【募】こんな小説を書けこの野郎【リクエスト】 作:hasegawa&friends
――――禊企画! その4!
※Fate/stay night二次創作。
PM4時20分、マウント深山商店街――――
「よぉ、久しいなァお前ら! ご無沙汰ァ!」
ポケットに手を入れ、チンピラみたいな歩き方のクーフーリンが、姿を現した。
何がおかしいのかケラケラ笑いつつ、既に集合場所(大通りにある駐車場)へ集まっている面子の顔を、のんびりと見渡す。
「遅いぞランサー、10分前には到着したまえ。常識だろう」
「私なんて、家事をほっぽり出してまで来てるのよ?
どれだけ
「まーまー! 固いこと言うなって!
今日は無礼講ってヤツだろ? 楽にいこうや」
エミヤ&メディアが苦言を呈するも、彼はどこ吹く風。集合時間を少し過ぎての到着だったが、まったく悪びれる様子無し。
「なんでも、『腹が破れるくれェ食って良い』って聞いたぜ? 酒もあんだってなァ!
いきなり招集かけられた時は、何事かと身構えちまったが、ようは宴会だろコレ!」
「いわゆる“お疲れ様会”なのでしょうか?
それにしては、少し時が経ち過ぎている気が……」
「聖杯戦争が終わり、早ひと月。
今更かような労い、あの者共がしようハズも無し。
きゃつらは飽きもせず、三百年殺し合っている輩ぞ?」
「■■■……」(同感だな。嫌な予感しかせん)
メデューサ、小次郎、ヘラクレス。
彼らも言われるがままに、ここへ集まり、そして難しい顔で眉を歪めている。
今日この場にいる第五次のサーヴァント達6人は、それぞれ己のマスターから「この日にこの場所へ向かえ」と言い付けられ、イソイソと集まって来た者達だ。(小次郎に関しては、キャスターからの又聞き&許可を貰ってだが)
詳しい事は分からない。どうやらマスター達も、詳細な内容までは知らなかったから。
しかしながら、ランサーが言った通り、“皆で集まって食事をする”。
その一点だけは、ザヴァたち全員の共通認識であり、どうやら間違い無いようだ。
「ま、何かしらはしてくんだろうがよォ、どーせくだらねェ事に決まってる。
連中の思惑なんぞ意に介さず、たらふく食って飲みゃー良いんだよ。だろ?」
「ふむ……」
「「「……」」」
この場でただ一人、あっけらかんとした顔のランサー。
対してアーチャーたち他の面子は、未だウムムと唸るばかり。
「
辛気臭ぇツラしてんじゃねェよ、らしくもねェ。
こんだけ雁首揃えてんだ。なんとかならァな」
たとえ一国の軍事力全てが相手だろうが、核や化学兵器の脅威に晒されようが、問題ない。
自分たちは“英霊”。こちらを殺せるのは、同じサーヴァントだけ。
ゆえに、たとえ何が来ようとも、恐れるに足らず。少なくとも“命”を取られる事は無い。
それは物理的な事実であり、この世で唯一とも言える“絶対”だ。
「少し楽観的なように感じるが……まぁ君の言う通りか」
「おうよ! いざとなったら、
最悪、食うだけ食って、
あん時は辟易したモンだが、今は心強ぇ。お前がこっち側で良かったぜ!
そんな歯に物を着せない、真っすぐな信頼を受けてか、アーチャーは思わず「こほん!」と咳払い。
昨日は敵だったけど、今日は仲間だ! ひゃっほう☆ ……そんなランサー特有の切り替えというか、サッパリとした気の良い笑顔に、もう苦言や皮肉など言えなくなってしまった。
「とりあえずは、行きましょっか?
あまりここで、長々と話し込むのも……ね」
「はい。私たちは今、
正直、人の目が辛いです……」
「私は和装ゆえ、気にならぬが、この大きな御仁には拙かろうて」
「■■■……」(感謝する……)
キャスター&ライダー&アサシンが、不憫な子を見るような目で、バーサーカーの方を向く。
古代ローマの剣闘士もかくやという、もう半裸といっても差支えない恰好でいる彼を、早く人目から隠してやらなければ。下手すりゃ捕まってしまうし。
ちなみにだが、サヴァ達がいま“現代の服”でないのは、「英霊としての装束で来い」という指示があった為だ。
各々のマスター達も困惑気味だったが、とりあえず監督役(言峰)にそう言われたので、ここは従っておきましょうとの事。
なにやら妙な“ドレスコード”ではあるけれど……、その代わりと言ってはなんだが、飲食代や参加費は一切不要らしい。なので甘んじて受け入れる事とした。
今みんなの姿は、まごう事無く第五次聖杯戦争、当時のまま。もう今すぐにでも、ヒュンヒュンそこいらを駆け周りそうな感じ。
総じてみんな物騒というか、時代錯誤な恰好である。
「つーか、なんでセイバーだけいねェんだ?
