【募】こんな小説を書けこの野郎【リクエスト】 作:hasegawa&friends
小次郎は思う。こやつらには雅さの欠片も無い――――と。
「んあーっ! これしゅっごいのぉーーう!!(≧Д≦)」
「あはは! おもしろいですライダー! エロいですっ!」キャッキャ
まがりなりにも、覇を競い合った戦友。己の矜持をかけて仕合った英霊達。
だが、今のこやつらは何ぞ? なんたる様かと。
「聞く所によると、正露丸を鼻につっこんだら、辛さを感じなくなるそうよ?」
「なッ!? それは本当かねキャスター! どういう理屈なんだ!?」
「あれかァ? 鼻がスーっとし過ぎて、もう辛さどころじゃ無くなる、みてェな」
先の聖杯戦争での戦は、彼の誇りであった。
今も瞼を閉じれば浮かんで来る、あの闇夜の光景。張り詰めた空気。高揚感。
決着の瞬間、刃を身に受けた焼けるような痛みですらも、己にとっては大切な思い出。その全てが愛おしい。
生前はついぞ叶わなかった強者との立ち合い。たったひとつ胸に抱き続けた望み……。それを叶え、心行くまで堪能することが出来たのだから。非常に満足していた。
「■■■」(では俺が試そう。フゴフゴ、フゴフゴ)
「おぉ、一気に5つも入れるのですか? なんという思い切りの良さ」
「流石はバーサーカーだ。大英雄は伊達では無いな」
「すんごい鼻広がってます。ゴリラみたいです」
しかし、しかしだ。
その大切な思い出も、今のこやつらを見ていると、すべて幻だったのではないかと思える。
あんなに真面目だったのに、カッコ良かったのに……。もうそんな面影はどこにも無い。
「■■■ッ!」(いけるっ! 意外といけるぞフゴフゴ!)
「めっちゃ食べてる! モリモリいってるじゃないのっ!?」
「瞬く間に料理がッ! 圧倒的ッ……! 圧倒的爆食ッ……!」
「鼻はとんでもねェ事になってるけどなw 締まらねーよ旦那www」
やめれ、思い出を壊すな。お主らと戦ったことを誇りとする私の立場が無いではないか。
そう小次郎は眉間に皺を寄せる。
「ライダー、我らも続こう。共に杏仁豆腐をへんへふふふほは(殲滅するのだ)」
「了解ですセイバー。これさえあれば、ほほへふほほははい(恐れるものは無い)」
「――――よさぬか
一喝。せっせと正露丸を鼻に詰め始めたセイバー&ライダーを止める。
二人共「えっ」って顔でこちらに振り向く。鼻の穴パンパンにしたまま。
「ん? ほーひはハハヒンほ(どうしたアサシンよ) へふふはひは~(エクスカリバー)」
「はひははひはひはは(何かありましたか?) へふへふぉ~ん(ベルレフォーン)」
「あい判った。わざとやっとるなお主ら?」
こんなヤツらと死力を尽くして戦い、そして負けたのかと思うと、もう時雨てしまいそうだ。*1
あれか、私を悔しがらせる為にやっておるのか。そうなのか英霊共。非正規のサヴァだと思って馬鹿にしやがってチクショウ。
小次郎は思う――――こやつらに負けるワケにはいかぬと。
まぁさっきまでは自分も、散々アホな事やってたような気がするけれど……それはそれ、コレはコレなのだ。
次の手番、是が非でもTOP10を当て、こやつらに見せつけねば。
我が矜持を。生き様を。武人かくあるべしという所作を。
◆ ◆ ◆
【第1巡、六皿目】 佐々木 小次郎(アサシン)
デデンデデン! バババババン、バンバン! ジャジャジャン☆ ピーッ♪(BGM)
二連勝で迎えた6番目の回答者は、江戸時代からやって来た月下の剣士、アサシン!
魔人と称されし護り手は、泰山の悪意を退けられるかぁ~っ!?
