【募】こんな小説を書けこの野郎【リクエスト】   作:hasegawa&friends

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Fateで帰れま10。~In 紅洲宴歳館・泰山~ その6

 

 

 

「セイバーさんセイバーさん、こんにちは♪」

 

 ふいに、ライダーの愛らしい声が聞こえた。

 普段の彼女らしからぬ、ちょっと高めで演技かかった感じの。

 

「今日も良いお日柄ですね♪ ご機嫌いかがですか?」ウフフ

 

 いま彼女は、じゃんけんにおける“チョキ”の形にした右手を、テクテクと人間のようにテーブルの上で歩かせている。

 ようは人形劇をやっているような感じで、機嫌よくセイバーへ話しかけたのだ。

 

「はいライダーさん♪ I’m Pretty good( 私は元気ですよ )」テクテク

 

 即座に追従。

 セイバーも同じ手の形を作り、彼女の手と向かい合わせた。

 あたかも友人同士が、道でバッタリ会ったようなシチュエーション。それを演出している。

 

「ほらセイバーさん、あちらに蝶々がいますよ? とっても綺麗ですね♪」

 

「なんと愛らしいのでしょう。こちらへ寄ってくるではありませんか。

 きっとあの子、『ライダーさん遊びましょ』と言っているのですよ♪ うふふ♪」

 

「……」

 

「「「……」」」

 

 唐突に始まったお人形さん遊び(モドキ)を、サーヴァント達が見守る。

 いや、無言で見つめている、といった方が正しいかもしれない。いわゆる“絶句”というヤツだ。

 

「今日はペガサスに乗って、ピクニックに行くのです♪

 セイバーさんも一緒にいかがですか?」

 

「素敵、ぜひご一緒したいですライダーさん♪

 ランチバスケットを持って出掛けましょう♪」

 

「誰だよ、()()()()()()()()()()()()

 

「君だろうランサー。どうするのだこの状況」

 

 あはは♪ うふふ♪

 二人の童女のように可愛らしい声が、静まり返ったこの場に響く。

 ライダーもセイバーもアルコールで顔を赤くしており、大分テンションがおかしくなっている様子。キャッキャとはしゃいでおり、とっても機嫌良さそうだ。

 

「聞く所によると、よく暇な時とかに、こーやって二人で遊んでるのだそうよ?」

 

「坊主達が学校に行っとる間、いつもこのような事をしておったのか」

 

「■■■」(知ってるか皆? 実はこの子達、メデューサとキングアーサーなんだ)

 

 幼児返り。ポセイドンやヴェティヴェールには見せられない姿だ。百年の恋も冷める。

 ちなみにライダー&セイバーは、この前ガチで士郎に「シルバ〇アファミリーを買ってくれ」と直訴し、見事クリスマスプレゼントを勝ち取ったという逸話を持つ。

 ものすごく恥ずかしかったけれど、いくつになっても心は女の子。モジモジと勇気を出してお願いしたのだ。

 

 いつも二人は、たくさんお風呂掃除やお買い物などのお手伝いをしているので、彼もニッコリ笑顔で聞き入れてくれた。

 あのクリスマスの夜、サンタのコスチュームと白い髭を身に付けたシロウは、とても素敵だった覚えがある。ポカポカと心があったかくなる大切な思い出だ。

 

 まぁそれはともかくとして、次の回答者はライダーなのだけど……、はたしてこんな調子で大丈夫なんだろうか? 大きな不安が残る。

 

 

「――――許さんぞ人間どもッ! 皆殺しだッ!

 この世にひり出されてきた事を、後悔させてやるッ!!」

 

「負けんっ……! 必ず貴公を倒し、島根県を救ってみせるぞ!

 G.I.ダーイ! G.I.ダーイ!」*1

 

 

 気が付けば、彼女らお人形さんごっこ(モドキ)が、なにやらおかしな事に。

 さっきまでピクニックに行っていたハズなのだが、少し目を離した隙に超展開。

 とにかく仲間達は、二人にクピクピとお水を飲ませ、介抱してやるのだった。

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

【第1巡、四皿目】 メデューサ(ライダー)

 

 

 

 デデンデデン! バババババン、バンバン! ジャジャジャン☆ ピーッ♪(BGM)

 

 さてお次の回答者は、第五次のセクシー&メガネっ子担当! 魔眼の英霊メデューサ!

