うような比喩は、この子には生ぬるい。
目にも止まらぬ速度で縦横無尽に逃げ回り、しかも木をへし折り、岩を砕きながら、もう手が付けられない程に暴れ狂っていたのだ。
当然、多くの者達がやられた。
この子が本物の獣とは違い、牙や爪といった武器を持っていなかった事が幸いし、重傷者などは出なかったものの……。それでもこの場にいる兵士の大半が、彼の手によってダウンする事となった。
しかもこの子は興奮状態にあり、どんな言葉をかけて諫めようとも、決してその動きを止めようとはしない。明らかにこちらを“敵”と認識しており、徹底的に交戦すると意思が伺えた。
とても手に追えず、手が付けられず、保護など到底無理だとして、科学者たちが退避の選択を決めようとした、その時……。
正に獅子奮迅の動きを見せる少年へ、ある一人の兵士が懸命に飛び掛かり、偶然にもその尻尾をギュッと掴む、という出来事が起こった。
決して諦めなかったのは、子供を守りたいという、固い意思ゆえだったのか。
その子の五体ではなく、たまたま尻尾を掴んでしまったのは、それがどこか掴みやすそうに見えたからなのか。
とにかくその兵士は、なんとかこの争いを収めるキッカケを作ろうと、必死になって少年の尻尾を掴んだのだ。
しかし、どうした事か。
結果的にそれが、この戦いを収めるキッカケではなく、少年を無力化する決定打になろうとは。
何故かはわからない。だが尻尾をぎゅっと握られたその途端、少年は「ふにゃ~」と声が聞こえてきそうな様子で、突然ヘニャヘニャと力が抜け、その場にへたりこんでしまった。
状況は分からなかったが、とにかく少年を抑えつけなければ。
その兵士は、防衛軍としての役目と意識を以って、咄嗟に身体を動かす。
そして、そのまま無事に少年を拘束。保護してやる事に成功したのだった。
後の調査と、本人に対する聞き取りによって、彼が“孫悟空”という名である事が判明した。
しかも聞く所によれば、彼はあの“孫悟飯”氏……並ぶもの無しと噂される高名な武術家の、身内であるという。
彼は赤ん坊の時、山に捨てられていた所を孫悟飯氏に拾われ、我が子として育てらた。
畑仕事や釣り、そして功夫の修行をしながら、ずっと二人で幸せに暮らしていたのだが……、つい最近になって、孫悟飯氏が死去。
それから悟空は、育ての親が残してくれた家や畑を守り、あの山でひとり暮らしていたらしい。
彼を保護し、山から帰還した防衛軍部隊は、とりあえず彼にあたたかい食事と寝床を与え、休息を取らせた。
聞き取りに応じてくれた事からも分かるように、今は彼の誤解もすっかり解けており、こちらの事を悪者……いや“あの大猿の仲間”だとは、もう思っていないようだった。
もしかしたら、食事を与えた効果により、まるで動物のように「こいつらは良いヤツだ!」と認識してくれたのかもしれない。
よって、基地に連れられても無暗に暴れたりせず、とても穏やかな良い子でいてくれたのだった。
「オーウ! この子が例のファンキー・モンキー・ベイベーね?
トテモ良イ目ヲ、シテイル!」
それから少しばかりの日々が流れた頃――――
悟空は天涯孤独の身として、孤児院で暮らしていたのだが、そこにある一番広い部屋で、友達と一緒にスマブラをやっていた時に、突然ある人物が姿を現した。
あの防衛軍の兵士たちから、悟空の話を聞きつけて、ここにやって来たのだという。
「オッス! オラ悟空! おめぇずいぶん背ぇ高ぇなー!
オラこんなノッポのヤツ、見たの初めてだぞぉ~」
「HAHAHA☆ ワタシも自分より背が高い者は、見た事ありませんネー!
この背丈と長いリーチこそが、ワタシの武器なのデース!」
恐らく2メートルをゆうに超える身長。
それを更に高く見せる、丸っこくてソウルフルなアフロヘアー。
浅黒い肌に、黒いサングラス。
そして、上はダボダボの長袖シャツを着ているのに、なぜか下は生足全開の短パン姿という、中々に異様な出で立ちの男――――
物怖じしない性格の悟空であるからこそ、普通に話してはいるが……きっと普通の人が見たら「ひえーっ!」と逃げ出しかねない程の、いわゆる“変な外人”である。
だが彼は、とても朗らかに「HAHAHA☆」と笑いながら、フランクに悟空と接しているように見える。
いかつい見た目ではあるけれど、すごく優しい人である事を、悟空は感じ取っていた。
「ワタシの名は“ハキム”。
悟空、貴方に会いにきましタ。
ワタシと共に、
この邂逅が、悟空にとって運命の出会いとなった。
彼は一目で悟空のことを気に入り、その日のうちに悟空を引き取ることを決め、自分の家へ連れ帰ったのだ。
銃と拳が飛び交う土地、テキサスへと――――
「ワタシは拳法家。“アメリカン拳法”の師範代デース。
悟空もお父上から
なら是非アメリカン拳法をやってみませんカ?