・ナレーター: 言峰フルテンション綺礼
時を現在に戻し、キャスターの手番が終了した直後……。
「ふぎはへへーか」
「ひはいひへひふほ、ハハヒン」
「へーへーひはひははい♪」
「うむ、解せぬ」
翻訳をすれば「次はテメーか」「期待しているよアサシン」「せいぜい気張りなさい」
だが全員、鼻に正露丸を詰め込んでいるので、フガフガとしか聞こえなかった。
「よいしょっと……。
とりあえず貴方の番だけれど、どーせ当たりっこ無いのだし、巻きでいきましょ。
さっさと済ませなさいな」
「は?」
スポーン! と正露丸を射出つつ、キャスターはなにやら不可解なことを言う。
「あら分からない?
なら、いま注文しようと思ってる料理を、頭に思い浮かべてみなさいな」
「……」
釈然としないながらも、アサシンは目を瞑り、言われた通りにしてみる。
「貴方が思い浮かべたのは、
「ふざけまいぞ阿呆ぅ」
ほーらご覧なさい♪ と得意げに笑おうとしたが、どうやらアサシンの答えは違ったようだ。
あれ? おかしいわね……とキャスターは本気で困惑している様子。マジかこいつ。
「あわとひえはともかくとして……実は私も一抹の不安があるのです。
この企画、アサシンには少しばかり、荷が勝ち過ぎるのではないかと……」
かと思えば、今度はライダーが不安気な顔。
冗談を言ったり、貶しているのではなく、どこか彼に同情しているような雰囲気がある。
「貴方が生きた時代では、“肉食”はご法度だったハズ。
殺生を良しとしない仏教の影響で、肉を食べる事が禁じられていた、と聞いています」
そう。アサシンこと佐々木小次郎は、江戸時代を生きた人である。
某るろうに剣心でもお馴染みだが、日本人が文明開化の象徴として“牛鍋”などを食するようになるには、明治維新を待たなくてはならないのだ。
馴染みの無い中華料理、そればかりか肉すらもロクに食べた事がない。
そんな彼に、泰山のTOP10を当てろと言うのは、あまりにも酷のように思いますと、ライダーは語る。
「ほう、よく存じておるな。聖杯からの知識に、かような物があったか?」
「いえ、よく本を読みますので。たまたま知っていたのです。
それで、大丈夫そうですかアサシン? もし難しいようなら、私達も知恵を……」
「案ずるな。確かに日ノ本の生まれゆえ、中華は食さなんだがな。
されど肉自体は、
「「「 !?!? 」」」
「お主の申す通り、殺生はご法度。肉食もまた然りよ。
だが
たとえばイノシシ肉。これは江戸時代にも、普通に食されていたという。
もっとも禁じられている手前、大っぴらに食べるワケにもいかないので、人々は“山くじら”という隠語で呼んでいたようだが。
商人はみんな「猪ぃ? 滅相も無ぇでさぁ。これは山で獲れた鯨なんですわゲヘヘ♪」と言って提供し、そしてお客さん側も「わしが今から食うのは、肉じゃなく魚じゃ。だから問題ないわい」と言って頬張る。
ようは、そういった“方便”を使い、人々は肉に舌鼓を打っていた~というワケだ。
徳川の世でも、既に養鶏は行われていたし、鶏は獣ではないので食べてもOK。そればかりか鶴や白鳥なども食べていたという。
また兎を数える時に“一羽二羽”と言うのは、「これは鳥だから……(震え声)」という方便を使っていた名残なのだそうな。
ちなみにだが、それのみならず
たとえば長崎の出島では、オランダ人が数多く住んでいたので、もちろん食事も洋食だ。食用として牛や豚の飼育も行われていたらしい。
そして時の将軍様や、藩の偉い人達は、“反本丸”とよばれる牛肉の味噌漬け的な料理を、「これは薬だから(以下略)」と言い張って、モリモリ食べていらっしゃったのだ。
まさに「牛肉うめー!」って感じで。大人気だったらしいぞ!