 闇に溶ける美しき黒蛇は、TOP10を征することが出来るかぁ~!?

 

 

・ナレーター: 言峰フルテンション綺礼

 

 

 

 

 

「お手数をおかけしました。私の手番ですね」ヒック

 

 眼帯の奥、なんかトローン☆ とした目付きのライダーが、ぽわぽわした声を出しつつ、椅子に座り直す。

 

「まかせて下さい。こんなもの、第一回人気投票で4位の私にかかれば……」ウムム

 

「ライダー、逆になっとる。メニュー表が上下逆さまぞ?」

 

 キリッ! っとした顔でメニュー表を睨むも、ぜんぜん焦点が定まっていない。

 なんとか正気には戻ってるくさいが、まだ前後不覚の状態であるようだ。

 

「それにしても、なぜ人は傷付け合うのでしょうか?

 争いなんて、虚しいだけなのに。何も産み出さないのに……」ホロリ

 

「おい駄目な方に入ってんぞ」

 

「酔うとネガティブになるタイプか。まさかの泣き上戸とは」

 

 メニューだ、メニューを見るんだライダー。

 そう指摘するも、彼女の頭はグラグラ揺れている様子。

 平和な世の中を、みんなが笑って暮らせる世界を……! ぐすんっ。

 なんだか知らないが、飲んでいる内に悲しくなって来た模様。今ポロポロ涙を零している。

 

 どうやら彼女は、お酒を飲むと、ツライ思い出や悲しい出来事ばかりを思い出してしまうらしい。今も意味もなく「すいませんすいません」と周りに謝ったりもしてる。

 やがて彼女はグジグジしつつも、「がんばれ私、くじけるな私♪」と自分に言い聞かせ、長考に沈んでいた顔をメニュー表から上げた。

 

「ではチョコフォンデュを食べましょう。

 みんなで仲良く、チョコに舌鼓を打とうではないですか。

 私がクルクルする係をやりますね」ワクワク

 

「一回ビンタしとく? いっちゃってよバーサーカー」

 

「■■■」(駄目だコリャ。この回は捨てよう)

 

 ゲームセット――――

 仲間たちはもうTOP10どころではない事と悟り、彼女の介抱に終始。

 あー、また無駄な一品を食わなきゃ駄目なんだな~と覚悟をし、瞳からハイライトを消した。

 

 特にランサーにいたっては、酒を飲ませてしまった責任を強く感じているようで、おしぼりを額に当ててやったり水を飲ませてやったりと、非常に甲斐甲斐しい。

 アーチャーの執事よろしくの介抱も、テキパキと手際が良かった。

 なんか今のライダーは、美男子二人に囲まれるモテモテのお姫様みたい。もう乳幼児かってくらい甘やかされてる。

 

「オラしっかりしろよお前……、元とはいえ地母神だろうが」

 

「そうだぞライダー? 君らしくもない。

 第五次で見せた雄姿はどこへいったのだ」

 

「う~あ~」

 

 ふわふわ、ゆらゆら。ほろよいライダーの身体が前後に揺れる。

 だが突然、ついさっきまで機嫌良く身を委ねていた彼女が、また拗ねたように「じとぉ~っ!」と目をすわらせる。

 

「雄姿? 何の事でしょう。

 私は先の戦いで、葛木先生に()()()()()()()()()()()()()()()」ヒック

 

「「「あっ」」」

 

 シーンと場が静まり返った。

 

「ゴキゴキィ! って頸椎を折られたんです。

 私ことライダーは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()。一体どこに雄姿が?」

 

「……」

 

「「「……」」」

 

「アーチャーも言ってましたよね? 所詮は英霊の器ではないって。

 私の悪口を……」グスン

 

 えぐえぐ、ひっくひっく。

 ライダーのすすり泣く声。ポロポロと涙が零れ、テーブルに水溜りを作る。

 

「エクスカリバー初の犠牲者になったり、かと思えば宝具でも何でもない普通の斬撃で、あっさり倒されてみたり……。

 思えばロクな思い出が無いのです。なんにも楽しいこと無かったです」ホロリ

 

「いやでも……ヘブンズフィール編では大活躍だったじゃない?

 ラストの闇落ちセイバーとの決闘は、誰もが胸を熱くs

 

「でもあれ、シロウがトドメ刺しましたよね? 彼の手柄ですよね?

