プリヤに元白熊少女を放り込んでみた   作:『ユタカ』

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セイバー

 

 

最悪

それがセイバーを見て最初に出たシロエの感想であった。

よりにもよって

キャスター戦の直後に

何の準備も出来ていないこの時に

ある例外を除きあの聖杯戦争において最強の威力を誇る宝具を持つセイバーが乱入。

これを最悪と言わず何と言う。

しかしこの最悪の状況を呪う暇はない。

今はただこの場を凌ぐ方法を

 

 

「リンさん!」

 

 

血を流し倒れている凛を心配しイリヤが駆け出そうとする。

 

 

「ちょっ!?お姉ちゃん!」

 

「待ってイリヤスフィール!」

 

 

シロエはイリヤの左足を、美遊は右足をそれぞれ掴む。

すると当然掴まれたイリヤは

 

 

「はヴァッ!?」

 

「「あっ」」

 

 

勢いそのままにつんのめり顔面を地面へとダイブする。

 

 

「な…なにするの!?」

 

 

赤くなった鼻を擦りながら二人に抗議する。

 

 

「ご…ごめん。でも闇雲に近づいちゃだめ…!」

 

「そうだよ!あの剣で真っ二つにされるよ!」

 

「で、でもリンさんとルヴィアさんが…!」

 

 

二人の言うこともわかるが凛とルヴィアが心配なイリヤ

 

 

「落ち着いてくださいイリヤさん!

…生体反応あり!大丈夫お二人は生きてます!」

 

 

イリヤを落ち着かせるべくルビーが凛とルヴィアの無事を確かめる。

 

 

「だったらなおさら…ッ」

 

 

しかしそれでも落ち着かせることはできない。

そこに

 

 

「…ていっ!」

 

「いだあっ!?」

 

 

イリヤの頭にチョップが落とされる。

落としたのはシロエである。

 

 

「シ、シロ…?こんな時に何を」

 

「…落ち着いて、お姉ちゃん。それと」

 

 

シロエが美遊の方も見る。

 

 

「…ミユさんも。今から出すわたしの指示に従って」

 

 

いつものふざけた調子ではなく、有無を言わさぬ迫力に二人は頷く。

 

 

「…現状、取れる選択肢は二つ。

敵の打倒か二人を確保して撤退するか。

そのどちらか」

 

「あの槍は?あれなら一撃必殺で…」

 

「だめ…今は使えない」

 

 

イリヤが刺し穿つ死棘の槍(ゲイボルク)で倒すことを提案するも美遊がそれを否定する。

というのも

 

 

「一度カードを限定展開(インクルード)すると数時間はそのカードが使えなくなります」

 

「どうもアク禁くらうっぽいですねー」

 

「『ライダー』のカードは試してみたけど…単体では意味をなさなかった。

『キャスター』は不明…本番でいきなり使うには危険が大きすぎる」

 

「加えて『アーチャー』は役立たず…と

これは撤退しかなさそうな感じですか」

 

 

現在の自分達の使える戦力を一つ一つ確認していき撤退という結論に至る一同

 

 

「…で、二人を確保するにあたって問題のあの敵だけど」

 

 

敵であるセイバーに目を向ける。

そう二人の下に行くにしてもセイバーを抑える必要がある。

 

 

「…わたしが」

 

「わたしが抑える」

 

 

わたしが敵を引き付ける。

そう美遊が言おうとしたのをシロエが遮る。

 

 

「えっ…」

 

「わたしが敵を抑えるからお姉ちゃんとミユさんは木に隠れながら二人に接近。その後二人を連れて鏡面界から脱出。

以上がわたしからの指示」

 

「ま、待ってよ!シロはどうするの!?」

 

 

美遊も抗議こそしなかったがイリヤに同意とばかりに顔を険しくしている。

 

 

「…脱出したら二人が回復するまで待ち、後日四人で作戦をしっかり立てて再び突入。

というのがこの場における最善だと思うけど…」

 

