【募】こんな小説を書けこの野郎【リクエスト】   作:hasegawa&friends

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AN-BREAD ZERO ―アンブレッド・ゼロ― Ⅷ

 

 

 

 バイキンミサイルが、爆発した――――

 

 アンパンマンは、ヤツの息の根を止める事をせず、その結果あのミサイルは、遥か上空の空で四散する事になった。

 

 恐らくは……ちょうど二人の決着が着く頃を見越しての事だろう。

 発射され、きっかり5分が経過した時に、自動的に爆発するようになっていたのだ。

 

 ――――……。

 

 雲で出来た、大きなばいきんまんの顔。ご丁寧な事にダブルピースまでしている、満面の笑みのふざけた顔。それが上空で形作られた。

 キノコ雲ならぬ、ばいきん雲だ。

 

 核爆弾だなんて、ウッソぴょーん! 騙されたなぁお前ら! あーっはっはっは!

 まるで、そう世界中の人々をあざ笑うかのような、悪趣味なパーティグッズ。

 それがあのB2ミサイルの正体だったのだ。

 

 ――――うそつき。

 

 そうボソッとつぶやきながら、アンパンマンは空を見上げる。

 今、世界中に向けてばいきんまんが仕掛けたキリング・ジョーク( 必殺のネタ )

 大がかりでド派手なだけで、“少しばかり大きなクラッカー”となんら違いのないB2の爆発を眺めながら、アヴァロンダムの大地にじっと立ち尽くしていた。

 

「ああ、嘘さ……。

 核なんて悪趣味な物、俺さまが作るものか。

 お前にはバレてたみたいだな……相棒(バディ)

 

 町を空爆したという嘘。子供達を殺したという嘘。そして……自分を殺さないと世界が滅亡するという嘘。

 思えば自分は、たくさんの嘘をついたモンだと思う。ただ一つ、アンパンマンを本気にさせるという、その目的の為に。

 この戦いで、自分を殺させる……死に場所を得るという、ただそれだけの為に。

 

「だが……お前も大胆というか、肝っ玉が太いというか。

 まさかバイキンUFOを破壊するだけで、俺さまを殺さずにおくとは……」

 

「もしあれが本物の核なら、いまごろ世界は滅亡してたんだぞ?

 いくら嘘だと思ってても、普通それに賭けるかぁ? 殺さずにおけるかぁ?

 大概()()()()()()。お前も、俺さまも……」

 

 一方的な勝負を望まない。無意味な殺戮はしない。

 今日のばいきんまんの行動だけを見ても、その嘘を見破るヒントは沢山あったと思う。

 加えて、あのベカリ戦争において散々“戦争の醜さ”という物を見せられ、それを心から嫌悪していたこの人が、自らの手で核など使うワケがないという確信もあった。

 

 ゆえにアンパンマンは、あの時ばいきんまんを打倒するだけに留め、殺すことをしなかった。

 いま二人は大地に降り、ボケッと遠くの空を眺めながら、ただ向かい合って立っている。

 そんな結末を向かえたのだ。

 

 けれど……いくらばいきんまんの性格を理解しているとはいえ、信頼しているとはいえ、先ほどアンパンマンが選んだ選択は、()()()()()()()()()

 世界中の人々の命を、まるでカジノのチップのように賭け、ばいきんまんを殺さずにおいたのだから。

 この世の全てよりも、たった一人の友達を選ぶ――――ばいきんまんの方が大事だと、そう言い放ったに等しい。

 とても、常人に出来ることではなく、選べるものでは無かった。

 

「あーあ、死にぞこなったかぁ~!

 せ~っかく良い感じで終われると思ったのにな~! 残念だぁ~!」

 

「まっ! 負けたしな、仕方ないけど!