 私なんて日陰者です。いらない子なんです……。

 疲労困憊した私をほっぽって、シロウは一人先に進んだではないですか」

 

「お、おい……。あれは仕方なかろう?

 桜君の事もあったし、聖杯を破壊せねばならんという事情もあった。

 小僧を庇うつもりはないが、あの場の状況においては……」

 

「でもですね? 私だって乙女です。おっきくても女の子なんです。

 気にせず行けと、口では言いつつも、本当はだっこして欲しかったのに……。

 なぜ『よくがんばったな、えらいぞ』と、頭をナデナデしてくれないのですか……」

 

「な、なれどお主は、人気投票4位だろう?!

 それだけお主の活躍と魅力は、皆にも伝わっておるというk

 

「そんな事ないです、おっぱいです。

 みんな私の()()()()()()()()()()。どーせエロければ何でも良いのですよ」キッパリ

 

 偽臣の書を笠に着て、シンジにもえっちな事されてたっぽいですし……。

 なんですか『役に立ったのは身体だけだ』って。酷いじゃないですか……。あんまりじゃないですか……。

 そうグスンと涙を流すライダー。もうかける言葉も見つからない。

 

「ライダーよ、その気持ちは分かりますよ?

 何を隠そう、私も葛木先生にドゴーンとブン投げられ、そのまま失神した身。

 人間に打ち負かされたサーヴァントは、貴公だけでは無いぞ!」キリッ

 

「えっと、その節は本当に、ウチの旦那様が……。

 まさかあんなに強いだなんて、思ってなくてね?

 見てた私もドン引きしたもの。『そ、宗一郎?!』って」

 

「後にしろ二人共。収拾が付かんぞ」

 

 んなこと言ったら、俺だって自害させられてよォ!?(クーフーリン)

 私ずっと山門ぞ!? しかも真アサシンに腹を食い破られる始末!(小次郎)

 俺なんて理性を奪われてるんだぞ!? なんだよ凶戦士って!(ヘラクレス)

 そして、いつの間にやら始まる第五次サヴァの不幸自慢大会。この場をとてもネガティブな雰囲気が包む。

 

「なんにも良いこと無いですっ! 不幸なんですっ!

 甘い汁が吸えないのなら、せめてチョコフォンデュ食べるしか無いじゃないですか!」ムキャー

 

「そうだ! チョコ持って来いこの野郎ッ! ありったけ出しやがれッ!」

 

「何が聖杯ぞ! 英霊をなんと心得る!

 I Wanna Be Free( 我に自由を )! I Wanna Be Free( 我に自由を )!」

 

「■■■!」(我ら第五次サーヴァント組合は、今ここに正当なる権利を以って、チョコフォンデュを要求する! もっと甘やかせコラー!)

 

「ほら見ろ、えらい事になってしまったじゃないか。どうしてくれるんだね……」

 

 ブーブーと喚き声。ライダーもランサーもアサシンもバーサーカーも、みんな拳を振り上げて声を荒げる。

 たまには労わってくれ、優しくしてくれと、その勢いは留まる事を知らぬ。

 

 

「いっその事、仲間に入っちゃう?

 不幸自慢だったら、私もちょっとした物よ♪」

 

「僭越ながら、私も。

 みんな不幸属性ですね」フンス

 

「やめたまえよ君達」

 

 

 英雄に憧れる若者もいる。夢を壊さないで欲しかった。

 

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 これ終わったらチョコフォンデュやろうな。俺約束するよライダー。

 そんな士郎くんのはからいにより、みんなが一応の納得を見せ、ようやく場が平穏を取り戻した後……。

 

「シロウが言うのなら、仕方ありませんね。帰れま10を再開しましょう」ホクホク

 

「坊主に言われちゃあ、この喧嘩もお終ぇよ!」キリッ

 

「何この説得力。坊やへの信頼感」

 

 うむ、あの童っぱが申すのなら、やぶさかでなし(小次郎)

 彼の顔を立てぬワケにはいかんな(バーサーカー)

 そうちょっと士郎にお願いされただけで、ケロッと機嫌を治す一同。彼の普段の善行や、類まれな人徳がよく分かる光景。

 

「前から思っていたが……、貴公はシロウ好き過ぎではないですか?

