Fate/grand order 絶唱魔性戦記シンフォギア   作:ぼけなす

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——————いつから、少女の歌が血で濡れないと思った?


第二十六話 とりあえず、薬局。お前はあとで埋める

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 戦いが始まり、それぞれがぶつかり合う。調は立花響、切歌は雪音クリス、セレナは天羽奏、私は風鳴翼。

 

 両者互角の戦いをしていた。しかし……。

 

「なんで、天羽奏とセレナは互角なの!? セレナのシンフォギアはあのアーサー王のモノなのよ!?」

 

 空太郎の世界では神造兵器と云われた聖剣。エミヤでさえ、複製すれば、死ぬほど重傷負うほどの代償がなければ造れない最強クラスの剣。

 

 そんな完全聖遺物の剣をシンフォギア化させ、纏ったセレナは悔しいことに私より強い。

 

 対して、天羽奏もまた神の武器とは言えるが、それはそんな一部分でしかない。なのに……!

 

「フッフッフ! それにお答えしよう!」

 

 ヘリから降りた藤丸立香はビデオカメラを構えながら答えてきた。まじめに戦いなさい!

 

「天羽奏氏を含め、シンフォギア装者の皆さんはどうも()()()()()()()()みたいな状態だったのでねぇ。サーヴァントに魔力パスさえ渡せば、本来の力———つまり、聖遺物のスペックを解放できるのだ!」

「それってつまり」

「そう! マスターとサーヴァントの関係さ! ご主人様とメイド達なのだ!」

 

 香ばしいポーズを決めながら言い切った藤丸立香。いや、その例えがなんか嫌なんだけど。装者はメイドじゃないんけど。

 

 空太郎は藤丸立香へ関心しながら尋ねていた。

 

「へぇ。そうなんだ、スゲー。それってどうやるの?」

「およ。お兄ちゃん興味津々? でもできるかにゃー?」

「できるかどうかは、やってみないと———」

 

「装者達とディープキッスしたらできるよー」

 

 とんでもない単語が出てきた。なんか、戦っていた装者達全員が、時を止めたかのように固まった。

 

 え、ちょ、待って。大人のキッス(ディープキス)って……しかも、女の子同士。

 

 私を含め、赤面していく装者全員。これには空太郎も、呆然としていた。

 

 

「……ごめん。さすがにそれは無理。てか、装者の美少女組どころか、カルデアに残ってるサーヴァントにも殺される」

「えー、そうなの? 残念だねぇい」

「残念以前に恐ろしい片鱗を見たぜ……って、つーか、奏さんしたのか!?」

「……意外とテクニシャンだったぜ。この私が絶頂したぜ」

「マジかよ!? お前、どんだけうらやま……ゲフンゲフン。変態なんだ!」

「女装姿になったお兄ちゃんには言われたくなーい♡」

「ほっとけ!! つーか、まさか残りの皆さんも立香の毒牙に!?」

「「「してません」」」

 

 残りの装者は否定する。

 

 というか……ホントにディープキッスで魔力パスというものを繋げて、強くなったと言うの?

 

 そ、それはちょっと……待って。待って。少し……考えさせて。

 

「ハッハッハッ! もう何も怖くない。もうこれ以上失うものがねぇからな! あたしのファーストキスを代償にした分の力を見せてやるゥゥゥゥ!!」

「ちょ、この人、なんか本気でヤケクソになってるよ!?」

 

 再び、動き出した天羽奏に、セレナが押され始めてきた。それほどの代価を……彼女のこの先は、彼氏とキッスをする度に思い出すのだろう。

 

「天羽奏ぇ、貴様の初めては彼氏でも彼女でもない……このRITUKA様だァァァァァ!」

「くたばれ」

「うひゃ!? クリスちゃん!? 敵はあっちだよ!?」

「オメェが女の敵ってことが判明したから撃った。後悔してない」

「きびしー!! あ、ちなみに肉体的ドッキングの方がパスが繋げやすいよー」

「未成年がいる中で、とんでもない単語だしてんじゃねぇよ!!」

「にゅふふふ、初心だねぇい、皆さん。ちなみに私も生娘だけど!!」

「なら、偉そうにするなよ!」

 

