Fate/grand order 絶唱魔性戦記シンフォギア   作:ぼけなす

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——————共に戦う人は選ぶよ、まあ、でもその人が善人だったらいいよね


第二十一話 いつも通り

 

 

ーーーー

 

 空太郎を誘拐され、二課は騒然と……はならなかった。

 

 心配はされるも、空太郎が生きていることはわかっていた。

 

 藤丸立香、もといこの変態義妹が、生体反応がわかる機器を取り付けていた。……ついでに盗聴器も、らしいが、なんか()()()()()()

 

 おそらく、なんらかの拍子で壊されていたのだろう。そんな立香はというと、

 

「お兄ちゃんが誘拐されたー!!」

「いや、知ってるだろお前。見てたんだし」

 

 食堂で叫んでいた。

 

 立香を小突くアタシ。立香は焦るところか、「えへへ、愛だねー」と年頃の少女のように笑っていやがる。

 

 なんでだよ。

 

「身内が誘拐されて不安じゃねぇのかよ」

「不安は……ないなぁ。だって、お兄ちゃんだし」

「いや、理由に…………なってる、だと?」

 

 確かにそうだ。なんか、空太郎ならなんとかしそうだ。あのサーヴァント達のトラブルで、よく駆け回ってたし。

 

「ほらね。大丈夫だって。前の【人類筋肉補完計画】を実行しようとしていた秘密結社【プロテイン】の野望を二日で終わらせたんだし、問題ないでしょ!」

「……はじめて聞いたとき驚いたわ。マジであるんだな、秘密結社って」

 

 一週間前くらいにアレックスとマッスルサーヴァント達の協力のもと、秘密結社のボスと戦って勝ったらしい。なんでも、アレックスの筋肉によって、筋肉は地球を救うと勘違いしてことが動機で、全霊長類を筋肉ムキムキへ変える計画を立てていたそうだ。

 

 まあ、結局、未遂で終わり、アレックスによって肉体言語(筋肉)で説得されていたそうだが。

 

……なんか、そのとき映像で見ていた空太郎の目が死んでいたな。風鳴先輩も頭を押さえていたし、天羽先輩も「しっかりしろ! 筋肉に負けるな!!」って言ってたし。

 

 てか、あれ。風鳴先輩が洗脳されかけたってことなのか?

 

 オッサンもなんか混ざりたそうにウズウズしてたし、風鳴家はもうヤベェなオイ。

 

 筋肉に支配される日が近いのか?

 

「それにあの人達の目的はお兄ちゃんを連れていくことなんだと思うよ」

「なんでだよ」

「そこはわからないけど、まあ、お兄ちゃんがあのとき言ってた通り、彼女達の目的は各国のどれかにとって()()()()()ことが事実。んで、もう一つの目的はお兄ちゃんをなんで連れていったのかと言うと——————()()()()()()()()()()()からかな」

 

 空太郎が必要になること……。まさか。

 

「聖杯案件か!?」

 

 立香達が招かれた原因が何か関係あるのかと言えば、立香は首を横に振った。

 

「それは違うかな。それなら、私とか連れて行けばいいし、最悪アレックスを連れて行けばいい。けど、彼らはお兄ちゃんを選んだ。……つまり、お兄ちゃんだからこそ、できることがあるから選んだんだ」

 

 アイツにしかできないこと?

 

「なんだそりゃ。アイツはお前やアレックスと比べて強いわけでもねぇし、マスターとしても、サーヴァントを扱うことしか、取り柄がないじゃねぇか」

「…………()()()

 

 ビンゴと言わんばかりに、立香は立ち上がる。

 

「お兄ちゃんはこの中で、サーヴァントを扱う経験値が高い。魔術師や戦士よりも、マスターとしての実力が高い」

「つまり、あれか? 空太郎を狙ったのは、その実力を買ってということか?」

「たぶんね。んで、そのサーヴァントがなんなのか、まだわからない。けど、お兄ちゃんならばできそうって確信をもって攫ったんだと思う」

 

 だとしたら、どんなサーヴァントだ?

 

 この世界に喚ばれたサーヴァントはどれも空太郎達の世界から招かれたもの達ばかりだ。だから、空太郎に関係しているサーヴァントなのか?

