【募】こんな小説を書けこの野郎【リクエスト】 作:hasegawa&friends
よく知らない言葉を、“なんとなく”で使っちゃう事って、あるよね?
みんな言ってるし、よく聞く言葉だから、自分も使おって。
それ言ってたら、とりあえず合わせられるし、とりま笑い取れるし。
だからよく知らなくても、詳しい事は何にも分かんなくても、あーし達はその言葉を使っちゃう。
マクってる時*1、サブってる時*2、LINEやネット掲示板や、家族や友人との会話の中で。
何にも考えずにアハハと笑いながら、まるで当たり前みたく、よく知らない言葉を使うの。ジョークみたくして。
例えば戦犯とか、飢餓とか、ジェノサイドとか、……シベリア送りとかを。
知った時、ビビる――――
今はべつに本なんて読まなくても、わざわざ調べようとかしなくても、ちょっと機会があればニュースサイトとか動画サイトとかで、簡単に情報が手に入るから。
ふとした瞬間に、自分が今まで使ってた言葉の
『戦犯は誰よ? 誰が一番悪いん?』
『もうマジ飢餓ってる。腹と背中が南アフリカだわ』
『超ジェノサイドw お前ポル・ポト派かよwww』
『シベリア送りされんぞw これマジありえんw』
でもこれは、そんな風にマック食べながら言っていい言葉でも、ましてやジョークで使うような言葉でも、無かった。
それを知らず、さも当たり前みたく使ってた自分に、怖くなった。
当たり前みたく普通に使ってる
でもあーしは、いつも笑って誤魔化す。
なんでもないみたいに、自分は何もやってないみたく。
「悪くなんてない。こんなの大した事ない」って、軽く受け流すんだ。
そして、もう3分もすれば、綺麗サッパリ忘れてしまう。
さっき、たしかに胸に刺さったハズの罪悪感を、真実っていう重さを、まるでへっちゃらみたく無かった事にする。
重みや、真面目、ホントのこと――――そんなのは全部
だってそんな物、ちっとも楽しくなんかないし、良い事なんて無いし、笑えもしない。
わざわざ好き好んで、辛い物と向き合った所で、バイブス上がんないでしょ?
あーし、“目を瞑る”のって得意。
もしかしたらコレ、いちばん得意かもしんない。ピアノやダンスよりも。
ずっと昔、それこそこーんなちっちゃい頃から、いつも親に言われるままに、お稽古や習いごとをしてきたからね。
いつも嫌なことや、なんか重たそうな事は、なんにも考えないようにしてるの。
全部ふふ~んって受け流しちゃえば良い。あの頃それが出来なかったから……あんなにも辛かったんだし。
目を瞑ろう――――楽しいことだけを思おう。
明るく、楽しく、綺麗な物だけを見よう。自分に気持ち良いことだけを想おう。
愛とか、夢とか、希望とか。恋や自由や友達のことを想おう。
あーしの周りには、こんなにも素敵な物が、たくさん溢れているんだから。
好き好んで辛いものを見たり、重い物を受け止めたりする必要なんて、どこにも無いんだから。
だから、目を瞑ろう? 見えなくしてしまおう?
嫌なことは、そうやって無くしちゃえば良いの。
ぜんぶ全部、考えないようにしちゃえば良いよ。
生きるのって、しんどいよね? ムカついたり辛かったりするよね?
なのに……何でリアルが辛いのに、わざわざしんどい事をするの? 心に良くない物を見るの?
歩いて行く為には、“喜び”が必要だよ。
がんばって生きてく為には……、優しさや綺麗なものが絶対いるんだよ。ぜったいに。
パーティをしよう。ウェーイって騒ごう。みんなでKP*3しようよ。
そうやってる内は、なんにも考えずに済むから。楽しさで心を満たせるから。
何事も、ノリを大切にいこうよ。
楽しんだモン勝ちって言葉もあるっしょ?
◆ ◆ ◆
「――――止まるなジュリ! 死ぬぞッ!!」
強い声。
タカの一喝が、白い意識の中で
「動け! 歩くんだジュリ! 止まったら駄目だッ!」
「……ぽよぃ?」
冷気で凍り付いた瞼を、必死こいて開く。
身体はもう、寒いとか痛いとかを通り越して、感覚を無くしてる。
いま自分は立っているのか、歩いてるのか止まってるのか、それすらワカランティ。
だけど、なんか声がした方向にぐぎぎ……って首を動かしてみたら、あーしの好きピ*4であるタカの顔が見えたので、マジAS*5する。
「ジュリ、肩つかまれし。
オレ中学までアマレスやってたし。超ヨユーだしw」
「けど、背負うのは拙い……。常に身体を動かしてないと。
僕らが分かるかジュリ? ちゃんと見えてるか?」
「うん……ワカッティング(承知していますよ)
ガチ見えてるし。二人ともあざまし」
イカンイカンと、犬みたく顔をフルフル。
まさか立ったまま、歩きながら眠っちゃうなんて、あーし一生の不覚。マジ末代までの恥だし。
「メンディーけど(とても面倒くさいですが)、歩くっきゃないっしょ?