 今後の人生を考えると、少しばかり憂鬱だが……我慢する事にするよ」

 

 未だ、二人で遠くの空を見つめながら、ゴロンとその場に座り込む。

 やれやれとため息をつき、グテ~っと両足を伸ばして。

 

「つーか、お前も随分()()()()じゃないか。

 俺さま頑張ったろぉ? こんだけ無茶して、世界中に迷惑をかけたんだ。

 ……ここで俺さまをぶっ殺しとけば、まごう事なき“ヒーロー”になれたのに」

 

「お前と俺さま、正義と悪の物語が、歴史に刻まれてたハズだ。

 俺さま達の生きた証が、後世に残せたよ。

 この先ず~っと忘れられる事のない栄誉だぞ?

 もうお前も、“Demon”だなんて呼ばれずに済んだのに……」

 

 静かに瞳を閉じる。

 先ほどまでの熱は、もう無い。

 ただただ今は、もう終わってしまった戦いへの未練、そして倦怠感だけがある。

 収まるべき所に、収める事が出来なかったという気持ち。願いが果たせなかったという想いが、ばいきんまんを小さく見せている。

 まるで、今から死にゆく者のように、力ない姿だった。

 

 

「君が死ぬことを、ぼくは望まない――――」

 

 

 その唐突な声に、ばいきんまんは驚く。

 

「ぼくたちの物語の結末が、殺し合いだなんて……、そんなのイヤなんだ」

 

 いつ以来だろう。アンパンマンのこんなにもハッキリした声を聞くのは。

 意思の籠った、強い声を聞くのは。

 

「君が用意してくれた、この戦いは、無駄なんかじゃないよ。

 また新しい物語を始める“きっかけ”になる。

 ずっと離れ離れだったけど、ここから二人で、また始められる」

 

 ばいきんまんが、彼の顔を見つめる。

 あの鉄仮面じゃなく、ちゃんと心が表れた表情。

 死んだ目ではなく、生きた瞳。

 

「ぼく、がんばったんだ。

 君と同じように、まっすぐ前を向く為に……。

 この半年間、ひとりでも頑張った」

 

「君が悩んでいた時……、ぼくは何もしてあげられなかった。

 でも今なら、力になれるかもしれない……」

 

「だからもう、一人で背負わないで。

 死ぬことなんて無い。

 殺し合いをする必要なんて、無いんだ」

 

 アンパンマンが、まっすぐに目を見て、

 

 

「ぼくがいる。君の助けになる。

 だから――――ふたりで生きていこう」

 

 

 そう、静かに笑った。

 

 

 

 

「…………ん゛ふっ!? んっふっふ!!」

 

 まるで時が止まったかのような、ほんの少しの静寂。

 

「はっはっは……! いやスマン相棒(バディ)、思わず笑っちゃった」

 

 ばいきんまんが、突然噴き出した。

 小さく、どこか力ない様子で、笑いだしたのだ。

 

「二人で生きていく……かぁ。

 そいつは良いだろうなぁ、楽しそうだなぁ……」

 

「けど、駄目だよアンパンマン……無理だ。

 “正義と悪”は、一緒にはいられないモンなのさ。一緒には歩めない。

 腑抜けじゃなく、ちゃんと自分を取り戻したお前なら……猶更だ」

 

「それにな? もうこの世界に、()()()()()()()()()()()

 お前が飛ぶ空は、もう無いんだよ――――」

 

 寂しそうに、泣きそうな顔で笑う。

 ばいきんまんが、どれだけアンパンマンの事を大切に思っているのかは、もう既に伝わっている。

 けれど、一緒には居られないのだと。もう無理なのだと、力なく言った。

 

「笑ってすまなかったなぁ相棒。悪気はなかった。

 いやなに、コレがあんまりにも似てたもんでな?

