【募】こんな小説を書けこの野郎【リクエスト】 作:hasegawa&friends
ツヴァイ!(ふたーつ!)
「じゃあね、おばさん。上手く逃げてね」
天空の城ラピュタ――――パズーは今そこに居る。
正確に言えば、下手こいて取っ捕まってしまった空賊達を助け出すべく、ドーラ船長の座っている床、その真下に潜り込んでいる。
コッソリと床のレンガを取り外し、そこからニュッっと手を伸ばして、ドーラの縄を切ってやった。ついでにナイフも手渡してあげたので、後はドーラ自身がなんとかする事だろう。
「ちょいとお待ち。……これを持っていきな」
囚われの王女様、愛しのシータのもとへ向かおうとするハズ―を、決して衛兵たちに見つからぬよう、静かな声で呼び止める。
ドーラは先ほどのレンガの穴から、自分の懐(というかズボン)に入っていた道具を落とし、パズーに渡してやった。
パズーでも何とか扱えるであろう、小型の大砲。
それに使う用の、缶コーヒーくらいのサイズがある弾薬も、いくつか落としてやる。
あとドーラ一家御用達の、セラミックで出来た剣。
使うなら使えとばかりに、フラップターを動かす為のキー。
お腹が空いたとき用の、紐で縛られたごっついハムの固まりも。
「ありがとうね。それじゃあボク、行ってk」
「待ちな」
沢山の装備を受け取り、その場から駆け出そうとしたパズーの足が、〈キキィ~ッ!〉と煙をあげて止まる。おっとっと。
「ついでだよ、これも持ってきな」
「えっ、ボクそんなにいらないんだけど……。持ってかなきゃダメ?」
ドーラが引き続き、穴からゴロゴロと装備を落としていくが、それはDHCのサプリメントとか、暇つぶし用のハンドスピナーとか、マグネットの将棋盤など、全然いらない物ばかり。
あとドーラが若い頃に撮ったプロマイドや、聖闘士星矢の4巻、サッポロ一番しおラーメンなど、ワケの分からない物まである。
とりあえず、そのズボンにどんだけ入ってたんだ。
ラピュタに何を持って来とんねんと、パズーは驚愕する。
「……ん? ねぇおばさん、この小さいのは何? 見たことない道具だ」
「あぁ、それは使ってみれば分かるよ。お前さんもビックリするハズさ」
現代で言うところの、まるで
それにコテンと首を傾げつつも、パズーはシータを救出するべく、ラピュタの最深部に向けて走り出して行った。
◆ ◆ ◆
「土に根を生やし、風と共に生きよう――――
土から離れては、生きられなかったのよっ!!」
「黙れッ! ラピュタは滅びん! 何度でも蘇るさッ!!」
所かわって、ラピュタの最深部。通称【王の間】
今ここで、シータとムスカによる、この映画における屈指の名シーンが行われていた。
「跪けッ! 命乞いをしろッ! 小僧から“石”を取り戻せッ!」
「嫌よ! 誰が貴方の言うことなんか! あっかんべーだ☆
このヘタレ! ロリコン! 七三分け! 若ハゲ!」
「ハゲはいま関係ないだろうッ!! ハゲは無いだろうッ!!
いまハゲの話してないだろう! どこからハゲ出て来た! ハゲは言い過ぎだろう!」
「何よウンコみたいな色のスーツ着て! ダサいのよ! あと臭いのよ!
そんなだから女の子にモテないんだわ! パズーの方がずっとキュートよ! このハゲ!」
「ハゲて無いだろうッ!! まだハゲて無いだろうッ!! 生き残ってるだろうッ!!
ハゲは言っては駄目だ! それは禁止されているハズだ!
ハゲの話をする事は、法で固く禁じられているんだ! なんでまた言うのだ!」
「あの地平線~♪ 輝くのは~♪」
「――――やめろぉッ!!!! なんか違う意味に聴こえてくるっ! 止めたまえシータ君!!」
「何が石よっ! あなたの頭が
モロズラ! パカッ! ズルッ! ラピカ!」
「――――ロムスカ! パロ! ウル! ラピュタだッッ!!!!