あーし超おけまる。パリピの看板背負ってるし。まじオリハルコン」
「おぉ、やりおるマン(出来る人ですね)
ジュリ羽ばたいてんなwww(とても良い感じです)」
意味も無く「ぽよーい!」*6と叫び、ドシドシ歩いて行く。何もない雪の平原を。
あの寂れた港町……というのもマジおこがま! って感じの町を
ウチらは今、インキャデス兵の指揮の下、こうして目の前1メートルすら定かじゃない吹雪の中を、延々と行進させられ中。
あーしのきょコは*7は、マジ常夏なTシャツ&ボトムスときている。超きびつい。*8
しかも、歩いても歩いても何も見えてこない、馬鹿みたいに広大な土地。氷点下の寒冷地だ。
そんな場所を、どこまで続くのかワカランティ、どこに向かってるのかもシランティな状態で、もう数日もの間、延々と歩かされてるのだ。
途中、ちょっとでも列を乱したり、立ち止まったりすれば、容赦なくインキャ兵のグーパンが飛んで来るし。奴らはスタバ行ったり、トイレ行ったりをせん生き物っぽい。マジありえんてぃ!
なので、ウチらはまるで機械みたく、ただただ歩を進めていくしかナッシン。
もう目を開けてらんないくらい吹雪いてるし、身体が麻痺して動かしづらい。ちょっと油断したら思考もぼやけて来る。体力なんて初日で
歩かせるんなら、せめて防寒具くれし。トレンチコートよこせし。ってパリジェンヌかよ。
とりま流石のあーしも、これには萎えぽよピーナッツだ。やばばばば。*9
「そーいえばさ、“真夏のイヴ”って曲なかった? マリコの」
「歌手の永井真理子か?
いやマリコ呼びは無しだろう……。妙齢の女性だぞ?」
「いーじゃんマリコwww
オレ年上とか、超リスペクトしてっし。ありよりのありw
マリコまじ尊い(素敵じゃないですか)」
確かちょい昔の映画主題歌に、そんなタイトルの曲があった。
この雪景色、つか前さえ見えん吹雪の中に居るんだけど……、ふとあの曲のタイトルが頭に浮かんだの。
つか何でもいいから話でもしてないと、リアルガチで死んじゃうので、今バリバリに凍ってる顔の皮膚を無理やり動かし、ガクガク震えるアゴをガン無視しながら、なんとか喋ってく。
いつかふと耳にした、あの優しい曲のことを。
冬を待てないよ、二人でクリスマスをしよう――――もうサヨナラはいらない。
あーし超うろってるけど*10、確かそんな内容だった気がする。
とても切ないけど、素敵な曲……。胸がキュってするような(エモい)
「今こよみ的には、9月の頭っしょ?
これウチらにピッタリじゃん、って」
「氷の大地で、季節外れのクリパ……か。
そいつはバイブス上がるなぁ」
「たかし(確かに)。しかもここ外国だぜ? あげみざわ(とても気分が高揚します)
パリピのクリパ見せてやろうぜ!w まじインターネットwww」
「それインターナショナルじゃね? 違くね?」
その後、一定の間隔でやってるっぽい“点呼”の時間があり、ウチらは全員インキャ兵にグーパンされた。どうやらウチらの人数が減ってたらしく、逃亡兵が出たことでの連帯責任だった。
もう口ん中、超切れてるし。あーし乙女なのに、ボッコォ顔面なぐられーしょん。酷くない?
まぁぶっちゃけ……寒さにやられて行き倒れた人もいたし、あーしさっき歩いてる道中で、なんかフラフラと列から離れていくヤツがいるの、気付いてたけどね。
ちょい止まれし! そっちの道違くね!? みたく声を出す気力なかったから、もう背中見てるしか無かったんだけど……。
まぁ別に、やりたいようにすれば良いし? こんな場所で誰かの言うこと聞くなんて、まっぴらゴメンだろうし。ちゃんと逃げ出せたんなら、それはそれでって思う。
アンタのお蔭で、あーしグーパンされちゃったけど、それくらい許したげても良いよ?
パリピイエロー、マジ
まぁ今は身体がアレだけど……ウチらもどっかのタイミングで、上手くやるつもりだし。
アンタの方も元気でねって感じ。おさらばです同胞! おつかれーしょん☆
「馬鹿なヤツだ……、日本に帰れるワケでも無いのに」
けれど……ボソリと。
列にいたほかピ*11の、吐き捨てるような声。
「逃げた所で……、こんなただっ広い寒冷地で、一体どうするってんだ?