 

「けどよ、どのみち空太郎がアイツらに協力することなんてあるのか?」

()()()

「断言するなぁ……根拠は?」

「あそこで、自分のせいだって感じで落ち込んでる響ちゃんから聞いたけど、黒髪ツインテールの子曰く、『正義では守れないものを守るため』って言ってたんだよ。……それってつまり、国では解決できない問題、あるいはもみ消してる問題をどうにかしたいってことだと思うよ」

「それがなんだってんだ」

「うん、クリスちゃんの言う通り、私達には関係ない。けどね、お兄ちゃんは別。お兄ちゃんは()()()()()()()()()()()()()()()。自分の手が届く範囲ならば、まずどう助けようか考えてしまうんだ。かつて、特異点を解決したときも、異聞帯でそこ人達の問題へ直面したときも、お兄ちゃんはまず助ける選択肢を選ぶ」

「どんなお人好し……ってのはおかしいか。アイツは助けれないヤツは助けない。だが、手を伸ばせる距離にいる相手に求められた。……だとしたら」

「うん、()()()()

 

 ()()()()()()()()()()()()()()。そんな可能性を彼女は言った。

 

 空太郎を相手は正直、未知数だ。かつて少しだけ相手したこともあったが、それはサーヴァントがいないときだけ。サーヴァントと共にいるアイツの力は、近くで見ただけでも、勝てるかどうかわからねぇ。

 

「私のせいだ……」

 

 それを聞いていたアイツは落ち込む。『偽善者』と言われ、ショックを受け、それを一蹴してくれたのに空太郎を助けられなかったことを後悔している。

 

 迷いがあった。

 

 戦いたくはなかった。

 

 手を伸ばせばきっと分かり合えると思ってたアイツにとって、『偽善者』と言葉に出されてショックだったのだろうか?

 

「響ちゃんのせいじゃないよ。お兄ちゃんはどのみち、誘拐されてなくても、あの人達の事情を聞いてから、行動してたと思うよ」

「だけど……私」

「あなたは敵であっても手を伸ばすよね? それはお兄ちゃんでもなかなかできないことだよ。敵対した相手をと分かり合えるのに時間をかけていたのがお兄ちゃん。けど、響ちゃんは敵であっても手を伸ばして、すぐにわかりあえちゃうんだ

 

 それが、響ちゃんの長所だよ。立香は穏やか笑みを浮かべて、アイツの両手を握る。

 

…………コイツってたまにわかんねぇんだよな。

 

 空太郎のことになると狂気的になったり、女の子だろうがセクハラしてくるし、英雄王とは愉悦で盛り上がったりと、本当にわからねぇ。

 

 けど、たった一つだけ言える。

 

 ()()()()()()()()って。普通に笑うし、普通に怒る。

 

 過去のコイツのことをまだ知らないが、空太郎曰く、()()だったと。

 

 それは空太郎が時間をかけて教えたんだと思えた。

 

「……立香ちゃん。ありがとう」

「うん。それにお兄ちゃんが新たなハーレム作って修羅場を作ってくれると期待してるぅ!!」

「その一言で台無しだよ!?」

 

 全くだ。まあ、でも空太郎なら、きっと……。

 

「……どうにかしてくれそうだな」

 

 そう呟いてから、一時間後——————空太郎のサーヴァントであるアルトリアとエミヤが消えた。

 

 そして…………食堂のおばちゃんが立ちくらみで倒れ、それに伴い、立花響がバーサーカーしてしまった。

 

 

 そういえば、コイツら大食いだったよ!!

 

 料理長がいなくなったら食堂がパワーダウンするんだった!!

 

 

 あと…………なんか、通り過ぎたギルの笑みが怖い。

 

 チラリと見た違約金の数字。ゼロがすっごいあったような…………。誰に請求するつもりだ?(震え声)

 

 

ーーーー

 

 私、いや。私とセレナは身動きが取れない空太郎に追い込まれていた。

 

 サーヴァントを令呪で喚び出し、警戒態勢を解かないままの状況の中で、空太郎はふと言った一言で追い込まれてしまった。

 

 そう、それは…………。

 

 

 

 

 

 

 

「そんな格好して恥ずかしくないのですか?」

「「………………」」

「二十歳過ぎと二十歳を差し掛かるのに、そんな格好して恥ずかしくないのですか」

「おねがいやめて……」

 

 ホントに今更だが、シンフォギアの格好はなかなか際どい。ボディラインがくっきりになるし、知識がなければただの痴女コスプレだ。

 

 クッ、このデザイン考えた櫻井了子め。怨むわよ!!

