【募】こんな小説を書けこの野郎【リクエスト】 作:hasegawa&friends
続きです。まだの方は前話からどうぞ!
「でな? そいつがベカリのスパイらしきヤツを、基地に連行して来たんだが……。
それ隣町で、飲み屋のねーちゃんやってる女だったんだよ」
ガヤガヤと煩い店内。
その音に負けじと、ばいきんまんが大きな声で語る。
「それで、よくよく調べてみたらな?
そいつ女にフラれた腹いせに、その人を『スパイだ!』って言い張ってたんだよ!
ちょ~っと問い詰めてやったら、もうわんわん泣き出してな!
この女が悪いんだぁ~! 俺のことブサイクって言いやがった~! うえーんって!
あーーっはっはっは!」
機嫌良さそうに酒を煽りながら、テーブルをバシバシ叩く。
こら傑作だ。抱腹絶倒だろう? そう言わんばかりの仕草だが……、残念ながら隣に座っているアンパンマンは、ニコリともしていない。ずっとブスっとしたままである。
「いやぁ~! モテない男ってゆーのは哀れだなぁ!
俺さまくらいになると、黙ってても向こうから寄って来るぞ?
……諦めなベイビー、俺さまは
所詮お前とは、住む世界が違うのだ……とか言ったりなんかして! がっはっは☆」
――――いや、君ってフェミニストだろう? いつも甲斐甲斐しく、ドキンちゃんのお世話してたじゃないか。まるで家政婦みたいに。
そうツッコミを入れたいアンパンマンだったが、結局は黙って話を聞くことに終始。酔っ払いをまともに相手しちゃいけないのだ。
彼は今日、ばいきんまんに連れられ、こうして場末の飲み屋へと足を運んでいた。
自分はパンだから、部屋でゆっくりしていたい、etc……、そんな彼の意思は全て無視されてしまい、無理やり手を引っ張られて連れて来られた。
そして来たら来たで、機嫌良さそうに喋るばいきんまんの馬鹿話に、延々と付き合わされる始末。何一つ楽しい事なんて無い。
しかもここは、荒くれ共のたまり場的な店であるらしく、もうそこら中から「ゴラァ!」だの「オラァ!」だのという声が、テーブルやガラスが粉砕する音と共に聞こえてくる。
有り体に言って、ろくなモンじゃなかった。
ばいきんまんが言うには、「たまには酒でも飲んで息抜きしろ!」との事だが……、一体この場所のどこに、リラックス出来る要素があると言うのだろう?
人間が壁と激突する音や、誰かが酒瓶で頭を殴られる音なんかを聴きつつ、アンパンマンはうむむと考える。
「まぁ正直、俺さまに寄って来るのは、
最近は、いつも戦ってくれてありがとう~とか、カッコいいです憧れます~とか、そんなちびっ子達からのファンレターばかり届くのだ……。
俺さまって元々、悪の代名詞だったハズなのに。どうしてこんな事に……」
――――そりゃ人気出るよ。空を飛んでる時のばいきんまん、とてもカッコいいもの。
そう言いかけるも、また言葉を飲み込む。彼を褒めて良かった試しなんて、一度も無いから。どうせ照れ隠しで怒鳴られてしまうのが、関の山である。
ちなみにだが、今ばいきんまんを始めとするエース達の活躍は、もう連日のようにTVや新聞を賑わしている。
あれだけ風前の灯に見えた戦況を、現在コムギィコ共和国は押し返しつつあるのだ。
ベカリ公国の侵攻に屈せず、次々に重要拠点を奪還し、国土を取り戻し始めていた。
その大きな要員となっているのが、コムギィコ共和国の“空戦の強さ”。ここヴァレー空軍基地が擁する、腕利きの
今やヴァレー基地の傭兵たちは、ちょっとした英雄扱いを受けている。
そりゃあ見た目がファニーな機体に乗ってるばいきんまん&アンパンマンに、ちびっ子人気が集中してしまうのも、仕方ない事と言えよう。
まぁ彼からしたら、とても複雑な心境だろうが。
「――――どっせいッ!! まぁそんな話はいいのだ。
おいアンパンマン! おまえ飲んでるのかぁ~?
さっきからグラスの中身が、1ミリも減ってないじゃないかぁ~!」
どこぞから吹っ飛んで来たらしき男を、気合一閃で殴り飛ばしながら、またばいきんまんがグイッと酒を煽る。
ちなみにだが、さっきこちらに飛んで来たのは“こてんぱんマン”という名の男。ヴァレー基地の同僚である。
弱いクセに気が強くて、しかも酒癖が悪いというおまけ付き。きっと誰かに喧嘩を吹っかけ、そして瞬殺されてこちらへぶっ飛んで来たんだろう。
まぁ彼らは特に気にしなかったが。何事も無かったかの如く、二人は会話を続ける。
「そういや、こうしてお前と飲むことって、今まで無かったよなぁ~。
あの頃はお互い子供だったし、ジャムおじさんも飲む方じゃなかったし……。
俺さま達が一緒に飲む機会なんて、あるワケないかぁ」
アンパンマンの手元にあるグラス。それを見つめながら、は~っとため息を吐く。
彼が握っているのは、オレンジジュースに申し訳程度のリキュールを入れた、ファジーネーブルというお酒。それをあたかも無人島にでも居るが如く、ゆっくりと時間をかけてチビチビ飲んでいるようだった。
特に味の感想を言うでもなく、そして酔っぱらうでもなく、ただただ“付き合い”としてここに居ることが、もうアリアリと見て取れた。
「それにお前はいつも、食事してる友人達を、ただ後ろで見守ってるだけ――――
難儀だなぁ、“食べ物の矜持”ってヤツは。
いったい何を楽しみに生きてるんだぁお前? 俺さま理解出来ないぞ……」
美味しい物も食わず、旨い酒も飲まない。
それは生き物としてどうなんだ? と疑問を投げ掛ける。
いくら「愛と勇気だけが友達」とか言ったって、もうちょいあっても良いだろうと、ばいきんまんは思う。
みんなが当たり前のように享受している、人生の喜び。幸せという物。
いったいお前は、その内の何割くらいを受け取ったんだ? どれだけの部分を自ら“放棄”してきたんだ?
みんなを守る役目とか、自分は食べ物だからという大義名分を以って、どれだけコイツは自分を犠牲にしてきたのだろう? 本来当たり前に貰えるハズだった物を、どれだけ捨てて来たというのだろう?
見ろよアンパンマン、自分の姿を。
お前いま――――
ヒーローを止め、こうして時代が流れた今、お前に残ったのは何だ? 何ひとつ残っちゃいないじゃないか。
お前は人に与えるばかり、人に尽くすばかりで、自分の為には何一つして来なかった。何も掴んで来なかったし、自らを育んでこなかった。
だから今、
部屋を出る理由も、何かを得たいという欲望も、誰かと接する意義も。
お前は何一つ持っちゃいない。何も求めないから、何も得られなかった。
空虚だけが残った。
過去にあった物が無くなり、そのぶん空いてしまったスペースだけが残った。
そんな
これが、あんなに頑張ってたお前の“末路”か。
死力を尽くし、精一杯戦った
認められるか――――そんな物。
暫し、グラスの中で波打つ酒の泡を見つめながら、ばいきんまんはごちる。
なら、コイツと戦った俺さまはどうなる?
