【募】こんな小説を書けこの野郎【リクエスト】   作:hasegawa&friends

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 ツヴァイ!(ふたーつ!)





ムスカ「3分間待ってやる」 ウルトラマン「えっ!? いいんですか?」(砂原石像さま 原案)

 

 

 

「じゃあね、おばさん。上手く逃げてね」

 

 天空の城ラピュタ――――パズーは今そこに居る。

 正確に言えば、下手こいて取っ捕まってしまった空賊達を助け出すべく、ドーラ船長の座っている床、その真下に潜り込んでいる。

 

 コッソリと床のレンガを取り外し、そこからニュッっと手を伸ばして、ドーラの縄を切ってやった。ついでにナイフも手渡してあげたので、後はドーラ自身がなんとかする事だろう。

 

「ちょいとお待ち。……これを持っていきな」

 

 囚われの王女様、愛しのシータのもとへ向かおうとするハズ―を、決して衛兵たちに見つからぬよう、静かな声で呼び止める。

 ドーラは先ほどのレンガの穴から、自分の懐(というかズボン)に入っていた道具を落とし、パズーに渡してやった。

 

 パズーでも何とか扱えるであろう、小型の大砲。

 それに使う用の、缶コーヒーくらいのサイズがある弾薬も、いくつか落としてやる。

 

 あとドーラ一家御用達の、セラミックで出来た剣。

 使うなら使えとばかりに、フラップターを動かす為のキー。

 お腹が空いたとき用の、紐で縛られたごっついハムの固まりも。

 

「ありがとうね。それじゃあボク、行ってk」

 

「待ちな」

 

 沢山の装備を受け取り、その場から駆け出そうとしたパズーの足が、〈キキィ~ッ!〉と煙をあげて止まる。おっとっと。

 

「ついでだよ、これも持ってきな」

 

「えっ、ボクそんなにいらないんだけど……。持ってかなきゃダメ?」

 

 ドーラが引き続き、穴からゴロゴロと装備を落としていくが、それはDHCのサプリメントとか、暇つぶし用のハンドスピナーとか、マグネットの将棋盤など、全然いらない物ばかり。

 あとドーラが若い頃に撮ったプロマイドや、聖闘士星矢の4巻、サッポロ一番しおラーメンなど、ワケの分からない物まである。

 

 とりあえず、そのズボンにどんだけ入ってたんだ。

 ラピュタに何を持って来とんねんと、パズーは驚愕する。

 

「……ん? ねぇおばさん、この小さいのは何? 見たことない道具だ」

 

「あぁ、それは使ってみれば分かるよ。お前さんもビックリするハズさ」

 

 現代で言うところの、まるでペンライトのような道具(・・・・・・・・・・・)

 それにコテンと首を傾げつつも、パズーはシータを救出するべく、ラピュタの最深部に向けて走り出して行った。

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

「土に根を生やし、風と共に生きよう――――

 土から離れては、生きられなかったのよっ!!」

 

「黙れッ! ラピュタは滅びん! 何度でも蘇るさッ!!」

 

 所かわって、ラピュタの最深部。通称【王の間】

 今ここで、シータとムスカによる、この映画における屈指の名シーンが行われていた。

 

「跪けッ! 命乞いをしろッ! 小僧から“石”を取り戻せッ!」

 

「嫌よ! 誰が貴方の言うことなんか! あっかんべーだ☆

 このヘタレ! ロリコン! 七三分け! 若ハゲ!」

 

「ハゲはいま関係ないだろうッ!! ハゲは無いだろうッ!!

 いまハゲの話してないだろう! どこからハゲ出て来た! ハゲは言い過ぎだろう!」

 

「何よウンコみたいな色のスーツ着て! ダサいのよ! あと臭いのよ!

 そんなだから女の子にモテないんだわ! パズーの方がずっとキュートよ! このハゲ!」

 

「ハゲて無いだろうッ!! まだハゲて無いだろうッ!! 生き残ってるだろうッ!!

 ハゲは言っては駄目だ! それは禁止されているハズだ!

 ハゲの話をする事は、法で固く禁じられているんだ! なんでまた言うのだ!」

 

「あの地平線~♪ 輝くのは~♪」

 

「――――やめろぉッ!!!! なんか違う意味に聴こえてくるっ! 止めたまえシータ君!!」

 

「何が石よっ! あなたの頭が飛行石(・・・)でしょ! 髪が天空の城(・・・・)よっ!