ツッコむ雪音クリス。なんか、ぐだぐだしてきたわね……。

 

 すると、戦闘を続けていた空太郎とエミヤがスカサハの槍から逃げながら、会話していた。

 

「エミヤさん、エミヤさん。魔力パスを強化するためにドッキングするのってあるの?」

「いや、その……マスター。私にそれをなぜ聞く」

「え、だってセイバー含めたヒロインとドッキングしたことがあるんでしょ?」

「無実だ! 私はそのようなことはしていない!!」

「え、そうなの? じゃ、セイバーとドッキングしたことないのか」

「………………」

「オイ、こっち見ろやエロゲ主人公」

 

 エミヤ……やっぱりあなたは女の敵ね。攻略されたら将来、悲恋になるわね。

 

 空太郎がジト目でエミヤを見ながら、槍から逃げてるのが、なんというかシュールだ。

 

「フッ、生娘だとか童貞程度で狼狽えるなど、まだまた青いな。」

「しゃーねぇだろ。ここにいるの、若いヤツしかいねぇし。歳考えろ、歳」

「あー、てがすべったー

「ヌワー!?」

 

 と言ったスカサハは大きな紅い槍をクー・フーリンへ投げつけた。地面もろともぶっ飛んでいくクー・フーリンは、パパスのような断末魔を上げながら、空へ飛んでいく。

 

 その様子を見た空太郎と藤丸立香は、

 

「ランサーが死んだ!」

「この人でなし!」

 

 と叫ぶ。何それ、お家芸? 対してスカサハは髪をかき凪、クールに返していた。

 

「人でなしだが?」

「手加減してよ! 大人でしょ!」

「大人の女性とて、歳のことは看過できぬ。ゆえにセタンタには報いを受けてもらった、ピョン」

「かわいい! 萌える! だから許したげて!」

「だが断るピョン。私のハートを傷つけた者は何人たりとも許さないピョン」

「ちくしょう! 着物バニーくらいに怖ぇっ!」

 

 着物バニーって何かしら?

 

 新た手のコスプレかしら?

 

 クー・フーリンという戦力を無くした空太郎は、エミヤの肩を掴んで叫ぶ。

 

「つーか、エミヤ。お前、攻略しろよ! 元エロゲ主人公だろ!? これまでいないお姉さんヒロインだぞ!?」

「そんなもの藤ねぇだけで間に合ってるし、藤ねぇは攻略対象じゃないから、お姉さん系は対象外だ! というか、同級生、後輩、義理の妹……いや、姉か! それとなんかシスターだけでもうお腹いっぱいだ!!」

「どんだけヒロインいるんだよ!? てか、普通にスゲェ!」

「君が言えることかね!? 君だって、後輩、自称がついた嫁、妻、母に、心を傷つけ大好きシスター、なんかヤバいフィギュアスケーター、悪戯皇女、ポンコツ愛の女神と冥府の女神や、最近だとドラゴン娘や、物理的に食べる大型犬などなどと次々と攻略してるではないか!!」

「そうでした! そして、ほぼサーヴァントだし! タスケテ!!」

「だが断るぅ! もう、無理だ諦めてくれ!」

「正義の味方ぁ!?」

 

……なんか、彼が臥しだらに見えてきた。どんだけ関係作ってるのよ。

 

「あ。でもアルトリアだけは違うね! この子だけはシロウとかしか見てなさそう!」

「……槍のアルトリアもといバニーアルトリアは? 杖のアルトリアは? OLアルトリアは? それとセイバーのオルタは?」

「…………当方に責任はございません。これも全てエミヤが攻略してないから悪い!」

「ふざけるな! こちとら、stay night勢だけでお腹いっぱいなのに、さらに追加しろと!? 俺を殺すつもりか!?」

「第五次正妻戦争、fight!!」

「させんわ!!」

 