一度は、手を放した。こんな腑抜けたお前を認められず、ひとり国を飛び出した。
けれど、どこに行こうが退屈は埋まらなかったし、帰って来ても状況は変わってなかった。
移り変わるのは、人と時代ばかり。俺さま達はずっと、あの頃のまんま止まってる。
二人っきり、氷みたく。俺さま達だけが、取り残されてる。
もう何十年も前の、楽しかった頃の思い出だけを、後ろばかり見てる。
だが……。
「ほいっ!」
突然、アンパンマンの前にトーン! と置かれるグラス。
それと同時に、ばいきんまんが茶色い液体で満たされたボトルを、ドーンとテーブルに叩きつけた。
いきなり響いた大きな音に、彼はキョトンと目を真ん丸にする。
対してばいきんまんの方は、なにやら「にぃや~!」っと笑みを浮かべている。とても楽し気に。
「知ってるぞ? お前
食べ物だって飲み物だって、お前は普通にイケるんだ。
必要ないから、あえて口にしないだけで」
いまアンパンマンの前に置かれたのは、“ラム”の入ったグラス。
彼が持っているカクテルもどきとは違い、もう飲めば喉が焼け付いてしまう程にアルコール度数の強い、ぶっちゃけ頭のおかしい飲み物であった。
それを自分のグラスにもトクトク注ぎながら、ばいきんまんが「~♪」と鼻歌を歌う。
「――――勝負だアンパンマン。今日は
パン作り勝負とか、日曜大工も良いけど、大人には大人のやり方ってゆーのがあるんだ♪」
自分勝手に〈チーン♪〉とグラスを合わせる。
一方的に行われた乾杯という名の宣戦布告に、またアンパンマンが目を丸し、ポカンと口を開けた。
「ん、どうしたのだ? アホみたいに呆けやがって。
まさかお前ともあろう者が、しっぽ巻いて逃げるのか?
ぼくお酒なんて飲めまちぇ~ん! ……てかぁ?」
片方の眉だけを上げる、挑発的な顔。
心底馬鹿にするかのような「くっくっく♪」という笑い声。
「まっ! それだったら無理にとは言わないがな~♪
俺さま、弱い者いじめは趣味じゃないしぃ~?
けど“悪党”からの勝負も受けられないんじゃ、ヒーローの看板は下ろさなきゃなぁ?」
「そーんな
その胸にある
あーーっはっはっは♪」
ニヤニヤ笑いながら、ゆっくりとグラスを傾ける。
アンパンマンの方を嫌らしく見つめながら、ひとり
あたかも「俺さまは違うけどな」とでも言わんばかりに。
「んじゃま! 明日からはその服を脱いで、近所の
そんでベースボール・キャップでも被ってろぉ~い!
そうやって鼻たらして泣いてりゃ、どこぞの正義の味方が、お前のピンチに駆けつk
――――ドンッッ!!!! と大きな音が鳴る。
ビクッと身体を震わせたばいきんまんが正面を見ると……、そこには見開いた目でこちらを睨んでいる、アンパンマンの姿があった。
一瞬でグイッとラムを飲み干し、グラスをテーブルに叩きつけた姿勢のまま。
「……お?」
ばいきんまんは、固まったままタラァ~っと冷や汗。
対してアンパンマンは、ただじーっと彼を睨み付けたまま、無言を貫いている。
さっきアルコール度数が60も70もあるような酒を、一息にあおっておきながら、微塵も表情を崩すこと無く。
久しく目にしていなかった、アンパンマンの“怒り”。
ようやく落ち着きを取り戻して、それを認めた時、ばいきんまんの口元がまた「にぃや~!」っと釣り上がった。
音でビックリさせられたという、情けなさも手伝ったのかもしれない。
「なんだァお前ェ……。その目は。
もしかして、この俺さまに喧嘩売ってるのかァ?」
ピクピクと頬をひくつかせ、楽し気に……、いや怒りを噛み殺すようにして笑う。
だがアンパンマンの方は、一貫して無言。その涼し気な表情が、とても癇に障った。
「温室育ちの、つぶあん野郎が……。ずいぶん偉くなったもんだなァお前。
もう誰も、代わりの顔なんか投げてくれないぞ?
いいのかオイ、アンパンよ。やれんのかァお前ェ……!?」
おでこをグリグリくっつけながら、睨み合う。
ばいきんまんとアンパンマンが、お互いに決して目を逸らすことなく、ガンを付け合っている。
関係ないが、とても珍しい光景だった。
「――――おいマスター!! ありったけのラム持ってこいッッ!!
店にあるヤツ全部だぁ~~ッ!!!!」
そうして始まる、酒場での馬鹿騒ぎ。
アンパン&ばいきんが、立ったまま交互にラムをあおり、それを取り囲んでいる酔っ払い共が、ヒューヒューと喧しく歓声を上げる。
「オイひきこもりパン! お前■▲●コラ※※※!!」
「……ッ! ……ッッ!」
もう呂律すら回っていないのに、ひたすらラムを注いでは、次々に飲み干していく。
身体もフラフラ。足元だっておぼつかない。それでも二人は手を止める事無く、ムキになって勝負を続行する。決して根を上げる事をしない。
「さ……さささ三人いるじゃないかお前ぇッ!
いつの間にぃ、カレーとしょくぱんを呼び寄せやがったんらぁ~!
前から思ってたけろぉ! 三人がかりは卑怯らろぉー!
それが正義のする事かぁ~っ! ばかぁ~~!!」
居ない。ただ彼には、アンパンマンが三人に見えているだけである。
言うまでもなく、お酒の飲みすぎによる前後不覚であった。
「何が『ぼくは飲めません』らぁ! お前とんでもない
今日からアルコールパンマンに改名しろぉ~! バカルディパンマンを名乗れぇ~!」*1
そんなの誰も食べない。子供人気がだだ下がりになってしまう。
関係ないけど、無駄に強そうな名前であった。なにやら新しい風が吹きそうな予感である。バカルディパンマン。
「このボケッ! 丸っこい頭しやがってぇ~!(※お互い様)
そろそろ倒れろよぉ~! こにょ野郎ぉ~~っ!
……お前っ、明日も仕事あるんらぞ? 分かってるのか
ももっ……もうどうするんらよコレぇ~~っ!」
返答の代わりに、知った事かとばかりにラムを飲み干す。
グイッと口元を拭い、睨み付けながらターンとグラスを置く。
その姿を見た途端、ばいきんまんが「あ~れぇ~!」とばかりにひっくり返る。もう絵に描いたような大の字。
「だ……ダメ。俺さま立てにゃい。
じ、地面はどっちら……? 俺さま今どーなってるんらぁ~?!
わー怖い怖い怖い!! わああああ!」
なんか手足をジタバタし、ワケの分からぬまま床で暴れている。目をグルグル回して。
その情けない負け様と、長きに渡る戦いの決着に、見ていた観客達からはワーワー大きな歓声が上がった。みんな馬鹿ばかりである。
――――ひっく☆
ずっと無表情だったアンパンマンの、可愛らしい
「くっそぉ……負けかぁ~!