 いつか聞いたジョークみたいだ……って」

 

 アンパンマンは、キョトンとした顔。

 対してばいきんまんは、未だ寂しそうに笑っている。

 

 

「とある精神病院に、二人の男がいた――――

 そいつらは()()()()()、もう長いこと、そこに入れられてたんだ」

 

「ある日、二人は連れ立って、脱走する事を決めた。

 もうこんな場所に居たくないって、一念発起したのさ」

 

「夜になり、男達は施設の屋上に登った。

 見れば、狭い隙間のすぐ向こうに、隣の建物がある。

 さらにその向こうには、月明りに照らされた、美しい夜の街。

 自由の世界ってヤツが、そこに広がってた」

 

「すぐさま一人は、ピョインと飛んで、隣の建物へ移る。

 だがもう一人は、なかなか飛べずにいた。

 落ちて死んじゃうのが、怖かったんだ」

 

「そんなマゴマゴしてる姿を見て、最初のヤツは\ピコーン!/と名案をひらめき、嬉しそうに言った」

 

『ねぇ相棒、ぼく懐中電灯を持ってきたんだ。

 今からこの光で、橋を作ってあげるよ。

 その上を歩いて、こっちに渡っておいでよ――――』

 

 ばいきんまんが、手のひらで顔を覆う。

 ポロリと、ひとすじの涙を流して。

 

 

「二人目のヤツは、大激怒だ。

 扇風機みたいに首を横に振り、そいつに怒鳴り返した」

 

『おい相棒ッ! 俺さまがイカれてるとでも、思ってるのか!?

 ――――どうせ渡ってる途中で、スイッチを切るつもりなんだろ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……………………………………

 …………………………

 ………………

 ………

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 これが、闇に葬られたもう一つの歴史だ。

 “彼”の消息も、その後パッタリ途絶えている。

 

 あの七つの核の影響は、大きかった。

 これを目の当たりにした戦勝国たちは、世界的な軍縮の道を歩んでいった。

 自らへの戒めのように。

 

 クーデターを始めとする、終戦後に起きた出来事は全て隠匿され、人々の記憶から消えた。

 そして彼らも同時に、歴史の闇へと封印されたのだ。

 これも平和の為の、ひとつの形なのかもしれない。

 

 

 こうして、ベカリ戦争という名の物語は、その幕を閉じる。

 

 だが“彼ら自身”の物語は、まだ終わったワケではない――――

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

・INTERVIE ♯01

 

 “THE STRATEGIST” 【カロリー1000㌔オーバー菓子パンマン】氏

 

 

 

 モゴモゴ! ようはな? ごっくん! 戦争ってのは……モゴゴゴゴ!!

 まぁ結局の所、お偉いさん方が机の上でやるもんさ。

 最後に勝ってさえいりゃー、それで問題は無い。

 

 まぁ戦後処理だの保証だの()()()()だのは、色々あるだろうけどな?

 “勝てば官軍”って言葉がある通り、勝ちさえすれば、全て正当化出来るってもんよ。

 

 だが……そんなお国の勝ち負けとは別の所にあるのが、俺ら兵士だ。

 俺らはとにかく、生き残らなきゃ意味がない。

 戦争全体で勝とうが負けようが、自分が死んじまったら元も子もない。

 

 こうして美味い飯を食うことも、ブタみてぇに太ることも出来なくなっちまう。

 命はひとつ。ライフイズビューティフル! ってな。

 

 

 生き残るために必要なのは、瞬時に場を見極める目だ――――

 

 街でも一緒さ。

 こんなドブ屑みてぇな、薄汚いスラム街のルールが、あの広い空にも通用するんだ。

 

 “あいつ”も、この街と同じ匂いがしたよ。

 あんなファニーな機体に乗ってるワリには……。

 

 なんだろな? 鬱屈でも溜ってたのかねぇ?