きっと貴方なら、良い拳士になれマース!」
彼はテキサス発祥とされる謎のマーシャルアーツ、“アメリカン拳法”の使い手であった。
ちなみに高名な武術家である孫悟飯氏とも親交があり、悟空のことも聞き及んでいたという。
彼は孫悟飯氏の死に心を痛めており、残された悟空のことを不憫に想い、その身を案じていた。多くの者達から尊敬を集める偉大な武術家であり、また素晴らしい人格者であった悟飯氏への恩義に報いるべく、悟空を引き取ることを決めたという経緯も、確かにあった。
けれど、悟空にアメリカン拳法を勧めたのは、純粋に彼の素質を見込んでの事だ。
この活発で元気な子であれば、きっと立派な拳士になれる。自身の愛するアメリカン拳法を、更なる高みへ押し上げることが出来る――――
そんな夢と期待を以って、悟空を自身の道場へ迎え入れる事を決めた。
アメリカン拳法の修行は厳しく、過酷で、その鍛錬法は他者から見れば常軌を逸した物ではあるが……、悟空は新たなる父ハキムと共に、一生懸命うち込んでいくのだった。
「GOKUサン、貴方はもっと、
「ふぁっくぅ? なんだそりゃ? 初めてきく言葉だぞぉー」
「ファックとは、この世で類を見ないほど多彩で、汎用性に富み、ありとあらゆる意味を内包する、素晴らしい言葉なのデース!
アメリカン拳士たるもの、10秒に一回くらい、事ある毎にファックと口走るのが、望ましいデース!」
「分かったぞハキム先生! オラもファックファック言うことにすっぞ!
アメリカン拳士だかんな!」
「それに加え、GOKUサンはもっと、
アメリカ人たるもの、もっと他者を見下さねばなりまセーン!」
「じんしゅさべつぅ? オラそれも聞いた事ねぇな~。
どうやれば良いんだハキム先生?」
「生まれや肌の色とか、そんなしょーもない事で、
馬鹿みたいな理由付けで、とにかく自分を上に置き、ひたすら相手を見下すのデース!
一見、こんなの相手の強さや価値や人間性とは、なんの関係もない事のように思えますが……、でもこうしてマウントを取る事により、“精神的優位”が得られマス!
――――こんな
こう何の根拠も無く信じることにより、戦う勇気が湧いてきマス! 自尊心が保てマス!」
「わかった! オラも人種差別すっぞ!
この
自分がアメリカに住んでいるという、ただそれだけの事で、自尊心を満たせるようになっぞ!」
そして武術の他にも、人生において大切なことは、全てこのハキムから学んだ。
アメリカ人としての考え方や、一般常識、しょーもない自尊心の保ち方など、色々なことを教えて貰った。
ちなみにこれは、門外不出たる“アメリカン拳法の奥義”である。
これらを記したジャパニーズちっくな秘伝書(巻物)も、ちゃんと存在していたりするのだ。無駄に。
「さぁいきますよGOKUサン!
――――Get me fuckin' cheese burger!」
「分かったぞ先生!
げっとみー! ふぁっきん! ちーずばーがー!」
「――――Fuck you cheese burger! Fuck you cheese burger!」
「ふぁっきゅーちーずばーがー! ふぁっきゅーちーずばーがー!」
「――――GURAKORO! TERIYAKI! Filet-O-Fish! Fuckin' cheese burger!」
「ごらころ! てりやき! ふぃれおふぃっしゅ! ふぁっきんちーずばーがー!」
「――――This is America! This is America! Fuckin' cheese burger!」
「でぃすいずあめりか! でぃすいずあめりか! ふぁっきんちーずばーがー!」
突きや蹴りを繰り出しながら、掛け声を叫ぶ。
これらは全て、アメリカン拳法独自の呼吸法から成る、気を高める為の言葉だ。
これを叫ぶことによって、アメリカン拳士の攻撃力は数倍にも跳ね上がり、また闘志も湧いてくる。
悟空がチーズバーガー大好きになったのも、この鍛錬による所が大きい。
Fuckin' cheese burger!
「GOKUサン、見事デース。
もうワタシが教えることは、何もありまセーン」
「Thank you Master! I'm glad!」
(ありがとな先生! オラうれしいぞ!)
そして、ハキムと共に暮らして暫く経った後……悟空はアメリカン拳法の“免許皆伝”を言い渡されるに至る。
彼の類まれな実力と、惜しみない努力の結晶だ。
「まさかアメリカン拳法の全奥義を、
子供の吸収力は凄いデース」
「American Kenpo is Easy! Not a big deal!」
(アメリカン拳法って簡単なんだな! 意外とてぇした事なかったぞ!)」
………………………………
……………………
…………
……
◆ ◆ ◆
「それからも、
「……」
「これからも
この力で
おっす、オラGOKU」
「……」
ジャンクな食事を終え、話を全て聞き終わったブルマの胸に、なにやら得も知れぬ感情が湧いた。
なによ、アメリカン拳法って。テキサス州って――――
この世界にそんな物があるなんて、一度も聞いた事がない。まだまだ世界は広いという事か。
「
なので、【子供を一人で外出させてはいけない】という法律があります。破ると親は逮捕です。
それは困るので、オラは
「そ、そう……。とりあえず
もしドラゴンボール探しの途中で、共産主義者を見つけたら、やっつけちゃっても良いし……」
「ホントですか? 行きたいと思います。
こうして二人は旅立った。
これから先、長きに渡る旅……胸ワクワクの摩訶不思議アドベンチャーへと。
ウーロンを見れば、「このブタ野郎め!」
牛魔王と会えば、「この
レッドリボン軍を見つければ、「おめぇら
ヤムチャにチーズバーガーをぶつけたら死ぬ。
こんな風に
Fuckin' cheese burger! This is America!
『どんな願いも、ひとつだけ叶えてやろう。
さぁ、願いを言え――――』
「この世から共産主義を撲滅してお~くれ!」
「SONくん?!?!」
~おしまい~
◆スペシャルサンクス◆
M Yさま♪
・元ネタ・セリフ参考
動画【Cheeseburger Josh at Whataburger in Texas】