これで631勝847敗、ってとこかぁ~?」
暫しの時が経ち、二人はカウンター席を離れ、落ち着けるテーブル席へ移っていた。
今ばいきんまんはグデ~っと突っ伏しながらも、ひいふうみいと指を折っている。
ちなみにこの数字は、彼らが“戦う以外”の事で勝負した時のスコアだ。
「スポーツだの、力勝負だのは分かるが、まさか酒まで強いとは……。
なんだぁ? 小豆や小麦粉には、アルコールの分解作用でもあるのかぁ?
そんなの俺さま、聞いた事ないよぉ……。ずるいよぉ……」
そして、ばいきんまんの隣に座り、ひたすら背中をさすってやっているのがアンパンマンである。
彼も心なしか、いつもよりはほんのり顔が赤い。だが調子を崩している素振りも無く、ずっとばいきんまんを介抱してやっていた。とても甲斐甲斐しくて、微笑ましい姿に見える。……さっきまでの様子を見ていなければ、の話だが。
「頭脳系は勝てるのだ……。パズルとか、クイズゲームとか。
手先も俺さまの方が器用だし、作る系の勝負なら、まず負けなかった。
だがお前は、
「余裕だと思ってても、そこから意外と喰い付かれる。
それで最後逆転される~みたいのも、結構あったよなぁ?
このスコアには、俺さまの勝負弱さが表れてる気がするぞ……。
情けないったらありゃしない……」
たとえば将棋やボードゲームのような、頭脳派であるばいきんまんの土俵で戦ったとしても、アンパンマンは最後の最後まで、決して土俵を割る事はなかった。
どれだけ劣勢になろうとも、勝負を投げない。いつもギリギリで耐え忍び、そしてたった一度のチャンスを手繰り寄せては、そこから逆転して見せる~という事もしばしば。
これはばいきんばんが甘いというよりも、彼の“気質”による物なのだろう。どんな状況でも諦める事なく戦うという、まさにヒーローの気質だった。
コイツとの勝負は、いつも燃える――――心の底から楽しみ、全力を以って挑める。
これはばいきんまんにとって、たとえどんな相手と戦ったとしても味わうことの出来ない、得難い充実感。アンパンマンと戦う時にだけ感じる物だった。
だからこそ彼は飽きることなく、毎日のようにパン工場に押し掛けては、様々な勝負を挑んでいたのだ。
まだお互いに子供だった頃は、それがばいきんまんにとっての生き甲斐だった。
今も鮮明に思い出せる、輝かしい時代の記憶だ――――
「でも、今日はもういいや……満足した。
ひじょーに遺憾ではあるが、今日は勝ちを譲ってやるぅ! ふーんだ!
……ま、今度はあれだ、大食いとかで勝負しよう。
お酒はのんびりに限るって、俺さま学んだよ……」
顔を突っ伏したままで、チーンとグラスを合わせる。
先ほどのような宣戦布告ではなく、「これで手打ちにしよう」という、仲直りの乾杯。
顔を伏せているが、きっと今、照れた表情をしているに違いなかった。
そんな彼らしい不器用な謝罪を、アンパンマンは表情を変えないまま、静かに受け取る。
「なーんかスッキリしたなぁ~。
そりゃあ、気分は最悪だけども……、でもこういうのは、久々だった気がする。
……なぁアンパンマンよ? たまには馬鹿やるのも良いもんだろぅ?
お前ってば、そんなキュートな顔しといて、ネクタイしてる連中より真面目だからなぁ~」
意識がフワフワしてるのが分かる、ふにゃーんと柔らかい声。
今にも眠ってしまいそうな雰囲気の、感情の吐露。
先ほどまでとは違う、優しい空気。穏やかな時間。
それを今、二人で共有している事に、アンパンマンはどこか、得も知れぬ感情を覚える。
とうの昔に凍り付いたハズの心が、じわっと温かくなるのを、感じたのだ。
けれど……。
「――――おうお二人さん! なんでも店のラムを買い占めたんだってぇ!?
いいねぇ、羽振りが良いヤツはよぉ! 流石は天下のガルム隊だなぁー!!」
そんな二人のテーブルに近寄ってくる影が三つ。
一見してグデグデに酔っているのが分かる、とても不躾でガラの悪い態度。
酒瓶を片手に、ニヤニヤと顔を近づけて来る。さっきまでのあたたかな空気を、ぶち壊すように。
「こりゃあ是非、俺らもご同伴に預かりてぇもんだ!
なぁ奢れよ
さんざん敵兵ぶっ殺してよぉ!」
酒くさい息を撒き散らしながら、ゲラゲラと笑う。
彼の名は、おでんパンマン。竹串に刺さったおでんをコッペパンに挟んだような顔で、ヴァレー基地の同僚でもある。
「そうだ! 奢れよGerm!
そんなに金あんだったら、みんなに振舞った方が有意義ってもんだ! 仲間だろ俺達!」
「独り占めはよくないぜぇ? 金も
お前らばーっかり手柄を取りやがるから、俺ら懐が寂しいんだ! フ~グフグフグ!」
彼の取り巻きのように隣に並ぶ、グリーンカレーパンマンと、
こいつらも十二分に酔っている。日々のうっ憤を解消しようと、こちらに絡んで来ているのだ。
きっとこの者達とは、話しても無駄だ。
酒を嗜むというには、あまりにも行き過ぎた酔い方をしているし、そもそも言って分かるような人種ではない。荒くれの傭兵なんだから。
それを感じ取ったアンパンマンは、懐からよいしょと封筒を取り出す。
これは、彼が任務の報酬として受け取った、いわゆる給料袋だ。
特に使うアテもなく、また金銭を使用する習慣すら無いので、財布に入れる事もせず、封すらも開けずに、そのままで持って来ていたのだろう。
これが欲しいのなら、それで収まるのなら。
そんな風にアンパンマンは、何も思っていないような様子で、金を渡そうとした。
だが……。
「――――ベイビーベイビー! よぉ
それならそうと、早く言えば良いのに」
バシッと手で制す。同時に前に出る。
アンパンマンを遮るようにして、ばいきんまんが奴らと対峙する。
さっきまであんなに調子悪そうにしていたのに、もうその面影は無い。
「哀れな子羊に、主は与え給う。――――
ボトボト、と大きな水音が鳴る。
ビール瓶を高く掲げたばいきんまんが、おでんパンマンの頭から酒を被せていく音、だった。
「良かったなぁ兄弟、天の恵みってヤツだ。
ちゃんと寝る前は、お祈りをするんだぞ?
「……テメェ」
プチッと、何かが切れるような音が聞こえた。
それはおでんパンマンの血管なのか、この場の緊張の糸が切れる音なのか。
彼は憤怒の表情を浮かべ、ゆらぁ……とばいきんまんに歩み寄る。そして次の瞬間、まるでジェット機のような勢いで、殴りかかった。
「ほいっと♪」
「 お゛っぐぇ!?!?!? 」
ドゴォ!!!! という重い音が響いた。
ばいきんまんが小さくダッキングし、そこから突き上げるようなボディブローを叩き込んだ、打撃音。
おでんパンマンは「~~ッッ!!」という声にならない呻き声を上げ、ゆっくりゆっくり前に傾いていく。
「こいつは持論なんだが……、喧嘩の弱いヤツに、
空戦だろうが拳だろうが、コツは一緒だぞ?