 あの冷徹さ、容赦の無さは正に、()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

・INTERVIE ♯2

 

“THE FALLEN” 【きなこ揚げパンマン】氏

 

 

 あれから僕は、暖かい生活を手にしました。

 結婚も出来たし、子供だっています。

 

 ……たまに夫婦喧嘩とかもしますし、きなこの袋を隠されたりもしますが。

 まるで、ママにゲームを取り上げられる小学生みたいに……。

 

 どうして妻は分かってくれないのでしょうか? この僕にとって、きなこがどれだけ大切かって事を。

 きなこを食うなとか……、そんなの「酸素吸うな」って言われてるのと同じですよ。僕に死ねって言うんですかチキショウ。

 

 まぁでも、概ね幸せだと言える生活です。これは彼のおかげかもしれない。

 あの空戦で墜とされ、ベイルアウトして降りたのが、ちょうどここだったんですよ。

 多くの出会いと、キッカケ、そして新しい人生を歩んでいくための自信を、“彼”から貰った。

 

 けれど……そこには隊長の姿は無かった。

 生き残ったのは、僕一人でした。

 

 

 あっ……! あの音が聞こえますか記者さん?

 “平和の鐘”です。

 この街では毎日、首都開放を祝って、17時になったら鐘を鳴らすんですよ。

 

 でも僕には、弔いの鐘のように聞こえる――――

 

 僕があの時、きなこ舐めながら操縦してさえなければ……。

 

 

 

 

 

 

 

・INTERVIE ♯03

 

“THE MAN WHO LIVED FOR BATTLE” 【すいとんパンマン】氏

 

 

 

 腹持ちの良いすいとんと違って(?)、戦闘機っていうのは、墜ちたら終わりなんだ。

 ミサイルはもちろんの事、バルカンだって機体のどこに当たろうが、致命傷となる。

 墜落をすれば、戦闘機は木っ端みじんに飛び散って、跡形もなく燃えてしまうんだよ。

 

 そりゃあ怖いさ。どんな戦闘機乗り( エース )だって、死を恐れないヤツなんかいない。

 けれど……あそこでは“生きている証”が得られる。

 空で戦っている時だけ、私たちは生を実感出来るんだろう。

 

 あの戦争が終わり、私は軍を退役した。

 出世だの地位だのに興味がなく、ただただイチ戦闘機乗りとして生きていたおかげかな? 私は戦犯として裁かれること無く、その後の人生を送ることが出来た。

 

 幸運なことに、こうして航空機のインストラクターの職に着き、今も空を飛んでいるよ。

 だけど……時折物足りなさを感じてね?

 寂しいんだ。()()()()()()

 

 

 うん、またアイツと飛びたいもんだな。

 

 報復とか、怒りとか、今度はそんなの関係なしに、純粋にアイツと飛んでみたいよ。

 ま、“馬に蹴られない”程度にね。

 

 

 

 

 

 

 

・INTERVIE ♯04

 

“A WOMAN OF UNDYING FAIFH” 【ブリ照りパンナちゃん】女史

 

 

 エスパーダ隊2番機。

 元サビン空軍第9航空陸戦旅団、第11戦闘飛行隊。

 

 XBーO追撃の折り、その護衛として“彼”と交戦。

 あのクーデター軍で生き残った、数少ない女性。

 

 現在はダンサーとして生計を立てている。 

 

 

 

 そうね……もしあの“鬼”がいなければ、私たちの人生は、今と変わった物になっていたかもね。

 こんな風に、サビン阿波踊(あわおど)り協会の女会長をやる事も、無かったでしょう。

 

 私にはね? 空を飛ぶ事や、あんなワケの分からないアホな中学生が考えました~みたいな思想よりも、大切な物があったの。

 そう、彼よ。

 いつも一緒に飛んでたエスパーダの1番機が、私のカレピッピだった。*1

 

 あの時の任務は、組織の移動手段として要の戦力となるハズだった重巡航管制機、あの宮崎アニメに出て来そうなアホみたいに大きいガンシップの護衛だったわ。

 どんだけナウシカ好きなのよアンタら……。よくこんなモン作ったわね? と思ったわ。

 私らトルメキア軍か! って話よホント。

 