 

「あ、あははは……。確かに恥ずかしくなるのはわかってるけど、戦うためだから」

「三十路になったら、マニアック向けの人にしかなりませんしねぇー。将来のお子さんにどう説明するつもりですか」

「マム、お願い。今すぐシンフォギアの衣装を普通にして。さもないと今後一切変身しません」

 

 セレナァ!? 手のひら返し早くない!?

 

「落ち着きなさいセレナ。彼のペースに乗せられていますよ」

「ではマムさんとやら。あなたは今の年齢であの衣装を着ることもいとわないのですね」

「セレナ、検討しておきます。だから、もう少しがんばりましょう」

 

 マムゥ!? やっぱり嫌なのね? あの衣装で戦うのは恥ずかしいのね!?

 

「クッ、今更ながら恥ずかしくなってきた。これが人類最後のマスターの話術なのね」

「いや、普通だろこれ。普通に恥ずかしいだろ。な、エミヤん」

「エミヤんではない。いや、その……私自身は何も言えん」

「?? 戦うのに衣装を気にすることがありますか?」

「「アンタは気にしろ腹ペコ王」」

「その喧嘩買いました。表に出なさい。決着をつけましょう」

 

 まさかの仲間割れ!?

 

「そもそもなんだよ、女神のアルトリアはよ。なんでレオタードか言いなさいよ。一応、未来の姿でしょ」

「いえ、あれは聖槍持ったままの、もしもの私ですから、関係ないですよ!」

「それじゃあ。注意しなさいよ。目のやり場に困るでしょ。ついでにバニー姿もしてくるのもやめなさいよ。キャストリアがドン引きしてたよ」

「だから、聖槍もった私と聖剣もった私は関係ありませんって! 風評被害ですよ! てか、マスターも知ってますよね!?」

「うん、知ってる。わざとだ」

「……アーチャー。彼を殴っていいですか?」

「許す」

「え。マジ? エミヤ、嘘だと言ったよ、バーニー。うごぶぅ!?」

 

 グーパンされる空太郎。あれ、サーヴァントってマスターとは主従関係なんじゃ……。

 

「さて、この人のことは置いといて、本題に入りましょう」

「ねぇ。空太郎の口から白いの出てるのだけど、気のせい?」

「はい。気のせいです。あと五秒で復活しますから」

「復活」

「……ホントだわ。どうなってるの彼」

「いろんなことがあったら、こうなるのさー。ハッハッハッ」

「……陽気に笑ってるけど、目がマジで笑ってないわよ?」

 

 空太郎の目が死んでるのを放っておいて、咳払い。私達の目的をまず打ち明けた。

 

 衛星軌道上の月が地球へ向かっていること。

 

 米国がそれをもみ消したこと。

 

 それを我々が、世界へ広め、その軌道修正するために【フロンティア】と呼ばれる聖遺物を起動させることを話した。

 

「ふーん。まあ、なんか大変そうだね」

「あまり興味がないのね」

「いや、まあ、なんとかしなくちゃなんないのはわかるけどさ。なんで俺なんだろって思って」

「それは僕が説明しよう!」

 

 そこに現れたのがウェル博士。

 

「出たな、キョン。ハルヒちゃんは元気か?」

「いい加減に涼宮ハルヒから離れてくれないか!? そこにいる僕の仲間の子が、『朝比奈さんはいるのデスか!』って言われたんだよ!?」

「違うの? なら、パチモン。さっさと話せ」

「何様!? 誘拐されてるのに何様なんだい!?」

「ペースに乗せられてるぞー、ウェル博士」

 

 とそこに現れたのは、ヘルメットで顔を隠した長髪の男だ。ウェル博士と同じく白衣を着ている。

 

「……サーヴァント」

「正解。僕はそこにいるセレナのサーヴァント。キャスターさ」

「……真名は言わないのか?」

「当たり前だろ。僕はそこに従えられている二人のサーヴァントよりも、弱く、近代のサーヴァントだ。逸話もなければ、功績も微々たるものさ」

 

「……幻獣が混ざってるのか?」と空太郎は呟くも、私やセレナも未だに彼のことがわからない。

 

 彼がこの世界へやってきたのは、【フィーネ】が決起する一ヶ月前。彼はセレナの前で召喚され、私達を驚かせた。最初は警戒したものの、キャスターは素っ頓狂な声をあげて物陰に隠れた。

 

 元から臆病だったのか、それとも弱いから隠れることを選んだのかはわからない。

 

 けれど、なぜか「ブラック労働ヤダ。もう徹夜シタクナイ」とブツブツ言ってた。何かトラウマがあるのだろうか?

