Fate/grand order 絶唱魔性戦記シンフォギア   作:ぼけなす

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——————AUOキレてる?
——————キレてないぞ。…………あとで請求するがな


第二十話 テンプレとはぶち壊すべし

ーーーー

 

 周りがパニックになる中で、ステージに立つマリアなんちゃらさんが、「狼狽えるな……狼狽えるなッ!!」とマイクで宣言する。

 

「会場のオーディエンス諸君を解放するッ!ノイズに手出しはさせない。速やかにお引取り願おうかッ!」

 

 おぉー、カッコいいー。まさか、人質をあっかり解放する辺り、もしかして用があるのは翼さんかにゃー?

 

 と、思っていたら、続けて彼女は言った。

 

「ここに残るのは、風鳴翼。そして、狐の面をつけた男のみ! それ以外はご退場してもらおう」

 

 んんー?? 狐の面って確か。

 

 

「藤丸空太郎……お前だ!!」

 

 まさかのお兄ちゃんご指名!?

 

 そして行われるのは女王と下僕の危ないゲーム!? ヤバっ、薄い本が分厚くなるぅ!!

 

「アホなこと考えてないで、避難するよー、立香さん」

「未来ちゃんきびしー。でもでもですね、私は残らなきゃならんのです」

「どうして?」

「マ(・)ス(・)タ(・)ー(・)だから」

 

 そうだ。こうなったら、私も戦うことになる。

 

——————最短で最速に、効率よく終わらせるには、やっぱり翼さんごとやるべきかにゃー?

 

 とヤッベェいこと考えていたら、狐の面をつけたお兄ちゃんがステージに上がってきた。遠目だが、私にハンドサインを見せつける。

 

『待て』? んー、それなら仕方ないのかな?

 

「ではではお手並み拝見というわけで、どうですか? 英雄王」

「……よかろう。我(おれ)のステージをぶち壊しただけに見合う道化を、我(おれ)に魅せてみろ」

 

 ステージ台無しにされて、青筋立てて、ニコニコ顔のギルガメッシュ王がそう言いながら、私の隣に座る。んー、これは後から怖い方。

 

 どんまい! 武装組織のみなさん!

 

「とりあえず、ポップコーンいる?」

「フライドポテトを寄越せ」

「りょ。コンソメ?」

「戯け。王道の塩であろう」

 

 という感じで観戦していまーす。

 

ーーーー

 

 

 姿を見せた藤丸空太郎……。私達の恩人であり、最も警戒すべき天敵だ。

 

 セレナの言う通り、騒ぎを起こせば、止めにくる。それも名前指定もすればなおさら乗ってくる。

 

 これ以上の被害や犠牲を出さないために、彼は戦うのだろう。

 

 そんな彼が私へ一言。

 

「ヘイよー、カルデアックス」

 

…………??

 

「ヘイよー、カルデアックス」

「えっと……へ、ヘイよー?」

「おっ。乗ってくれた。意外に優しいねー、荷電粒子砲さん」

「マリアよ。マリア・カデンツァヴナ・イヴよ!」

「え、違うの? フィーネのご親族なら、荷電粒子砲が擬人化したものかと」

「してないわよ!!」

「んじゃ、メリークリスマスさん」

「どこにサンタ要素があるの!?」

「イヴ」

「その一言だけじゃない!!」

 

 怒涛にボケてくる彼へツッコむ私。なんか思ってたのに違う!