 そして、その行く手を阻むかのように現れたのが、あの“鬼神”だったの――――

 

 もうね……あの時感じた恐怖は、忘れられない。未だに記憶から消えないの。

 私はこれまで、74回出撃して、その全てで()()()()()。無事に帰還した回数はゼロよ。

 いつも1番機の彼に「ごめんねー」って言いながら、成す術無く墜とされていくのが私の日常。

 それでもやっぱ……、めっちゃ怖かったわ、あの時は。

 ベイルアウト慣れしていて良かった~って思ったものね。

 

 そんなクソ雑魚な私だけじゃなく、仲間達も次々となぎ倒され、墜ちていったわ。

 あのクーデターの要であった、護るべき親鳥までも……。

 まぁちょっと「ざまぁみろ男共!」と内心思ったのは、ここだけの秘密!

 アタシきっと、結婚したら旦那様の鉄道模型とか、容赦なく売り払う女なんだと思うわ。

 

 

 あの戦いが終結した後も、私たち二人は生き延びることが出来た。

 組織を抜けて、地上に降り、普通の生活を送るようになったの。

 

 けれど……彼は重傷を負っていた。

 やがてすぐ、私を残して逝ってしまったわ。

 2人で過ごすことが出来た平穏な時は、わずかな物だった。

 まぁ【サビンのドスケベサキュバス】の異名を持つ私だから、思い残すことが無いよう、死ぬほどエッチしたし? それは良かったんだけどね。

 

 思えば……あの情け容赦のない私の性搾取がなければ、彼はもう少しくらい長生き出来たかもしれないわ……。

 正に「()()()()()()!」って感じよね。えっちだけに(大爆笑)

 まぁ彼も、本望だったことでしょう。てへ♪

 

 

 とりあえず、彼が死んだのは、全部あの“鬼神”のせいだ~という事にしておいて……。でも憎しみは無いのよ。

 

 この後悔も、悲しみも、苦痛も、全て彼が残してくれた物――――

 私はその大切な遺品を、守っていく。

 

 ドスケベサキュバスだけに、()()()

 

 

 

 

 

 

 

・INTERVIE ♯05

 

 “THE FLAG OF DIE” 【ごはんパンマン】氏

 

 

 元コムギィコ空軍、外国人傭兵部隊、第6航空師団、第66飛行隊ガルム隊、2番機。

 片羽の後任として“彼”の相棒を務め、どれだけシカトされようともめげずに支えた人物。

 

 現在は俳優として活躍し、数々の映画に出演するアクションスターとなっている。

 妻と6人の子供がいるリア充。

 

 

 

 

 Smile(アンパン)さんスか? そりゃあもう強かったっスよ!

 最強の戦闘機乗りですもん!

 

 アンパンがぁ!! 上取ってぇ!!

 アンパンがぁ!! ハイ・ヨー・ヨー!*2

 ブレイク読んでぇっ!!*3 まだ喰いつくぅぅ!!

 アンパンがぁっ!! 近付いてぇっっ!!

 アンパンがぁっ!! ――――決め(撃墜し)たぁぁぁあああーーッッ!!!!

 

 ……って感じっスよいつも。

 どうです、凄いでしょう記者さん?

 

 というか、まぁ……。

 僕は結局、最後までSmile(アンパン)さんのどこがどう凄いのかってゆーの、()()()()()()()()()()()()()

 

 強ぇ! すげぇ! いっぱい撃墜してる! ってゆーのは分かるんスけど。でもそのテクニックがどうとかは、いまいち理解出来ませんでした。高度すぎて。

 いっつも僕、インスピレーションで飛んでましたからねぇ。

 

 

 でもいいんじゃないっスか? 僕はあの人の前では、ただの“ヒーローに憧れる子供”。

 純粋に「かっけー! すげー!」とか言って応援してる、だたのファンだったんスよ。

 