今日アイツは不参加なのか?」
「いや、凛が言う所によると……彼女は直接店に向かうらしい。
なんと言っても、今日の“主賓”だからね」
「あー、準備とかあるのかもね。ドレスでも着るつもりかしら。
ねぇ、貴方はなにか聞いてる?」
「いえ、私はサクラに“別行動”としか。
同居人とはいえ、あまりセイバーとは、話す事をしませんから」
「以前は宿敵同士、加えてお主らは
あれか? 口を開けば罵り合い、といった具合か。姦しい事よな」
「■■■……」(あまり
暫し雑談に興じていた6人は、「やれやれ」といった気だるげな様子で、ようやくその場から動き出す。
大通りを歩く通行人たちが、こぞって「ひいッ!?」と道を空ける中を堂々と歩きつつ、目的の店へと向かう。
何百何千という時を越えて
有り体に言って、イカツかった。
◆ ◆ ◆
「おっ! ちーっすセイバー、今日はよろしくなァ~」
そして、到着しました本日の会場。
その名も【紅洲宴歳館・泰山】
ここマウント深山商店街で、唯一となる中華料理屋である。
「■■■■……!」(香辛料の香りだ。食欲をそそる!)
「ほほう、雅な店構えよな。
「へぇ、中はこんな感じなのね~。
私はいつも、お買い物の時に通りかかるけど、入った事は無かったのよ」
「私もです。あまり外食をしませんから。
サクラはとても料理上手なのです」エッヘン
「凛もそうさ。加えて彼女は守銭奴でな。
……まぁそれはそれとして、私はあまり気が進まんのだ。確かこの店は……」
ガラガラっと扉を開けて入店。
すぐさま興味深そうに、キョロキョロと辺りを見渡すサーヴァント達。
まぁ若干一名、なにやら額から汗をかいている者もいるが。
一体どうしたと言うのだろう? 彼の墓の上を、誰かが歩きでもしたか?
「おー、もう席に着いてんのかセイバー、随分早ぇじゃねーか。
お前さんの事だ、先に料理をつまみでもs
「――――遅い」
ピシャリ、空気を切り裂くような言葉。
行儀よく椅子に座りながらも、たった今やって来た者達を、キッと睨み付けている。
「この宴は、4時半開始の筈――――
すでに時計の針は、それを過ぎているように見えますが?」
「おっ……」
「「「……」」」
カッと目を見開き、壁時計を指さす。ただいま時刻は4時40分也。
有無を言わさない雰囲気。かつては王であった彼女の纏う、絶対的なカリスマ。
先ほどまでの弛緩した空気など、既に無い。6人のサーヴァント達はポカンと呆ける。
その後、ハッと目を覚ましたように、慌てて彼女にちゃんと向き直った。
「いや……済まなかったよセイバー。準備に手間取ってしまった」
「ゴメン、待たせちゃったわね。機嫌を治して頂戴」
「申し訳ありません……。こちらの落ち度です」
「つか、俺がやらかしちまったんだよ。悪ぃなセイバー?」
「■■■……」(許せよ……)
「あいすまぬ」
ペコペコ、ペコペコ。サーヴァントたち平謝りの図。
みんな歴戦の英雄だし、とてもプライドの高い人達なのだが、この時ばかりは必死こいて謝る。
だってセイバーの様子がオカシイんだもん。なんかいつもの彼女と違うんだもん。
正直、めっちゃ怖いのだ。今のアルトリアさんは。
特に目がエグイ。本当に獅子とか竜みたい。
「――――いつもこうなのですか?
貴公らは
大切な
「「「えっ!?」」」
だが、追撃。
アルトリアさん、ぜんぜん許してくれなかった。
更に彼らを問い詰め、容赦なく追い詰めていく。
「いやいやッ! そりゃあ予定通りにいかねェのは、戦の常だけどよォ?
だがそんなつもりはッ……!」
「ほら、電車が時間通りに来るのは、日本くらいのモンだって言うじゃない?
別に私達、貴方を軽んじてたワケじゃ……」
「せ、セイバー?! 一体どうしたと言うのですか……?!
こんなに怒っている貴方を、私は見たことがありませんっ!
