【募】こんな小説を書けこの野郎【リクエスト】 作:hasegawa&friends
「――――やめろ! 止めないかッ!!」
皿や、おしぼり、レンゲなどがビュンビュン飛び交う中、アーチャーは必死に皆を宥める。
「暴力はやめろ! 暴力は違うだろう! 止めたまえッ!!」
今も「ひぃ~!」と頭を抱えて蹲るセイバー。そんな彼女の盾となり、両手を広げて立ちふさがる。顔にガンガン物が当たっている。
「どけこの野郎ォ! おめぇもやっちまうぞオイ!!」
「殺さずにはおけぬッ……! 後生ぞ双剣使い! 後生ぞッ!!」
「泣いてる子もいるのよ!? ほら見てよアーチャー!」
目を向ければ、そこには「うわーっ!」と発狂しながらセイバーに掴みかかる、地母神さんの姿。
普段のSBS*1はどこへやら。もう大泣きしながらポカポカ叩く。ぐるぐるパンチを繰り出す。
「■■■■~ッ!!」(お前は俺の怒りを解き放った! 許 さ ん ッ!!!!)
「何が『間違いなんかじゃない』だ! 坊主に謝れゴラァ!!」
「わあああ! わあああーっ!(言語消失)」
「止まれ! 落ち着かんか! 皆いったん座ろうッ……!!」
やがて、みんなブーブー言いながらも、渋々席に戻った。
血の気の多い連中ではあるけど、これでも大人。お店で暴れてはいけませんという、最低限の良識は弁えてる。頑張って己を押し殺す。
ようやく場が治まったのを感じてか、セイバーもトボトボと追従。
なんか「しょぼーん」って感じで、とても小さくなっている。
「法に守られおって。未成年犯罪者かお主」
「それでも英霊ですか! 私とビンタ合戦しなさいっ! ぬるぬるオイル相撲をなさいっ!」
「やめたまえよ。
いつもの君に戻ってくれライダー。頼むから……」
◆ ◆ ◆
【第1巡、二皿目】 英霊エミヤ (アーチャー)
デデンデデン! バババババン、バンバン! ジャジャジャン☆ ピーッ♪(BGM)
さぁ続いての回答者は、頼れる
技巧派であり、戦上手な彼だが、その戦闘理論は泰山でも通用するのかぁ~!?
・ナレーター: 言峰フルテンション綺礼
「かたじけないですアーチャー。本当に助かった……。
時に貴公、私の下に仕えてみる気はないか?」
「微塵も懲りておらんようだな。Holy fuck」*2
喉元過ぎれば、熱さ忘れる! セイバーは既にあっけらかんとしていた。
「わたし
以前から貴方のEnglishには、親近感を覚えていたのだ。
アイアーム……! ザボーン、オブマイ、ソゥ~~ド(巻き舌)」
「良いわよねアレ。中二病っぽくて好きよ?」
「■■■■」(頑張ってる感あるな、微笑ましいぞ日本人)
「つか煽ってんじゃねーか。言ってやるなよセイバー」
「////」
恥ずかしさに耐えかね、アーチャーが「プイッ!」っと顔を背ける。
一同はすんごいニヤニヤ。先ほどとは一転し、なにやら和やかな雰囲気。
「英語で注文しましょうよ。“いんぐりっしゅ注文”です」
「へー。それが貴方の必殺技?
帰れま10ではお馴染みよね。ゲンが担げるかも♪」
「パイナポ~ゥ☆ パイナポゥですアーチャー! 今こそ酢豚だ!」キャッキャ
「ほれ、トレース・オンとか申せ。
若鶏のカシューナッツ炒めをトレース・オンせぬか」
「引きこもるぞ貴様ら?」
私とて、何を言っても傷つかないワケではないんだぞ……。
そう
「どれを狙いますかアーチャー? 今どのページを?」
「何となくだけど、貴方って中華好きそうよね。
やっぱ餃子とかの点心?」
「いや、ご飯物だよ。まずは押さえておきたいと思ってね」
ライダー&キャスターが興味深そうに見守る中……。
「――――どうだろう、一度“炒飯”を頼んでみないか?
中華の基本にして、誰もが愛する料理だ」
チラッとメニュー表から顔を上げ、みんなの顔を見渡す。
彼の目は“窺う”というより、自信ありげに同意を求めているかに見えた。
「おぉん? 麻婆じゃなくて良いんかよ?
まだ正解してねェんだし、安牌いった方がよォ……」
「確かに、ここの名物だからね。
だがそれは、君たちの手番に譲ろう。
……パーフェクトも消えた事だしな」ジィ~
(ぷいっ!)
