Fate/grand order 絶唱魔性戦記シンフォギア   作:ぼけなす

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————ジャイアン投入
————音波兵器投入はやめてくれない?


第二十三話 ———追憶。そして自称アイドル

 

ーーーー

 

 

 私が藤丸空太郎(お兄ちゃん)と最初に見たのは、かれこれ十一年前。

 

 当時の私は、『(藤丸立香)』とは言えないただの【お人形】だった。

 

 親に優しくされたことがなく。

 

 愛情をもって育てられたわけでもなく。

 

 ただ、来たる人類を救うマスターとして、育てられた。

 

 私はそのことに疑問に思わない。

 

           ———なぜなら、それが当たり前だから。

 

 私はそのことに不満を感じない。

 

           ———なぜなら、それが当たり前だから。

 

 

 私はそのことに憎悪しない。

 

           ———なぜなら、それが当たり前だったから。

 

 私はあのときから、ずっと変わらない。()()()()()()()()()()()()から。

 

 そういうことしか考えられなかった。だから、本当の両親に対し、私は反抗することも、反論することもなかった。

 

 けれど、ふと、ある日。本当に偶然の話だ。

 

 外へ気分転換しに行き、その道中で、遊園地へ行く親子を見た。

 

 そのとき、私と歳が対して変わらない子どもが親と一緒に楽しそうに笑い、親はそれを嬉しそう笑っていた。

 

 ここで私にハジメテ疑問を感じた。

 

『私の両親は、私に何かあれば心配してくれるのだろうか?』

 

 もちろん、私はそのことを一蹴していた。

 

 彼らは私のことをただの救済装置でしか見ていない。

 

 彼らは私のことをただの作品でしか見ていない。

 

 だから、あり得ない。あるはずがない。

 

 けれど、私は試したくなった。もし、ある日、なんの前触れもなく、どこかへ行ったら、あの人達はどう反応するのだろうか、と。

 

 ゆえに、私はある日突然、試した。実験してみた。近場の公園へ向かい、夕方まで待ってみる。そうすれば、彼らは探しにくるのだろうか、それとも……。

 

 彼らの反応を知るために、私は彼らを待ってみた。

 

 

———結論を言えば、彼らは無関心だった

 

 むしろ、新しく一新しようとさえしていた。つまり、私は()()()()()()()()だった。

 

 兄や姉がいた。弟や妹がいた。

 

 そして彼らは両親に失敗作と断定され、魔術の実験の材料となって消え去った。

 

 このことに対し、私は何も思わなかった。何せ、私にとって、顔も素性も知らない兄弟姉妹がどうなろうとどうでもよかった。

 

 むしろ、両親に対して()()()()()()()()()()()()。当然だ、当たり前の反応で、未知も楽しみもない観察対象へ、何を期待せよというのだろうか。

 

 だから、私は両親に対して何も期待せず、ただただ、彼らに言われるがまま、己を道具として鍛えた。

 

 

…………まあ、あの実験で収穫がなかったわけでもなかった。

 

 藤丸空太郎と初めて会ったのだ。

 

 彼は何かの気まぐれでブランコに座る私に話しかけ、私はそれを無視するとずっとそこにいた。夕陽が落ちてもずっとそこにいた。

 

 夕方になっても彼はボーっと空を見ていたばかり、私の方が耐えきれなくなったので、話しかけてきた。

 

 なぜ、あなたはいるの、と。

 

 すると、彼は「別に、好きにいたから」と素気なく答えて帰っていった。

 

 なんなのだろうか。興味がないのか、それとも関心のないフリなのだろうか?

 

 私にはわからない。けれど、なぜか()()()()。初めて感じたこの気持ちを確かめるべく、私はまたあの公園のブランコへ座った。

 

 そしたら、また彼が隣に座り、一緒にいてくれた。私が何も言わなければ、彼は何も言わない。

 

 何度もそんな日を繰り返すと、今度は私を虐げてくる子どもがきた。

 

 この程度、特に問題ない。両親にはそれ以上のことをされ続けられた。だから、痛くも痒くもない。

 

 今度は、藤丸空太郎がやってきた。いじめっ子達にお説教するも、反抗され、殴られていたがあまりダメージはなく、むしろ金的してから私を連れて逃げた。

 

 私は疑問に感じて、尋ねた。

 

「どうして私なんかに構うの」

「どうして私なんかを助けたの」

「どうして私なんかのために」

 

「どうして」ばかりが、私の中にあった。だから聞いた。そしたら、彼は

 

 だって嫌じゃんか()()、一人で何もしないなんて。

 

「一人で遊ぶならいい。積み木や砂遊びは一人で楽しめるし、本を読むのも一人で楽しめる」

 

「だけど、一人でいつまでも何もせずに俯くのはダメだ。それは何も成さないし、何も始まらない」

 

「それはとても勿体ない。だから、俺はお前に構った。善意とかそういうのではなく、ただの自己満足のためさ」

 

 そんなありふれた答えが返ってきた。

 

 ()()とは何か、私は普通ではないのか?

