プリヤに元白熊少女を放り込んでみた   作:『ユタカ』

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番外編1 義理の兄妹

 

 

「イリヤさんが大好きなお兄ちゃんについてなんですが」

 

 

イリヤの自室にて

ルビーが明らかにイリヤにとって嫌な話題を選ぶ。

 

 

「……………………なに?」

 

 

しかしイリヤはいつものようなオーバーリアクションを取らず

目を半目にしてルビーに聞き返す。

 

 

「おや?否定されないんですね」

 

「べっつにー…。

お兄ちゃんのことは好きだしね。兄として!」

 

 

ベッドにて雑誌を読みながら

イリヤは冷静にルビーの言葉を受け流そうとする。

 

 

「こういうのは否定するから余計からかわれるのよ。

ルビーそういう話大好きだもんね」

 

「あらまぁ。なんとかわいくない…もとい利発なお子様なんでしょう」

 

 

ルビーはつまらなさそうにしながら先を続ける。

 

 

「それでそのお兄ちゃんの士郎さんですけど

全然イリヤさんと似てませんよねー。

やっぱりシロさんと同じく養子なんですか?」

 

「うんそうだよー。

お兄ちゃんとシロは同じ孤児院にいたんだけど

切嗣(おとーさん)がお兄ちゃんをママがシロを

書式上ではそれぞれで養子にしたんだって。

切嗣(おとーさん)とママはいろいろあって籍入れてないから

お兄ちゃんの姓は衛宮で、シロの姓はアインツベルンになったってわけ」

 

「つまりお三方は義理の兄妹…」

 

「まぁそゆこと」

 

「な…」

 

 

イリヤの説明を聞いたルビーがフルフルと震える。

 

 

「なんとエロい!!」

 

「なにその感想!?」

 

「いやいやいや血の繋がらない小学生妹二人と同棲だなんて

それこそアレなゲームでしかお目にかかれないようなレア設定ですよ!

けしからん!まったくもってけしからん!」

 

「妄想しすぎだって…」

 

 

ルビーは鼻息(?)を荒くしながらバタバタと荒ぶる。

その様子を呆れた目で見ているイリヤ

 

 

「ちなみに切嗣(おとーさん)とママはヨーロッパ出張中でね。セラとリズはアインツベルン家のメイド……」

 

「そんな伏線に見せかけて実は何でもないような設定はいりません!

兄の話をしましょう兄の!」

 

「いや、兄の…って言われても…。普通にお兄ちゃんだよ……」

 

「うーん。なんとものんきですねー」

 

 

あくまで兄の話題に固執するルビーに対して

話すことなんてそこまでなく普通の兄妹の関係だと主張するイリヤ

 

 

「そんなこと言ってていいんですか?

うかうかしてると…」

 

 

そんなイリヤに対してルビーは

 

 

「凛さんやルヴィアさん、それにもしかしたらシロさんに取られちゃうかもしれませんよ?」

 

 

危機感を煽り始める。

 

一瞬フリーズするイリヤ

 

 

「……どゆこと?」

 

 

これにはイリヤも冷静さを失い始める。

ギギギと壊れた人形の如くルビーの方に顔を向ける。

 

 

「やはりご存じありませんでしたか。

あのお二人は一応留学扱いで日本に来てて士郎さんと同じ学園に通ってるんですよ。

まぁ、外っ面だけはいいですからねー。

一気に学園のアイドル的存在になったみたいです」

 

 

あの二人の年齢と容姿を考えればおかしくはない。

……お兄ちゃんと同じ学校なのは気になるけど

 

 

「そして故意か不可抗力かわからないお色気ハプニングを起こしつつ

士郎さん相手になーんかいろんなフラグ立てまくっているとかいないとかー」

 

 

つまずきルヴィアを巻き込み転び、ルヴィアの胸に触れてしまったり

同じく凛を巻き込み転び、凛のお尻に顔を突っ込んでしまったり

まさにエロゲーの主人公の如しであった。

 

 

「ちょちょちょッ…なにそれー!?」

 

「士郎さんもまんざらじゃないご様子でツンとかデレとかやってるという噂です」

 

「~~~…ッ!」

 

 

士郎の学校での様子を知ったイリヤは顔を若干赤らめ唖然とする。

 

 

「~~~。でもシロは!?