「ゆえに、私とて肉を食した事はある。美味だとも感じるでな」
「そうだったのですか。勉強になりました。
いらぬ心配をしてしまいましたね」
「構わぬさライダー。
さてさて。この中で馴染みがあるのは……鶏くらいの物か?
そこらの品を選ぶとしようぞ」
ここ冬木に来て、数か月ほど。アサシンもそれなりに現代の料理を口にしている。
なんだったら士郎がよく差し入れを持って来てくれるので、山門で動けない身でありながら、けっこう色々な物を食べた事があったりする。
煮物やおにぎりなどの和食のみならず、カレーやシチューといった洋食もだ。
ちなみにアサシンの最近のお気に入りは、キュウリや玉子が沢山入った士郎お手製のサンドイッチである。
この前なんとなしに「マスターを交換せぬか?」とセイバーに提案してみたのだが、彼女は「イヤです」と即答。取り付く島もなく断られてしまった。
同じ剣士、同じサーヴァントであるというのに、いったいどこで差が付いたのだろう?
生まれたての子犬くらい大切にして貰っているセイバーと、山門から一歩も出ることが出来ぬ我が身。これを思うときアサシンは、この世の不公平さと無常を感じざるを得なかった。主人ガチャ大ハズレだ。
とにもかくにも、注文する品を決めるべく、メニュー表とにらめっこするアサシン。
背筋をまっすぐ伸ばし、品性を感じさせる所作で、静かに椅子に座っている。
自分の手番だからとて、焦る事も慌てる事もなく、落ち着いた表情。
これはまさしく強者の面構えだ。
負ける事など微塵も考えぬ、そして見ている者をしても負ける姿が想像出来ないような、自信と余裕のある姿。
さっきまで「んほぉ~!」とか言ったり、正露丸を鼻に詰めていた連中とは、ホント雲泥の差である。
「ときにお主ら、先ほど“必殺技注文”なる儀をしておったな?」
「あぁ、トレースオン(キリッ)とか貰い受ける(キリッ)の事ね~」
アーチャー&ランサーの両名が、「///」と顔を背ける。
あの時はテンションでいったけど、今はけっこう恥ずかしかった。
「なれば私は、秘剣燕返しを披露
◆ ◆ ◆
帰れま10in泰山、6番手のアサシンが実行したのは、脅威の三皿同時注文!
たくさんの刻みネギが乗せられ、甘辛タレがたっぷりとかかった“油淋鶏”。
パプリカやたまねぎに加え、ナッツの食感が嬉しい“若鶏のカシューナッツ炒め”。
そして「これぞ泰山!」と言うべき、とんでもなく毒々しい食欲をそそる赤いソースの“若鶏の唐揚げチリソース風”。
なにやらテーブルの周辺に、呼吸をするのさえ困難なほどの瘴気が漂っているが、この“鶏料理ローラー作戦”とも言うべき大胆な所業は、功を奏するのかぁ~っ!?
・ナレーション: 言峰フルテンション綺礼
「目がヒリヒリしまふ(震え声)」
「鼻がツーンとするな(絶望)」
ライダーの語尾がおかしくなり、アーチャーは諦観の表情。
これから我らは死地に赴く、命捨てがまるは今ぞ、とばかりの悲壮な雰囲気。仲間達の目が死んでいる。
(だが……この
なんでコイツぁ、こんな堂々としてやがんだ……)
ふとランサーがチラ見した先には、静かな面持ちで座る小次郎の姿。
その表情には一点の曇り無く、後悔や絶望すらも感じていないように思える。
(ぶっちゃけ、そろそろ俺らの腹も膨れてきた頃合い。
三品同時ってのは、けっこうクルもんがある。
それをおしての“燕返し”。ヤツには勝算があるってのか……?)