そういえば、もう既に不正解を出している。一発目にして。
ゆえにもう、賞品だった“聖杯一回分”は貰えないのだ。
非常に残念な事だが、今がんばって目を逸らしている、アホの子のせいで……。
だから、もう焦っても仕方ない。
相談をし、時にフォアザチームの精神で行動し、みんなでTOP10を当てていくべきだ。
「正直、同じご飯物であれば、天津飯にも心を惹かれるがね?
某巨大中華チェーンでは、恐らくこれこそが看板。
餃子のお共に、天津飯を頼む者も多かろう」
「おう、俺ァそのクチだな。
あの店のヤツは、玉子がふわトロで旨ぇんだ」
「だがチェーン店ではなく、こういった個人の店に入る時、やはり“基準”となる料理があるよ。
これが美味しいかどうかで、その店のレベルが分かる……といった物がね」
「ふむ、それが炒飯というワケか。
良い着眼点やもしれません」
焼肉屋ならキムチが、寿司屋ならば玉子がそれに該当する。
そして今日の場合、やはり最初は炒飯をいくべきだろう。私ならそうするよ。
いくら変態共ご用達の泰山とはいえ、ここも中華には違いないのだから――――との事。
「なれど、如何なる品を?
見た所、この店には多種多様な炒飯があるようだが」
「そこがな……悩みどころなんだ」
泰山のメニューには、炒飯だけで10にせまる種類が存在する。
海老炒飯や、蟹炒飯、レタス炒飯など、豊富なラインナップ。
「■■■……」(こういった場合、やはりベーシックな物が強いだろう。しかし……)
「あぁ、彼の言う通りさ。
私の思考にも、少し“石焼き麻婆炒飯”がチラついてね」
「「「 !?!? 」」」
アーチャーが「どうしたものか」と葛藤。周りのみんなも同様だ。
「確かに、変わり種だよ。
しかしここは泰山。店には店の“特色”という物があってな。
この店に来た客は、普通の炒飯ではなく、一緒に麻婆を食べられるコチラを選ぶやもしれんと……」
なんたって、ここの麻婆は
噂のすごい麻婆を食べてみたい! でも少し勇気が出ない……。そういった者達も数多くいる事だろう。
ならば、多少なりとも辛さを緩和してくれる“お米”と一緒に、この店の麻婆を食べるんじゃないだろうか。
こういった需要により、麻婆炒飯が選ばれるのでは? 意外と人気があったりするのでは?
そう彼は悩んでいるのだった。
「というか……手慣れていますねアーチャー?
なんだか頼もしいです♪」
「ん、そうかね?」
ライダーさんが、キラキラしたおめめ。
彼は不思議そうに首を傾げてるけど。
「■■■」(うむ、威風堂々としている)
「よき面構えよ。
「適当じゃなくて、ちゃんと考えてる感じがするわ。流石弓兵よね」
「なっ、俺が言った通りだろォ? こいつヒョロいけど、イケてんだって!」
「今日から“
アーチャーよ、貴公の剣を預かろう」
「いや……それは遠慮したいのだがセイバー」
やんややんや。みんな「うんうん」と頷き、アーチャーの武勇を称える。
さっきまでは絶望のどん底だったけど、彼の存在が心強いのだろう。まさに地獄に仏だ。
「どこかのおバカさんも、見習って欲しいですね……」ボソッ
「爪の垢でも食べたら良いのよ。おはぎみたいにして……」ボソッ
「 !?!?!? 」
ほののんとニコニコしてたセイバーが、「ガーン!」みたいな顔になる。
関係ないが、煎じて飲ますのではなく、丸めて大量に食わせるって所が、セイバーの駄目さ加減を表してるような気が。
「おめぇセンター行けよ。カメラの真ん前座れや」
「ですです! みんなをまとめて下さい! 貴方が良いと思いますっ!」
「私達って協調性ないし、血の気多いしね♪
貴方なら、司会に適任じゃないかしら?」
「どかぬかセイバー。そこな席を空けよ」
「■■■■」(何をふんぞり返っている? これはヤツの椅子だ)
「……」
セイバーが子犬みたいにウルウルした目で、ヨロヨロと力なく席を立つ。それをアーチャーが必死に押し留めた。
君はそこに居て良いんだ、メインヒロインじゃないか。しっかりしたまえと。
その姿を見て、「おー器広いなー! 流石はリーダーだねー!」とまた関心する一同。
なんか奇しくもアーチャー株が爆上がり。もうセイバーなど見る影も無かった。
「ならば、構わんかね? 少しばかり危ない橋かもしれんが……」
「おう! いったれいったれ! 遠慮するこたねェぞ!」
「もし外れたとしても、今後の指針になりますから。安心して欲しいです♪」
「貴方に着いていくわアーチャー。自信もって行きましょう!」
仲間たちの声援、あたたかい空気。
そんな上ない心強さを胸に、意を決したアーチャーが、雄々しく立ち上がる。
「――――店主よッ! 石焼き麻婆炒飯を、トレース・オン!!!!」カッ
「ホントにやりやおったわ」
「意外とノリ良いのね」
◆ ◆ ◆
帰れま10in泰山、アーチャーが選んだ二皿目は、石焼き麻婆炒飯!