前かがみでもたれかかってきた身体を、鬱陶しそうに払いのける。おでんパンマンがゴロンと床を転がり、毛虫みたいにウネウネと藻掻く。
白目を向き、胃液を撒き散らしながら。
「ブルース・リー。
トーマス・ハーンズ。
ロブ・カーマン。
エリオ・グレイシー。
……選べ。お好みのスタイルで相手してやる。
俺さまは、勉強家だからな」
ボキボキ拳を鳴らしながら、残った二人の方へ。
グリーンカレーパンマンも河豚パンマンも、状況が理解出来ないままで、ポカンと口を開けてしまっている。
「知らないのか? ならお前らにも分かりやすくいこう。
――――これが仮面ライダー1号の、ライダーキックだぁーーッッ!!!!」
次の瞬間、二人が爆発にでも巻き込まれたかのように、吹き飛ぶ。
テーブルをなぎ倒し、床に酒だのガラス片だのを撒き散らしながら、壁に激突していった。
もうそのまま、ピクリとも動かない。
「何だ!? 喧嘩か!?」
「良いじゃねぇかオイ! 俺も混ぜろよ
「お、俺の酒がっ!? やりやがったなクソ! 弁償しろぉー!!」」
「テメェ! このバイキン野郎ぉぉーーッ!!」
その轟音と共に、被害を被った飲んだくれ共が、一斉に立ち上がる。
まるでスペインの牛追い祭り。ドドドっと音を立てながら、猛然と突進してくる。
「そうそう♪ ゴミはゴミらしく、束になって来い。
――――こんな時代だ! ムシャクシャしてたんだろお前ら! 発散していけッ!!
俺さまが相手になってやる~~っ!!」
そして始まる、大乱闘。
某スマッシュブラザーズなんか目じゃない位の馬鹿騒ぎが、場末の酒場で繰り広げられる。
「量すくねぇんだよ! あの手この手で騙しやがって!」
「業界最大手だからって、やって良い事と悪い事があるだろ! このケチンボ!」
のりしおパンマンや宇宙食パンマンの怒りの拳が、中に空洞が多いクリームパンマン、食べやすいサイズにリニューアル()した菓子パンマン、一見ボリューミーに見えて実際はそうでもない具材はみ出し系のバーガーパンマンに突き刺さる。
彼らは
もうここぞとばかりに、みんなでポカポカ殴る。ゲシゲシ踏んづける。
今セブ〇イレブンへの消費者の怒りが、鉄槌として下されたのだ! ブラボー!
「ぜったい僕の方がおいしい! 僕の方がおいしいよ!」
「そんな事ないよ! 僕の方がイケてるもん! きっと商品化するもん!」
かたや別の場所では、なまこパンマンとアロエパンマンが、壮絶な死闘を繰り広げている。
なんでこんなパンに生まれた? 僕ら何の為に生まれて来たの?
そんなパンとして、また食べ物としての矜持をかけて、いっしょうけんめい殴り合っている。不毛な争いだ。
「貴公とは、いずれ決着を付けねばと、思っていた所よ……」
「良かろう、かかってくるが良い。
真の強者はどちらなのか、ここでハッキリさせようではないか……」
そのすぐ横で、スターゲイジーパンマン*3と、有名イタリアンシェフ監修熟成トマトとチーズの絶品ピザパンマンが、静かに戦いの構えを取る。
どちらも凄く美味しそうな子達で、お互いに認め合っている間柄。きっとライバル同士なのだろう。
彼らはここで雌雄を決するが為、いま全くの同時に床を蹴り、お互いの頬にクロスカウンターを入れた。
「駄目ですよ皆さん! ケンカはいけませーん! 落ち着いて下さ~い!」
「いやいや! こっち来ないでよ
君が爆発したら、ぼくら死んじゃうよ!」
心優しいボムパンマン*4が諫めようとするも、みんな「ぎゃー!」とか言いながら彼から逃げる。
もしこの子が爆発したら、半径50メートル以内は何も残らないのだ。
ケンカを止めようとしている子から必死こいて逃げるという、ワケの分からん追いかけっこが発生していた。超死にたくないのだ。
「おおケンカだな! なら俺っちの出番だ! いっくぞぉーボケカス共ぉー☆」
「駄目だって
行くなぁー! 今度こそ死ぬぞぉー?!」
頭に包帯をグルグル巻きにしたこてんぱんマンが、松葉杖をビックリするくらい器用に操りながら、「うっほほーい!」とばかりに駆け出そうとし、それをフライパンマンが慌てて止める。どんだけケンカっ早いんだ君は。
関係ないが……ぜんぜん食べ物じゃない連中も、かなり混ざっているようだった。
なんか旧ルパンマン(cv山田康雄)と新ルパンマン(cv栗カン)が、隅っこの方で胸倉を掴み合ってたりもするし、“パン”とはいったい何なのであろうか? 哲学的な思考が頭をよぎる。
「――――どうだアンパンマン! ハッピーかぁ~!?」
そして、範馬勇次郎ばりのアッパーカットで、ちくわぶパンマンを天井まで吹っ飛ばしながら、ばいきんまんが訊ねる。
「あーっはっは! この自殺志願者どもめぇ~っ!
そんなに死にたいとは驚きだぁ! なぁアンパンマンよッ!」
ムギチョコパンマンのボディに膝を叩き込み、そのまま首根っこを掴んで放り投げる。がっはっはと笑いながら、ジャッキー・チェンもかくやという大立ち回り。
そんな彼の愉快な姿を、あきれた顔してアンパンマンが見つめる。向かってくる荒くれ達をヒョイヒョイ躱しながら。
――――本当に君といると、ロクな事がない。
「そう言うなよ
むしろそうでない事が、この世の中にあるとでも?
ほらほらぁ! お前もおもいっきり楽しめぇ~♪ ――――Kill'em all baby!!」
オラァ! という掛け声と共に、栗きんとんパンマンを蹴り飛ばす。
それは広島風お好み焼きパンマン、からあげグランプリ金賞受賞パンマンにぶち当たり、三人まとめてゴロゴローっと床に転がった。
対してアンパンマンの方は、我関せずと言ったように、ひたすら避けるだけ。ただただ、向かってくる者達をいなし続けるのみ。
もう「ぇー」みたいな表情で、心から迷惑そうに。
「ふっふっふ♪ 通常、人は三割ほどしか、その能力を発揮する事は出来ない。
しかしバイキン神拳の極意は、残り全ての潜在能力を、発揮する事にあるのだっ!
さぁかかって来いバカ共ぉ! テメェ等の血は何色d……」
その時! どこぞからぶっ飛ばされて来た
カッコいいセリフの途中だったので、完全に無防備な状態で喰らってしまったばいきんまんは、「はらほろひれ~」とか言いながら、床に崩れ落ちた。
「おい!