わざと言っただろう!? わざと間違えただろう君は! なんて事をするんだ!」
ムスカがバキュンバキュンとピストルを撃つが、シータは「ひゃっはー!」とばかりに躱していく。たくましかった。
「くそぅ当たらん! だが絶対に殺してやるぞ! おのれぇ!」
「やれるモノならやってみなさいっ! 当たるもんですかっ!
こちとら土に根を生やし、風と共に生きてるのよ!」
もうシータ一人で良いんじゃないかな? 助けはいらないんじゃないかな?
なにやらそんな気もしてきたのだが……、一応この場に、大きな声が響き渡る。
いま突然、二人以外の声が。
「――――ヘア゛ッ!!」(やめろー! シータを撃つなー!)
そこに現れたるは、
全長40メートルほどの、巨大な人影であった。
「――――ジュワッ!! シュワッチ!! ヘアッ!」(石は隠した! 撃てば戻らないぞ!)
どうやってここに来たんだろう? どうやって入って来たんだ? ここ地下だよ?
今はそんな事、気にする場合じゃない。重要な事では無いのだ!
「ヘアッ! ヘアッ!」(シータ無事かい? 怪我はない?)
「えっ……、もしかしてパズー? このおっきいのが?」
「ショワッ! ジャア゛ッ! ジョワァァァッ!!」(うんボクだよ! 助けに来たんだ!)
「なに言ってるか分からないわパズー! 言葉を話せないの!?」
パズーが先ほど受け取ったのは、“ペーターカプセル”という道具。
大きめのボールペンほどのサイズで、押せばピカピカ光るスイッチが付いている。
空賊であるドーラが、ある土地で偶然手に入れた、虎の子のアイテムであった。
ここでは詳しいことは省くが、とりあえずコレは『ウルトラマンに変身する為の道具だ』と理解しておけば間違いない。
パズーはここへやって来る前、事前にこのアイテムを使用して、見事ウルトラマンへと変身を遂げていたのだ。
・身長:40m
・体重:3万5千t
・ジャンプ力:800m
・飛行速度:マッハ5
・パワー:10万tタンカーを軽々と持ち上げる
――――まさに巨人。みんなのヒーロー! ぼくらのウルトラマンに!
「ヘアッ! ヘアッ!」(あ、コイツぶっ倒せばいいんだね! こんにゃろ! こんにゃろ!)
「ぬわーーーっ!!!!」
まるでカルタをするように、パズーが手の平をペシペシ振り下ろす。その度に地面が激しく揺れ、ムスカ大佐が衝撃で大きく跳ね上がる。
「ジョア゛ッ!! シュワッ!! ジャア゛ァァァッッ!!」(あれっ? 意外と素早いや。うおー! 死ねー!)
「パズーッ! パズゥゥゥウウウーーッ!!」
今度は虫でも潰すみたいに、足の裏でダンダン踏みつける。
ムスカはなんとか逃げ続けているが、もう風前の灯火に見える。ボロ雑巾のようだ。
このあまりに酷い光景を前に、シータは意味も無くパズーの名を呼んだ。
「ヘアッ?」(ん、なにシータ? ボクこいつを、やっつけなきゃいけないんだけど)
「ちょっと止まって! いったん停止! すんごいラピュタ揺れてる!」
「ジョア゛! シェア゛ァッ!!」(でもシータ? 悪党をのさばらせておけないよ。このゴミ虫をペチャンコにしてやろうよ。正義の鉄槌だよ)
「そうじゃないのっ! ウルトラマンってそーいうんじゃ無いのよっ!!
いったん話し合いましょうパズーッ!」
――――優しい貴方に戻って! あの日のようにっ!
そんなシータの願いを受けてか、力に溺れていた少年は、いったん動きを止めた。
「ヘアッ! ショワッチ!」(しかたないなぁ。……えっと、シータがこう言ってるんだけど。どうしよっか?)