みんな大好き炒飯の上に、泰山の名物である麻婆豆腐がタップリとかかっているぞぅ♪
しかも前回の料理と同じく、アツアツの石鍋で提供されており、美味しさ倍プッシュ!
麻婆の辛さのみならず、是非とも“おこげ”の部分を楽しんで頂きたい、素敵な一品だ☆
3つの心がひとつになれば、ひとつのお皿は100万パワー!
それが泰山渾身のメニュー、石焼き麻婆炒飯なのだっっ!!
・ナレーター: 言峰フルテンション綺礼
「ハイヨー。石焼きおまちどうアル~。……ペッ!!」
皆が待つ客席に、灼熱を思わせる凄まじい湯気を放つ料理が運ばれて来る。
「ねぇ……今あの女、
「いや、私にはよく……。見間違いだと思いたいな」
「ここなるは、己の店であろう? 何故きゃつは床に……」
料理を運び終わったら、とっとと「スッタカター♪」と去って行った魃さん。
ヤツはいったい何なんだ? どういう人物だ、イカれてるじゃないか……。皆そう恐れおののく。
「兎にも角にも、来たな。
コイツが例のヤツかよ……」
「はい。私達の命運を握る、二皿目です……」
椅子から腰を上げ、みんなで石鍋を覗き込む。
そこには、かつては米だったであろう“ナニカ”が、同じく赤黒い“ナニカ”に凌辱されているらしき光景があった。
白とか黄色とか、彩りの緑など、一切存在しない。もう清々しいまでの
「みんな大好きチャーハン(震え声)」
「悪かったよライダー。
そんな物は、どこにも無かったんだな……」
ひとつ分かったのは、このチャーハンは
けして麻婆によって染められたワケじゃなく、炒飯としてこの世に生を受けた時点で、こいつは赤だったのだ。
先ほど彼は言った――――ご飯によって辛さが緩和されると。
だが、そんな甘ったれた考えは、ここ泰山では通用しない。そもそも
各自、ハンカチや布を口元に当てながら(瘴気対策)、暫しの間この料理を凝視する。
悪意の固まりじゃねーか。救いがねェ……。
そうボソッと呟いたランサーの声が、静寂に吸い込まれて消えた。
「だが、こうしていても始まらんな。
皆、そろそろいくとしようか」
「アーチャー……!」
男気。彼が率先して石焼き麻婆炒飯を取り分け、しかもその7割にあたる量を、己の取り皿へ入れる。
「馬鹿なッ……! 通例では、多くても半分ほどの筈ですっ!」
「そんな無理しなくて良いのよっ! 一人で頑張ろうだなんてっ……!」
「■■■■ッ!」(お前という男はッ……!)
セイバーも言っていた通り、「注文した物が一番多く食べる」というのが、この帰れま10の作法。だがこれは明らかに行き過ぎている。
皆が驚愕の声を漏らす中……アーチャーはそれも気に留めていないかのように、モリモリと自分の皿へ盛っていく。
その雄々しい背中は、自らを呈して仲間を守っているかのように見えた。
なんというか……とても彼らしい生き様。
この人がやってきた事、歩んで来た人生が見て取れるような、悲しくも力強い姿だった。
「礼に習い、私からいこう。
暫しの間、見守っていてくれるか?」
「……アーチャー」
「おめぇ……! 本当にッ……!」
静かな目で、みんなの顔を見渡した。
その後、戦友である彼らでしか気付けないくらいだが……、彼が薄く笑った。
笑って……くれたのだ。
あたかも、「心配するな」と言っているかのように。万の想いを込めて。
「時に諸君、麻婆とは“あばた顔”のおかみさん、という意味なのは知っているかね?」*3
「ほう、中華の言葉には明るくないが、そうだったのですね」
「あぁ。この料理を最初に考案した人物、劉さんの容姿の事なんだ。
麻婆豆腐には、“婆”という字が入っているだろう?」
「なるほど、女人が考案した料理か。お主は博識よなアーチャー」
みんな「ふむふむ」と頷く。流石は我らの軍師殿だと感心。
戦上手に加え、料理上手なだけある。豊富な知識と経験を持ち合わせているのだろう。
「清の時代1874年頃、成都の北郊外の万福橋で、陳興盛飯舗を営む陳森富の妻の劉氏が、材料の乏しい中、有り合わせの材料で来客向けに作ったのが、この麻婆豆腐の始まりとされる。
陳劉さんの顔には、あばたがあった為に、“陳麻婆”と呼ばれていてね? それで彼女が作る名物の豆腐料理も、陳麻婆豆腐などと呼ばr
「いつ料理いくんですか?」
「早く食えよテメェ。冷めちまうよ」
麻婆炒飯の乗ったレンゲを持ちつつ、長々とうんちく。*4
どれだけ隠そうとも、彼の内心の葛藤が表れていた。
「では、頂こう」
そして気を取り直し、今アーチャーが、とても丁寧な所作で行儀よく、麻婆炒飯をひとくち。
「――――辛ッ!! そして
「!!??」
「「「 !?!?!?!? 」」」
錬鉄の英霊の叫びが、店を通り越して冬木の空に響いた。
「オイ! これマズいぜオイッ!」
「本当れふ! ぜんぜん美味しくないでふ! まじゅい!!(迫真)」
「なによこの炒飯! 腐ったお米でも使ったの……!? しかも辛い辛い辛ぁ~いっ!!」
彼のリアクションを見て、思わず自らも「ぱくっ!」と食べてみる一同。
だがそれは真実だった。どれだけ口内に意識を集中させようが、微塵も“おいしい”を見つける事が出来ない! どこにも無い!!