 

「んで、パイオツデカイさん。なんでわっちを残したザンスか」

「いろいろツッコミたいけど、その名前はやめて。最低よ」

「そうだ。反省しろ」

「まさかの味方からの反撃。もしや、己のひんぬー」

「それ以上喋れば斬る」

「じょーだんだって、ハッハッハッ、怖いなぁー」

 

 風鳴翼に睨まれてながら、軽口を喋り、手をあげて降参サインを見せる。手をパ(・)ー(・)の形にして。

 

「……ま。話を戻すけど、なんのためにこんなことを?」

「それは先ほどの言葉通り」

「国(・)が(・)ほ(・)し(・)い(・)っ(・)て(・)嘘(・)は(・)も(・)う(・)い(・)ら(・)な(・)い(・)ぞ(・)、アイドル大統領」

「あら、なんで嘘だと思うのかしら?」

「国を手に入れるにしちゃ、どうも釈然しないんだよ」

 

 彼は言う。

 

「自分の国を手に入れるなんて、あくまで手段だ。その国でどうしたいかなんて、ちゃんとした目的があるはずだ。戦場にしたい、支配の拠点にしたい、あるいは世界平和の一歩のためにとか、大そうな理由と目的があるはずだ」

 

 それがおかしいと彼は言う。

 

「なのに、あなたはた(・)だ(・)国(・)の(・)土(・)地(・)だ(・)け(・)を(・)求(・)め(・)た(・)。しっかりとした目的とか言うことなく、ただ国の土地を寄越せと各国に要求した。それが、なんか釈然としない」

「……それで?」

「まあ、俺が、何が言いたいのかというと——————本当の目的を隠している。その目的は各国に知られたくないものでな」

 

……鋭い。確かにセレナの言う通り、彼は侮れない。

 

 多くの修羅場、多くの実戦より培われてきた経験が彼の観察力を強くし、推理を可能にしている。

 

 なるほど、確かにこれは天敵だ。ゆえに……。

 

「それで? 私達は私達の目的を言わない理由がわかった。だから、あなたはどうしたいの?」

「どうもしないさ」

 

 肩を竦める空太郎。

 

「今(・)の(・)俺がどうこうしたところで止められる感じじゃないし、何より今は全国中継だしな。こんなとこで俺の仲間を見せられるか」

「あら、仲間想いなのね」

「いや、単に全国レベルで恥部を見せたくないだけ」

「……貴方の仲間ってそんなに変なの?」

「さっきの乱入してきた金髪少女ことネロちゃまがいただろ? あれより酷いトラブル起こすけど」

「うん、大変ね」

 

 ゲンナリとした声で言う空太郎。仮面の奥で目が死んでるように見えた。……何者なの、彼の仲間は。

 

「というわけで、どうしようかね。翼さんや」

「そこは空太郎がどうにかすることでしょう」

「いやいや。俺なんかただの一般人ですよ? 戦える力ないのに、あのアイドル大統領とどう戦えと?」

「アイドル大統領と戦うには歌で挑めばよい。ゆえに歌え。it's song time」

「語呂良く言うなし。DOMANみたいに語呂良く言うなし。ほら、ジャンケンで決めるぞ。最初はグー」

「私をスルーして軽口しないでくれないかしら?」

 

 こんな状況で軽口を叩けるなんて。なんて、呑気な——————

 

 

『姉さん! 北東から弓矢!!』

 

 セレナの通信と共に、私はガングニーグの槍でその弓矢を弾いた。その弓矢が爆発した!

 

 地面滑走させながら、弓矢を打ってきた男を見た。赤い外装を着込んだ浅黒い男だ。

 

 まさか、今のは……!

 

「ちぇ、今の当たればしばらく無力化できたのに」

 

 と言って狐の面を外し、

 

「……だがおかげで全国中継はなくなった。これで戦える」

 

 と言って、シンフォギアへ変身する風鳴翼。

 

「ま、ちょうどいいじゃねぇか。いい感じのスタートだぜ?」

 

 と言って、シンフォギア姿の天羽奏が現れた。

 

 やられた! 手を上げたときの『パー』。そしてジャンケンで見せた『グー』。

 

 パーは【待て】。グーは【攻撃】。

 

 これはジ(・)ャ(・)ン(・)ケ(・)ン(・)のハ(・)ン(・)ド(・)サ(・)イ(・)ン(・)だ!!