雪に飲み込まれて死ぬだけ。
◆ ◆ ◆
「■■■ッ! ▲▲▲ッ!!」
それから(多分)一日くらい経った時、隊列を牽引してたインキャ兵が、停止の指示を出した。
ウチらはこれまで、行く先々で農場だの畑だのを見つけては、そこから全員で食べ物を拝借しては、吹雪の中えっちらおっちら歩いて来たんだけど……、長かったこの雪の行進も、ようやく
ちな*12、食べ物といっても小汚いジャガイモとかを、勝手に畑から掘り返して、一個くらい食べただけ。
煮たり焼いたりもせず、まだ洗ってもいないソレを、土ごとゴリゴリ齧って食べた。
あーし発見したんだけど、寒いとか眠いとかの気持ちがおっきすぎると、もうグーペコとかの他の欲求って、
この行進の間、「なんか食べてぃ~。ミスドのフレンチクルーラーほちぃ~」なんて感情、あーし一回も浮かんで来なかったもん。思考の中はただただ「眠たし。落ちそう」って言葉で埋めつくされてた。
まぁ流石に何か食べないと、この先もたないし、つらたんな身体に鞭うって、無理やり食べてたんだけどさ。
……でもここマジ氷点下だし、ジャガイモってほぼほぼ水分じゃん? もうデンプンという名の氷を食べてる感じだった。アレまじダイヤモンドだよ?
よくポンポン壊さなかったなーって、あーし自分の身体を褒めたもん。そしてこのバイブスに感謝。
まぁ同じもの食ってたハズのインキャ兵たちは、なんか全然へーきそうにガリガリいってたけど……アイツら一体どーなってんの?
なんか根本から身体の作り違うっぽい。冬仕様にチューンされとるのやもしれん。どーゆうピープルなのアンタら。
「なんだアレは……洞窟か?」
「そのワリには、なんか人の手が入ってるくせぇな。
いったい何に使うんだかw」
ウチらが辿り着いたのは、木で出来た塀に囲まれた、超小規模な村みたいな場所。
中にはいくつかの粗末なロッジ*13があって、そのすぐ近くには、大きな洞窟のような物がある。
入口には、なんか工事現場で見るような“掘るヤツ”が無造作に転がってて、たぶんトロッコの為なんだろうけど、レール的なのが敷いてあるのが見えた。
あーね~*14。とりまインキャデス共は、ウチらに土木作業させる気まんまんみたい……。
これには超レシーブ*15と言わざるを得ません。ウチら正義のヒーローなんですケド?
ないわー。ライダースジャケット着といてママチャリ乗ってる人くらい、ないわー。
「静粛にィ! 傾注ッ!!」
やがて、広場っぽいトコに並んでるウチらの前に、なんか偉いさん的な雰囲気を漂わせるオジサンが歩いて来た。
とてもおっきな、威圧感のある声で、ウチらと一緒の言葉を喋る。このひと
「ここが、本日より諸君らが入る事となる、収容所であるッ!
許可なく塀の外に出た者は、容赦なく射殺となる! 肝に銘じておけッ!!」
収容所? 冗談でしょ? こんな枯れ木がそこら中に伸び散らかした、ポツポツと小屋が建ってるだけの村が? ココ、そんな大そうな名前で呼ぶような場所じゃないっしょ?
それに、
ウチら罪人じゃないよ。平和の為に戦ってたヒーローだよ? がんばってたじゃん。
何にも悪い事してないのに、なんで収容されんの?
この一瞬で、いくつもいくつも頭に「?」が浮かぶ。
「コイツ……捕虜か?
僕らより先に捕まり、ここで働かされてるのか……?」
「だったら良いが、なんかアイツ、恰幅よさげじゃね?
こんな場所で、ガチョウみたく丸々と太りやがって……。
まっ!
この人だけじゃない、今ウチらの周りには、肌ツヤがよくて綺麗な軍服を着た人達が、取り囲むようにしてこちらを監視してる。その手に怖そうなライフル銃を持って。
しかも、全員が
頭がクラクラする。出来るんなら「ありえんてぃ!」とか言って、後ろにひっくり返りたい。そのまま気絶しちゃいたかった。
いま目にしている光景を、受け入れたくない――――
「ジュリ、物は考えようだ。相手が人間であるなら……つけ入る隙が出来る」
「それなw 今まで言葉も喋れねぇような奴らに、ずっと従わされてたろ?
なら通訳が来たと思えば良くね? マジありがたくてハゲるwww(感激です)」
「う、うん……ワカッティング。
あーしノープロだよ?」
小さな声で、
まだあーしの呼吸は収まらないし、頭ん中ぐぁんぐぁん揺れてるケド……、タカやリョウの声を聞いて、ようやく落ち着いてくる。
極寒。氷の大地――――
すべての命を凍らせ、あらゆる熱を雪と氷で奪い去っていく残酷なトコロ。そして、どこか物悲しい世界。
そんな場所で、あーしのズッ友たちの言葉は、何よりもあったかく響く。
なんでみんな、こんなにも優しいんだろ? なんでこんな明るく、強くいられるんだろう?