 エミヤと空太郎が漫才しながら、スカサハの槍から逃げ続けている。あの槍、雨のように来て怖いわね。よく、避けられるわね。

 

 と、空太郎がスカサハへ振り向き、不敵に笑う。あれは……。

 

「アルトリア!」

「ッ!」

 

 ウェル博士の護衛についていたアルトリアが、スカサハへ聖剣を振りかざす。防御体制をとるスカサハは次に、空へ視線を向け、すぐさま、聖剣を受け流してからその場を飛び下がった。

 

 なぜ、と思うのも束の間、アルトリアさんがその場へ飛び下がると同時に一本の槍と人が線で落ちてきた。

 

「チッ、逃げられたか!」

「フッ、なかなか気配を消すのが上手いではないか、セタンタ。アサシンの真似事か?」

「ちげぇよ。マスターの指示だよ。隙を見て、やれって言われてたからな。……あんま、性に合わないがな」

 

 しゃーないでしょ、と空太郎はクー・フーリンへ返す。

 

「相手は神霊だし、スカサハだぞ? 神殺しを成した影の国の女王様を相手に、奇策で挑まなきゃ負けるって」

「そんなことしなくても、こちとら普通に戦えば」

「ケルト流で行きたいのはわかるけど、我慢して。……相手が一人とは限らないし」

 

 空太郎は藤丸立香を警戒した目で見ていた。

 

 彼は彼女を疑っている……?

 

「およ? 愛しの妹君を疑うのー?」

「当たり前だろ。お前……普通にサーヴァントを()()()()()()()戦法とか使ってくるだろ? なら、保険とかあってもおかしくない」

「うーん、まさか…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

予想的中してくるとはね

 

 狂気を帯びた目が、空太郎を射抜く。

 

「さすが、お兄ちゃん。私のことわかってるぅ」

「何年いると思ってやがる。お前のぶっ壊れた考え方を何年付き合ってきたことか」

「ンフフフ、相性良いってことだねぇい。まあでもスカサハ姐さんに勝てないんじゃ、保険は必要ないかにゃー?」

「嘘つけ。スカサハ師匠は時間稼ぎだろ」

 

 時間稼ぎ? こんなに強い人が?

 

「スカサハの我が儘で、槍ニキが招ばれてしまい、実質三対一。別にそれだけでも勝てるっていったら、いつかは勝てる」

 

 けどな、と空太郎は続ける。

 

()()()()()()()()()()()のお前がそれを許すか? どんな犠牲を払ってでも人理を救おうとしてきた()()()

「……へぇ。わかってるじゃん」

 

 藤丸立香から笑みが消える。完全に見破られたと言ったところだろう。

 

「スカサハ師匠はあくまで時間稼ぎ。さっさと撃退して無力化して、次に備えなきゃならない」

「ほう、この私が踏み台と言うつもりか?」

「手加減してるくせに、文句言うな。なら、本気でこい」

「……かわいくなくなったな」

 

 への字の口を作りながら、拗ねるスカサハ。なんか、子どもっぽいところがあるのねこの人。

 

「ま、でも時間切れだけどね」

「なんだと?」

「むっふっふっ、ではいっちゃいましょう!!」

 

 立香が指を鳴らす。その瞬間、突如、クー・フーリンの元へ、砲弾がとんできた!?

 

 クー・フーリンは反射神経でそれを避けた。

 

「あっぶね!? なんだって、砲撃が……」

 

 クー・フーリンの言葉が途中で止まる。理由? 簡単な話だ。()()()使()()()()()()()()()()()()()()()

 

 それを見た空太郎は顔を俯かせ、彼女へ言った。

 

「……立香。一ついいか?」

「なぁーに?」

「お前、ヤツを…………()()()()を喚んだのか?」

「そだよー。にしても、便利だよねー。あの投石機。宝具としてでも使えるなんて」

「オイ、つまりあれか?