 

「やってくれるわね!」

 

 シンフォギアを纏った風鳴翼がこちらへ斬りかかり、槍で突撃してくる天羽奏。

 

 応戦するも、マントを使ってなんとか捌いてる状況。クッ、実戦経験はあっちが上か!

 

「ンンンン! これは拙僧もやらなければなりませんかな!! ではでは、ここは一つガンドで」

「そうはさせない」

「……まさかの仲間がいた件。しかも無口系ロリだと!?」

「グーパン」

「あうち!!」

 

 私の家族、月詠調が空太郎の妨害を阻止してくれた。でも、その言葉が気に入らないのか、調に腹パンされて悶絶していた。

 

 バカなのこの人。

 

「とりあえず、この人を」

「そうはさせんよ」

「ッ!」

 

 すると今度は、赤い外装の男が調へ二つの双剣を振るう。調は咄嗟に空太郎から離れてしまう。

 

「あー、助かった。エミヤ」

「これに懲りたら、身体的特徴で人を弄るのはやめたまえ」

「だが断る。これをしなければボケれないから」

「なぜ、ボケる。そんな無意味なことを」

「……いや、こうしないとあの人らがボケてくるから。普通のボケがトラブル前提で来るときあるから」

「……そうか。まあ、その……がんばれ」

「うん……」

 

 なんか空太郎から悲壮感が漂う。え、ボケなきゃ、トラブルメーカーがボケてくるってこと?

 

 何その変な理屈。

 

「とりあえず、さっさと離脱するぞー。そろそろビッキーもとい響ちゃん達が来るし」

「無論だ。どうも先ほどから嫌な感じがしてならない」

 

 逃げるつもりね。でも、残念。貴方は逃げられないわ。だって、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まあまあ、せっかくのお祭りですから、ゆっくりして行ってくださいよ」

 

 

 

 私の妹が、赤い外装の男を吹き飛ばすのだから。

 

 飛ばされた男は壁へ叩きつけられる。

 

「く、ハッ」

「エミヤ!」

「手加減してますから安心してください」

「……やっぱ洒落にならないもん、纏ってるじゃんか」

「わかります?」

「ああ。嫌なほどな。……アルトリアがいたら目を丸くするだろうな」

 

 セレナのギア。それはかつてのものとは違い、新しく見出された伝説の代物。

 

 

「エクスカリバーとか反則だろ」

 

 アーサー王が使う王の剣だ。

 

「星の内海から生まれたこの剣のことをよくご存知で」

「アルトリアってのがいてな。一応、女性版アーサー王なんだよ。まさか、セレナがそのアーサー王みたいな感じになるとはな」

 

 鎧を着たピッチリドレス。まさにセレナの格好のことを空太郎は言う。

 

「さあ、どうします? このままだと負けますよ?」

「ハハ、甘いっての。だって、俺のサーヴァントはまだ戦えるぞー」

 

 エミヤと名乗る男がセレナへ、弓矢を射る。セレナは聖剣で払うと、空太郎はエミヤの方へ向かっていく。

 

 そうはさせまいとセレナが駆け出す。彼女の今の脚力ならば、空太郎を捕らえることなど造作もない。

 

 しかし、突如、セレナが立ち止まり、聖剣で受け止めた。これは……!?

 

「ナイス、アルトリア!」

「私と同じ聖剣ですか。これは訴訟問題ですね!」

「そうじゃないでしょ」

 

 ツッコミながら、空太郎は安全圏へ移動していた。まさか、アーサー王本人が出てくるなんて、やはり空太郎は侮れない。

 

「マスター。立香の方は?」

「ダメだエミヤ。アイツは、今回は期待できない。英雄王と一緒に傍観を楽しむつもりだ。その証拠にお酒とフライドポテトとポップコーンを用意してやがる。この戦いをギルガメッシュ王の肴にするために」