おんなじパリピ、同じ陽キャナンジャーなのに、あーしは二人に感謝してばかりだ。
この二人が支えてくれてるから、いつも傍にいてくれるから、あーしはおけまる。
いつだって、羽ばたいていける*16、って思う。マジ最&高。
◆ ◆ ◆
「さぶいーーっ! ちぬぅーーっ!! もうダメぇーーっ!!」
でも即折れしたあーしの叫びが、収容所の広場に木霊した。
「ちゃぶい! ちゃっぷいちゃっぷい!
ありえんてぃ……、超MMC……(マジむかつくし殺します)、さげぽよ……」
今あーしは、見たこともないようなおっきいノコギリを駆使して、木をゴリゴリやっている所。
超合金かよ!? おめぇ樹齢何年よ!? みたいな木々を、申し訳ないけど切り倒してる最中だ。つらたん。
「こんないっぱい歩いて来たのに、休憩もナッシン?!
どーなってんの此処の人! あの日の貴方に戻って! ……知らんけども!」
あの恰幅のよいオジサンに「これより班分担して、整備作業開始ッ!」と言われた時は、自分の耳を疑ったほどだ。ショッキングピーポーマックス!
あーしバイトとかした事ないけど、ぜったいコレ労働基準法とかガン無視してる。人間の尊厳にツバ吐いてる。
「うおぉぉ~~っ! パリパリパリパリッ……!!」*17
けれど、ブリキみたくなった身体を、懸命に動かす。渾身の力を込める。……そうしなきゃ寒くて死んじゃうし。
敷地内にわんさか生え散らかしてる枯れ木を、お化けノコギリでどんどん伐採してく。
これがいわゆる“整備”ってヤツなんだろうけど……そんなのウチらが来る前にやっとけし! もてなせし! と思わない事もない。
さっき通りすがりの
もっと頑張りなよ! 諦めんなよ! って感じだった。
「うぃーーしょい! うぃーーしょい!
こんのぉ~う! 陽キャなめんなし! パリピなめんなし! 全然おけだし!」
「おー、ぱねぇなジュリw マジ神ってんなwww」
「あぁ、大したもんだ。僕らのイエローは」
ノコで切り倒しては、地面をボコッと掘り返して、切り株を抜く。その繰り返し。
どれほど動こうが、氷点下過ぎてちっとも身体あったまらない……、けどやるしかなくね?
「ちょ……! なにサボッティング?!?!(怠けてはいけません)
アンタら働けし! 動けし!
ほらこれ切っといたよっ! ジャンジャン持ってけし! 秒で!(すぐお願いします)」
「かしこーw(かしこまりました) さぁて、いっちょやったるマン!
オレ超フッ軽だし(フットワーク軽いですし)、速攻エンドるぞ?www」
「YMだな(やる気まんまんですね)、その調子だジュリ。
僕らも見習うとするよ」
のほほんとこちらを眺めてた二人を、ガーッと一喝。
もう寒いし辛いし、あーしは
今タカとかは、手の平を怪我しちゃってるし、ホントは作業なんてして欲しくないんだけど……、ダラダラしてたらグーパン飛んで来るからね。今はしゃーないの。
あーしがゴリゴリ切りまくった木を、二人が肩に担いで持って行く。
それは向こうの方で、ウチらの住居となる建物の為に使われる。ようは今、家作りをおこなってるのだ。
元々ここにあった建物なんて、もう粗末すぎて住めた物じゃない。数もぜんぜん足らないしね。
だからこれ終わんないと、ウチら今日、マジで寝るトコ無いらしいし……。きびつい*18からってサボッティングしたら、エライ事になっちゃうよ。ガチ絶死。
「あー、これもしかして、テントの布?
これ屋根に使うんだぁ~」
「そうだ。丸太はともかく、板を準備するのまでは無理だからな。
今は骨組みだけ作っといて、これを布として被せるんだ」
ウチらの班10人がかり。家はみるみる内に出来上がっていく。
床とか剥き出しの土だし、そんな広い建物でも無いけど……、でもこうして皆で何かを作り上げるのは、いつだって楽しいし、充実感がある。(身体ボッコボコだけどね)
「場所なんて関係ない。どこだって良いんだ。
――――僕らはパリピ戦隊、陽キャナンジャー。
今いる場所を、最&高にしてけば良い。ここが僕らのパーティ会場なのさ」
「わかりみw リーダーだいしてる♪(大好きですし、愛してます)
オレが女だったら、絶対ほっとかねぇわコイツw きゅんですwww(ときめきます)」
「パない!