ランサーには分からない。それはこの場の皆がそうだろう。
例の麻婆という安牌を切ってしまった今、彼らはもう手探りで正解を探っていく他なく、何が正しいのかなんて全く分からない状況だ。
麺類、肉類、野菜類、点心etc……。ここには多種多様な料理があれど、一体どれを狙えばよいのやら。
辛そうな物を選べば良いのかと思いきや、先ほどの杏仁豆腐の例もあり、一概には言えない事は既に証明されている。あーだこーだと思考が堂々巡りする。
ゆえに今回アサシンが選んだ“鶏料理”というものの是非を、彼らが判断出来よう筈も無かった。
だがここに来ての、アサシンの所業。威風堂々の佇まいよ。
これから訪れるであろう未来、そして結果を、少しも疑っていないように見える。
この曇りなき眼、迷いの無さは、彼が持つスキル【明鏡止水】の賜物なのか。
有り体に言って――――頼もしい。
こいつが味方であることが、誇らしく思える程に。
ランサーの胸に、確信めいた期待感が込み上げる。コイツなら大丈夫なんじゃねェかと。
「いやはや、嬉しいぞ。
生前は農民であったゆえ、鶏料理などという贅沢、滅多に出来んかったでな。
壮観な光景よ」
楽しんでいる、今この状況を。まるで企画の事など忘れているかのように。
それは、なんて心強い姿だろう。なんと自由な心だろう。
誰もが絶望に打ちひしがれる中、どんな苦境も竹のように受け流すしなやかさ。激流の如き激しさを宿しながら、水のような清流さを併せ持っている。
これが佐々木小次郎という男か!
「鍛錬がてら野鳥を斬り、それを食ってはおったがな?
本職の料理人が作る鶏料理は、また格別よ。堪能させて貰うとしよう」
薄く笑みすら浮かべ、アサシンが料理を取り分けていく。
ゆっくりと、丁寧な手つき。その優雅で美しい所作に、皆は思わず目を奪われる。
「では、馳走になる」
すらっと綺麗な指で操られた箸が、若鶏の唐揚げをつかむ。
友が茫然とただ見守る中、小次郎は何食わぬ顔で、それを口にして見せた――――
「……かりゃ~い」ボソッ
「「「えっ」」」
なんか今、
そんな気がするのだが、あまりにもこの場の雰囲気と似つかわしく無かったので、みんな気のせいだと思う事にした。
「いや失礼、ちと面を喰らってしもうたわ。
されど……安心せぃ皆の者。
「「「!!??」」」
にやり、ニヒルに笑う。
それを見た途端、仲間達は先を競うように料理をパクッ☆ 唐揚げだの油淋鶏だのを口にする。
「きっ、強烈だなッ……! 口内が焼けるようだッ!!」
「でもっ……美味しいですっ!
ジューシーですし、油も素材も素晴らしい!」
「表面の衣は、もう地獄みたいな辛さなんだけど……、
がんばって噛み続ければ、鶏肉が辛さをマイルドにしてくれるわ!
今までの事を考えれば、むしろ美味しいかも!?!?」
これらはカリッカリの揚げ立てなので、その熱も相まって、口にした途端すさまじい辛さが襲い来る。油の熱で口内を火傷し、そこに唐辛子やチリソースを擦り込まれるので、とんでもなく痛かったりもする。
――――けれど、鶏肉すげぇ!! 辛いのと凄く合う!!
もうお口の中は、間違いなくパンドラの箱みたくなってるんだけど(絶望ちっくな意味で)、でも希望という名の“おいしい”が、ちゃんと存在しているのだ! この上なく高いレベルで!!
「辛ェ! 口ん中が痛ェ!! けどアリだなこりゃ!」
「■■■ッ!」(頑張った先に、幸せがある! ちゃんと努力が報われるっ!)