 支えるとか、絆とか、そーいうのもやってみたかったし、“相棒”になりたかったケド……。

 結局は、その願いも叶わないまま、戦争は終わっちゃいましたし。僕も地上に降りてしまったから。

 

 Smile(アンパン)さんの相棒は、あの人だけなんだと思います。

 エースだの2番機だの言ったって……やっぱ僕は、彼らに憧れるいちファンなんスよ♪

 

 あれから随分経ったし、もう僕もいっちょ前の大人ですが……でも心は今も少年のまんま。憧れは決して色褪せません。

 誰よりも近くでヒーローを見ていられたんだから、これって自慢出来る事ですよね?

 

 しいて言えば……今度会えた時は、飲みにでも連れて行ってもらえたら、それで満足だ。

 今どーしてるんスかねぇ、二人とも……。

 

 

 会いたいなぁ、Smile(アンパン)さんとGerm(ばいきん)さんに。

 きっと今もどこかで、仲良く痴話喧嘩してるんだろうなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

・INTERVIE ♯06

 

“A BROTHER IN ARMS” 【ばいきんまん】氏

 

 

 元コムギィコ空軍、外国人傭兵部隊、第6航空師団、第66飛行隊ガルム隊、2番機。

 

 “片羽のばいきん”と呼ばれた傭兵。

 そして、彼の相棒であり、宿命のライバル。

 

 

 

 

 ……あのジョークの後な? ()()()()()()()()()()

 

 気絶するまでマウントパンチされた後、無理やり頭を掴んで立たされ、最後は金色に光った状態でのアンパンチだ。100㎞くらいブッ飛んだ。

 あれ俺さまじゃなかったら、ぜったい死んでたと思うぞ?

 

 うん、めちゃくちゃ目が怖かった覚えがある……。

 ()()()()()()()()ってゆーのかな? 深淵の闇みたいにドス黒い瞳で、ひたすらドゴドゴ拳を振り下ろすんだ。

 やめろとか、助けてとか、そんな事すら言えない。……だって口を開こうとしたら、即座に拳が飛んで来るワケだから。

 

 あいつ戦争のとき、“鬼神”とか大そうな言われ方してたケド……、ならあの姿はいったい、何に例えられるんだろな?

 もし誰か見てたんなら、いっかい聞いてみたいモンだよ。今度は何神って言われるんだか。

 

 

 とにかく……俺さまは死ぬハズだった。でも死にぞこなったのだ。

 

 半日くらいしてから、ようやく気絶から目覚めて、アンパンみたいに腫れ上がった顔と、痛む身体を引きずりながら辿り着いた先は……あの核の爆心地だった。

 

 一面の荒野が広がる、何もない場所……。

 それがなんだか、悲しくてしょうがなかったよ。

 

 でも、そこで強く生きる人々がいた。

 俺さまは、ヤツらに助けられたのだ。

 

 

 あれからも俺さまは、戦場にいる。

 この国境近くの街で、AK片手にワチャワチャやってるよ。

 別に助けられた恩返しってワケじゃないが……まぁこれも()()()()()

 ま! たま~に()()()()()()くらいはするケド。

 それが今のライフワークさ。

 

 俺さまはもう、満足する位に大暴れした。

 だから後は、のんびり余生を過ごそうと思ってる。

 負けたし、なんか思ってたのと違う感じだったけど……あの戦いは楽しかった。それでもう充分だよ。

 

 最後にあれをやれて、良かった。

 あの時思い出した悪の矜持も、生きる意味も、今もこの胸にある。ずっと忘れないよ。

 

 だからこれからも、なんとかやっていける――――

 そう思ってるのだ。

 

 

 下らないだの、価値は無いだの……散々言っては来たがな?