 

 

 

 

 

スカサハだけじゃなく、陳宮(カタパルトタートル)を喚んだってことか?」

 

 空太郎が指差した、弾となったサーヴァント…………諸葛孔明と呼ばれた者が白目を剥いて、泡を吹いて、倒れていた。

 

「そだよー。便利だよね、カタパルトタートル。一体リリースしたら、射出できるし」

「便利で片付けるんじゃねぇよ! 俺のところの孔明をリリースしてんじゃねーよ!」

「大丈夫! ガッツ有りの礼装つけてるから死なないヨ!!」

「大丈夫じゃねーよ!! サーヴァントの気持ち考えろよ!? この人でなし!」

「ランサーは死んでないよ?」

「まともなサーヴァントを弾にしてる時点でアウトだよ!」

 

 えっとカタパルトタートルって何? 遊戯王? 武藤遊戯がサーヴァントとして招ばれるの?

 

「そんじゃ。次いくねー」

「ちくしょう! 総員退避ィィィィィィ! 次々と来るぞォォォォォォ!!」

「「え」」

 

 私と風鳴翼の声が合わさった。私達二人はその場へ退避すると、弾となったサーヴァントが飛んできた!!

 

………今度はメガネが割れたシグルドと呼ばれる英雄が倒れていた。

 

 次々と、砲撃(サーヴァント)が飛んできた。……味方もろとも巻き込む形で。

 

 これには、雪音クリスも「きゃあああああ!?」と可愛らしい悲鳴を。

 

 天羽奏も「ぬがァァァァァ!」と女の子らしくない叫びを。

 

 風鳴翼も「あなたに足りないものは、それは! 情熱・思想・理念・頭脳・気品・優雅さ・勤勉さ! そして、なによりも! 速さが足りない!!」と言って、俊敏な動きで避けて……え、なんで避けられるの?

 

 風鳴式トレーニング? ……あ、そういうのあるんだ防人の一族。

 

「ちょ、立香ちゃん!? 味方ごとやろうとしてたよね!?」

 

 これには立花響も訴えてきた。いいぞ、もっと言ってちょうだい!

 

 しかし、藤丸立香はケロリとした顔で、「え、だってまとめてやってしまえば早いじゃん」と言い返してきた。

 

「味方だよ!?」

「ビキオ! 説得は無理だ! コイツ、味方だろうがお構いなしに撃つ外道だから!」

「ホントにこの子頭おかしい!!」

「え、それ今更だし」

「「自覚してるなら、やめろ!」」

「だが断る。二人の顔がなかなか愉悦だしー」

「「この人でなしがァァァァァ!」」

 

 空太郎と立花響がシャウトする。この二人、相性いいのかしら? 同じ感じがするし。

 

 と思いつつ、次弾が飛んできた!

 

 今度は……。

 

「フハハハハ! (おれ)だ!」

「CEOォォォォォォ!?」

 

 ギルガメッシュCEOがカタパルトで来ちゃった!?

 

 てか、なんで!?

 

「愚問だ! 立香にリリースされた! あとで覚えてろ、雑種!」

「はいはい。ほんじゃ、まあ、カタパルトタートル(ゲステラ)にされちゃって」

「フハハハハ! ゆくぞ、ゴージャスアタック!」

 

 ダサい砲撃きた!? 次々と飛んでくる砲撃(サーヴァント)達。

 

ヲーの翼神龍(オジマンディアス)!」、「キングダム(始皇帝)!」、「宇宙戦艦ヤマト!(イスカンダル)!」()()()サーヴァント達は消えていったが……この子どんだけ酷いの!?

 

「マリアさん! あなただけでもここから早く撤退しましょう!」

「けど、みんなバラバラよ!」

「いや、もう手遅れだ! 立香の狙いは()()()()()じゃない!」

 

 なんですって? それじゃあ、狙いは……と思った刹那、鎖が私を縛り上げてきた!

 

 これは……!

 

「天の鎖よ。貴様の纏うそれが神性であればあるほど、効果は強いぞ」

 

 まさか、これが狙い!?

 

 やられた! 神関係の聖遺物は、このCEOの前では無力なの!?