つかハルのカレピッピでしょ!? 盗んなし!」
白一色の吹雪の中、三人で笑い合う。
どんな場所も、天国にしちゃえば良い――――それがウチらパリピの本領。
気合を入れて、バイブス上げて、いつだって楽しく。
たとえそれが、どんな状況であっても。
まぁ、とりま三人で「ウェーイ☆」とかやってたら、歩哨の人きてボカスカに殴られたよ。
これも良い思い出になるといいな。
◆ ◆ ◆
次の日から、ウチらの仕事は主に“坑道堀り”になった。
あの来る時にチラ見したおっきな洞穴は、案の定あーしの仕事場になった。
――――あかん、身体動かん。おきれんてぃ。
連日の行進で痛めつけられた身体は、一晩眠ったくらいじゃ回復しない。それどころか、中途半端に休ませたせいで、前よりさらにポンコツになった。
これまでは麻痺してた痛みや疲れが、ぜんぶ表面化したんだと思う。
ガクッと、お米の袋を何個も背負ってるみたく、明らかに身体が重たいの。
有り体にいって、ウチらが頑張って作ったお家は、あまり良い物とは言えなかった。
貧乏な家とかである隙間風どころか、もう四方八方から雪が入り込んできて、布で塞いでる上からも落ちて来る。とうぜん部屋の中は鬼寒い。床だって地面むき出しだ。
とてもじゃないけど、支給されたうっすい毛布一枚じゃ、大事な自分の体温を守ることなんて、出来はしなかった。
ご飯として出されたのは、雑穀が混ざってる感じの、固い黒パンひと切れ。そして具なんかロクに見当たらない、お湯よりちょっとマシ系のスープを、コーピーカップ一杯分ほど。
美味しくもないし、こんなんで力でるワケない。このなんにも無い氷の世界では、ビタミンやタンパク質すらも遭難しちゃったみたい。
そんなこんなで、みんなフラッフラな身体のまま、坑道に赴いた。
例によって、あの軍服着たオジサン達にコツキまわされながら、無理やりキッチリ列で歩かされた。
これまで正義のため、地球のみんなの為にって戦ってたウチらは、今もうオジサン達の気分次第でボコボコ殴られるような存在。
成す術もなく、ただ無気力にそれを受け入れるだけの存在。
それを思うと、胸がキュッとなった。
まだかろうじてあーしの中に残ってる“熱”が、こんな自分達の姿を「哀れだ」と感じさせた。
「なにココ……。
ねぇ、本当にこんなトコ入るの……?」
列の先頭の人が持つ、たった一個のランタン。
そのちっちゃくて頼りない光を頼りに、坑道を歩いた。
人の手で作った洞窟は、ちんまいあーしの身体ですら窮屈。何回も岩肌にぶつけ、肩や顔に傷を作りながら進まなきゃいけなかった。
暗かった。そしてとんでもなく深かった。どこまで続いてるのかを考えたら、不安な気持ちで一杯になっちゃうくらい。不気味だった。
まるでアリの巣みたく、それは
決して列を乱さないよう、遅れちゃわないように必死で歩いた。
こんなワケわからん異国に連れて来られ、しかもここは“こわたん”な坑道のドン詰まり。うしろには銃もった軍服オジサンが、怖い目でウチらを監視してる。
もうここから外に出ることは、簡単じゃない。
逃げ出すとか、日本に帰るとか、そんなのここでは
……どうやるのソレ? いったい何したら良いの? 誰かおしえてよ。
こんな動かすだけでギシギシいうほど疲弊した、ロクに防寒具すら着てないような身体で、いったい何が出来るの?
ここ寒冷地だよ? マイナス何十度の世界だよ? 木も草も土も風も、ぜんぶ凍ってるんだよ?
たとえ100キロ歩いたって、まわりには何もない所なんだよ?
スマホも貴重品も、ぜんぶ取り上げられた。お金も通信手段も、体力だって無い。
きっとこの環境じゃ、それずっと回復しないよ!
だってごはんも、服も、清潔さも、満足な休息すら無いじゃんか!!
――――どうやってここから出るの? どうやって逃げたら?