 でも今は、「見届けてやろう」と思う。

 俺さま達の次の世代が、いったいどんな風に戦っていくのか、世界を作っていくのか。

 

 そして、この世界の“ヒーロー”と“悪”は、いったいどんな物語を紡ぐのか――――

 精々、ここでAKでも撃ちながら、見せて貰うことにするさ。

 がんばれよ若人たち。俺さまは見てるぞ! ……ってな。

 

 

 まぁ俺さまってバイキン星の出身だし……この星の奴らとは違うから、寿命ってヤツが何年くらいなのか、実はよく分かってなかったりするんだ……。

 あと10年なのか、それとも1千年くらい大丈夫なのか、それは分からん!

 

 でも……今はそう思ってるぞ。

 それで良いと思う。

 

 まっ! あんまりにもつまらなくて、退屈するようだったら、また何か考えるさぁ!

 お前も覚悟しとけよぉ坊主~? また無茶苦茶するかもしれないぞぉ~?

 はーひふーへほ~う!!

 

 

 そういやぁ、今カメラで撮ってるけども、これって“アイツ”も見るのかぁ?

 ……ん、そっかそっかぁ!

 じゃあもし会う事があれば、伝えてくれ♪

 ん゛っ! んん゛っ!! あーあー♪ テステス!

 

 

 

Yo buddy( よぉ相棒 )―――― You still alive( まだ生きてるか )?」

 

「お礼を言うのは大きらいだが……ありがとう戦友」

 

「またな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………………………………

 ………………………

 ………………

 ………

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 “円卓の鬼神”。

 

 ベカリ戦争を駆け抜け、畏怖と憧憬の狭間で生きた英雄(ヒーロー)――――

 

 “彼”はたった数か月の間のみ、空に存在していた。

 その後の消息は、定かではない。

 

 

 私は、ついにその人間性(?)にまでは、迫る事が出来なかった。

 

 分かったのは、ほのかに漂うヤンデレ感と、なにやら女の子達が「尊い!」と喜びそうな、ちょっと身震いしてしまうような変な雰囲気のみ。

 その人柄は、不明だ。

 

 

 ただ、“彼”の話をする時……みんな少し嬉しそうな顔をしていた。

 

 それが、答えなのかもしれない――――

 

 

 

 

 ~END~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

「……ぷっ! くっくっく!

 あの記者の坊主、とうとう気が付かなかったなぁ~♪

 俺さまが()()()()ってヒントは、散々出て来ただろうに」

 

「おーい、ひきこもりパンマーン! もう出てきても良いぞ~う?

 まったくぅ! なーにが『話したくない』だぁ!

 ちょっとは社交性という物をだなぁ~?」

 

 

 ――――ある事ない事、言い過ぎ。ぼくあんなのじゃない。

 

 

「そっかぁ~? まぁ誇張は入ってたかもなぁ~。

 ……んな事より、パンは焼けたのか相棒(バディ)

 俺さまのシチューと一緒に食おう。また酒も作ってやるから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

AN-BREAD ZERO ―THE BAKERY WAR―

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
彼氏のこと。

*2
戦闘機動のひとつ。高度を速度に変えて落下する事で、一気に敵機に襲い掛かる。

*3
回避のための旋回




◆スペシャルサンクス◆

 甲乙さま♪


・原作

【それいけ!アンパンマン】
【ACE COMBAT ZERO ~THE BELKAN WAR~】


・空戦・戦闘機描写参考

【P・T・ギルクリスト著 “空母パイロット”】
【エリア88】
【群青の空】
【USA Military Channel】
【各種WIKIの戦闘機解説ページ】
【エスコンゼロ攻略サイト】


・ネタ元・セリフ回し参考

【BLACK LAGOON】
【DRIFTERS】
【Batman: The Killing Joke】


・キャライメージ曲

 アンパンマン 【Virginity】(レベッカ)
        【二水戦の航跡】(艦隊これくしょんBGM)
        【Magical World】(鬼束ちひろ)

 ばいきんまん 【Hate Crew Deathroll】(Children of Bodom)
        【Red fraction】(MELL)
        【Memory】(Cats the Musical)

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