「あんれまぁ、見事にノックアウトだ。誰か水もって来てー!」
「すげぇ音したもんなぁ。完全にノビてんよ……」
「あ~あ」とばかりに、みんなでばいきんまんを覗き込む。
本日二度目。またしても彼はグルグル目を回し、深い眠りへと落ちていったのだった。
だが、その時……。
「――――!?!?!?」
「――――ほげっ!?!?」
「――――ぎゃーーッッ!!!!」
吹き飛ぶ――――
ボゴォォォーーン! みたいな大きな音と共に。
「あ……、アレ?
「えっと、どうしたんだよSmile……? お前なんで怒って……」
そこに立っていたのは、なんかゴゴゴゴ……っと音が聞こえてきそうなオーラを放つ、見たことも無いような
さっきまで好き勝手に暴れていた荒くれ達は、その姿を見た途端〈ピキーン!〉と固まり、ダラダラと額から冷や汗を流す。
「ちょ!? 落ち着けってSmile! ちょっと遊んでただけじゃねーか!!」
「そ、そうだぞぅ!? 別に俺たちゃ、
それを言い終わる前に、ぶっ飛ばされた。
ドゴーンみたいな炸裂音が鳴り、まるで10t爆弾でも落ちて来たかのような爆発が、彼らを蹴散らした。
「――――逃げろぉぉぉーーッ! Smileがキレたぁぁぁっ!!」
「無理無理無理ッ!?!? 助けてぇーっ! こーろーさーれーるぅ~!!」
「いやぁー! おかぁーちゃーーん!! うわああああ!!!!」
グッタリしているこてんぱんマンの足を「むんず!」と掴み、そのままジャイアントスイング。
それに巻き込まれ、次々になぎ倒されていく者達。
突如として吹き荒れた台風……いや酒場に降臨した
◆ ◆ ◆
「あー、頭がガンガンするのだ……。吐きそう~」
翌朝、抜けるような青空の下。
オーライ、オーライと運ばれて行く戦闘機をボケ~っと眺めつつ、ばいきんまんが額を押さえながら、ベンチに腰かけていた。
「所々、記憶も飛んでるし……。あれいったい何だったのだ?
なぁアンパンマンよ、俺さま何を喰らったの?」
そう目線を向けてみるも、すぐ傍らに立つアンパンマンは答えない。
それどころか、もうプイッ! と顔を逸らされてしまい、一切コミュニケーションを拒否されているのが見て取れた。
「あれからコイツ、口きいてくれないし……。
なんか基地のヤツラも、みょ~にお口チャックしてるし……。
いったい何があったんだよ昨日。どうしたんだよみんな」
いわく、思い出したくねぇ。
いわく、口に出すのも恐ろしい。怖い。
誰に訊いても、みんなそんな風な事を言い、決して教えてはくれなかった。
いったい自分が気絶した後、あの酒場で何があったというのだろう? 未だツーンしているアンパンマンを見ながら、彼は一人「うーん」と首を傾げた。
「ラムのガブ飲みのせいで、二日酔いは酷いし。
なんか謎のタンコブまで出来てるし。
俺さまもう踏んだり蹴ったりだよ……。帰りた~い……」
ガクッと項垂れるも、状況は変わらない。
いくら少しづつ押し返しているとはいえ、未だベカリとの戦争は、厳しい戦況と言わざるを得ない。ここで頑張らないといけないのだ。
ボケ~っとした顔で、ダルそうにペットボトルの水を飲む。グテーっとベンチに腰を静める。
関係無いけれど、なんでアンパンマンは、ずっと俺さまの傍にピッタリ寄り添ってるんだろう? 一言も喋らず、目線を向けたらプイッと顔を背ける癖に、なんで甲斐甲斐しくタオルとか水とかを持って来てくれるんだろう?
頭脳派の彼をしても、世の中は分からない事だらけである。
「――――よぉ
その時、穏やかだった空気をぶち壊す声が響く。
「昨日は災難だったなぁオイ! 身体はなんとも無いか?」
ぶしつけに、いけしゃあしゃあと近寄って来たのを見て、アンパンマンは静かに一歩踏み出し、彼の前に立ちふさがろうとする。
だが……。
「よぉ
でもそりゃー、
「はっはっは! 違ぇねえ!
俺もあちこち痛くて仕方ねぇよ。みんな仲良く、ってトコか♪」
本当に何気なく、ばいきんまんが返事をしたのだ。
気安く、柔らかな笑みさえ浮かべて、おでんパンマンと語らい始めた。
「悪かったなGerm……。酔うとああなっちまうのは、俺の悪癖だ。
グリーンと
「気にするな、あんなのいつもの事だ。
俺さまは楽しんだし、ここの連中もストレス解消になったろうさ。
これで手打ちにしよう」
パンッ! と気持ちの良い音を立て、二人が手を合わせる。いわゆるハイタッチだ。
ちなみに、これは食べる方のパンとは何の関係も無いので、深読みはご遠慮頂きたく思う。
「任務から帰ったら、おでんを奢るよ。たまには居酒屋も良いだろ?
お前さんは、関西風と関東風、どちらが好みだ?」
「どっちもイケるのだ。お前のオススメの店で頼む。
今日もかましてやろうぜ、兄弟――――」
笑顔を交わし、おでんパンマンが去って行く。
意気揚々と、自らの戦闘機に向かっていくその背中は、とても男らしく見えた。
まさに戦闘機乗りの姿だ。
「言ったろぅアンパンマン?
コミュニケーションなんだよ」
ポカンとその様を見送っていたアンパンマンに対し、ばいきんまんがニンマリ笑いかける。とても楽し気な雰囲気で。
「そういうモンだ――――お前も早く慣れろ。
人生、楽しまなきゃ損だぞぉ~?」
◆ ◆ ◆
その後もアンパンマンら【コムギィコ空軍第6航空師団】は、戦い抜いていった。
僅かな報酬と充実感、任務後にやる仲間達との一杯、そしてコムギィコ共和国開放のため、毎日のように空を飛び続けた。
フトゥーロ運河に展開するベカリ軍戦力を駆逐すべく、連合軍の総力を上げて行われた大規模な戦闘、戦域攻勢作戦計画4101。
コムギィコの首都近郊にある都市オーリス奪還のための、空挺師団護衛ミッションなど。
その全てで、彼らは類まれな戦果を上げた。
その名が敵軍の間でも噂される程に、コムギィコの傭兵たちは果敢に戦い、見る見るうちに戦線を押し返していったのだ。
そして、当初は絶望的かに見えたベカリ戦争の開始から、僅か数か月後。準備は整った。
今日この日、ついにアンパンマンら第6航空師団に対し、連合本部より首都奪還任務の遂行が発令される。
この国の象徴、奪われた誇り――――コムギィコ共和国の首都“ディレクタス”へ向けて、満を持して飛び立ったのである。
雄々しく、力強く、誰もが万感の想いを抱きながら。
「視界良好……とも言えないか。生憎の曇り空だ」
夕暮れ時の、少し前。
祖国を奪われた者達の悲しみが滲んでいるかのような、どんよりとした空。
バイキンUFO・Eagleのコックピット内で、それをぼんやりと眺めながら、彼はこれから始まる戦いに思いを馳せる。
ベカリにとって最重要拠点の一つとなる、ディレクタス。
恐らくは呆れる程の数の対空砲と、強力な敵部隊が展開している事だろう。
それを思うと、少しばかり気が重くなる。これから俺さま達が向かうのは、まごう事なき死地なのだと。
きっと自分達にとって、今日は特別な日になる。
また、この戦いの命運を分ける分水嶺であり、天王山たる戦いだ。
ゆえに基地の連中は、みんなどこか表情を固くし、肩肘を張っている様子だった。
けれど、それは
死ぬまで。墜ちるまで。力尽きる時まで。
屈辱と共に
ゆえに、今さら気負うような事でも無し。
「
戦況は常に、俺さま達の味方だ」
作戦空域到達まで、約30秒。
何気ない声で、隣を飛ぶ相棒に語り掛ける。
「お前の事だから、連中の雰囲気に当てられたりはしないだろうが……まぁ一応な。
いつも通り、お前らしく飛べばいい。
だが無言――――無線からの応答は無し。つかまだ怒ってるのかアンパンマン。
何があろうが、微塵も操縦がブレないお前だから良いけど、そろそろ機嫌を直せよお前。あれから4日も経ってるじゃないかオイ。やりにくいよ俺さま。
「おい、もう始まるんだぞ……? 連携とか取らなきゃだろ……?