「「ダメ!」」

 

 

暗に見捨てろと言っているシロエの指示に二人はほぼ同時に意を唱える。

 

 

「…………そう。なら、二人を脱出させたらすぐに迎えに来て」

 

 

二人の力強い拒否に

シロエは面食らうものの

暫しの沈黙の後に、妥協案を出す。

シロエの妥協案に暫し考え込むイリヤと美遊であったが、これ以上は折れそうにないと感じたのか

顔が険しいままではあるものの美遊が頷き

 

 

「…⋯わかった。その代わり絶対無茶しないで」

 

 

イリヤもまた渋々ではあるが了承する。

シロエはセイバーを改めて見据えると

 

 

「じゃあ…行くよ!」

 

 

腰の剣を引き抜き敵へと駆け出した。

それと同時にイリヤと美遊も行動を開始した。

 

 

(まずはセイバーをリンさんとルヴィアさんから引き離す!)

 

 

シロエがセイバーに剣を袈裟斬りに振るう。

当然セイバーはそれを難なく受ける。

と同時にシロエはがら空きとなった腹に左足で蹴りを放つ。

セイバーは剣から右手を離し、蹴りをガード。

そのまま左足を掴む。

しかしそれも読んでいたシロエは右手をセイバーに向け

氷塊を生成し、セイバーへと放つ。

ゼロ距離で放たれたそれはセイバーにぶつかり

セイバーは吹き飛ばされる。

 

 

(よしっ、多少だけど距離はできた!)

 

 

シロエはこのまま押しきると言わんばかりにまたしても氷塊を飛ばす。

しかし

 

 

「ッ!?くっ…!」

 

 

セイバーは剣を上段より振り下ろした。

本来届かないはずの距離だが魔力を込めたその一撃は斬撃そのものが飛び氷塊を容易く切り裂きシロエを襲う。

シロエはそれをギリギリで回避する。

しかしその隙にセイバーが距離を詰め

 

 

「シロッ!!」

 

 

ようとしたが横からイリヤの放った魔力砲がセイバーに向かって飛ぶ。

しかしセイバーの周囲を渦巻いている黒い霧が魔力砲を弾く。

 

 

「えっ!?」

 

「攻撃が届いていません…!」

 

「霧に阻まれた?あれはいったい…」

 

 

すると木に隠れているイリヤと美遊に気づいたからか

セイバーが木の方を向き

 

 

「逃げてください!こっちにも…」

 

 

ルビーの警告よりも先にセイバーが剣を横凪ぎに振るう。

するとまたしても斬撃が飛び

 

 

「きゃあっ!」

 

「ぐっ…」

 

 

障壁を越えイリヤと美遊を傷つけた。

 

 

「あうっ…!痛っ…!あ…あっ…腕が…血っ…!」

 

「大丈夫、軽傷です!すぐに回復できます!」

 

 

戦闘において初めて負傷したイリヤは動揺し

ルビーは治癒促進(リジェネレーション)を発動し傷をすぐに癒す。

 

 

「サファイア…あの黒いのは…!?」

 

「間違いありません。あれは…

信じがたいほどに高密度な──

魔力の霧!」

 

 

美遊も同じように負傷したが動揺はせず

サファイアと共に相手の分析を行う。

 

 

「あの異常な高魔力の領域にイリヤ様の魔力砲が弾かれたようです。

シロ様の氷はゼロ距離で放ったため霧が作用しなかったみたいですね」

 

「飛ばしてきたのも魔力か…

魔術障壁じゃ無効化できない…!」

 

 

突破するにはシロエみたいに接近戦を挑むしかない。

そして三人の中で一番接近戦が得意なのは…!