パズトラマンが、ムスカの襟元をつまみ、ヒョイと持ち上げる。
いま宙づりとなったムスカの眼前には、視界いっぱいのパズトラマンの顔がある。ゼロ距離でガン見しているのだ。
「――――さ、三分間待ってやる! 待って差し上げるッ!」
「ヘアッ?」(えっ、いいのかい?)
ポイッとムスカを投げ捨て、パズーは再びシータへと向き直る。
ちゃんと許可も取ったし、これで安心して話せるぞ! と機嫌良さげだ。ムスカが地面でベチャッとなっているが。
「ヘアッ! ヘアッ!」(シータ! おばさんの縄は切ったよ! もう大丈夫だ!)
「えらいわパズー。でも何でそんな風に? それを教えてちょうだい」
「ジョア゛ッ! ジェアッ! ヘェアァァァッ!」(あ、そうだ! バルスやろうよシータ! きっと楽しいよ! バルス!)
「聞いてちょうだいパズーッ!!
いま子供らしさを発揮しなくて良いの! ワンパクおやめなさい!」
そんな大きな身体なのに、心は無邪気な少年――――
よく考えたら、これはとても
なんで渡したのよドーラさん。
「シュワッチ、シュワッチ」(さっき試したんだけど、ボク飛べるみたいなんだよ。これでシータの谷まで、遊びにいけるね♪)
「うん、また遊びに来てね。……でも今そんな場合じゃないでしょ?
ラピュタが
「ジョア! ヘアッ!」(シータお腹すいてない? おばさんから貰った、サッポロ一番があるよ)
「そろそろひっぱたくわよ? 人間に戻ったら覚えてらっしゃい。金玉けり上げてやる。
とりあえず塩ラーメンはいらないわ。味噌なら考えたけど」
今日わかったのは、意外とボディランゲージでも何とかなる! という事だ。
もうシータには、パズーの気持ちが手に取るように分かる。無駄なスキルであった。
「ヘア゛ッ!?!?」(あ、なんか胸のところが、ピコンピコンしてるや!)
「えっ、なんで点滅してるの? パズー爆発するの?」
そうこうしている内に、時間が経ってしまったのか、パズーの変身時間は残り30秒。
彼は3分たったら、元の姿に戻ってしまうのである。カラータイマーの点滅だ。
「ちょっと! こっちに来ないでちょうだいっ! あっち行ってよパズーッ!!」
「ヘア゛ッッ!! ヘア゛ッッ!!」(えっ、ボク死ぬの!? いやだよシータ! 助けて!)
だがそんな事、彼らは知る由もない。
パズーは「ボク爆発しちゃう」と思い込み、そんな大きな身体なのに、シータに縋り付く。
「死ぬなら一人で死になさいよっ! 線香くらあげてやるわよっ!
ラピュタで死ねるんなら本望でしょ!? お父さんに自慢できるじゃない!」
「ジョア゛! 死にたくヘア゛ッ! 助けシュワッチ!」(やだよ! まだ天国はいやだ!)
「どんだけラピュタ壊すのよっ! 瓦礫だらけじゃないココっ!
私のお城どうしてくれるのよ! 王女なのよ私!? せめて直してから逝きなさい!」
「ジョアァァァアアアッッ!! ヘア゛ァァァアアアッッ!!」(うぉー! 死んでたまるかぁー! バルス! バルスッ!)
「――――あなた何してるの!!!! ふざけんじゃないわよ!!!!」
死の恐怖に怯え、混乱したのか。
パズトラマンがシータをふん掴み、そのまま【バルス】を連呼する。
この場が青く眩い光に包まれ、暴風が吹き荒れ、ゴゴゴッと地鳴りが響く。
そう、いま轟音と共に、ラピュタが崩れているのだ。
「あっ……! 元に戻った! 人間に戻れたよシータ♪」
「――――いま戻っても駄目よッ! せめて一緒に飛んで逃げてよ! 死んじゃう!!」
「目がぁ~! 目がぁぁ~~ッ!! ズラがぁぁ~~!!」
この後、パズー達は
◆スペシャルサンクス◆
砂原石像さま♪