「つまり、私達は道化か。かの英雄王には困ったものだ」

「いつものことだろ。てか、あの人がむしろ後処理してるじゃん。ノイズ災害とサーヴァントが起こすトラブルによる決算書類とか処理と指示出してるんだから」

「……訂正しよう。うちのカルデアは困ったものだ」

「全くです」

 

 何やら大変そうね。というか、その英雄王さん。なんか赤い髪の大男と一緒にお酒を飲んでいるのだけど。

 

「つーか、飲み会してんじゃねぇよ!!」と空太郎が観客席へツッコむと「違うな。これは、聖杯問答の続きである。王の問答の続きなのだ!!」と大男が返してきた。

 

 何それ、こわい。

 

「マスター! 私もあれに参加してきていいですか! 今度はまともな答えで返してみせます!」

「いや、あんたはセレナと戦えよ!! エミヤが死ぬって!」

「……フッ。心外だなマスター。こう見えても、私は、足止めが得意な方だ。……別にあれを倒してしまっても構わんだろう?」

「いや、ナチュラルにフラグ建てるなよ!? それでアンタが死んでたの、シトナイから聞いてるから!?」

 

 ッ! 今よ!!

 

「切歌!」

「デェェェス!!」

 

 私の指示で動いた切歌が空太郎を背後から後ろ襟首捕まえ、そのまま持ち去る!!

 

「このまま逃げ切るデス!」

「まさかの置き引き。そしてなかなかの発展途上なパイ。うむうむ、将来有望ですなー」

「マリアー! この変態さん、捨ててきていいデスか!? 気持ち悪いです!」

「演技だから騙されないで! 内心、焦ってるから!」

「チッ、バレてるか」

「嘘ついたのデスか! 嘘つきさん!」

「当たり前でしょ。こちとら、なんか攫われるか否かの瀬戸際なんだし。あれでしょ、攫って酷いことするんでしょ? エロ同人みたいに、エロ同人みたいに」

「えろ、どうじん? なんデスか、それ」

「ごめん、忘れて」

「あとで調に聞くデス!」

「俺が悪かったから許してぇ……はずかしい」

 

 切歌の純粋な疑問に顔を、手で覆う空太郎。……心が荒んでるって自覚しちゃうからね、あれ。

 

 黒い感情が浄化されそうね。

 

 そうこうしている間に、風鳴翼が距離をとり、上を見上げる。聖唱が聞こえる……もう来たのか。

 

 ヘリから、スカイダイビングしてくる二人の装者達。そのうちの一人である雪音クリスが一斉掃射の砲口を向けて…………って!

 

「味方ごと打つつもり!?」

「フッ、私達は装者。あの程度の攻撃など避けることなど」

「まあな、こんなの楽勝、楽勝」

「いえ、空太郎は、今、切歌が運んでるんだけど」

「「……あ」」

 

 今、気づいたと言わんばかりに、声をあげたツヴァイウィング。

 

「雪音! ちょ……」

「土砂降りなッ! 10億連発ッ!」

「「待ってェェェェ!?」」

 

 風鳴翼と天羽奏のシャウト共に、雪音クリスによる無差別放射。

 

 発射されるミサイルとエネルギー弾の雨。私、風鳴翼、天羽奏はもちろんのこと回避し、セレナとアルトリアと名乗る少女は避けながら剣戟を繰り返している。

 

……被害にあったのは。

 

「あぶない」

「なんでさァァァァァ!?」

 

 と、避ける調となぜかミサイルの量が多く向かうエミヤ。それと、

 

「身代わりの術デェス」

「イタタタタタ! おのれ、デス子ォォォォォ!?」

 

 空太郎を傘にしながら逃げる切歌である。空太郎は運良く当たっていないが、飛んでくる小石が顔や身体に当たって、普通に痛そう。

 

 スタッと降り立つ雪音クリスはいい汗かいたと言わんばかりに、

 

「よし、お掃除完了だZE⭐︎」

「いや、これお掃除じゃなくて絨毯爆撃だよね!?」

 

 ツッコむ響である。

 