 賢いドーベルマン並の忠義を感じるのだが」ジィー

 

「ソンナコトナイデスヨー(目逸らし)

 さてさて、どれを注文しましょうか。困りましたネー」

 

 やはり海鮮料理でしょうか? 野菜系も捨てがたいですネーとか言いつつ、サッとメニュー表で顔を隠すライダー。

 おい私のマスターだぞ。分かっているか? 懐き過ぎだろう。

 そうセイバーに苦言を呈されるも、「♪~」と口笛を吹くばかり。ちゃんと音鳴ってないタイプのヤツを。

 

「実は先ほどのオードブルを食べた時、思ったのです。

 ここ泰山の“海老”は、素晴らしく新鮮でプリップリだと。とても良い物を使っています」

 

 あの中華盛り合わせの中には、エビチリなる物も入っており、それが痛くライダーの心を打った。

 確かにあれはビックリするくらい辛かったし、味覚が破壊されるどころか頭痛まで引き起こす事態にはなったが……。

 しかしあの時に感じたプリップリの食感と、食材そのものの良質さ。

 これはシーフード好きの彼女をしても「見事!」と言わざるを得ないほどの物だった。まぁあくまで“食材は”だが……。

 

 

「そこで私は、“エビマヨ”を頼んでみようかと。

 ここの海老ならば、きっと素晴らしい一品であるハズです」ヒック

 

 

 ほろよい気分が抜けないライダーが、未だ頭をフラフラしながら告げた。

 

「え、エビマヨだと……? このタイミングでか!?」

 

「ちょっと貴方、正気? そんなの頼んだって……」

 

 しかし、困惑。

 彼女の言葉を聞いたサヴァ達の顔は、皆一様に冴えない。

 

「いや、俺もエビマヨは嫌いじゃねェ方だが……。でもどうなんだろうな?」

 

「■■■」(セイバーはどう思う? お前はここの料理を、一通り試したのだろう?)

 

「ふむ」

 

 話をふられるも、難しい表情のセイバー。

 考えをまとめつつ、また言葉を選ぶように、慎重に語る。

 

「私の印象として、ここのエビマヨは『とても美味しかった』という覚えがある。

 すごく辛いですし、エビマヨとは思えない程、真っ赤っ赤ではありますが……」

 

 辛い。ここ泰山の例に漏れず、物凄く辛い。

 だがマヨネーズというは偉いもので、セイバーいわく「充分に料理として成立している」

 ライダーも言っていた海老の新鮮さと、なんでも美味しくしちゃうマヨのパワーが相まって、それはもう見事な一品に仕上がっているという。

 

「ですが、正直私には、判断が付きかねるのです。

 確かに美味ではあるのだが、ここ泰山に来るような者達が、果たしてエビマヨを注文するだろうか……と」

 

 他の店ならいざ知らず、ここは泰山。

 麻婆豆腐を名物とし、激辛料理で県内外に名を馳せる店なのだ(良くも悪くも)

 

「ここを訪れるような(つわもの)共ならば、エビマヨなどには目もくれず、もそっと辛い物を頼みよるのではないか……という事よな?」

 

「その通りだアサシン。彼らは決して、普通に食事を摂りに来るワケではない。

 ある種のマゾヒズムを以って、泰山の扉を叩くのです」

 

「比較的だけど食べやすくて、しかも美味しいと言える料理……。

 そんなのを注文しようものなら、まわりの激辛仲間から“根性無し”とか思われちゃうかも?」

 

「彼らにとって、辛い物を食べられるというのは、一種のステータスだよ。

 どれだけ辛いのをいけるか、果敢に攻めるかで、己の力を示すのだ」

 

「■■■」(いったいお前らは、何と戦っているんだ? という話だがな)

 

「張り合いてェんなら、身体でも鍛えろっつーの。

 なんだよ“辛い物が食える”って……。それがどうしたってんだ?」

 

 今まさに渦中にいるサヴァ達からすれば、「普通に美味しい物食べようよ」って感じ。なぜ好き好んで辛い物なんて食べるのかと。

 しかしながら、辛い物好きな人達を否定する所ではなく、食の楽しみ方は色々。

 そしてなにより、泰山は“そういう戦場”であるのだ。己の激辛好きとしての矜持を示しに来た者達が、わざわざエビマヨを頼むとは、考えづらかった。

 