 

 様々な疑問が浮かび、そしてそれは彼への興味へ繋がった。

 

 私は彼をもっと()()()()

 

 この少年は、彼がどうなっていくのかが気になって、気になって仕方がなかった。

 

———なので、私は自身の人格を()()()

 

 両親は『フジマルリツカ』を生み出そうとしていた。完全無欠の、どんな困難も乗り越え、立ち向かっていく少年か少女。

 

 その人格は最終的に必要になってくるが、早い段階で習得した。

 

 すると、彼はより私に話しかけるようになった。

 

 なるほど、こういう人がより人を呼ぶのか、学習した。

 

 ならば、次は私の境遇を知ってもらおう。

 

 そしたら、彼はどうなるのだろうか?

 

 怒る? 悲しむ? 失意に落ちる?

 

 様々な期待を浮かび上がらせ、私は彼に、私の家へ誘導させた。

 

 そしたら、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

——————その三つの感情を持った顔で、私を抱きしめてくれた。

 

 私の中にある高揚感が生まれた。

 

 なんて、なんて、なんて、甘美だ!

 

 人形だった私は彼の顔を見て、その反応を見て、とても興奮した。

 

 後にどこかの誰かに教えてくれたが、コレこそが【愉悦】であった。

 

 私は初めて【愉悦】を知ったのだ!

 

 私は彼の近くで、彼の苦しむ顔、泣きそうな顔、悲しむ顔、怒った顔。いやいや、それだけじゃ足りない!!

 

 私は彼の近くで、彼の喜ぶ顔、楽しむ顔、興奮した顔を知りたい、見たい!!

 

 ゆえに、私は児童相談所へ行かされるように誘導され、彼の家族の一員になるために、彼の両親に同情心を買わせて、【藤丸立香】となった。

 

 

——————もう、【不二丸立香】という名には未練はない。

 

 

 むしろ、邪魔だ。だから、私のかつての両親には——————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界を『オニイチャン』に救わせるための礎になってもらったよ

 

 

 世界を救うための礎になるのだ。魔術回路を全て引っこ抜き、内臓などは高名な魔術師に売り払い、残った魂はサーヴァントの強化するために使わせてもらったよ。

 

 なんか、涙を流して、私に『恩知らず』と訴えかけていたけど世界を救うためだもんね、仕方がナイヨ?

 

 そんなわけで、私はいつの間にか、推薦されていたカルデアを、お兄ちゃんを行かせるようにして、お兄ちゃんの仲間と共に、人理のために戦いましたとさ。めでたし、めでたし。

 

 さぁて、今度は私に何を魅せてくれるのかな?

 

 ねぇ、オニイチャン?

 

 私にもっと愉悦を、快楽を、悦びをオシエテヨ

 

 

 

ーーーー

 

 

 今日の文化祭で、私達がする演目。『ロミオとジュリエット』である。

 

 ロミオが私で、ジュリエットは未来である。

 

 一生懸命、練習して成功させよう。そう思って必死で頑張った。なのに、

 

「動くな! その場にいろ!」

 

……なのに、大切な学園祭をめちゃくちゃにしようとする人達がいた。

 

 私はそれが許せない。今すぐ、シンフォギアを纏って殴りたい。でも、シンフォギアは国家機密である。気軽に変身できない。

 

「……響」

「大丈夫。大丈夫だよ、未来」

「うん。響がいるから安心だよ。でもね、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんで、あの人達。海パン一丁で覆面してるんだろ?

 

 そこである。てか、どっかで見たことある。

 

 そう、確か葡萄ジュース博士が護衛してから行方不明になる前の二日前。

 

 私と翼さん、アレックスさんの筋肉集団と共に謎の秘密基地へ突撃したのだ。そこにいるテロリスト達は、武装はしていない。拳と脚で戦い、そして筋肉を見せつけてくる。

 

 アレックスと同類なのか、聞いてみたが、「あのような強引なマッスルなど言語道断である!!」とブチギレられた。

 

 いや、あなたと対して変わらないじゃん。

 

 それはさておき、その秘密基地にいた組織こと秘密結社【プロテイン】の目的は……。

 

 

「我々の【プロテイン】の目的はただ一つ…………【人類筋肉補完計画】の遂行である!!

