Fate/grand order 絶唱魔性戦記シンフォギア   作:ぼけなす

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—————待たせたな


第九話 逃げるんだよぉ!!な件

ーーーー

 

 

 立花響は走る。親友が、小日向未来のいる街が、ノイズに襲われている。

 

 このままでは私の陽だまりが奪われる。失ってしまう。ならば、彼女が真っ先に向かうのが道理である。

 

 響は必死に走り、未来の元へ向かう。そんな中、灰の塊がチラホラ、街に置かれていた。ノイズの被害に遭われた人達は、遺体を残さない。その中に、未来も……と嫌な考えを振り払い、走り出す。

 

 すると、誰かの叫び声が聞こえる。「ぬぉー!!」「いやー!」という必死さで、逃げる男と女の人の声だ。

 

 響はその人達のことを知っている。そしてその視界に彼と彼女が写った。

 

「空太郎さん! 未来!」

 

 生きてた! 生きてた! 無事だった!

 

 まだ私の陽だまりと頼れる人がまだ生きている!

 

 その嬉しさに笑顔が溢れる。

 

「響ちゃん!」

「はい!」

「後はよろしくぅ!!」

「はい?」

 

 と、そう言った空太郎達の後ろ。オバチャンを背負って逃げてる彼らの背後には、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

——————虫のように、軍団のノイズ達が、追ってきていた

 

 

 これには響さんは同じように背を向けた。

 

「ちょ、なんで逃げてんだよ【シンフォギア】! 正義の味方だろ、人類の味方だろう? なんで一緒に逃げてんだよ!?」

「さすがにアレは無理ぃ!! 翼さんと奏さんも連れていかないと対応できないレベルです!」

「情けない! おとうさん、そんな子に育てた覚えはありませんわよ!」

「パパじゃないでしょ、あなたは! というか、その話題は二度としないで、ぶん殴りますよ……?」

「あ。すみません。なんか地雷踏んじゃったっぽい」

「響の前では父親のワードはNGですよ」

「そうみたいだねぇい……。よし、ならお乳のワードで誤魔化すわ!!」

「いっぺん死んでみる?」

「冗談っスよ、未来様。だから、その目はやめて。メアリーが、胸の話になったときしていた目に似てるんで、やめてくださいお願いしやがります」

 

 平然と地雷を踏み抜く空太郎。そこに痺れはしないし、憧れはしない。むしろ、この主人公は全世界のひんぬーに対して、ナチュラルに喧嘩を売っている。本人は自覚してないが。

 

「というか、なんで逃げてるんですか空太郎さん! 先ほどのカッコ良く決めて、オルタちゃんに指示していたじゃないですか!!」

「なんか無理でした! モースが少々なら、なんとかできたけど、この数のノイズが来たら逃げなきゃいけませんでした!」

「オルタちゃん残して逃げてもいいですか!」

「大丈夫! サーヴァントはノイズごときで遅れはとらない! むしろ、あっという間にさ! けどね……」

「けどね?」

「……一人だけの殲滅戦士が、こう複数人を守って戦うのは無理じゃないかなー」

「ですよねー」

「余裕ですね!? 未来も空太郎さんも!」

 

 HAHAHA!と笑う空太郎と未来こ二人に、響がツッコむ。響自身も歌って【シンフォギア】へ変身がしたいが、走りながらだと息が切れるし、何より立ち止まる余裕もない。

 

「ごめんねぇ。あたしが足を引っ張って」

「オバチャンのせいじゃないよ! 空太郎さんが情けないのが悪いから!」

「……あれ、これ俺ディスられてる?」

「そうよねぇ。漢なら、戦えっていつも旦那に言ってるし。空太郎の坊ちゃんが戦っていたらねぇ」

「いやいや、無理だし。てか、いくらノイズが効かない体質でも、尖った腕や鋭利な刃物の腕とかで斬られたら、終わりだからね?」

「あ。旦那さんいたんですね。あまり見かけないので」

「プロレスラーだからねぇ。あっちもスゴイよ」

「何、夜の女子トークしてんだよ! てか、響さんや。この人にもなんか言えよ!!」

「私、気になります!」

「氷菓してんじゃねぇよ!?」

 

 まさかのボケる。響も空太郎の扱い方をわかってきたようだ。

 

 

『おめでとう! キミィはオニイチャンを弄る側になったのだ!』(by藤丸立香より)

 

 

「うれしくねーよ!!」

「何言ってるんですか?」

「いや……なんか、変な電波が……。疲れてるのかな」

「現在進行形で疲れてますからねー。というか、体力的にキツいのですが」

「クソッ。それを聞いたら、もうダメもとでやるしかない!!」

 

 空太郎は覚悟を決めた。ある意味、博打だ。なんも根拠もない、ただの可能性としての話だ。

 

(魔人さんが来た。カルデアと繋がっている。なら……!)