先の攻防を見てシロエよりも接近戦が上手いとはとてもではないが言えない。

結局シロエの案に乗るのが最善だとわかり歯噛みする美遊

そして再び剣を上段に構えるセイバー

狙いは

 

 

「追撃きます!立ってくださいイリヤさん!!」

 

 

不意打ちが気に障ったのかイリヤであった。

 

 

「う…あう…」

 

 

しかし負傷で戦意を失ったのか

両目に涙を溜めイリヤは動かない。

 

 

「何をしてるの!?早く逃げて!!」

 

「イリヤさん!」

 

 

美遊とルビーの必死に呼び掛けるも

イリヤは動けない。

そして

 

 

「あ…!」

 

「イリヤスフィール!!」

 

 

セイバーがその剣を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何処を見てるの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

底冷えするような声が響くと同時

途轍もない殺気がセイバーの背に突き刺さる。

警鐘を鳴らす直感に従い

すぐさま後ろを振り向く。

しかし

 

 

ザンッ!

 

 

そんな音共にセイバーの左肩から右の胴にかけて

シロエの剣が身に纏った甲冑もろともセイバーを深々と切り裂いた。

 

 

 

「~ッ!!」

 

 

 

激痛により体を曲げるセイバー

しかしそんな暇もなく

無慈悲に大剣が目の前に迫る。

 

 

「ッ!?」

 

 

痛みを堪え剣で必死に受ける。

しかし勢いを殺しきれず自身の剣がバイザーにあたり割れる。

さらに

 

 

「…ふっ!」

 

 

込めた力が弱くそのまま大きく吹き飛ばされる。

シロエもそれを追っていく。

 

 

「シ、シロ…!」

 

「ダメ!イリヤスフィール!

シロエの指示を忘れたの!?」

 

 

そのシロエを追おうとしたイリヤを美遊が止める。

 

 

「でもあんな敵相手じゃシロが…シロが…」

 

「…」

 

 

美遊は何も言えなかった。

敵の強さが美遊の想像を遥かに越えていたからだ。

あの敵を一人で相手にして無事で済むと無責任に言うことはできなかった。

美遊が黙っていると

 

 

「…二人を移動させましょう。イリヤさん」

 

 

ルビーがその沈黙を破った。

 

 

「ル、ルビー。でも…」

 

「わかっています。イリヤさんの言うことも一理あります。

シロさんの実力が不透明な以上どうなるかはわかりませんが

確かなことはアレは今までの敵の中でも最強の敵だということです」

 

「最強…」

 

 

ルビーの言葉に更に不安になるイリヤ

 

 

「ですからここは間を取りましょう」

 

「間?」

 

「はい。脱出はせず、お二人を安全な場所に隠した後シロさんの援護に向かいます。

これならそこまで時間はかからないはずです」

 

 

シロエのことが心配ではあるが目の前で倒れている凛とルヴィアも放っておくわけにはいかない。

 

 

「…うん。それでいこう」

 

「美遊さんもそれでいいですね?」

 

「…うん」

 

 

イリヤと美遊はルビーの案を受け入れた。

 

 

……

………

 

 

ギイィン!

 

 

剣と剣が打ち合う音が響く。

戦場は橋の上へと移動していた。

無論剣を振るっているのはシロエとセイバーである。

シロエとセイバーは互いに浅く小さな切り傷をあちこちに負っていた。

普通ならセイバーに深手を負わせたシロエが優勢になるはずである。

しかし意外にも戦況は互角であった。

原因は

 

 

(くっ!わかってたけど、やっぱりこの体じゃリーチもパワーも違いすぎる!)

 

 

体の違いである。

シロエは転生前は白熊だったのだ。

シトナイの援護の下、熊であることを生かした圧倒的なパワーで敵を切り裂き噛み千切る。

それがシロエの戦いなれたスタイルである。

しかし今ではそれが出来ない。

シトナイの戦い方を模倣することである程度はカバー出来ているが

それでも限界はある。

その上

 

 

「ッ!くうっ!?」

 

 

かわしきれなかったセイバーの剣がシロエをかすめ、またしても切り傷が増える。

 

 

(勘が鈍ってる…!10年ちょいも戦いから離れていれば当然だけど…)

 

 

そう。確かにかつてはシトナイの使い魔として戦場を駆けていた。

そして猟犬の野生の勘を磨き数多の敵と戦ってきた。

しかしそれは10年以上前の話であり

今では普通の女の子として平和な日常を送っていた。

そのため磨かれた野生の勘はすっかり衰えてしまっていた。

 

それらの要因が重なりシロエは攻めきれないでいた。

相手は深手を負っているというのに…!