ちなみにだが、全員お箸を持つ手が震えている。あまりの辛さに身体が拒否反応を起こし、心身共にどっかおかしくしているのだろう。
だけど、美味しいってすごいっ! 鶏肉ってすごい☆
僅かだとしても、ちゃんと“救い”さえあるのなら、英雄と呼ばれた彼らが手を止めよう筈も無い。ひたすら勝利を目指し、最後まで駆け抜けるのみ。
「なんと……! ペロリといったか! 凄いじゃないか君達!」
「一皿につき1個づつとはいえ、瞬殺でしたね……」
「ええ。美味しい物ってゆーのは、油で出来てるのね。実感したわ」
鶏肉パワーの効果で、三皿あったにも関わらず瞬殺。これまでにない勢いでパクパクと食べきってしまった。
思えば麻婆豆腐だの、爆裂ゴッド麻婆だの、石焼き麻婆炒飯だのといった、非常に困難な料理ばかり注文していたが、ここに来ての快進撃。
そしてこの死地において、ハッキリと“勝利”したという実感が、皆を高揚させる。
消耗戦の苦しみや、先が見えない不安の中、あたかも極寒の地で起こすあったかい焚火のような熱。
真っ暗だった心に、勇気が灯っていく。俺達はやれると。
「良い時間でした。これで我が軍は、まだまだ戦える」
「士気が上がったな。
舌や喉にゃダメージあったが、なんか気分良いぜ」
「この調子でいけば、きっと達成出来るわ♪
私達の力を信じましょうっ!」
「■■■」(激辛料理など、恐れるに足らん。俺達は戦士だ!)
おー! と拳を突き上げ、改めて闘志を燃やす一同。
その光景を見て、人知れず小次郎がフッと嬉しそうに笑う。
分かってきたではないか――――と。
やはり英雄たるもの、こうでなくてはいけない。
一人で剣を振るうばかりだった生前、あれほど恋焦がれていた強者は、ようやく本来の雄々しい姿を取り戻し、また眩い輝きを放ち始めた。
小次郎はそれを満足気に見つめる。いつもは飄々とした彼ではあるが、とても嬉しそうな顔だった。
「三皿と聞いた時は、どうなる事かと思いましたが……とても良い選択だったと思います。
私の心配など、本当に杞憂でした。お見事ですアサシン」
「なぁに、己の食いたい物を頼んだまでのこと。
迷いは戦の後に置く――――其れが武人という物よ」
情報が無く、決断し難い時には、まず動く。
直感でも何でも良い。うだうだと悩み、立ち止まるのではなく、己を信じて前に進む。
その姿勢、その心構えこそが重要なのだと小次郎は語る。
彼の優しい声、そしてまっすぐな瞳が、とても印象的であった。
「それでは、満を持して結果発表ですっ☆
油淋鶏と、若鶏のカシューナッツ炒め、そして唐揚げのチリソース風……何位ですかぁー↑」
デケデケデケデケ(ドラムロール音)
来い! 来い!! 来いッ!! そう小さな声で何度も呟く中……。
『第ッ! ――――――45位ィィ!!!!!』
『第ッ! ――――――46位ィィ!!!!!』
『第ッ! ――――――47位ィィ!!!!!』
言峰さんの「愉悦っ!」って感じの声が、スピーカーから3回も響いた。
◆ ◆ ◆
この鶏料理三品は、
アタシ全然本気出してないカラ、そのつもりでネ♪
泰山にある鶏系の料理は、基本的に“あんま辛くしてない”アル。
使てる唐辛子とかスパイスの量、他のヤツと比べたら5分の1以下! もと少ないカモしれんネ?
ナゼあえてこんな事しとるかゆーと……コレちょとした四川風ジョーク☆
言われちゃうヨ~? ウチの店で鶏料理なんて注文しようもんなラ。
――――そう! 【チキン野郎】とナ! ぷーくすくす♪
ま! お前らみたいなヒヨッコは、カラアゲでも頼んどけてコト♡
・ワイプ: 謎の中華少女、魃さん
◆ ◆ ◆
「怒ってねェ。別にいーんだよ俺ァ。誰しも失敗はあらぁな」
旨かったし、気合も入ったしな、とランサー。
「だがよォ、それはそれとして……ちょっと言いたい事があんだよ」
無駄に三皿も食わされた挙句、TOP10を外したばかりか、
気にしてねェとは言いつつも、槍の英霊クーフーリンの額にビキビキっと青筋。
その鋭い眼光は、この事態を引き起こしたアサシンに向いている。
「前から思ってたけどよ……? なんでお前、
可哀想だろ。燕がいったい何したってんだ? 風流な鳥じゃねーかよ。
そもそもの話、仏教じゃ殺生を禁じてんだろ? さっき言ってたじゃねーかオイ。
そう「じとぉ~!」とした目でネチネチ。
「なにが剣の修行だ。イタズラに生き物殺しやがって……。
てめぇ鳥さんの気持ち考えたことあんのか?」
「そうよ、なんで燕なのよ。据え物斬りでいーじゃないの」
「そんな事をしないと、強くなれないんですか?