 

 空太郎はオバチャンを下ろしてに、ノイズの群れへ向かっていく。距離は三十メートルにて、彼は駆け出した。

 

「空太郎さん!?」と響と未来の声を振り切り、彼は深く息を吐いた。

 

 

——————思えば、いつだってギリギリだった

 

 

 いくら他のマスターやサーヴァントが優秀で強くても、いつも追い込まれていた。

 

 相手が強くて。

 圧倒的で。

 どうしようなくて。

 いつも危険でいっぱい。

 

 けれど、そんなときであっても———前へ、前へ進むことだけはやめない。諦めない。

 

 託されたものが多く、その想いを受け取って、彼は前へ進む。

 

「バトンタッチ……だろ? なぁ、ドクター!!」

 

 もういない頼れる人。心を支えてくれた臆病で弱虫と自分を蔑んでいた心優しき青年を想い———告げる。

 

 

()に銀と鉄。 ()に石と契約の大公。 降り立つ風には壁を。 四方(しほう)の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路(さんさろ)は循環せよ」

 

 空太郎は左手をかざす。その甲には、赤く模様(令呪)

 

閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)。繰り返すつどに五度。ただ、満たされる(とき)を破却する」

 

 詠唱を唱え、彼が喚びだすのは歴戦の戦士達。

 

「告げる。(なんじ)の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、人理の轍(じんりのてつ)に従うならば応えよ」

 

 光輝く甲に刻まれし、令呪。陣と共に、人影が現れる。

 

「汝、星見の言霊を纏う七天。降し、降し、裁きたまえ、天秤の守り手よ!」

 

 最後の詠唱と共に、ノイズは20メートル先。そして、

 

 

 

「サーヴァント……ライダー。マンドりが、ベブッ!?

 

 

 

 

 

——————現れた開幕と同時に、ノイズの(アイロンハンド)に秒で殴られた

 

「マァァァイフレンンンンン!?」

 

 これにはマスターも衝撃。だってカッコ良く決めたのに、開幕で倒れてしまった切り札さんだもん。

 

「……すんません。なんか、宇宙人みたいなヤツに殴られて、ショックでもう立てませんッス。……宇宙人ってパンチで来るんだ。爪じゃないのか……ガクッ」

「おのれ、ノイズ! マイフレンドをよくも!」

 

 怒る空太郎。戸惑うノイズ。「え、これオレのせい?」「どうしよ、これ」と言った感じでノイズ達は止まってしまった。

 

 感情がないとされていたノイズの初体験な感覚であった。

 

「え、これ大丈夫なの?」

「たぶん……ってノイズがまた動き出した!」

 

 ノイズは「もういいや、行っちゃえ!!」と、進み出した。残り十メートル。迫る脅威に、響は聖唱を唱えようとしたとき、

 

 

 

 

「———標的確認、方位角固定……!  不毀の極槍(ドゥリンダナ・ピルム)! 吹き飛べやぁ!!」

 

 

 

 トロイアの守護者の一条の宝具がノイズ達を吹き飛ばした。ミサイルのような一撃で群がっていたノイズ達の大半は一掃され、三十体ほど残った。

 

「いやぁ、まさかオジサンと一緒に招ばれたのを囮するなんて、大胆だねマスター」

「囮のつもりなんてなかっただけどね、ヘクトール。マジでマンドリカルドに申し訳ないことしたわ……。まさか、召喚先がノイズ眼前って、めっちゃ反省ですわ……」

「……いえ、マスターの役目立ててなりよりッス。俺、こんなことでしか、たぶん活躍できないんで」

「いやいや! 自信もって!? マンドリカルドはアトランティスでも活躍してたから!」

「それはちがうマンドリガルッス、マスター……」

 

 現れたのはシャルルマーニュ伝説のマンドリカルドと輝く兜のヘクトール。どちらも()()()()()()に関係する英霊達である。

 

 マンドリカルドはショックから立ち直り、ヘクトールと並んで武器を構える。

 

「そんじゃ、がんばりますか後輩。オジサンも歳だからあまり動けないけど、がんばっていこうか」

「大先輩に言われたとなったら、自分もやらなきゃいけないッスね。てか、多いッスね、向こうの数!!」

「奴さん雑魚だから平気だぞ、マイフレンド。それと」

 

 五体ほど迫るノイズ。それを響がガングニールを纏い、拳で吹き飛ばした。

 

「私も戦います!!」

「おっ。活きがいいね、お嬢ちゃん。可愛い子と一緒に戦えてテンション高くなるんじゃない? 後輩」

「いえ、なんかこの人、絶対クラスで明るいタイプッス。めちゃくちゃ、自分が苦手タイプッス」

「大丈夫! 話し合えたらわかるよ!」

「ほら、ヘクトール先輩。もうこんなこと言ってるッスよ。陰キャラの俺には荷が重い……」

 

 マンドリカルドが苦手な陽キャラタイプ。響のような明るく前向きなタイプは、相手のことを思って暗い自分なんかと関わらないようにするのが、マンドリガルである。

 

「まあ、俺はこの戦いまでっぽいから後は頼むわー」

「え」

 

 なお、ヘクトールが最後にそう言ってから、戦闘が始まってしまった。




予定ではカッコ良く決めるつもりでしたが、思い付いたら最後……こうなった。
ごめんね、マイフレンド。君のこと嫌いじゃないし、むしろ好きだから。ただヘクトールおじさんも出したかったから。

なお、次回はギャグ。空太郎達の前に、世にも恐ろしい創作の恐怖が襲う……!(嘘)
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