 モロズラ! パカッ! ズルッ! ラピカ!」

 

「――――ロムスカ! パロ! ウル! ラピュタだッッ!!!!

 わざと言っただろう!? わざと間違えただろう君は! なんて事をするんだ!」

 

 ムスカがバキュンバキュンとピストルを撃つが、シータは「ひゃっはー!」とばかりに躱していく。たくましかった。

 

「くそぅ当たらん! だが絶対に殺してやるぞ! おのれぇ!」

 

「やれるモノならやってみなさいっ! 当たるもんですかっ!

 こちとら土に根を生やし、風と共に生きてるのよ!」

 

 もうシータ一人で良いんじゃないかな? 助けはいらないんじゃないかな?

 なにやらそんな気もしてきたのだが……、一応この場に、大きな声が響き渡る。

 いま突然、二人以外の声が。

 

 

「――――ヘア゛ッ!!」(やめろー! シータを撃つなー!)

 

 

 そこに現れたるは、銀色の巨人(・・・・・)

 全長40メートルほどの、巨大な人影であった。

 

「――――ジュワッ!! シュワッチ!! ヘアッ!」(石は隠した! 撃てば戻らないぞ!)

 

 どうやってここに来たんだろう? どうやって入って来たんだ? ここ地下だよ?

 今はそんな事、気にする場合じゃない。重要な事では無いのだ!

 

「ヘアッ! ヘアッ!」(シータ無事かい? 怪我はない?)

 

「えっ……、もしかしてパズー? このおっきいのが?」 

 

「ショワッ! ジャア゛ッ! ジョワァァァッ!!」(うんボクだよ! 助けに来たんだ!)

 

「なに言ってるか分からないわパズー! 言葉を話せないの!?」

 

 パズーが先ほど受け取ったのは、“ペーターカプセル”という道具。

 大きめのボールペンほどのサイズで、押せばピカピカ光るスイッチが付いている。

 空賊であるドーラが、ある土地で偶然手に入れた、虎の子のアイテムであった。

 

 ここでは詳しいことは省くが、とりあえずコレは『ウルトラマンに変身する為の道具だ』と理解しておけば間違いない。

 パズーはここへやって来る前、事前にこのアイテムを使用して、見事ウルトラマンへと変身を遂げていたのだ。

 

・身長:40m

・体重:3万5千t

・ジャンプ力:800m

・飛行速度:マッハ5

・パワー:10万tタンカーを軽々と持ち上げる

 

 ――――まさに巨人。みんなのヒーロー! ぼくらのウルトラマンに!

 

 

「ヘアッ! ヘアッ!」(あ、コイツぶっ倒せばいいんだね! こんにゃろ! こんにゃろ!)

 

「ぬわーーーっ!!!!」

 

 まるでカルタをするように、パズーが手の平をペシペシ振り下ろす。その度に地面が激しく揺れ、ムスカ大佐が衝撃で大きく跳ね上がる。

 

「ジョア゛ッ!! シュワッ!! ジャア゛ァァァッッ!!」(あれっ? 意外と素早いや。うおー! 死ねー!)

 

「パズーッ! パズゥゥゥウウウーーッ!!」

 

 今度は虫でも潰すみたいに、足の裏でダンダン踏みつける。

 ムスカはなんとか逃げ続けているが、もう風前の灯火に見える。ボロ雑巾のようだ。

 このあまりに酷い光景を前に、シータは意味も無くパズーの名を呼んだ。

 

「ヘアッ?」(ん、なにシータ? ボクこいつを、やっつけなきゃいけないんだけど)

 

「ちょっと止まって! いったん停止! すんごいラピュタ揺れてる!」

 

「ジョア゛! シェア゛ァッ!!」(でもシータ? 悪党をのさばらせておけないよ。このゴミ虫をペチャンコにしてやろうよ。正義の鉄槌だよ)

 

「そうじゃないのっ! ウルトラマンってそーいうんじゃ無いのよっ!!

 いったん話し合いましょうパズーッ!」

 

 ――――優しい貴方に戻って! あの日のようにっ!

 そんなシータの願いを受けてか、力に溺れていた少年は、いったん動きを止めた。

 

「ヘアッ! ショワッチ!」(しかたないなぁ。……えっと、シータがこう言ってるんだけど。どうしよっか?)