 

「え、何それキモ」

 

 未来が毒を吐く。最近、私と一緒に露出狂に会っても、騒がず「フッ、ちっさ」って鼻で笑えるほどになっていた。

 

……なんかAUOのキャスト・オフを見てから、見せつけてくる変態に対して、「その程度で、私達が反応するとでも?」と言えるようになってる。

 

 なお、露出狂は挫折して自首してた。どうでもいいけど。

 

……いつの間にか、私達。空太郎さん達に毒されてるのかなぁ。脳裏に浮かんだニヤケ面を思い出した。とりあえず、見つけたら一発殴らなきゃ♪

 

「キサマァァァァァ! この崇高なる目的をキモいだとォォォ!?」

「いやそうでしょ。なんで人類をマッスル化させなきゃいけないの? アホでしょ。そんな暇があるなら、ジムリーダーになってきてよ」

「ジムリーダーになったところで何になる!? 世界は平和になるか!? 貧しい国が豊かになるのか!? ならん。ならんぞ! ならば人類を一つにするまで!!」

「だからって筋肉はないでしょ、筋肉は。てか、筋肉女子になりたい人って個人差あるけど、全てがなりたいわけじゃないでしょ? そんな強引なやり方してるから、フラれるんでしょ」

 

 未来の毒舌が冴え渡る!!

 

 あれ、未来ってこんなキャラだっけ?

 

 麻婆食べてからおかしいような……うん、気のせいにしとこ!

 

「フラれてないわい! わかり合えないだけだ!」

「その時点でダメでしょ。立花響になってから出直してきて」

「誰だそいつは!?」

「私のマイフレンド」

「いや、知らないし!?」

 

 言い合うジュリエット未来。なんかいつの間にか、男子高校生を諭す女子高生になってるような。

 

 と、怒りで我を忘れて、テロリストのリーダーが拳を振り上げてきた。

 

「おのれぇ、黙らんか! か弱き女だろうと容赦はせぬ!」

 

 未来へ乱暴を働くなら、私が守る!

 

 そう思って盾になろうとしたら、上から誰かのの声がした。あ、知ってる人だ。

 

 

「待てぇーい!!」

「誰だ!?」

「秘密結社【プロテイン】。貴様の悪行はここまでだ! トウッ!!」

 

 上から誰か達が着地。

 

「赤マッスル!」———レオニダスさんだ。

 

「青マッスルゥゥゥゥ!」———スパルタクスさんだ。

 

「そして、黄色マッスル! ぬゥゥゥゥはァァァァァ!!」———アレックスさんだ。

 

 

「「「我らさんに揃って、【マッスラーズ】!!」」」

 

 ドーンとなんか後ろで火薬が弾ける音がした。あ、外の花火か。

 

「キサマらは【マッスラーズ】!? また邪魔するつもりか!?」

「当然だ! 貴様の強引なマッスル。許せぬ! この【マッスラーズ】が成敗してくれるぅ!!」

 

 なんか、ヒーロー特撮みたいことしてる。

 

 熱苦しいから、外でやってよ。

 

「ふははは! だが、しかし、ここに人質がいる!!」

 

 と未来を掴むテロリストリーダーさん。

 

「動くな! この小娘がどうなっていいのか!?」

「ぬぅ、卑怯な!!」

「卑怯上等! 勝てばいいのだぁ!!」

 

 なんかカーズみたいなこと言ってるのはいいけどさ。最近の未来は、油断しちゃダメだよ?

 

「えい」

「おごぉ!?」

 

 未来がテロリストリーダーに決めたのは、【鉄山羹】。身体で当たっていく技である。小柄の未来には、リーダーにはあまり意味がないものかと思われるが、最近、鍛えているのか足腰を強くなってるし、筋力も上がってる。

 

 見た目に騙されたら最後、リーダーさんのように壁へぶちのめされるわけである。

 

「ぐ、ぬぅ! こ、小娘ぇ!」

「未だ、ゆくぞ!!」

 

 アレックスさんの声共に、残り二人がリーダーとそのテロリスト達へ組かかり、宙へ跳ぶ。

 

 あれは、確か……。

 

「ゆくぞ必殺!」

「フハハ、反逆ゥゥゥゥ!」

「ぬばすたァァァァァ!」

 

 

 

 

「「「マッスルドッキング!!」」」

 

 筋肉マンの技じゃん。使っていいのこれ?