もうウチら、
突然あーしの心に“恐怖”が襲い掛かった。
倒れたい、地面に膝を付きたくなる衝動が、身体中を突き抜けた。
それを必死に振り払うように、ツルハシを握る。
この現実と重ね合わせ、それを壊しちゃうつもりで、岩肌に振り下ろす。
「■■■ッ!! ▲▲▲▲ッ……!!」
激が飛ぶ。すぐ横の方で、仲間が
それすらも必死で振り払う。無心でツルハシを振るう。ロクに残ってない体力で力一杯。
見たくないもん――――考えたくないもん。こんなの。
だから動く。身体を動かす。頭を真っ白にして。
マメが潰れ、手から血が滲んでる。どんどんあーしのツルハシが、赤く染まってく。
熱い……あついよ……頭がポーっとするよ……。
外はあんなにも寒かったのに、ここはまるでサウナみたい。
地熱なのか、人間の熱なのか、はたまたあーしが風邪ひいたのかは分かんないけど、ここは酷く熱い。喉がカラカラに渇く。
平衡感覚を失い、自分が立ってるのかも、何してるのかすらも、分からなくなる。
夢の中みたい。ここは洞窟の中なのに、目の前がぜんぶ真っ白になってる――――
あーしがもう、あーしじゃ無いみたく、なってるの。
「おいトコッロだ! 乗せろ乗せろ!」
「ほら押せぇーッ! 押せ押せ押せぇーーッ!!」
時折、この場にガラガラとトロッコがやって来る。その度にみんなツルハシを置いて、掘った石をそれに詰め込んでいく。数人がかりで出口まで押し戻す。
それが、いい緩急になった。
延々と、まるでずっと続くかのような時間の中、そのガラガラという煩い音が、あーしをこの場に繋ぎとめた。
それがあるからこそ、定期的に現実に引き戻され、あーしの意識はどこかに飛んで行かずに済む。この世界に踏み止まる事が出来る。
やがて時が経ち、もうそんな物がある事すらも忘れてた“作業終了時刻”が来た時には、あーしはズタボロになってた。
服も、髪も、手も顔も、身体中が真っ黒になってて、外で水洗いでもしなきゃ、家の中にも入れない状態。
たった半日の間だったのに、改めてそれを思い出す、生きている事すらを許さない冷気。美しさとは裏腹な、雪の残酷な感触。
その中で、みんな死んだ目のまんま、崩れ落ちそうになる身体を必死に支えつつ、真水で服と身体を洗った。
◆ ◆ ◆
「うぅ~。またご飯こんだけスかぁ……。さげぽよ……」
炭鉱掘りは、次の日も、また次の日も続いた。
「黒パンとスープばっかじゃんか……。
ちゃんとしたモノ食べて無いじゃんか……。
どんだけ貧乏なのインキャ帝国……」
そう愚痴りながら、テーブルに着く。
ここは一応、曲がりなりにも“食堂”の体裁だけは整った、この所内でいちばん大きな建物である。
外や自分達の小屋とは違い、ちょっとしたストーブも置いてある場所なので、多少は元気も出てくるんだけど……、出されたご飯は今日もこの有様。しょんぼり沈殿丸なのだ。
まぁぶっちゃけ、ご飯くれないのって「おめぇに食わせる飯はねぇ!」みたいな事なんだろうけど……。考えたら悲しくなってくるので止める。いま貴重なリラックスタイム。
「ジュリ、体調はどうだ? どっかおかしくしてないか?」
「ん、ノープロ。タカこそ怪我だいじょび?
また医務室から包帯ゲトってこよっか?(入手して来て差し上げましょうか?)」
タカはこの地にやって来た時、手の平を大怪我しちゃったので、とても心配。
一応はここでも作業を分担してて、タカは比較的だけど、怪我の影響が出ないような仕事に回されてるそうなんだけど……。まぁインキャ帝国のやる事だからなぁ。あんま信用はNG。ちゃんと気を配ってないと。
彼は柔らかい笑みで「問題ないさ」と返す。
そりゃハルもきゅんするわって感じの、まさにイケメンスマイル。
そんな風に、誰彼かまわずそんな事してるから、いつもOBT*19してるから、ハルがやきもきオロオロしてるワケなんだけど、まぁ今は言うまい。ご飯マズいけどうまい(ライム)
「あーいてて!w オレもうマジ粉砕骨折! やばばばば!www
誰がぬくもり的なヤツをオレに」
「
マッチョは外で乾布摩擦しとけし。パチこくなし(嘘はいけませんよ)」
「この扱いwww 辛辣www」
ちなみにリョウは、ちょい前にやった身体検査みたいなので“甲”の評価が付き、めっちゃ重労働させられてるハズなんだけど……、いつもこんな感じでいる。元気爆発ガンバルガー。
同じ人間なのにズルくない? って思うから、コイツにはちょい強めに言うことにしてる。なんかそれすると、みょ~に嬉しそうな顔でニコーッとしよるから、別に改める必要ないと思うし。
……Mさんなの君?
「いま考えてる。
どうにか出来ないかって、二人で探ってる所だから……もうちょい辛抱してくれ」
「ジュリ、なんかあったら言えし。
何かしようとする前に、まずはオレらに相談すんだぞ?
ワカッティングよな、BFF?(ベスト・フレンド・フォーエバー)」
「うん……もし何かあったら、秒で言うね?