なんか喋れよお前、一言だけでもいいから」
大事な作戦だっていうのに、
機体を左右に揺らして合図してみても、まったく反応してくれないと来たもんだ。
しかも、ここ最近みょ~に
なんの為のチームだアンパンマン。俺さまなど要らないと言うのか。泣くぞオイ。
――――今日、帰ったら……。
もう諦めようかと思い、さっさと作戦空域に向かうべく
まるで蚊が鳴くようなボソッとした声が、無線から響く。
――――二人で、祝杯。もう煩い場所はイヤだ……。
……。
…………。
………………。
『ガルム隊! 作戦開始だ!
ベカリ制圧下にある5地区を開放せよ! 幸運を祈る!!』
思わず「ぽかーん……」としちゃってた意識を、
ばいきんまんは「ハッ!」とした顔でスティックを握り直し、イカンイカンとぶんぶん首を振る。
――――それとも、またおでんに行くの?
「お前……一体どうしたんだ? なんでそんな拗ねてるの!?!?」
ギュインと左右に別れ、
「と、とととりあえず交戦開始ぃ~!
――――……
いつもより少し遅れ、なんかブスッとした応答があった。
◆ ◆ ◆
「ベカリの鳥の相手は、俺さまの役目だ」
ハイ・ヨー・ヨーからの一撃、敵機体が爆散。*7
コムギィコ襲来の報を受け、慌てて空に上がったベカリ空挺部隊は、たった二機の前に次々と数を減らしていく。
誰も彼も浮足立ち、ワケの分からぬままで、壊滅していった。
『装甲車がぶっとばされたぞ! 応戦は出来ないのか?!』
『馬鹿野郎! 対空砲で勝負がつくなら、とっくに終わっているよ!
自分でやってみやがれ!』
『航空部隊は何をやってる! さっさと墜としちまえよ!』
『対空攻撃を緩めるな! 手を止めると向かってくるぞ!』
悲鳴にも似た無線が飛び交う。もちろんこれは、敵ベルカ部隊の通信だ。
ガルム隊の二機は、今も悠々と空を舞っている。
そして苛烈に、容赦なく、敵部隊を殲滅する。
『命令は!? 上は何と言ってる!? さっさと指示をよこせ!』
『おい、少将殿はどこへ行った……? 誰か見た者はいないか?』
『先ほど、ヘリポートの方で見かけたという者が……』
大慌てな様子、大混乱に陥っているらしき声。
やがてポコポコと敵戦闘機をなぎ倒している内に、なんか偉そうなオッサンの声までが、無線から聞こえてきた。
『構わぬ! 早く離陸せよ! この街はもう落ちた!
一刻も早く、ディレクタスから離れるのだッ!』
『おいガルム隊。ベカリのヘリが一機、戦線を離脱していくぞ。
……ヤツら逃げ出すつもりか?』
「あんれまぁ、これだからお偉いさんってヤツは。
どこも変わらないな~」
5つに区切られた拠点を、アンパンマンが機銃やミサイルを駆使して、次々に破壊していく。
対空砲、装甲車、そしてまだ飛び立ってもいない航空機が、悪魔のような手際を以って、すべて鉄屑に変えられていく。
その様に恐れおののいた敵軍の司令官が、ひとり部下を見捨てて戦線を離脱。さらに現場は大混乱という、まさに抱腹絶倒の状況である。
まぁ当人たちからしたら、たまったものじゃ無いだろうが。
『第3、第4区以外は放棄しろ! すぐ戦線を張り直すぞ! 急げ!』
『コムギィコの傭兵……。ヤツらの好き放題にやられてる……。
ベカリ公国は最強じゃなかったのか!? 話が違うじゃねぇか!!』
「夢を見るのは勝手だが、手を止めてくれるなよ?
頑張るんだぞベカリ公国の諸君。
せいぜい神にでも祈りながら、対空機銃でも乱射してれば良い。
ばいきんまんが、明らかに格下だと分かる敵機の頭上を取りつつ、のほほんと呟く。
「キリスト様かぁ……。俺さまが読んだ聖書には、こう書いてあったぞ?
――――厄介ごとを持ち込むなバカタレ! ってな」
強襲。真上からエンジン全開でダイブ。ミサイルを叩き込まれた敵機が、煙を上げて落ちていく。
「
だがここでのベイルアウトは……正直どうなんだろうな?
まぁ俺さまには、知ったこっちゃないか! はーひふーへほ~っと♪」
ここは雪山でも無ければ、救助が困難なB7Rでもない。ただの都市である。
だが……ここにパラシュート降下するという事は、いったい何を意味するのだろう?