心優しく、清廉な貴方が、何故このような……」
「何か
もしそうならば言ってくれ! 賠償をしよう!」
もう絵に描いたような「ぶっすぅ~!」とした顔。激おこセイバーさん。
まるで初孫の機嫌を取るおじいちゃんの如く、サヴァ達は皆オロオロしながら、必死に言い募る。
けれど……。
「そんなだから、
ピキリと、致命的な亀裂が、この場に走った。
「真面目にやらないから、頑張らないから、勝てないのです。
どういう事ですか貴公ら? なぜ負けたのに、ヘラヘラ笑っていられるのです」
バン!!!! と強くテーブルを叩く音。
それに反し、静まり返る中華料理屋・泰山。
「ランサーが死んだ! このひとでなし! ……じゃないですよ。
そんなネタをする位なら、もっと真面目にやれと言いたい。
何がコメディですか。ほのぼのですか。我々サヴァの本分は“戦い”でしょうに。
後ちょっとしたエロシーンと(ぼそっ)」
この場の誰にも聞こえないような小声で、ごにょごにょと何か呟いた後、すぐに気を取り直した彼女は、ピシッとライダーに指を突き付ける。
「分かっていますかライダー? たとえどのような分岐を経たとしても、貴方が聖杯を手に入れる未来など、全く存在しなかったのですよ?
シロウに協力をし、サクラの
「っ!?」
「ランサーもそう、アサシンもそうです。
待っているのは、哀れで無惨な未来のみ。
散々他人にこき使われた挙句、ポイッと切り捨てられるだけの人生だ」
「っ!?!?」
「ッッ!?!?」
「バーサーカーはワンチャンあるかもですが、それでもかの英雄王を打倒するのは至難。
貴方はその為の努力を、ちゃんとしましたか?
狂化とか、喋れないとか泣き言を言う前に、一度でも
地面に文字を書くなり、ボディランゲージするなり、いくらでも意思疎通の方法はある! ちょっと賢いゴリラにでも出来る事だぞ!!
子供をただ見守るのではなく、“導く”のが大人の役目だろうに……。
シロウと和解しろ、シロウと組め。それが最善だと。
なぜ真の意味で、あの子の“幸せ”を想わなかった? 貴方ほどの大英雄が!!」
「■■■ッ……!?」
「キャスターに関して言えば、確かに勝利する未来はある……。
だがそれは、なんか
所詮は作者がササッと書いたような、シロウのBAD ENDのひとつに過ぎない。
あんな物、ちょ~っと周りがその気になれば簡単に崩れ去る、砂上の楼閣の如き栄光だ。
……これまで散々人をだまくらかし、悪事の限りを尽くしたでしょう?
最弱のサヴァなのに沢山の恨みと、聖杯を所持するという妬みを買ったでしょう?
断言しよう、貴公は狙われる――――間違いなく死ぬだろう。因果応報だ」
「っっ!?!?!?」
5人は愕然とする。ぐうの音も出ない程。
痛烈に、メタを駆使してまで、こいつらの性根を叩き直す。
「見なさい、彼を。
主役やヒロイン以外で“良い感じ”になれたのは、アーチャーくらいのものです。
彼は努力をしました……。血の滲むような想いをし、たくさん苦労して来ました……。
だからこそ、なんか
「……っ!?」
「利用され、裏切られ、歯磨き粉のチューブみたいに搾り倒され、ボロ雑巾の如く魂まで擦り切れた挙句ようやく手に入れた、『なんか一応は救われたっぽいな~』という未来!
でも何も無いよりはマシでしょう?
ここまでやって! ようやく手に入ったのが
「……っっ!!!???」
なんか湾曲的にボロクソ言われてる臭いアーチャー。
それを余所に、いま満を持してセイバーが、椅子から立ち上がる! 拳を握りしめて!
「ゆえに負け犬共よ、今一度問おう――――貴公らは努力をしているかっ!?
成り行きや適当ではなく、これまで死ぬ気でやってきたという、その自負はあるのかっ!?」
「「「……っっ!!!!!!」」」
ホロウだの、たいころだの、カニファンだの……。
そんな仮初のドタバタコメディで満足か! 貴公らは“戦士”だろうッ!!
今セイバー先輩は、そう皆に怒っているのだ!
「では始めましょう! 我々の、我々による、我々だけの戦いをッ!