 

 未来に判定してもらった。セーフらしい。残念。

 

「り、リーダァァァァァ!」

「リーダーがやられた!」

「この人でなし!」

 

 すごい言われようである。

 

「フハハ! 正義は勝つ!」

「反逆は勝つ!」

「スパルタは勝つ!!」

 

「「「見よ。この筋肉を!!」」」

 

「グッ、おのれ、【マッスラーズ】……。かならずや、【人類筋肉補完計画】は、はたされ、る……」

 

 不穏なことを残してリーダーとテロリスト達は倒れた。もう起きなくていいよ。

 

「安心せよ! 悪は倒れた! これもマッスルの力なりィィィ!!」

「「「ウォォォォ!」」」

 

 歓声があがる。なんか、目眩してきた。なんか、もう疲れてくる……。

 

 そんなとき、未来が深呼吸し、私の肩を叩いた。アイコンタクトをとり、私は頷いた。

 

 とりあえず、

 

 

「「いい加減にしなさい!!」」

 

 筋肉達へドロップキック!!

 

 一緒に壇上外から退場してもらった。

 

「何をする!? ぬぅ、さては【プロテイン】の洗脳に!?」

「違います。絶対ないです。私達が怒ってるのは、あなた方のせいでロミオとジュリエットが台無しにされたからです」

「む? 続ければよかろう」

「どう続ければいいのですか!? 観客が一斉に『筋肉! 筋肉! マッスルゥゥゥゥ!!』って声をあげてるのですけど!」

「ならば、【ロミオとマッスル】で行けばよい!

安心しろ! ロミオならばきっと立派なマッスルになれる!」

「演目変わってますよ!? てか、私が筋肉モリモリになれってことですかこれ!?」

「そうですよ! ジュリエットはどこへ行ったのですが!?」

「実家に帰るであろう。ロミオ、マッスルしか興味ないし」

「「なおさら、ダメじゃん!! てか、これラブロマンスで、悲恋劇だから!!」」

「悲恋劇であろう! マッスルしか愛せないロミオの心を表す、立派な悲恋劇だ!!」

「「絶対、無理」」

 

 私と未来の心が一つになった。ホント、これどう続けたらいいの?

 

 そう思っていたら、なんと立香さんが壇上に上がってきた。

 

「えー、テステス。皆さまー、落ち着いてくださーい。これなら、ライブはじめまーす」

 

 ライブ? え、ツヴァイウィング始めるの?

 

「今日、私が特別ゲストとして呼んだ(自称)アイドルがいまーす。彼女の歌をぜひ、聴いてタノシンデクダサイねー」

 

 このタイミングでアイドルを呼ぶなんて……そうか! この空気を変えるために!

 

 さすが立香さん!

 

「ではお呼びします。今回の特別ゲスト、

 

 

 

 

 

 

 

【ツヴァイジャイアンズ】のエリザベート・バートリーです」

(アタシ)の歌を聞け」

 

…………なんか、嫌な予感がするんだけど。てか、立香さん。なんで耳栓してるの?

 

 なんで爆音出るスピーカー用意してるの?

 

「これはイカン! 止めなければ!!」

「マズイですぞ!」

「今こそ、圧政からの解放のときぃ!!」

 

 筋肉集団がエリザベートを止めようと飛び出すが、黄金に輝く鎖が、彼らを止める。

 

「ぬぅ、英雄王ォォォ!!」

「フッ、今宵の肴だ。なかなか、楽しませてもらおう」

 

 そう言いつつ、なんであなたも耳栓してるの?

 

 ねぇ、なんで?

 

 その答えは、彼女の歌が始まったことでわかった。

 

 

「行くわよ! 【恋はド●クル】! ボェェェェェ!!

「「ぎにゃァァァァァ!?」」

 

 超絶音痴だった。

 

それも、宝具レベルの。

 

 そのとき、私が最後に見たのはワイングラスで乾杯して【愉悦】してる英雄王と立香さんでした。

 

 私の学園祭を返して……。

 

 

 

 なお、テロリストの事件だが、エリザベートさんの演奏で、観客から記憶を消してくれたことでなかったことになった。

 

 

……結果オーライなのかなぁ。





エリザベートのおかげで文化祭は続行となった。
やったぜ、響ちゃん!

ただし、ジャイアンを見るたびに頭痛が起きる症状が見られることとなった人がいるそうな。

今回出てきた【プロテイン】はまだまだ出ます(笑)
次はどこで出そうかなーと思います。

なお、ウェル博士が葡萄ジュース博士になってるのはカルデアトラブルのせいです。名前が長いし、ウェル=ウェルシアとなってるので(震え声)

次回はカオスです。ついにクリスが歌います!




——————けれど、原作通りになるとは思うなよ(愉悦)
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