 

「さぁて、これでやっと話ができるな」

「話?」

「そうだ。忘れてなかろう? 貴様がやった行いを」

「やった行い。………あ」

 

 あ。なんか、嫌な予感。

 

「そうだ。俺が開催したゴージャスかつ特別ステージのライブをめちゃくちゃにしたのだ。きっちり払ってもらおうか」

「な、何を?」

違約金

 

 わ、忘れてたァァァァァ! しまった。この人、トップ企業のCEOだった!

 

「きっちり払ってもらおう。ほれ、これが明細書だ」

 

 見せられた書類。そこには、ゼロが沢山の、損害賠償額。…………うわーい。ゼロがたくさんよー。

 

「……い、一括?」

「無論だ。むしろ、貯金があるのであろう? これまで貯めてるのを知っておるぞ?」

「こ、これはセレナや切歌と調の将来のために」

「その将来を自らの手で閉じた貴様が言うな」

「グハッ」

 

 正論である。そうよ……私が、私の手で彼女達の未来を奪ったようなもの。

 

 その責任から逃れられないのよね……。

 

「さあ、きっちり書いてもらおう。この書類に」

 

 私は空っぽの頭で、そのままサインしようとした刹那、セレナが私を縛る鎖を断ち切った。解放された私を、セレナはお姫様抱っこで抱えて飛び下がる。

 

「姉さん、しっかりして! このまま書いていたら、マリア・カデンツァヴナ・イヴの芸人生活という企画に参加するところだったのよ!?」

「え。違約金の支払いじゃないの!?」

「チッ、バレたか」

 

 ギルガメッシュCEOは悪戯に失敗した子どもの笑みで答えた。

 

「騙したのね!」

「戯け。違約金の代わりに用意したものだ。それで(おれ)を楽しませろ!」

「ついでに私も!」

「「性悪コンビめ!」」

「フハハハハ! 王とはそういうものだ。まあ、空太郎という雑種の身柄を渡せばチャラにしてやろう」

「そ、そんな。仲間を売ることなんて」

「空太郎さん、あなたの犠牲を無駄にはしません!!」

「セレナぁ!?」

 

 まさかの空太郎をサクリファイスするセレナ。あなた、そういう子じゃなかったよね!?

 

 サクられた空太郎は「これが人間か」と死んだ目で悟っていた。いや、私はあなたを見捨ててないわよ!?

 

「せいぜい、今宵の道化を楽しませてもらおうか。……あと立香、貴様はしばく」

「ぴゅー、ひゅー」

「口笛を吹いたところで変わらんぞ」

 

 私達をそっちのけ、勝手に追いかけっこを始めるギルガメッシュと藤丸立香。いや、一応、戦いなのだけど。

 

 というか、まずいわね。陳宮によって出てくる援軍が増えてきてる。

 

「フハハハハ! ファラオは不滅なり!」

「朕、弾になったの久しぶり。……あれさー、マジで怖いよね、太陽神」

「愚問だな! カタパルトタートルは常に恐ろしいものだ!」

「ファラオでも怖いとはな。朕、びっくり」

 

 と呑気に会話する太陽神と始皇帝。

 

「うむ、坊主無事か?」

「……これが無事なら、かなり節穴だと思うが?」

「ガハハハ! 軟弱だな。見よ、あそこの筋肉達を。さっき発射されて地面へ激突してもポーズを決めておるぞ!」

「……あれは地球外生命体だから当然だろうに」

 

 と会話する征服王と孔明。確かに彼らの言う通り、サイドチェストを決め込むマッスル達がいた。

 

 何あれ、怖い。

 

「……これ、詰んだんじゃね? トップサーヴァントに、無敵のマッスル達。それに装者の皆さん。……これ、勝てなくね?」

 

 空太郎の言う通り、これはさすがに……と思ったのも束の間、いつの間にかウェル博士が高笑いしながら、言う。

 

「ふ、ははは! こういうときこそ、ネフィリムの出番ですよ! さーらーにぃ、ソロモンの上ぇ!」

 

 ネフィリムを解放し、さらにソロモンの杖を使うウェル博士。でも、ソロモンの杖から蜘蛛型のノイズと数体のノイズしか出てこない。

 

 あら、不調かしら?