「なぁライダー? 同じ海老でも、チリソース煮や、オイスター炒めなどもあるだろう。

 そっちを検討してみてはどうかね?」

 

「ヤです。エビマヨがいーです」ヒック

 

「でもね、今はTOP10を当てなきゃでしょ? 少しでも可能性がある物を……」

 

「大丈夫です。入ってます。

 だってマヨですもの」ポケー

 

 エビマヨおいしいです。食べたいです。そうライダーは頑なに譲らない。

 酔いのせいもあってか、少し意固地になっているように見える。そしてマヨに対する謎の信頼よ。

 

「■■■■」(お前は今、正常な判断力を失っているんだ。酒の飲み過ぎだぞ)

 

「そうさな、では我らで回答を代行し、こやつには休んでもらうか?」

 

「おう、ちょっと寝てろやライダー。俺らでいい感じにやっt

 

「――――なんですかソレ! わたし仲間外れですか!?」カッ

 

 突然ライダーが「ぐぅあーっ!」と顔を上げ、椅子から立ち上がる。

 さっきまでのホワホワした雰囲気から、豹変。

 

「酷いじゃないですかっ! 私の番なのにっ!

 酔っぱらってるからって、わたし回答しちゃいけないんですかっ!?

 なんで仲間外れです!?」ムキーッ

 

「えっ。……いやその、ライダー?」

 

「エビマヨいーじゃないですか! なんで駄目なんですかっ! 美味しいじゃないですかっ!

 わたし酔っぱらってるからって、エビマヨ食べられない!!

 わたし酔っぱらってるからって、エビマヨ食べられない!!(二度目)」

 

 ビエーーン! と大声で泣く。

 ダムが決壊したように、突然なんの脈絡もなく癇癪を起こし始めた。

 これは酒の力なのか、日頃の鬱憤なのか。情緒不安定だ。

 

「チョコフォンデュも駄目、エビマヨも駄目っ!

 なら何を頼めって言うんですかぁ! なんでイジワルするんですかーっ!」

 

「……」

 

「「「……」」」

 

「きっと私のこと嫌いなんですっ! 背がおっきいからって、イジメるんですっ!

 聖杯戦争の時だけじゃなく、ここでも私につらく当たる!

 わーん! みんな酷いですーっ! サクラー! サクラー!!」ビエーン

 

 向こうの方から桜が走って来て、よしよしとライダーを甘やかす。

 ちょっと! うちの子をイジメないで下さい! 泣いてるじゃないですかっ! とモンペみたいな事も言われる。理不尽。

 

 誰だよ酒飲ませたんは(白目)

 君だ。責任取りたまえよ(震え声)

 そうランサー&アーチャーの、本日二度目のやり取り。他の者達は沈黙を貫いている。

 

 正直、可愛くない事も無い。いつも報われない彼女が、こうして自分を曝け出している姿を、微笑ましく思わない事も無かった。

 でもこれどーすりゃ良いんだと。誰か助けてくれって心境だ。

 

 

「えへへ♪ さくらぁ。さくらぁ……ZZZ」

 

「あら、寝ちゃったわよこの子? 泣き疲れたのかしら」

 

「――――今だ、麻婆いけ麻婆。あのノーマルのやつ」

 

「早く! ライダーが起きない内にっ!(必死)」

 

 

 この機を逃すなとばかりに、すかさず注文。

 愛するマスターの胸に抱かれながら、ライダーは幼子のように眠るのだった。

 

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 この泰山特製【麻婆豆腐】は、ウチの看板メニューアル!

 お察しの通り、一番人気ヨ! 当然TOP10にも入てるネ♪

 

 味とか見た目とかの様子は、原作Fateの方を見てもらうとして(メタ)

 かんけー無いけど、アタシ一番強い物には、あえて“シンプルな名前”を付けるのが好きアル!

 

 ターミネート春巻きとか、悶絶ファイヤー唐揚げとかじゃなく、ド直球で【麻婆豆腐】

 必殺技でも何でもそだけど、こうする事によて、説得力が増すアル!