「わーっ! マズいよ辛いよ痛いよーう! シロォォーーウ!!」ビエーン
「なんぞ……? なんぞ……!?!?
何故かようなもん作りおった!? なにゆえ!?!?!?」
「■■■■」(農家ブチ切れるわ! 何をしとるんだこの店!!!)
阿鼻叫喚の客席。サーヴァントがドゴンドゴン壁や床を殴る。頭を打ち付ける。
辛いだけでなく、マズいのツープラトン――――
こんなのハジメテ! とばかりに彼らは暴れまわる。
油断してた。ここはプロの料理人の店だと。
辛かろうが、無茶をしようが、でも最低限“おいしい”だけは守っているものだと、どこかで信じていた。
でもこの麻婆炒飯は、それを
常識が……これまで信じていた物が、まるでジェンガのようにガッシャーン! といく音を聞いた。
◆ ◆ ◆
この石焼き麻婆炒飯は、先月くらいから導入してみた、新し目のやつアル♪
あんまりにも客共が「炒飯食いてぇ~」ってゆーもんだから、お望み通り作てやたヨ☆
元々ウチの店では、ご飯物とか出してなかたネー。
麻婆を始めとする“辛さ”の料理一本で勝負してたから、余計なメニュー置きたくなかたヨ!
――――そもそもアタシ、炒飯の作り方とか
国でも習ってナイ! というかゼンゼン興味なかたし、教わらんかたヨ!
だから炒飯系の料理は、全部テキトーに作てるから、注意してネ♪
せかくの辛さを、メシで誤魔化そうなんてするヤツ、
おととい来やがれィ! このジャップ共が! ペッ☆
・ワイプ: 謎の中華少女、魃さん
◆ ◆ ◆
『第ッ! ――――――65位ィィ!!!!!』
「……」
「……」
「「「…………」」」
言峰神父のハイテンションな声が、虚しく店内に響く。
結果なんて聞くまでも無かった。こんなマズいもんが、TOP10にあるワケないんだから……。
もう誰も祈りすらせず、みんな「グッタリ!」としていた。
「とんでもない……とんでもない物を食べさせてくれましたね……アーチャー」
「ありえないわよコレ。腹立ってきたわ……」
隣同士に座る女性サヴァ二人が、涙目でじとぉ~っとアーチャーを睨む。
「誰ぞ? こやつを“軍師”などと言うたんは」
「■■■■」(口ばかり達者だな。ひとつもステータスにAが無いクセに)
「筋力Dってなんだオイ。このヒョロガリ低ステ野郎。
トレース・オン(笑)」
「……」
もし外れたとしても、今後の指針になりますから。安心して欲しいです――――
確かにそんな言葉を聞いたような気がしたが、アーチャーの思い違いなのかもしれない。
寡黙、そして苦しみを己の中で閉じこめ、全部我慢してしまうタイプの彼は、ただただ黙って皆の叱咤を受ける。
辛いのは覚悟してた。でも“マズい”物を食わされる謂れは無いっ!(プンプン!)
みんなそう言わんばかりに、ネチネチと責める。しかも65位とかだしコレ。
「アーチャー、……ようこそ」
「あぁ、君の気持が分かったよセイバー。支え合っていこうな……」
ちなみにだが、英霊エミヤの幸運値は“E”。
彼の軒並み低いステの中でも、一番駄目なヤツであった。
(続くんですね!)