 

「む。それか。どうも(おれ)の宝物庫と繋がってるようだな」

「ギルガメッシュ王、あれはどうする?」

「捨て置け。どうせ使えぬ」

「な、なぜだ!」

 

 ウェル博士の疑問を一蹴し、ギルガメッシュは鼻で笑った。

 

「そんなもの簡単だ。邪馬台国の女王が中で掃除(物理)してくれたぞ。バイト代は高くしておいた」

「んなァァァァァにィィィィ!?」

 

……まさか宝物庫にいるノイズが少ないってこと?

 

 てか、邪馬台国の女王って、まさかあの卑弥呼?

 

「さすが物理的で解決する卑弥呼様だね!」

(おれ)の慧眼に間違いはない」

「じゃあさ、とりあえず下ろしてくれないかなー」

「断る。貴様はそこで吊るされておけ」

「そんなー」

 

 ギルガメッシュが飛行機のような乗り物に乗り、それに蓑虫のように吊るされ、ショボーンする藤丸立香。シュールね。

 

「……いつの間にかカタパルトタートルは収まったけど、乱戦になってきてるわね」

「というか、ネフィリムがバーサーカーしてますよ、姉さん」

 

 そうである。突如、現れたネフィリムが装者達を襲い、それを守ろうと立香のサーヴァントが攻撃していくが全て()()されてしまう。

 

 魔力攻撃やフォニックゲイン関係全てはエネルギーとして吸収されるのかしら。

 

「なら、物理的で!」

 

 と立花響が拳を突き出す。空太郎はネフィリムに指示を出して、立花響の拳を受け止め、どこかへぶん投げさせた。

 

 さすが、サーヴァントのように扱えればネフィリムは強力な戦力になるわね。

 

 立花響をサポートしようと、雪音クリスと風鳴翼が飛び出すが、蜘蛛型ノイズの糸で動きが封じられた。

 

「よしよし! ネフィリムが動けてる。この調子で」

「させぬわ! マッスルホールド!」

「ぎにゃー!?」

 

 あぁ! 空太郎がアレックスによってホールドされた!?

 

 めちゃくちゃ苦しそうで嫌そう! 私も嫌だけど。

 

「今だ! マッスルロミオ!」

「その名で呼ぶな! いっくぞォォォ!」

 

 立花響が拳を握り、ネフィリムへ突貫していく。ネフィリムはマスターの指示がないのか、あたふたしていき、じっとしていた。

 

 そして——————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その腕を食いちぎった。

 

「え……」

 

 絶句。立花響も、その場にいた人全てが絶句した。唯一の声を出していたのはウェル博士だった。

 

「いったァァァァァッ!!パクついたぁ。シンフォギアを これでぇぇぇぇッ!」

「…………とりあえず、薬局。お前はあとで埋める

 

 そう言った空太郎の目は、怒りに燃えているのが見えた。




最後はギャグではなくシリアス入りまーす。
まあ、概ね原作通りの流れで、この後イレギュラー戦が始まります(汗)

敵は御察しの通り彼女です。G編ある意味しんどい戦いです。

ーーーー
???

クラス:ビースト

・耐久戦10ターン
・開幕時、全てのクラスの耐久と有利を得る
・ヘラクレスのスキルを得ると宝具【射殺す百頭】が使える
・単体宝具系、神性、魔性、女性、混沌・悪の属性持ち
・無限ガッツ(倒れると満タン回復)

※なお、ヘラクレスではなく、ヘラクレスの力を得た女性サーヴァントです

・空太郎側はサポート固定の呪縛が解放。アレックス達による協力で、毎ターン5000のダメージ
・北欧系サーヴァントがいたらターゲット集中される


ーーーー

以上です。

次回、人類悪モドキが顕現。もちろん、本来の人類悪ではなく、聖遺物に宿った呪いですので、どう立ち回るかは空太郎次第……。

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