シロエは歯噛みしていた。

 

 

ガッキイィィィン!!

 

 

もう何度目かもわからないつばぜり合い

その時だった。

 

 

「シロ!!」

 

 

ここにいてはならないはずの声が聞こえたのは

動揺するシロエの隙をつきセイバーがつばぜり合いを制しシロエをはね飛ばす。

すかさず追撃しようとするセイバー

 

 

「くっ、そぉ!!」

 

 

シロエは悪態をつきながら地面に手をつく。

するとシロエを始点として氷柱が地面より次々と発生しセイバーへと殺到する。

セイバーは鬱陶しそうに氷柱を破壊していく。

 

 

「どうしてここにいるの?…お姉ちゃん、ミユさん」

 

 

そこでようやく時間が取れたとばかりに

声の主であるイリヤと美遊に話しかける。

 

 

「脱出しろって言ったよね?わたし」

 

「シロ…」

 

「まあそう言わないでください。シロさん」

 

「ルビー…」

 

 

ルビーの指示か、と覚ったシロエはルビーを見る。

 

 

「見たところ、かなりギリギリであるように見受けられましたが?

援護が必要なのでは?」

 

「それは…」

 

 

実際ジリ貧であったためシロエは何も言えなくなる。

 

 

「シロエ、相手は強敵。あなた一人では私達が脱出して再び迎えに来るまであなたがもたない」

 

「…」

 

「シロ…。お願い」

 

 

美遊とイリヤもシロエが黙ったのを見て言い募る。

 

 

「…リンさんとルヴィアさんは?」

 

「お二人は応急処置をした後、ここより少し離れた場所に移動させました。巻き込まれる心配はないかと」

 

 

シロエの問いにサファイアが答える。

 

 

「…わたしが前衛を張るから二人はタイミングを見て魔力砲を打ち込んで

霧で届かないだろうけど目眩ましにはなるから」

 

「シロ!それじゃあ…!」

 

「ここまで来ちゃったからね。今さら帰れとは言えないでしょ」

 

 

シロエの言葉に顔を綻ばせるイリヤ

美遊もどこか安心した顔をしている。

しかし氷の破壊音が大きくなってきていた。

敵が近いのだ。

 

 

「とにかく今言った感じでお願い!ある程度余裕をくれたら後はどうにかするから!」

 

「うん!」

 

 

イリヤの返事と共に氷が破壊されセイバーが踏み込んできた。

それと同時にシロエは前へ、イリヤは右に、美遊は左へとそれぞれ移動する。

 

 

「たあっ!」

 

 

気合いと共に剣を横薙ぎに振るう。

セイバーはそれを受け流し剣を下から振り上げる。

シロエは地面を蹴り上へ跳びそれを避ける。

重力に従いシロエが上より降りてくる。

セイバーはそこを狙い剣を突き上げようと構える。

しかし

 

 

砲射(シュート)!!」

 

 

そこに美遊の魔力砲が飛ぶ。

無論、霧のせいでダメージはない。

しかし粉塵が巻き上がりシロエの姿を一瞬ではあるが見失う。

だがセイバーは構わず剣を突き上げる。

手応えは…なかった。

粉塵が晴れるが空中には誰もおらず

視線を前方に戻すとそこにシロエはいた。

弓に矢をつがえて

 

シロエは粉塵が巻き上がった瞬間、魔力で足場を形成

重力に逆らい方向転換を行い

剣をかわし地面に降りたのだ。

 