ほんの数時間前ならいざ知らず、今この時、ベルカ軍が壊滅しつつある状況では。
なぜなら――――さっきから聞こえているのだ。
ベルカ軍の敗走に伴い、こちらに呼応するように動き出した、多くの
『――――ベカリ軍が敗走してく! 俺たちもやるぞ!』
『ここは俺たちの街だっ! ベカリを追い出せ! 取り戻すんだ!』
『さぁ鐘を鳴らせ! もっと鳴らすんだ! 自由と開放の鐘をッ!』
暴動……いや
いま地上では、この街に住む全ての国民達が、一斉に家から飛び出し、ベカリの残存部隊に詰め寄っている。次々に施設に押し掛けている。
ただでさえ混乱していた敵軍は、その大波めいた民衆達に成す術もなく飲み込まれ、もう対空砲を撃つどころでは無くなっていく。完全に軍としての機能が停止した。
そして夕焼け空に鳴り響く、美しく気高い音色
「――――聞こえるか
立ち上がったんだヤツらはッ!! 俺さま達と共に戦っているッ!! 最高の援軍だッ!!」
それを守るように、歩調を合わせるように、アンパンマンが施設を破壊していく。
声援に乗って、鐘の音に突き動かされ、この街からベカリ軍を一掃していく。
『退避だ! 動ける者から退路を開け! 街は連合軍に落ちた!』
その通信が届いた途端、敵兵たちが武器を放り出し、その場から駆け出した。
慌ててジープに乗り込み、街の外へ逃げ去って行く。
歓声をあげながら拳を振り上げている、民衆達を背にして。
『やったぞ! 俺たちは街を取り戻した!』
『コムギィコ万歳! コムギィコ共和国万歳ッ!! 俺たちの国!!!!』
鐘が鳴り響く。民衆達の勝利を祝って。
何度も何度も、美しい音が木霊する。
誇りと尊厳を取り戻した街が、首都ディレクタスが、綺麗な茜色に染まっている。
それを眼下に眺め、二機が悠然と空を飛ぶ。
歓声に応えるように、大きく円を描いて。彼らに手を振りながら。
「
――――これが俺さま達の戦いだッ!!」
その声に、胸が熱くなった。
胸にある勇気のマークが、ニッコリ微笑んでいる気がした。
隣を飛ぶばいきんまんが、「ひゃっほー!」と両手を振り上げているのが見える。
機嫌良さげにガッハッハと笑い、こちらに向けて力強くサムズアップ。
心からの笑顔で、「よくやった」と褒めてくれた。
それがなによりも、彼を嬉しい気持ちにさせた。
久しく感じていなかった、高揚感。
嬉しそうに笑う、みんなの顔。
そして、隣にいるばいきんまんの存在。
幸せだ――――と思った。
まだ自分に、こんな感情が残っていたのかと、少し驚いてしまった。
茜色の空と、高らかに鳴り響く鐘は、どこか懐かしい物のように感じた。
ばいきんまんと二人、あの頃に戻ったかのようで、嬉しさが込み上げて来た。
枯れていた。もう無いって思ってた。これまでずっと一人きりでいた。
ジャムおじさんが死んで、もう全てが終わってしまったのだと、そう思っていたのに。
でもばいきんまんは、再び自分を、お日様の下へ連れてきてくれた。
どんなにそっけなくしても、どんなにプイッと顔を背けても、一緒に飛んでくれた。こんな自分を守ってくれたのだ。
何故だろう? と思う。
もう駄目になったのに。あの頃のぼくじゃないのに。
でもなぜ彼は、ぼくの手を引っ張ってくれるのだろう? 一緒にいてくれるのだろう?
それを心底、不思議に思う。
ぼく自身ですら、自分に価値を見いだせないのに。
別に美味しくもないパンで出来た、愛想だって良くない、馬鹿なぼくなのに。
なぜ君は――――嬉しい気持ちをくれるんだ。
何故ぼくの隣で、いっしょに飛んでくれるんだ。支えるみたいにして。
君は「ありがとう」が嫌いだから……もう言わない。
でも君がいてくれるから、ぼくはぼくでいられる。
君といる時だけは、“強いぼく”でいられるの。
それをどうか……どうか知っておいて欲しい。
君の宿命のライバル、君の
「はっはー! “して”やったぜッ! 今日だけで撃墜数6だぁ~!
どうだ
暫し、想いに耽っていたアンパンマンが、この場に意識を戻す。
応答があろうが無かろうが、構わず「がっはっは!」と笑い続ける彼に、呆れるような頼もしいような、複雑な心境である。
――――だね。
「おい
なんかそこはかとなく、含みを感じるのだが……、俺さまの気のせいか?!」
またアンパンマンが「ぷいっ!」と顔を背けた雰囲気を感じ、彼がワチャワチャとご機嫌取りに入る。
仕方ないだろう!? 今日は俺さまが、敵航空機担当だったんだから!
そんなにチークタイムが好きなら、いつもそうすれば? ぷいっ!
と……なんかそんな風な会話(痴話喧嘩)をしながら、二人ならんで飛ぶ。
飛行機雲を引きながら、開放された首都ディレクタスの空を。
だが。
『――――警告! 警告! 敵増援部隊が接近中!! 警戒しろ!!』
あたたかな空気が、一瞬で消し飛ぶ。
空中管制機からの、緊迫した声によって。
◆ ◆ ◆
「おいおい! ほんとに言ってるのかオッサン!? 今さら?!」
『間違いない! 2機の
あとオッサンでは無いっ! イーグルアイと呼べGerm!!』
二人は慌てて
あまりに突然の事だったので、ばいきんまんの背中の汗が、もう一気にひいた。
「くそっ! こちらガルム2、
明らかに、今までのヤツより速い……! 気を付けろ
時すでに遅し、もう首都は開放した。
だがここに来て、ようやくこの場に辿り着いた敵増援。
しかも明らかに、これまで墜とした一山いくらの連中とは違う。手練れだ!
「コイツらをやっつけなきゃ、基地に帰してくれなさそうなのだ……。
ガルム隊の祝勝会は、いったんお預けかぁ~。もう一仕事だなぁ~」
――――本当に、たくさん寄ってくるね。もうイヤってくらいに。
「まっ、俺さまはハンサムだからな!(ドヤ顔)
……バカ言ってないで行くぞほら。
――――
そんないつも通りの淡白さ、そしてこの上なく頼もしい声と同時に、左右に散開する。
それを迎え撃つは、ベカリ空軍の
第5航空師団、第23戦闘飛行隊、通称“ゲルブ隊”の二機。
『既に、友軍は撤退済み……。まだ間に合うのか……?』
困惑した様子の声。
敵無線がこちらの耳に届く。
『だが、こちらも2機。好都合だ。
コムギィコの傭兵共。こいつらだけでも――――』
静かな、気迫を感じる声だった。
戦いの決着はつき、既に周りには自分達しか居ない。それでも決して萎える事無く、果敢に向かってくる闘志。戦闘機乗りの誇り。
すぐさま始まる、4機が入り乱れるドッグファイト。
自由の鐘が響く、暁の空に、エース達が舞う。
「Su-37……ターミネーターか!*9 またやっかいなのが来たなぁ!