――――只今よりぃ! 聖杯戦争の負け犬共と行う、泰山の人気メニュートップ10を全て当てるまで帰れま10(英霊の座に)
開催しまぁぁぁあああーーすっ!!」
輝くような笑み、満面のドヤ顔。
セイバーがグゥアーっと右手を振り上げ、冬木に轟かんばかりの大声で、高らかに告げた。
「うーい、お疲れ~い」スタスタ
「次回は居酒屋にでも行こう。またな」スタスタ
「顔が見れて良かったわ♪ それじゃあねみんな」スタスタ
「――――待って下さいっ!! 思ってたのと違うっ!!??」
6人のサヴァ達が、ゾロゾロと店を出ていく。全員一斉に。
それをセイバーが押し留めたり、手を引っ張ったり、昭和の夫婦ドラマのように腰にしがみついたりして止める。めっちゃ忙しい様子だ。
「なぜ帰るのですかっ! 私あんなに熱弁したのに! なぜ帰るのです!」プンプン
「それはそうですよセイバー。
私忙しいです。読書したいです」
「動かぬ草木を眺めておる方が、まだ幾分かマシよ。付き合うてられん」
「■■■……!」(お前はどうかしている、頭を冷やせ)
しがみついてくるセイバーを、うっとうしそうに振り払いながら、スタスタと一直線に出口へ向かう一同。
その様は無慈悲。「あー無駄な時間だったー」って感じがアリアリと出ていた。
「というか、無理ですよ!
泰山の人気メニューTOP10を当てるまで、貴方がたは帰れないのですっ!
そう私が、
「「「 !?!?!?!? 」」」
たった今サラッと放たれた、セイバーの衝撃発言。
それに一同は思わず振り向き、ピキーンと身を固くした。
「此度の第五次、私が優勝したではないですか?
でも私、ブリテンの救済など、既にどうでも良くなってたので……かける願いなど無かった」
「「「……」」」
暫し、黙って聴く。じっと次の言葉を待つ。
まぁサヴァ達にとっては、さして聴きたい事でもなかったりするのだが。一応は確認として。
「ゆえに、とりあえず第五次の皆と、
この“帰れま10”をやりたいと、聖杯に願ってみたのです」テレテレ
「――――おめぇバカだろ!? アホトリア・ペンバカゴンか!!!!」
ペンペン、バカゴン、バカゴンゴン♪
と、なんかバカボンみたいな響き。だが一同はそれどころでは無い。
いま「えへへ♪」って感じで、愛らしく微笑んでるセイバーを見て、思う。
――――よくそれで聖杯戦争勝てたな!?
つか俺ら、こんなアホなサーヴァントに負けたんか!! マジでか?!
「きっと、王様としての役目に、疲れ果てていたのですね……。
誰にも理解されず、愛されず、さぞ孤独だったでしょうに」ホロリ
「同情するのは良いが、我々ものっぴきならん状況だぞ?
地母神の慈愛の前に、現実を見たまえ」
普段は仲悪くても、今は涙がちょちょぎれているライダーさん。根はとても優しい人だ。
しかしながら、彼の言う通り、今は自分の心配をすべきである。
先ほどサラッと告げられたが、セイバーは確かに「TOP10を当てるまで帰れない」と言った。
しかも家にではなく、“座”に帰れないと。
ぶっちゃけ「戦いは終わったのに、なんで自分たち消えてないの? まだ現界してんの?」って疑問が、実はこの一か月の間、ずーっと皆の心にあったのだが……その理由がようやく分かった。
こいつだ、アホトリアの仕業だ。
みんなとご飯食べたいからって、消滅した俺らを無理やり現世に繋ぎ止めてたんだ。
聖杯に願ってまで――――
「この帰れま10が終わっても、“座”に帰るかどうかは、各自の判断にお任せします。
みんなしっかり受肉させましたので、どうぞお好きなようにして頂きたい。
ですが……
申し訳ないが、ここの人気メニューTOP10を当て終えるまで、一歩も出られないのです」
私的には、このマウント深山商店街にある全ての店で、帰れま10をやりたいと思っている。いずれ皆で制覇してみたいものです。
そんなたわけた事を、平然と言い放つセイバー。遊びたい盛りかお前は。
「だが、まずは今日の戦いを越えよう。
この一戦に、己の矜持をかけ、挑むのだ。
よろしいですね皆さん?」
「「「……」」」
正直、人によっては「有難い」と感じている者も、居たかもしれない。
キャスターのように、宗一郎様と暮らしたいとか、ライダーのように桜を見守ってやりたいとか、そう現世に未練がある者達もいるから。
敗れてもなお、この世界に繋ぎ止めてくれたセイバーに、感謝の気持ちを抱かないでも無かった。