「うるせーな。とりあえず、敵を分断できたから結果オーライだろ」

「いやいやいや、よく見て! エミヤさんが被害あってヤムチャになってるし、空太郎さんもなんが石とか当たってめちゃくちゃ涙目でクリスちゃん見てるよ!?」

「大丈夫。空太郎の生命力と頑丈さは台所に潜むテラフォーマ並みだ。あの程度、すぐ治る」

「大丈夫じゃないよ!? 『いたいデス。もうヤダデス』って言ってるし!」

「平気だって。何回も腹パン受けても、次の瞬間、ケロッとしてるし。エミヤに関しては、仕方ない。女誑しが腹立つから無意識へ向かってたんだろ」

「それってワザとだよね!? でも確かに腹立つよね! なんかうちの学校の生徒がエミヤさんにほの字になってる人が多いからね!」

「だろ。だから、仕方ないんだ。女の敵だから」

 

「……俺、そんなことしてないのに」と涙を流しながら、倒れてるエミヤ。……なんか哀れね。優しくしてたら、なんか女の子に意識されて、周りから女の敵と認識されてるのかしら?

 

 そんな気がするわ。でも、

 

「……貴女達って本当に仲間なの? 一応、一人倒れてるのだけど」

「「大丈夫、いつものことだから」」

「どういう組織なのカルデアと貴女の組織!?」

「……カデンツァヴナ。考えるな。考えたら、キリがないぞ」

「まあな……付き合ってたら、ヤベェぞ。あれ」

 

 なぜか敵である風鳴翼と天羽奏に諭される。もういいや、考えたらなんか頭悪くなりそう。

 

 何はともあれ、状況は振り出しだ。唯一のアドバンテージは藤丸空太郎(涙目)を確保してることだ。

 

 観客席ではいつの間にか「フハハハハ! 愉快だ、愉快だ!」、「朕もこれは、ブフフフハハハハ!」と爆笑する青年二人が参加している。

 

 なんか、増えてるし、お酒飲んでいるし!

 

 赤髪の大男も「フム、なかなか良いサカナだな、ブフッ」、「フハハハハ、フハ、フヒ、フハハハハ!!」と爆笑するCEOのギルガメッシュ。

 

 藤丸立香もなんかビデオカメラ構えて、サムアップして笑ってるし。

 

 何これ。シュールなんだけど。てか、後でそのカメラ没収だから。

 

「さあ、仕切り直しよ!」

「……いや、観客席のアレ。どうするのだ?」

「仕切り直しよ」

「「あ、はい」」

 

 強引に戦いへ戻す私。でないとツッコミところが多すぎて、もう止まれないわよ!!

 

 すると、立花響が私達へ、

 

「あなた達は一体なにを……」

「正義では守れないものを守る為に」

「……こんなことをしてでも、どうして」

「わかるはずがない。わかってもらうつもりもない」

「ッ、けど!!」

「くどい」

 

 拒絶する調。それでも食らいつく立花響。

 

「そんな! 話せば分かり合えるよ! 戦う必要なんか……」

「偽善者……この世界にはあなたのような偽善者が多すぎる」

「ッ……」

 

 そのキツい一言で黙ってしまった。そう、彼女は何も知らない。この世界には、偽善を語る者が……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それの何が悪いの?」

 

 それを一蹴するものがいた。藤丸空太郎だ。

 

「偽善の何が悪いの?」

「口ばかりの善だから」

「口だけならね。でも彼女は行動しようともしてる。それのどこが悪いの?」

「ッ! どうせこの人も何もできやしない! 私達が助けてって言っても最後には見捨てる!!」

 

……かつて施設にいたときと同じように、調は空太郎へ激しく反論した。対して彼は平然としていた。

 