 

「んで、俺をここに招いたのは?」

「ここからは、僕が話そう。良いかね? ウェル」

「フンッ。いつもはサボるくせに、今日は働きものだね」

「当然さ。何せ、彼こそがキーマンだからさ」

 

 キャスターが指を鳴らすと、あるものが上から降りてきた。それはかつて、空太郎とそのサーヴァントが倒し、機能停止させた完全聖遺物……。

 

「ネフィリム。懐かしいかね?」

「何それ? このエイリアンが?」

「見てくれはエイリアンだが、コイツはかなりの悪食かつ暴食さ。聖遺物などなんでも食らう聖遺物さ」

「ふーん。それでコイツをどうしろと?」

「簡単なことさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

——————ネフィリムとサーヴァント契約したまえ

「何?」

 

 空太郎が怪訝な顔でキャスターを見た。当然だ。最初、私達はそんなことできるはずがない。

 

 そう思っていたのだ。だが、キャスターは違った。

 

「完全聖遺物、ましてやよくわからないものと使い魔契約などできるはずがない。そう思ってるだろう」

「まあね。サーヴァントならいざ知らず、コイツとサーヴァントのように使い魔契約できるかどうかなんて」

「結論を言うとできる」

「……なぜだ?」

「君がかつてこのネフィリムを倒し、停止させた。その拍子に、ネフィリムは何かを取り込んでいたのだ」

 

 そう、空太郎のサーヴァント、ベディヴィエールが宝具でとどめをさしたときに、ネフィリムの足元が光って、そこから何かがネフィリムに取り憑いて、機能停止しているところを見た。

 

 私とセレナがそのことをキャスターに話すと、彼はしばらく考え、それからカルデアのマスターに、ネフィリムと契約させる案を打ち出したのだ。

 

「……その何かってのは?」

「十中八九で言えば、サーヴァントさ。それもネフィリムに関係している。そのサーヴァントはネフィリムの中に眠っており、ネフィリムは完全聖遺物から聖遺物の()()()()()()へとなった」

「おいおい。人でないのに」

「よく言える。君の義妹が契約している、ボイジャー。ナーサリー・ライムなどそうであろう?」

「よくご存知で」

 

 肩を竦める空太郎。そんな空太郎に、私は頭を下げた。

 

「お願い。私に力を貸して」

「サーヴァントを扱うための道具にしたいから?」

「違うわ」

「大事な人質にしたいから?」

「違うわ」

「じゃあ、なんで俺なんだ? 他にスゴイヤツいるだろ?」

「そんなの決まってるじゃない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴方しかできないから、選んだの

 

 結局はそうなのだ。

 

 命の恩人であり、マスターの中で一番信頼できる人であり、そして、()()()()()()()()()と信じているから、彼を選んだのだ。

 

 それを聞いた空太郎は「うーん。あー、どうしよ……」と少し悩み、アルトリアとエミヤに目でどうすると聞いていた。

 

 彼らは頷き、そして空太郎は答えを出した。

 

 

「……様子見って感じだけど、手を貸すよ。困ってることだしね」

 

 彼の言葉を聞いて、私は「ありがとう」と満面の笑みで答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで、普段のご飯ってどうしてるの?」

「カップ麺とかよ」

それは誠かね?

「あ、ヤバ」

 

…………その日、【フィーネ】にオカン食堂が生まれた。もやしって結構、バリエーションあるのね……。





という感じで【フィーネ】側で戦います。
なお、敵は立香、アレックス、装者三人なのでベリーハード。

立香は神話級の英霊と契約してるし、効率重視なので普通に外道戦法使ってきますし、アレックスは耐久力が高く攻撃力も高いサーヴァントを呼ぶので、倒すのにターン数がかかる。

装者達は直接、空太郎へダイレクトアタックしてくるので、空太郎のサーヴァント全員が麻痺状態にされる。

さらに空太郎はエミヤ、アルトリアと【フィーネ】側の装者達(一部ターン数が決まってる)が固定されるので他のサーヴァントが呼べない状況。

……あれ、これ勝てるの?

耐久戦になるけど、しんどいね。

次回、断章。なぜ、彼が戦うのかは繋がった彼女しかわからない
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