エビチリ作った話の後日談です、書いてて割と好きな話
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息子へ
この通知を見たら10人以上の友人知人に24時間以内に回さないと死にます
Ps.この間ね〜、ナリタタイシンちゃんに会ったのよ!挨拶したら「あ、どうも」だって!可愛いわね〜、あなたの担当ウマ娘なんでしょ?うちに来ないかしら?
それでね〜……────
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「タイシンちゃんこんな所でどうしたのよ」
夕暮れ、人によってはGood nightを迎える時間帯
場所は商店街
目の前には息子が担当する、ウマ娘のナリタタイシンがいた
「トレーナーのお母さん、でしたね。私は今、食材を買い漁ってて……」
「素敵ね!そう言えば家事は得意だったわね〜」
母である私は以前に1度会っており、その時に馴れ馴れしく”ちゃん呼び”をさせても良いかな?と聞いたらタイシンちゃんは喜んでくれた
その時に食事を作っていた私の隣にピッタリくっついて『手伝います』って言ったのよ
もう料理の腕もピカイチ!あーいう子なかなか居ないからうちに来て欲しいけど、バカ息子は『俺は魔法使いになる!』って喧しいのよね
魔法使いって何かしら?
「あ、そうそう!息子から聞いてると思うけど、次のレースに私、見に行くからね!」
そう言うと、タイシンちゃんは「うっ」と狼狽えた
なにか不味いことを言ったかしら?
「なにか不味いことを言ったかしら?」
「いえ、その……お、お待ちしておりますね!ははは……」
しかし手の脂をエプロンで拭う私は見逃さなかった。狼狽えた時の流し目、頬に垂れる冷や汗が2粒、微妙に震えた手足、一瞬だけ垂れたウマ耳
自称ミステリ検定博士号を持つ私にとって、ドラマに出てくる犯人の僅かな変化を見逃さないのは十八番だった
博士号なんてあるのかしら?
「お待ち!」
「ふえっ!?」
タイシンちゃんは私の言葉に静止する
この時間帯の商店街には彷徨くリーマンや遊びに行く学生が増えていくが、そんなことお構い無しに私はタイシンちゃんの肩を掴み、目を見る
木には歴史が宿る、それは切り倒せば年輪に刻まれ、当時の気候などを知れたりする
人もまた歴史が宿る、それは目に刻まれ、私は特殊な訓練を受けていたので何があったのかそれなりに分かるつもりだ
正解率は0パーセント、全く当たった試しがない
「…………何か、不安があるのね?」
「あ……い、いえ、違います」
この反応は正解を当てたかしら……?
あらやだ、私ってばすごい!
「息子の、ことね?」
このままズバズバ当てるわよ!
「…………はい」
嘘でしょ……当たったわ、何かしらこの優越感
道端の売れない占い師達ってこんなことやって金をせびているのかしら?
偏見ね、止めておきましょう
「理由を、話してくれないかしら?」
私は理由を聞いた
さすがに内容まで分かったら探偵通り越してストーカーになってしまうからだ
「……トレーナーが最近、倒れてしまって」
「あ〜あの子ったらまたエナジードリンクとコーヒーしか摂ってないのね?」
トレーナーの勉強をしている時は3食抜いてまで教材に喰らいついてたもんだから、朝エナジードリンク、昼コーヒー、夜コーヒーなんてザラだったわね
「だからっ、なんとか食事を摂ってもらおうって、思って……」
「良いわ、良い!Goodよタイシンちゃん!」
「え、え?」
そのしょげる可愛い顔で今日の白飯が美味しくなるわ、パパにも教えたいくらいね
「それなら今から息子のところに行きましょ!善は急げよ!」
「え、ちょ、そんな急に!?」
「ほらほら〜」
私は商店街から外れた駐車場に停めてある、マイカーであるBMW M5に乗り込み、助手席にタイシンちゃんを乗せる
「うわ、外観もだけど内装もすご……この車お高いんですか?」
「国内限定で10台しか生産されなかった車って聞いたけど、私ったら限定って言葉に弱いのよね〜」
「あの、汚したらまずいので……降ります……」
「大丈夫よ、汚れたらディーラーこき使って清掃させるから」
アクセルを踏み、トレセン学園に向かう私たちだった
「バカ息子!遊びに来たわよ!」
トレーナー室のドアを思いっきり開けると、息子は買ってあげた黒革のソファの上でアイマスクをし、死んだように寝ていた
「あの、あまり騒ぐと他の人にも迷惑が……」
「しょうがないわね、先にご飯作りましょ」
まず私が買い漁ったものをトレーナー室にある給湯室で食材を並べる
「人参、馬鈴薯、牛肉、カレーのルー……タイシンちゃん、これで何ができるか……分かるわね?」
「任せてください!これは……エビチリですね!」
「不正解よ。私はこの食材を使って青椒肉絲を作るわ」
「チ、チンジャ……????????」
「あら、聞いたこと無かったかしら?中華料理の定番メニューよ?」
「すいません分かりません。料理名はわかるのですが工程が全く分かりません」
分からないことは恥ではない、それは私の母、息子のおばあちゃんから教わったこと
私は順序を教える
「まず①普通にカレー作るわ」
「え?ならカレーになるのでは?」
「そこにひとつ②アレンジを加えるのよ」
「アレンジ、ですか!」
目を輝かせ期待の目を向けるタイシンちゃんに、私はその輝きに応えた
「③『ラヴ!注入!』これで出来るのよ」
「すいません全く理解できません」
「あら?青椒肉絲というのは中華料理の定番メニューで……」
「違うそうじゃない」
タイシンちゃんのいうエビチリも不可解だけど、そんな難しいことかしら?
「いい?発言時はホーミーで、『ラチウン!ぢゅうロにゅ-うス!』と言うのよ?」
「ゆっくりでやっと聞き取れましたけど、ヒトもウマ娘も不可能です」
「あら?趣味の習い事でホーミーを発生する先生から伝授できたのだけれど……」
「その先生を連れてきてください、喉捌きたいです」
「そのお方、気まぐれな鹿さんだから丁寧な対応しなきゃ厄災が降るのよ。会ったら気をつけてね?」
「??????????」
タイシンちゃんは頭から白煙を出して混乱する
「じゃあ作るから、見ててね」
「ア、ハイ」
人参を切り、馬鈴薯も適当な形に切って、牛肉も食べやすい大きさに
寸銅に水入れて温まったらルー投入
具材も投入
「行くわよ!見ててちょうだいね!」
「か、カレーじゃダメなんです?」
「『ラヴ!注入!!』」
「すごい、全く聞き取れな────な、なんだァーッ!これはァーッ!?」
寸銅の中では渦を巻き始め、白く光り出す
「……成功ね」
「むしろ失敗が見たいです」
「失敗したら別荘ひとつ吹き飛んだから、あの時は反省したわぁ……」
「えぇ……」
白い光が収まると寸銅の中に青椒肉絲が出来ていた
それを皿に粧うと私はラップして机に置いた
「ご飯は頼むわね、久々に青椒肉絲作ったから眠たいわぁ」
「あ、じゃあトレーナーが起きるまで寝てます?起こしますよ」
「いいわ。夫に頼んで来てもらうし、マイカーも明日の朝にバカ息子に頼んで運ばせるから」
そう言って私は将来の嫁に向かって、去り際をカッコつけて帰った
エプロン姿だけど
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────ってことがあってね〜
あ、車お願いね
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読み終えて俺は一息つくと、トレーナー室で叫ぶ
「Psなげーな!!」