たとえ「ご飯食べたい」という、食い気による物であっても。
――――しかしながら、この娘は
それが聖杯使ってまでやる事か。必死こいて戦った者達や、三百年も聖杯追い続けてきた連中が報われない。
そんな風に思ってしまうのも、仕方ない。
現に今、この場の全員が白目を剥いている。
俺たちはいったい何なんだ。たらふく中華を食べるために、“英雄”となったワケじゃないぞと。
もっとやりようは無かったのかセイバー。
「ちなみにですが、恐らくは気になっている者もいると思うので、言っておきます。
あのチンカs……いえ“英雄王ギルガメッシュ”についてですが」
皆の雰囲気が変わる。茫然と呆けていた顔が、ハッと真面目な表情に。
彼も第五次に参加した英霊だ。正確には「乱入して来た」という形なのだが、立派に聖杯を争ったライバルである。
アイツいないけど、一体どうなってるんだろう? 金持ちだし運営側に周ってるのかな? 一人だけ逃げやがって。
なんとなしに、そう思っていたのだが……。
「こちらをご覧ください」
「「「 ッッ!?!?!? 」」」
テーブルクロスをバッと引っ張り、勢いよく払いのけた時……そこにあったのは彼の姿。
なんか
「この三日ほどをかけ、私はコイツと共に、泰山にある全てのメニューを食した。
戦において、事前調査は必須。どの料理が美味しいのかを、調べ尽くしたのです。
いわゆる“ロケテスト”も兼ねて」
「「「……」」」
「その結果、英雄王は
正直いけ好かない人物ではありますが、彼の尊い犠牲を無駄にしない為にも、我々は戦わねばならんのだ」
よく見れば、彼の唇は今、タラコのように酷く腫れ上がっており、顔なんてもうブルーハワイのかき氷みたいな色。
まだギルが生きている(現界している)のが、信じられないくらいの様子。
というか、今すぐ救急車を呼んでやらないと、拙い気がするのだが……。これ間違いなく“重体”だし。
「――――勝ちましょう皆さん。
私は此度の戦い、パーフェクトを狙っている。
一度も間違えることなく、TOP10を全て当てる気でいます。
どうか皆も、そのつもりで」
気迫、熱意、覚悟。
そんな色んな物が、セイバーの顔からハッキリ見て取れる。
道楽や悪ふざけではなく、彼女は本気で挑んでいる。
全力で、なんとしてもパーフェクトを取るつもりでいる。
いま無惨に床に転がされている
セイバーいわく、「もしパーフェクトを取れば、褒賞として“聖杯の権利一回分”が、全員に贈呈されます」との事。
本家の番組では100万円だが、こちらの賞品はそれより上。まさに破格と言えよう。
まぁぶっちゃけ、第五次の面子には「聖杯とかどうでもいい」と言っちゃうような連中が多いのだが……、それでもあったら嬉しいし、きっと己のマスターも喜んでくれる。
何より、ついに叶わなかった“勝利”を、今度こそ手に入れたい。
戦闘ではなく食事、しかも
かの栄光の盃を手に入れる為の、闘争に他ならない――――
「今更かもだけど……帰れま10って
「TVで観たことがあります。
はる〇愛が“地獄”と称していた、あの過酷な企画……」
キャスターとライダーが、顔を見合わせて冷や汗。
「試されるのは、推理力と胃袋。
だがなにより、ここ【紅洲宴歳館・泰山】でやるというのがな……」
そうアーチャーが、ゴクリと固唾をのむ。
6人の中で唯一、この店を知っているらしき彼は、誰よりも事の重大さを理解していた。
「諸君、覚悟したまえ。生半可な力では、生き残れんぞ。
英霊などという、そんな思い上がりは捨てろ――――
この
退路は無い。このタイトルが示している。
ならば自分達は、前に進む他ない。
中華特有の回転テーブルが備わった席に着き、限界まで知力と胃袋を駆使するのみ。
セイバーが笑う。挑戦的な顔でニヤリと口元を歪める。
覚悟を決めた戦友達を見て、なにやら満足気な様子。
戦え――――それのみが己を示す、だたひとつの方法。
貴公らは英雄。平穏の中では生きられぬ、度し難き存在なのだ。
7騎のサーヴァントが、倒れ伏すギルをゲシゲシ踏み付けながら、それぞれの席に向かって行く。
一体なんの恨みがあるのか、それとも結構どーでも良かったのか、余人には知る由も無い。
そして今、満を持して、第五次の勝者アルトリア・ペンドラゴンPresents、【泰山の人気ランキングトップ10を当てるまで帰れま10】が始まる。
(続くのです!)