あのシロに限ってそんなことあるわけ…!」

 

 

恋愛方面に関しての知識が疎すぎる妹が

兄とそんな関係になるなどイリヤには想像もつかなかった。

 

 

「ええ。シロさんは士郎さんに対して恋心を抱いてはいません。

今のところは…ですが」

 

「なにその不穏な言い回し!?」

 

「考えてもみてくださいイリヤさん。

士郎さんとシロさんは同じ孤児院の出身。

つまり誰よりも長く士郎さんと一緒にいるんですよ?

兄妹という壁がなければ恋仲になっていてもおかしくはありません」

 

「そ、それは…」

 

 

リンさんやルヴィアさんが相手であれば付き合いの長さで言えば私に軍配が上がる。

しかしシロが相手ではそうはいかない。

仮に、そうもし仮にわたしとシロが同時にお兄ちゃんに告白したとしたら…。

イリヤは自身の敗北を予感し身震いする。

 

 

「シロさんは頭の良い方です。

時間が経てば恋愛方面の知識もあっという間に学びきるでしょう。

そうなれば自身の恋愛対象として考えた時

身近で一番好意を抱いている男子といったら誰を思い浮かべるでしょうか?」

 

 

シロエは友達が少ない。

クラスの友達は美遊や美々達だけであり

男子の友達など皆無である。

よって残るのは必然的に…

 

 

「今のところは家族への好意で止まっていますが

血の繋がりはありませんからねー。

その好意がいつ恋へと変貌するか…」

 

「……………」

 

 

妹が兄に対してそんな感情を抱くなんて姉として許さない。

そう言えたらどんなに楽か。

しかしそれを言ったら自身にブーメランとなり返ってくることとなる。

ルビーの言ってることが近い将来あり得るかもしれないと思ってしまったのか

イリヤは口をパクパクさせながらも反論できない。

 

 

「このまま行くと凛さんかルヴィアさんのどちらかが本命ですかねー。

でもあんまり時間がかかるようならシロさんの参入もあり得ますねー。

そうなると積み重ねた時間的にシロさんが有利でしょうか?

いやいやもしかしたら士郎さんてば三人同時攻略を狙ってくるかもー?」

 

 

ベッドのシーツを握りしめ

汗をかきながら俯くイリヤの頭上を

煽るかのようにルビーがクルクルと回る。

 

 

「さてイリヤさんはどうするんですかー?

ああでも『普通にお兄ちゃん』ですものねー。

シロさんも『今のところは』普通の妹ですしー。

同じく普通の妹で満足しているイリヤさんがどうこう言う問題では……」

 

 

枕を頭上に被り必死に悪魔(ルビー)の声を聞かないようにしているイリヤだが

悪魔(ルビー)はウリウリと枕をつつきながらイリヤを煽り続ける。

そして

 

 

「ルビー!」

 

「おおっ!?」

 

 

頭上を飛んでいたルビーを引っ掴む。

掴んでしまう。

 

 

「契約する前…たしか言ってたよね。

こ…『恋の魔法』がどうたら…って」

 

 

あのルビーと初めて会った時

シロエはまだ二階から降りてきていなかったため知る由もなかったが

ルビーは風呂場にてそのような文言でイリヤを騙し…もとい勧誘したのだ。

 

 

「ええ。実際には魔法ではなく魔法薬…。

いわゆるホレ薬の調合ができますが…」

 

 

イリヤの手からすぽんと抜け出しながらルビーは続ける。

 

 

「…やりますか?」

 

 

その時ルビーはニヤリ…と笑った。

しかしイリヤは

 

 

「た…、ためしにひとつ!」

 

 

まんまとルビーの口車…もとい提案に乗ってしまう。

 

 

「か…勘違いしないでよねっ!

これはあくまでお兄ちゃんを魔の手から守って

シロに健全な道を歩んでもらうために

わたしがあえて仕方なく…」

 

「テンプレなセリフは置いといて、さっそく準備に取りかかりましょう!

わたしのオクスリなら士郎さんもイチコロでメロメロでガクガクですよー!」

 

 

その時

 

 

(なんか悪寒が…)

 

 

自室にいた士郎に原因不明の悪寒が走り

 

 

「…クシュンッ!」

 

 

同じく自室にてシロエが何故かくしゃみをした。

 

さて、その後士郎(お兄ちゃん)がどうなったかは──

また別のお話ということで

 

 

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