「んー、それは決めつけじゃね? 何も知らないのに、そう決めるのはただの偏見だし」

「あなたに何がわかるの!!」

「わからん。わからんけど、言えることは一つだけ——————救わない善より、救う偽善の方が立派だ」

「ッ、偽物なのに。なんでそんなことを」

「そこでぶっ倒れてるエミヤがそうだからだよ。偽物、偽物って言われても、たとえ偽物だとしてもその理想は美しいから最後まで駆け抜けた。まあ、だからね」

 

 空太郎が指差し、立ちあがろうとしているエミヤという男。彼のことは知らない。けど、

 

 

「俺は響ちゃんだけじゃなく、エミヤのことを偽(・)善(・)者(・)って言葉で片付けるなって言いたいの? そこんとこ、わかる?」

「ッ!」

 

 ただ、彼は怒ってるのがわかった。友達を悪く言われて、怒らない人はいない。

 

 ましてや、その大切であればあるほど、彼は怒ってるのだ。

 

 そんな彼に、やっと立ち上がったエミヤ。

 

「……マスター。その……ぬいぐるみみたいに抱えられて言える言葉かね?」

「エミヤ、言わないで。台無しだから」

 

 確かに。「デェス、デェス、デェェス♪」と某青狸の歌を歌いながらの切歌に抱えられて言った言葉なので、シュールに見える。残念過ぎるわね。

 

「はーはっはっは!!」

「何ヤツ!!」

 

 ディスプレイの上で笑う男に反応する空太郎。

 

 あ、すみません。その人、うちの知り合いです。

 

「あ、あなたは!」と立花響が叫んでいた。そういえば、最近会ったんだっけ?

 

「そう、僕こそが」

「キョン・ウェルシア・ウィルキンソン博士!!」

「そう、キョン……ってちがァァァァァう! 涼宮と、葡萄ジュースと、炭酸水を混ぜるな!!」

 

 あ。涼宮って知ってるんだこの人。わかるんだ。あの名作。

 

「僕の名前はジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス!! ウェル博士と紹介しただろう!」

「すみません。既にあまり印象がなくて。カルデア側が起こす事件の方がインパクトあり過ぎて」

「なおさら酷い! 一応、死んでるんだよ、僕!? それで生きてたって演出なのに!」

「知らねーよ。んで、葡萄ジュース炭酸割り。なんでここにいやがる」

「やめて。僕の名前をソフトドリンクみたいな言い方やめて!?」

 

 せっかくの登場シーンを塩対応で、台無しにしていく立花響と雪音クリス。なんか……カルデア側に毒されているような気がする。

 

「僕を甘く見るなよ! これを見ろ!」

「こっちを見ろ!」

「どういうことだよ!? 大根って言いたいのかテメェは!?」

 

 なぜか取り出した大根を見せるウェル博士と、雪音クリスの足を指差す立花響。大丈夫よ、まだ大根足じゃないわよ、雪音クリス。

 

「てか、オメェもオメェでなんで大根出してんだよ!?」

「あ、まちがえた。これはあとであの忌々しいサーヴァントへぶつけるためのものだった」

「大根ぶつけるほどのサーヴァントってなんだよ!」

「仕方ないだろ!? いっつもサボってジャンプ読み漁って、パフェばかり食べてる駄目サーヴァントだから!!」

 

……あー、そうね。私(・)達(・)の(・)サ(・)ー(・)ヴ(・)ァ(・)ン(・)ト(・)はなぜかサボり癖があるのよね。

 

 その点カルデア側はうらやま…………しくもないわね。聞いた感じだと、いっっっつもトラブル起こして巻き込まれているそうだし。

 

「ごほんっ。では、仕切り直して……これを見ろ!」

「ッ、ソロモンの杖か!!」

「そうさ! ノイズを喚び、操る聖遺物。ソロモンの杖さ!!」

 

 やっと目立ってうれしいのか、盛り上がるウェル博士。対して、

 

「何それ。はじめて聞いた」

「「「え」」」

 

 と空太郎の言葉で三人とも、彼へ振り返った。

 