 これ基本アルから、オボエトイテネ☆

 

 

 

・ワイプ: 謎の中華少女、魃さん

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

「さて……ライダーがスヤスヤと眠っている間、私達は()()()()()()()()()()

 

 屍累々。まさにそう形容するのが相応しい。

 とりあえず、あの後注文を終えたサーヴァント達は、運ばれて来た麻婆豆腐をひーこら言いながら食べたのだった。

 みんな顔が真っ青になっているし、口なんかもうタラコみたいだ。

 

「それではこの麻婆豆腐、何位ですかぁー↑

 ……とは聞くまでもありませんので、これは後にしましょう」

 

「あぁ。今はこの子の処遇をどうするかを、話し合わねばならんしな」

 

 みんなが必死こいて食べていた時、ライダーは一人クゥクゥと寝息を立てていた。こちらの気も知らないで、安らかにお昼寝してやがったのだ。

 いくら「休んでいろ」とこちらが言ったからとて、このイラッ☆ っとくる感情までは如何ともし難い。

 腹立つもんは腹立つ。先ほどの酒乱もあった事だし。

 

「実を言うとね? ほんのちょっとだけ残してあるのよ、麻婆豆腐」

 

「おー良いじゃねーか。それコイツの口に()()()()()()()()()

 

 バーサーカーが皆を代表し、お皿を手に彼女のもとへ向かう。

 スピー♪ とカワイイ寝息が聞こえる中、そ~っと優しくレンゲを運び、ライダーの口へ……。

 

 

「――――ほんぎょ!!??」ブブゥ

 

「www」

 

「「「wwwwww」」」

 

 

 えっ、何ですか?! 敵襲ですか!?!?

 そう口元を押えてキョロキョロ。周りのみんなは爆笑だ。

 口痛いんですけど! すごく痛いんですけど! そうライダーが喚くが、皆は朗らかに微笑むばかり。酷い。

 

「よぉライダー、おはようさん」

 

「酔いは醒めたか? 君が寝ている間に、一皿かたずけておいたぞ」

 

「えっ……あ、そうなのですか?

 本当に申し訳ないです。お力になれず……」

 

 さっきまでの酔っ払いじゃなく、これはいつものライダー。少し休ませてもらった事で、もうすっかり元に戻ったようだ。

 そして先ほどまでの記憶が抜け落ちているらしく、「勝手に眠ってしまい、ごめんなさい……」と落ち込んでいる様子。シュンとしてしまっている。

 いま自らの身に何が起こったのかは、理解していないようだ。

 

「いえいえ、良いのよライダー♪

 貴方が起きてから、みんなで結果発表を聞こうと思って。

 あとレンゲひと口分だけど、料理を残してあるのよ♪」

 

「おぉ、それはありがたいです。

 ならそれを私が食べて、完食を達成させましょう」

 

 私をハブにすることなく、待っていてくれたんですね。こうして私の分を残しておいてくれた……。

 みんな優しいです♪ 私達は仲間です♪ そうニッコニコしながら、レンゲの乗った小皿を受け取るライダーさん。とっても純粋な子だった。

 

 ちなみに、先ほどのライダーの醜態のことは、誰も口にしなかった。

 知らぬが華という言葉もあるし、ちょっとイタズラもしちゃった事だし。イジらずそっとしといてあげようと思う。

 

「んじゃあ、一息にいっちまってくれや。俺ら見てっからよ~」

 

「がんばって下さいライダー。そのひと口分で終わりですので。ご武運を」

 

「任せて下さい、見事なし遂げて見せましょう。

 ――――ぜったい麻婆なんかに負けたりしないっ! というヤツです」キリッ

 

「「「おー、いけいけー!」」」

 

 

 

 

 

 

 ~10秒後~

 

 

 

 

 

「……麻婆には勝てませんでした」グッタリ

 

「即オチ2コマじゃねーかw 流石だなオイwww」

 

「見事な間w お手本のような流れwww」

 

「すごい! もう一回やって下さいライダー! もう一回っ!」キャッキャ

 

「構いませんよセイバー♪ ――――んほぉ~! これかりゃいの~ぅ!(即オチ)」

 

「「「wwwww」」」

 

 

 

 

 関係ないけど、綺麗な人が悶絶してるのっていいなぁ。とってもエロいなぁと思う。

 

 とりあえず何だかんだあったが、仲間たちは無事にエビマヨ注文を回避し、泰山の第一位を当てたのだった。

 

 残るは、後たった9つだ(絶望)

 

 

 

 

 

 

 

(続きおるぞっ!)

 

 

 

 

 

*1
くたばれアメリカ兵め! の意

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