 

「はあっ!」

 

 

放たれる矢

魔力の霧を切り裂きセイバーへと向かう。

と同時に

 

 

「特大の──散弾!!」

 

 

イリヤが散弾を放ち再び粉塵が舞い矢を隠す。

これに対してセイバーは小賢しいと言わんばかりに魔力を放出

粉塵と矢を同時に吹き飛ばす。

しかし再びシロエを見失う。

不意打ちとはいえ自身に深手を与えた相手

最優先で探す。

 

 

「…ようやく、捕まえた」

 

 

足下に違和感

セイバーが足下を見る。

するとそこには

自身を中心として魔法陣が描かれ

そして自身の足は氷付けになっていた。

 

 

「い、いつの間に…」

 

「あちこち動き回ってたのはこのため…?」

 

 

セイバーだけではなく仲間であるイリヤと美遊も驚く。

当然である。

最低限の指示だけで具体的に何をやるのかまでは聞いていなかったからだ。

 

シロエが再び上空へと飛び両手を上へと向ける。

するとそこに最初に放った氷塊が生成される。

しかしその氷塊は次第に大きくなっていき…

 

 

「で、でかっ!!?」

 

「…まだ大きく、なって」

 

 

その大きさは直径10メートル程にまで膨れ上がる。

 

 

「お姉ちゃん!ミユさん!離れて!!」

 

 

言われるまでもない。

イリヤと美遊は急いでセイバーとシロエから離れる。

それを確認したシロエは

両手を振り下ろした。

落ちてくる氷塊はセイバーを守る魔力の霧ごと

その大質量で押し潰し

周囲は冷気の嵐が吹き荒れる。

そしてこの惨状を産み出したシロエは地面へと降り立った。

 

 

「…や、やった…の?」

 

「…すごい。これがシロエの力」

 

 

シロエの放った魔術の威力に感嘆の声を挙げる二人

あれを拘束された状態でくらった以上

セイバーはなすすべなく氷塊に押し潰されたであろうと

しかしその考えに反し氷塊が粉々に砕かれる。

 

 

「…ッ!」

 

「なっ何!?」

 

「まさか…!?」

 

 

そして中から現れるのは

頭から血を流し真っ二つになっていた甲冑は衝撃で消し飛び体の至るところに氷がついているセイバーの姿

しかしそんなセイバーのボロボロな姿は気にならず

目を引くものは手に持つ漆黒の聖剣

魔力を極限まで込められたそれは

黒い極光を放ちながら巨大化していた。

圧倒的な威圧感を放つそれを

セイバーは今にも解き放とうとしている。

 

目の前のこれ以上ないほどの危機に

イリヤと美遊は目を見開き動けない。

しかし

 

 

「…ッ!!!」

 

 

シロエはこの事態を予想していたのか動き始める。

といっても残された時間は少ない。

地面に左手を叩きつける。

シロエの出来たことは

 

 

「…えっ!?」

 

「なっ!?」

 

 

離れているイリヤと美遊の前に氷の障壁を張ることくらいであった。

 

 

「シロ!?わたしよりも自分を」

 

 

そんなイリヤの叫びは最後まで言えず

 

 

約束された勝利の剣(エクスカリバー)

 

 

黒い極光の暴力が解き放たれ

一同を襲い

地形を変え

鏡面界を両断した。

 

そして黒い極光が治まり

直撃しなかったからか、それともシロエの張った障壁のお陰か

奇跡的に怪我一つなかったイリヤと美遊

しかし

 

 

「…シロ?シローーーッ!!」

 

 

自分達を庇ってくれた妹の姿はどこにもなく

シロエの張った氷の障壁が

 

 

パリン

 

 

と割れた。

まるで主の存在がなくなったかのように

 

 

「あ、あぁぁぁ…」

 

 

希望は絶たれ

かつてない絶望に触れ

かちり、と───

イリヤの中で何かが外れる音がした。

 

 

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