 

 パズトラマンが、ムスカの襟元をつまみ、ヒョイと持ち上げる。

 いま宙づりとなったムスカの眼前には、視界いっぱいのパズトラマンの顔がある。ゼロ距離でガン見しているのだ。

 

 

「――――さ、三分間待ってやる! 待って差し上げるッ!」

 

「ヘアッ?」(えっ、いいのかい?)

 

 

 ポイッとムスカを投げ捨て、パズーは再びシータへと向き直る。

 ちゃんと許可も取ったし、これで安心して話せるぞ! と機嫌良さげだ。ムスカが地面でベチャッとなっているが。

 

「ヘアッ! ヘアッ!」(シータ! おばさんの縄は切ったよ! もう大丈夫だ!)

 

「えらいわパズー。でも何でそんな風に? それを教えてちょうだい」

 

「ジョア゛ッ! ジェアッ! ヘェアァァァッ!」(あ、そうだ! バルスやろうよシータ! きっと楽しいよ! バルス!)

 

「聞いてちょうだいパズーッ!!

 いま子供らしさを発揮しなくて良いの! ワンパクおやめなさい!」

 

 そんな大きな身体なのに、心は無邪気な少年――――

 よく考えたら、これはとてもタチの悪い(・・・・・)事かもしれなかった。

 なんで渡したのよドーラさん。

 

「シュワッチ、シュワッチ」(さっき試したんだけど、ボク飛べるみたいなんだよ。これでシータの谷まで、遊びにいけるね♪)

 

「うん、また遊びに来てね。……でも今そんな場合じゃないでしょ?

 ラピュタが緊急事態(エマージェンシー)よ?」

 

「ジョア! ヘアッ!」(シータお腹すいてない? おばさんから貰った、サッポロ一番があるよ)

 

「そろそろひっぱたくわよ? 人間に戻ったら覚えてらっしゃい。金玉けり上げてやる。

 とりあえず塩ラーメンはいらないわ。味噌なら考えたけど」

 

 今日わかったのは、意外とボディランゲージでも何とかなる! という事だ。

 もうシータには、パズーの気持ちが手に取るように分かる。無駄なスキルであった。

 

「ヘア゛ッ!?!?」(あ、なんか胸のところが、ピコンピコンしてるや!)

 

「えっ、なんで点滅してるの? パズー爆発するの?」

 

 そうこうしている内に、時間が経ってしまったのか、パズーの変身時間は残り30秒。

 彼は3分たったら、元の姿に戻ってしまうのである。カラータイマーの点滅だ。

 

「ちょっと! こっちに来ないでちょうだいっ! あっち行ってよパズーッ!!」

 

「ヘア゛ッッ!! ヘア゛ッッ!!」(えっ、ボク死ぬの!? いやだよシータ! 助けて!)

 

 だがそんな事、彼らは知る由もない。

 パズーは「ボク爆発しちゃう」と思い込み、そんな大きな身体なのに、シータに縋り付く。

 

「死ぬなら一人で死になさいよっ! 線香くらあげてやるわよっ!

 ラピュタで死ねるんなら本望でしょ!? お父さんに自慢できるじゃない!」

 

「ジョア゛! 死にたくヘア゛ッ! 助けシュワッチ!」(やだよ! まだ天国はいやだ!)

 

「どんだけラピュタ壊すのよっ! 瓦礫だらけじゃないココっ!

 私のお城どうしてくれるのよ! 王女なのよ私!? せめて直してから逝きなさい!」

 

「ジョアァァァアアアッッ!! ヘア゛ァァァアアアッッ!!」(うぉー! 死んでたまるかぁー! バルス! バルスッ!)

 

「――――あなた何してるの!!!! ふざけんじゃないわよ!!!!」

 

 死の恐怖に怯え、混乱したのか。

 パズトラマンがシータをふん掴み、そのまま【バルス】を連呼する。

 この場が青く眩い光に包まれ、暴風が吹き荒れ、ゴゴゴッと地鳴りが響く。

 そう、いま轟音と共に、ラピュタが崩れているのだ。

 

 

「あっ……! 元に戻った! 人間に戻れたよシータ♪」

 

「――――いま戻っても駄目よッ! せめて一緒に飛んで逃げてよ! 死んじゃう!!」

 

「目がぁ~! 目がぁぁ~~ッ!! ズラがぁぁ~~!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この後、パズー達は(タコ)に乗り、お家に帰りました。(おしまい)

 

 

 

 






◆スペシャルサンクス◆

 砂原石像さま♪



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