ちなみにあの機体、けっこう高いらしいぞSmile? ベカリは金持ちだ~」
スプリットS*10で上下逆さまになりながらも、のんきな事を言う。
その態度はともかく、バイキンUFO・Eagleは苛烈に敵機を追従し、まるで紐で固定されたかのように、ケツに食らい付いている。
「こんど作ってやろうか? アンパンマン号・
お前ってけっこー容赦ないし、ピッタリな名前じゃないか! あーっはっは!」
――――じゃあ最初に君を
「……おいおい。正義の味方を張ってたヤツが、怖いこと言うなよ……。
愛と勇気はどこへやった? 優しくしてくれよヒーロー♪」
――――知らない。ぼくって“容赦ない”らしいから。殴る時は殴ることにする。
「なるほど……口は災いの元ってことかぁ。
しゃーない、コイツらに
機銃で追い込みをかけ、アンパンマンのキルゾーンへ誘導。
だが奴らも上手い。一機が危機に陥れば、即座にもう片方がフォローしてくる。
動きで分かる。こいつらは二機で、数多の修羅場をくぐって来たんだ。
ふたつでひとつ。
だがそれは、
「
彼の激高と共に、アンパンマンがミサイルを発射。それは回避行動中だった敵機の死角から、見事に突き刺さる。
「……じゃなかった
あぁ……今さら言い直しても遅いよなぁ~。
なんか任務から帰る度に、司令部から怒られてる気がするぞ。
そろそろ俺さま、減俸されちゃうかも……」
長年の付き合い、直せない癖。
だがこの“絆”こそが、奴らを上回ることが出来た、最大の要因である。
まぁこの子達の場合、ずっと敵味方に分れて戦っていたのだが。それはそれ、である。
『隊長! ……墜とされた!?』
そんな通信が聞こえた途端、猛然と
さっきまでの理性的な動きではない。その気迫が伝わってくるかのような、速くて獰猛な動き。
「崩れない、か。
こりゃあ思った以上に、厄介なヤツだぞ」
動揺はしてるだろう。二対一となった不利も感じてるだろう。
燃えるような意思を以って、操縦桿を握る姿が、もう容易に想像出来てしまう。
「決意、……いや覚悟か。
こういう手合いが、一番怖い。
昔、散々お前に思い知らされたよ――――
必ず守る。ここは通さない。
そんな強い気持ちの宿った目を、ばいきんまんは何度も見たことがある。
その昔、まだ自分達が幸せだった頃……もう嫌というほど見てきた。
――――……ばいきんまん。
ボソリと、名前を呼ばれた。TACネームではなく、いつもの呼び方で。
無線から聞こえた、アンパンマンの声。
その静かな声色、その雰囲気だけで、……彼の言いたい事が分かった。
「いいぞ、
相手してやれよ、“ヒーロー”」
コクリと、彼が頷いた気配がした。
それと同時に、ばいきんまんが離脱。二機から離れた場所へ移動する。
――――見ててね、ばいきんまん。
――――おう、しっかりな。
そんな短い言葉を交わし、彼から離れたのだ。
「気を付けろアンパンマン……ヤツは何があっても退かん。死んでも守るってタイプだ。
なりふり構わず来る。予想外のことも、平気でやってくるぞ」
彼が何を思っていたのか。ばいきんまんには、なんとなく分かる気がする。
受け止めたい、あのパイロットの想いを――――きっとそんな風に思ったんだろう。
アンパンマンは、そういうヤツなのだ。今も昔も。
たとえ正義の味方を止め、もう子供じゃなくなっても。氷みたいに表情が固まってても、こいつは本当に優しいヤツだから。
ばいきんまんは、それを痛いほど知っている。
これまで、たくさん見てきた。だから今日も見守る。
「強い……。呆れるほどの回避機動だな、ターミネーター。
まさに、
たとえ一機だけになっても、敵パイロットは諦めなかった。
自分の成すべき事を、貫くべき矜持を、しっかり胸に持ってる。
だからこそ、こんなにも強い……!
「ベカリにも、こんなヤツが居るんだな……。
何パンマンだか知らないが、お前さんは強いよ。……尊敬する」
アンパンマン号・Raptorが後ろを取る。どれだけ敵パイロットが技巧を凝らそうとも、その全てをねじ伏せるみたいに、上を行き続ける。
高く、速く、強く飛ぶ。全力で相手に応えるが如く。受け止めるように。
「けれど……勝てないよ。
生きる為に飛んでいるような、ぬるい連中じゃ」
後方への発射。
Raptorに後ろを取られたSu-37が、そのまま前方を向いた状態で、真後ろにミサイルを飛ばした。
格闘戦用に備えられた、あらかじめ機体後方へと向けてマウントされている、空対空ミサイル。背後という絶対的有利を取った相手の、奇を突く攻撃。
だが、それすらもアンパンマンは……
「こちとら――――飛ぶために生きてるんだから」
逃げて、逃げて、逃げ続けて。
それでも喰いつかれ、もうどうする事も出来ずに、墜ちて行く。
アンパンマンの放つミサイルが、決して抗えぬ物を教え込むかのように、Su-37を捉えた。
「
力尽き、弱々しく墜落していく、とても勇敢だった敵機を、ばいきんまんは静かに見下ろす。
そして、長かった空戦を終え、こちらに帰って来た愛しい相棒を、ニッコリと笑って迎えた。
◇ ◇ ◇
「……とまぁ、こんな感じてやったワケだ。
民衆達の歓声、そしてあの鐘の音が、今も耳に残ってるよ」
ポリポリと頭をかき、どこか照れ臭そうにハニカミながら、“片羽”が語る。
「気分が良かった。充実感があったよ。
俺さまの気のせいじゃなければ……、アイツあの時、
バイキンEagleのコックピットごしだから、そんなハッキリ見えたワケじゃないケド」
懐かしそうに、大切な宝物を見せる子供のように。
あの戦いを語る彼の優しい声が、とても印象に残った。
未だ手にしている
「どっかの偉いさんから、ガルム隊宛に酒が届いてた。
シャトーボロワーズのビンテージ。それアイツと一緒に、馬鹿笑いしながら飲んだよ。
希少なカペルネだ~とか言ってたけど、一晩で空けてやったよ。
アイツを酔い潰すにゃ、ちょーっと足りなかったな~」
20××年、5月13日。ついにコムギィコは開放された。
これを機に、戦いの流れが、大きく変わっていく事となる。
コムギィコはベルカを押し返し、ついに反撃の狼煙を上げたのだ。
だが、話はそう綺麗にはいかない。この戦争の本質は、むしろ
後に書かれた記事、膨大な数の資料は、それぞれ捉え方が全く異なる。
誰もが正義として書かれ、また悪として記される。
誰が被害者で、誰が加害者なのか。一体“平和”とは何か?
全く持って複雑怪奇だが、戦争にはつきものの話だ。
「それからもアンパン……いやSmileと一緒に飛んだよ。
作戦で死んだヤツもいるし、怪我してリタイヤしてったヤツもいる。
そんな連中の全てを背負って、アイツは飛び続けた。
もう俺さまに言われるでもなく、責任感を以って戦ってたと思う――――」
これより、戦いの舞台はベカリ内部へと移る。
そして“彼”も、この戦争の中心へと、押し上げられていく事となる。
私の興味の対象は、しだいに戦争その物から、彼自身へと移っていった。
先ほどまでとは違い、どこかこちらから目を逸らすようにして、また片羽と呼ばれた男の口から、物語が紡がれていく。
(つづくぞ!)
◆スペシャルサンクス◆(オリジナルヒーロー協力)
・砂原石像さま♪ (中に空洞が多いクリームパンマンなど)
・爆焔特攻ドワーフさま♪(グリーンカレーパンマンなど)
・ケツアゴさま♪ (有名イタリアンシェフ監修熟成トマト~)
・団子より布団さま♪ (おでんパンマン)
・幸1511さま♪ (スターゲイジーパンマン)
・天爛 大輪愛さま♪ (こてんぱんマン)
・トトカルチョさま♪ (ルパンマン)
・Mr.エメトさま♪ (のりしおパンマン)
・ヒアデスさま♪ (ボムパンマン)
・佐伯 裕一さま♪ (河豚パンマン)
・マスターPさま♪ (宇宙食パンマン)
沢山のご応募、誠にありがとう御座いました♪
まだまだ出てきていないヒーロー達もいますが、今後のお話の中でご登場いただく予定です。
また頑張って書きますので、どうかのんびり待っていて下さいッ……!
というかこれ、普段とは全然違う作風なので、めっちゃ書くの苦労してr(以下削除)
hasegawa