あざまし」
翌朝も、その翌朝も、あーしは坑道で働いた。
真っ暗の中、不安や恐怖を振り切るようにして、ツルハシを握ってた。
「ごほっ……! ごほっ! ごほっ!!」
ふと、隣から聞こえた声に、意識を戻す。
あーしはガチガチに固まってる手を解き、いったん得物を置いてから、声のした方に駆け寄った。
「ちょい! だいじょびカナちゃん? ノープロ?」
「あ……ジュリちゃん。
ごめんね、だいじょうぶだよ♪」
蹲ってる背中をさすり、声をかけてやる。
この子はカナちゃんといって、あーしとは他の戦隊ヒロインやってる、ガーリーな女の子。
きっとロリータドレスとか似合う、小動物系のカワイイ子である。
「立てる? ツルハシ持てる? おっぱい触っていい?」
「おっぱいは今ヤだけど……立てるよ?
心配しないで、ジュリちゃん♪」
おっきいんだよねぇ……。そんなロリータ・フェイスしてるのにさ。
きっとフィギュアとか作られてると思う。服とかパンツとか脱着できるタイプのヤツ、量産されてると思う。……抱きしめてぇなぁ
ちな、この子もあーしとおんなじ日に、この収容所に来た。
雪の行進の時も一緒だったし、ウチらの家でも隣で寝てたりする。おんなじ女の子だしね。
まぁあの行進の時は、話とかする余裕なかったけど、顔はしっかり憶えてたの。
メッチャもきゅい子いるし!*20 パない! って。
「う゛ぐッ! ごほっ……! ごほっ……!!」
「ダメじゃんか! ちょい休めしカナちゃんっ!
ほら、あーしの影に隠れて? アイツらに見えないように、座れし」
秒で肩を支え、腰を下ろさせてやる。
でもカナちゃん、必死に首を「いやいやっ!」って振ってる。こんなにも力の入ってない身体で。
「だ……ダメだよ。わたしだけじゃない、みんな頑張ってるのに……。
じぶんだけ、休んだりなんか……」
どれだけ諫めても、立とうとするのを止めない。ツルハシを手放そうとしない。
なんで意地を張るの? なんで頑張ろうとかするの? あーしには理解出来ずにいる。
これ戦いじゃないよ。世界とかみんなを守るヤツじゃない。
言ってたもん、あーし聞いたもん。ここは“流刑地”だって。
罪を犯した人や、政治犯とかが送られる場所なの。だからウチらの他にも、同じインキャデスの労働者が交じってるんだよ――――
こんなトコで頑張ったって、意地はったって、良い事なんてない。
違うよカナちゃん……。ここウチらの戦場じゃないよ……。
命を懸けるべき場所じゃない。信念や想いを貫く場所じゃない。
ウチらはもう
「……ありがと、ジュリちゃんはやさしいね♪
最初みた時は、怖い人なのかと思った……。
愛とかじゃなく、強さや力ばっかりの人かなって。
でもね、すぐ違うって分かった――――」
◆ ◆ ◆
翌朝、カナちゃん死んでた。
ロクに仕事をしないお日様が昇っても、布団から起き上がることが、出来なかった。
「…………」
彼女の顔を、見てた。
やつれて、まっくろで、目元に涙の跡が残ってるカナちゃんの顔を、暫く眺めてた。
昨日、作業が終わった後……、カナちゃんはご飯を食べられなかった。
もう何日も、食べてなかったんだと思う。きっと身体が受け付けなかったんだろう。
それを見た周りの連中が、食わないなら寄こせとか言って、デリカシーもなく何人か群がってた。あーし追っ払ってやったけど、カナちゃんはずっと力なく下を向くばかりで、結局パンに手を付けることは無かった。
どんなに粗末で、少ない食事だったとしても、ここでは食べないといけない。
そうじゃないと、もたない。
生きることが、出来なくなる。
――――ならん! 一人休めば、他に分担が増えるッ!
これは、あーしが軍服さんに、カナちゃんの体調不良を伝えに行った時、言われた言葉。
昨日、ようやくインキャ帝国側から、防寒具の支給があっただろう。それで何とかしろって、意味ワカランティなこと言われた。
なんで服着てたら、身体悪くても働けると思うのか。
なんでその高そうな椅子から腰を上げて、一目でもカナちゃんの様子を確認しに行かないのか。
どれだけ考えても、あーしには分からない。今まで何にも考えてこなかったからかな?
こいつマジ話にならん、明日になったらインキャ兵とっ捕まえて、ボディランゲージでも何でもする。カナちゃんの容態を診てもらう。
ぜったいそうするって、心に決めてたのに……。カナちゃんの身体は、それまで持たなかった。
カナちゃんに、“明日”なんてものは、無かった――――
『衛生兵に聞き、コイツを別の部屋へと運ぶべし。
その前には、衣服や下着などを、すべて脱衣させておけ』
カナちゃん死んだよ? そう丁寧語つかって報告したら、すぐにあの軍服さんは、あーしに指示を出した。なんの感情もないような顔で。
脱衣とは、服を脱がせる事ですよね? 私にカナちゃんの服を、剥ぎ取れという事ですか? ってコイツに聞き返した。
『貴重な衣服を着させといて、何とする?