セイバーはどう思います?」
「私は剣士だが、一度もやった事が無い。
考えた事すら無かったです」
「ほら見ろ、燕を斬る必要など無いではないか。
それは剣士ではなく、
小動物を殺め、悦に浸るなどと……見下げ果てたヤツだな君は」
「■■■」(友達が居ないからって、
動物虐待だ! 謝罪しろ!
そうどこぞのオカシナ団体のようにブーイング。彼を責め立てる。
「……」
今じわっと、アサシンの目に涙が滲んだ。
無言でいるし、表情はそのまま。だが思わず涙が出ちゃう……。悔しくて悔しくて。
燕を斬ったことは謝る。でも「友達が居ない」は酷いだろう?
そりゃあ生前は、一度も誰かと立ち合ったこと無かった。孤独だった。でもそんな風に言わなくたって良いじゃないか。
一人っきりで頑張ったのに、誰の手も借りず必死に剣を振ったのに。この仕打ち。この仕打ちよ。
「――――村さ帰ぇりでぇぇ~~っっ!!!!」
「「「 !!!??? 」」」
突然、この場に響くアサシンの声。……いや“東北弁”。
「もうおらサーヴァントやんだ! 門番やんだ!!」
「ど……どうしたのですアサシン!? 何故とつぜん口調が?!」
訛ってる! ものっすごい訛ってる!
あの雅な伊達男はどこへやら。今ここにいるのは、ガン泣きする“農民”だ。
「英雄なんかさは、オラのきもぢ分がんね゛!
オラが非正規のサヴァだがらっで、あんまりでねが!!」
「ちょっと待ってくれ! いったん落ち着こうアサシン! 落ち着くのだ!」
「も゛ーオラ着物てぐね! 刀とかいずぐでしかだね!」*2
「だっ、誰か通訳を! 聖杯の知識には、こんな言葉無いですよ!?」
「おらクワ握るだ! 畑さ耕して暮らすど!」
「いや耕さないでよ! 刀握りなさいな!」
烈火の如く叫ぶ。これまでの鬱憤が火山の噴火のように溢れ出し、もう止まらなくなっている。
「オラがカッペだと思っで、馬鹿にしてんべ!?」
「カッペってなんですか!? 知らない言葉ですシロウ!」
「英霊のくせに、宝具さひどづ持ってねっで!
ありゃ佐々木
「いや言ってねェよ!? なに卑屈になってんだオイ! しっかりしろ!」
「――――あんだぁ燕返しっでぇ! んなモン
セイバーさに二回使っで、二回どもヒョイっと躱されたべや!!(迫真)
そもそもの
誰がに試しもしねで、なんにが不可避の必殺剣だっづの! おだづでね!」*3
「■■■ッ!」(刀を折ろうとするな! やめろ! それ大事なヤツだろ!!)
とりあえず、この後みんなで宥めすかし、機嫌を治してもらった。
「……んだがや? オラの燕返す↑、いけてっかや?」
「「「イケてるイケてるぅー!(必死)」」」
この魔人と称されし侍には、みんな一度は退けられているし、宝具なんて無くてもすごいヤツなのだ。
自信持ってくれ、悪かったってオイ……。そうペコペコ謝る。
まぁ正直、小次郎が何を言っているのか、
それどういう意味の言葉ですか? だなんて、とてもじゃないけど聞ける雰囲気じゃなかったし。
農民に本気でキレられる――――そんな貴重な経験をした英霊達であった。
(続きカリバー!)
◆方言の参考にさせて頂いた作品。(アイマスSS)
【美希「ハニーがホームシックなの」】