「え、空太郎さん知らないの? 一応関係者だよね?」

「いやだって知らねーもん。それなんなの? ドクターロマニの杖なの?」

「ロマニって知らないけど、ノイズとか喚んでたアレですよ。ほら、フィーネさんが使ってた!」

「あー、あれか。あのオッパイから出してるビームの」

「全然違いますよ!? 出してないですよ!? てか、何気に最低な覚え方してるし!!」

「え、違うの? ごめん、マジで覚えてないわ。どっちかというと、クリスの下半球からのビームでノイズが出ていたのかと」

「いや、アタシも出してねーから!? ホントにどこ見てたんだよ!?」

「んー…………敵? 胸? おしり?」

「下劣過ぎるわ!!」

「だってさー、いっつも戦衣装がピッチリタイツだろ? なんか男からしたら目の保養に困らない痴女みたいな格好なんだしー」

「うわぁ……またこの人何気に私達の衣装、ディスってますよ……」

 

 さりげなくシンフォギアの衣装をディスる空太郎。エミヤに「そこんとこ、どうなのエロゲ主人公」と尋ねて、エミヤは「ノーコメントで……」と視線を逸らされた。

 

 ねぇ、これシリアスだよね? 戦いだよね?

 

「とりあえず、炭酸水。何しにきたの?」

「その呼び方するな! ウェル! ウ ェ ル 博 士!!」

「いや、どうでもいいし。とりあえずさっさと用事済ませろよ、キョンさん」

「うがー!! だから涼宮の方じゃないって言ってるでしょうがァァァァァ!!」

 

 と言いながら、ノイズを召喚。確か分裂タイプだ。私は彼の意図を察して、そのノイズを槍で吹き飛ばした。一見、倒したかのように見えるが実は違う。

 

 アメーバのように分裂して増えていくので、そのうち会場の外へ出てしまうのだ。

 

 分裂するノイズの対処に忙しなく動く装者達。そんな中で、脱出しようとする私達へ、天羽奏が空太郎を抱えている切歌へ、迫っていた。

 

「その変態は置いていけ!」

「変態は渡さないデェス!!」

「変態、変態ってひどくない? 自覚してるけどさー」

 

 などと、天羽奏が切歌を追いかけていくが、セレナが天羽奏へ聖剣を振りかざす。吹き飛ばされた天羽奏はもう一度、向かおうとするも足が崩れ、膝をついた。

 

 時間切れね。

 

「クソッ! 待て!」

「ごめんあそばせ。ではまたのご機会を」

 

 私達が会場の外へ出ていくと、一条の光の柱が立った。……ノイズは倒されたのね。

 

「相手は強いわね」

「でも敵わない相手でもないですよ」

「えぇ、さあ。早くマムところへ戻りましょう」

 

 私達の居場所へ。私達の母の元へ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誘拐された手前で言うけどいいかな? トイレって和式、洋式?」

「なぜにそこが気になるの?」

 

 誘拐されてるのに、彼は何事もないように変なことを私へ尋ねていた。この人、本当に世界を救ったマスターなの?




なお、AUOはご満悦だった模様(許すとは一言言ってない)
忘れされたウェル博士は前回からの伏線(ネタ)です。

だって濃いトラブルばかりだからね、ここのカルデア。
原作通りに物事が進んでるのでカットしてました(笑)

作者自身も忘れてないよ(目逸らし)

ちなみに、【フィーネ】側のサーヴァントはオリ鯖です。grand orderには出てこないですので、安心してください(笑)

マリアはあんなこと言ってますが、銀さんではないですよ?
銀さん的な行動してますが、シンフォギアならではのサーヴァントなので。

てか、銀さん来たら金時と酒呑童子、頼光ママンとか平安サーヴァントが強制召喚されちゃうって(汗)

次回は、誘拐された空太郎の選択とは?

なお、AUOはこのことを終わりにしてないので、楽しみしてくださいね【フィーネ】の皆さん(愉悦)
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