その後、医務室に行って、衛生兵さんと話した。
場所を訊き、さっきあーしの手で裸にしたカナちゃんを、担架で“霊安室”に運んだ。
ここは、そんな御大層な名前とはかけ離れた、ただのオンボロ小屋だ。
壁は穴ボコだらけで、所々に雪が積もってるような場所。こんなトコじゃ何にも使えないから、適当に霊安室にしたんだろうと思う。
もうすでに、何人かの遺体が並んでた。素っ裸にされた、死んだ人達の身体が。
そのどれもが、ガリガリに痩せこけ、ハッキリ形が分かるくらい肋骨も浮いてて、触ったら折れちゃいそうに見えた。
各自、その枕元には、見たこと無いくらいに汚くて小さなオニギリが、ポツンとひとつだけ添えられてあった。
カナちゃんをこんなトコに置いといて、何とする?
そう思ったけど、これはあちら側の都合なのだそうだ。
今日一日ここに置いといて、明日まとめて埋葬させる予定だ、みたく衛生兵は言ってた。
もちろん、ソレやるのは、ウチらの仕事だった。
「…………」
ゴロンて、音が鳴った。
おっきな石とか、固くて重い物を転がした時みたいな。
あの場所で、ずっと冷気に晒され続けて、ガチガチに凍ったカナちゃんの遺体を、穴に放り込んだ音。
それがこの場の空気を揺らし、小さく響いた。
凍ってたのは、カナちゃんの遺体だけじゃない。ここの地面もだ。
さっきウチらは、ロクにツルハシも通らないほど固い土を、焚火の炎でゆっくり融かしながら、必死で穴を掘った。
でも、深くは掘れなかった。カナちゃんの身体がギリギリ隠れるくらいの穴しか、掘ってやれなかった。
それほど氷の大地は、固くて冷たくて……。
まるで、ここではお前らの力など通用しないと、そう言われているような気がした。
遺体を箱から出して、穴へ落とした。
こんな土地では箱さえ貴重だから、一緒に埋めるなどと、もったいない事は出来ん、と言われた。
――――かわいそうに。裸にされて、そのまま埋められるだなんて。
――――――こんな日本から遠く離れた土地で……。なんて不憫な。
――――――――無念だったでしょうに。寒かったでしょうに。ごめんなさいカナさん。
周りから、仲間達の声がする。
悔しそうに、泣きそうな声で、カナちゃんに語り掛けてるのが聞こえる。
あーしは、立ちすくんだまま。
穴に落とされ、虚ろな目でお空を見ているカナちゃんの顔を、ずっと見てた。
思うことはあるし、それは頭の中でグルグル渦巻いてる。たくさん沢山。
けれど、それを口に出すことが出来ない。
こんな目に合ったカナちゃんに、
あーしは、考えるのが苦手。
今まで何一つ、ちゃんと受け止めては来なかったから。
だから今、言葉が浮かばないのか。
こんな時、いったい何を思えば良いのかが、分からずにいるのか。
――――受け止めないから、見ないから、いつも「ふふん」って言って受け流すから。
だからあーしは、カナちゃんが死んでも、
『安い同情は嫌だ。そんなの吐き気がする』
自分だけ安全な場所から見下ろし、ただ自己満のために言う憐憫の言葉……。
そんなのカナちゃんに言えない、友達にそんな事できないって、そう思ったのよ。
けど――――その
カッコつけて黙ってただけじゃんか。この
軍服さんに「早く現場に戻れ」とか言われて、適当に土かぶせてから、お墓を立ち去った。
あんなにいい子だったのに、仲良くしてくれたのに、この中であーし一人だけ、何もしなかった。
……ねぇ? 「怖くない、優しい」って、そう言ってくれたじゃんか?
なのに何であーし、カナちゃんに何も言ってあげなかったの――――
なんなのソレ? どういう事なのソレ?!?!
……ねぇ、あーし無理だよ。
出来ないよ“目を瞑る”とか。
だってさ? こんなのどうやって、
………
………………
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◆ ◆ ◆
「あの子……最後の食事もろくに摂れんと、逝ってしもうたんやなぁ……」
そんな小さな声が、向かい側の席から聞こえた。
「でもやぁ……、明日は我が身やで?
わたし等かて、もう何時ああなるんか、わからへんやんか。
……ほれ見てみ? もうガリガリやもん……。一体なんやねんなコレ。
こーんなほっそい身体で、ここで生きてけるかぁ?」
その声を余所に、黒パンを齧る。
何を思うでもなく。黙々と口を動かす。
こんな時でも、どんな事あっても……、人間お腹が空いたら、ごはん食べれるんだ。
それが出来なくなった子から、死んでいくよ?
此処では暖かさも、想いも、人の命も。
ぜんぶ氷点下に向かって、消えていく――――
(つづくし!)