Fate/grand order 絶唱魔性戦記シンフォギア   作:ぼけなす

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  ーーーー(偽)人類悪ーーーー

ーーーー抜 錨ーーーー


第二十七話 少女は血で濡れ、彼は失う

 

ーーーー

 

 

 痛い、いたい、イタイ!!

 

 片腕を食いちぎられ、血が噴水のように出て行く。

 

 私の腕……誰かと繋ぐ腕を、この化け物に奪われた!!

 

「さあ、ご覧あれ!! ネフィリムが成長していく様を! 擬似サーヴァントとして完成され、今こそ、最強の聖遺物体へと進化するのです!!」

 

 最強の、聖遺物? そんなもののために、こんなことをするの?

 

「フフフ、手始めに二課の連中を抹殺してもらいましょうかね。さあ、空太郎! 今こそ、令呪で」

「令呪をもって命じる。ネフィリム、あのうるさい薬局ネームを黙らせろ

「って、なぜ僕ぅ、ぶべらァァァァァ!?」

 

 薬局博士が叩かれて転がる。弱っ。一発で失神してるし……。

 

 あ、ヤバっ。意思がうすれ、そう……。

 

「……我が友。貴様の望んだのはこれか?」

「そんなわけないだろ。こんなお茶の間に見せられないヨ展開を、誰が望むかよ。てか、できたらお前らを撃退、そのままスタコラサッサのつもりだったんだが……。まさか、ここまでやるとはな」

 

 冷めた目でマリアさん達を見る空太郎さん。そんな彼をマリアさんは、何やら弁明してるようだけど……ダメだ、きこえないや。

 

 そんな中でネフィリムが、空太郎の方へ振り向き、

 

「まし、たー。ごめ、ん。わ、たし。かのしょ、おいし、くみえて……」

「ッ!? 喋れるのか!」

 

 ネフィリムが……しゃべる。()()()で。

 

 そんな様子を見て、私は…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

——————たまらなく、ムカツイタ。ソノヒトハ、ワタシノモノダ

 

 

ーーーー

 

「アンタらは俺に殺人させたいの? かつての仲間をヌッコロせって言いたいの?」

「ち、ちがうわ! 私はそんなつもりは」

「そうですよ。私達は……」

「その結果がこれ? 俺しかできないことって、響ちゃん達を傷つけろってこと? そんなのごめんだね。戦うのはいいが、こんな人を傷つけて成す人類救済はしたくないな。もう……たくさんだ」

 

 空太郎はアレックスにホールドされながら、冷めた目でカデンツァヴナ姉妹を見て、そう言った。カデンツァヴナは弁明で言うも彼は、応じるつもりはない。

 

 仲間割れ、というわけではない。空太郎にとって、私達とは別に敵対するつもりはなさそうだ。

 

 とりあえず、カデンツァヴナ姉妹には協力はしてるが、我々と本格的にやりあうつもりはなかった。

 

 

……甘い、と言えるのだろうか。いや、彼は()()()()()()()()()()()()、協力していたのではないだろうか。

 

「まし、たー。ごめ、ん。わ、たし。かのしょ、おいし、くみえて……」

「ッ!? お前喋れるのか!」

 

 赤く輝いていたネフィリムが、喋り始めた!

 

 そんな力があるのか!?

 

「どういうことだ、キャスター!」

『……おそらく、吸収した立花響のシンフォギアの影響だろう。彼女の肉体の一部ごと、吸収したことで言語能力を得たのだろう』

 

 空太郎の問いにどこからか、声が聞こえる。何者かが、ここにいる!?

 

「まし、たー。わた、し。どう、したら」

「……とりあえず、大人しくしてて。今は響ちゃんを……——————」

 

 と言いかけた空太郎が言葉を止めた。立花を見た瞬間、彼は険しい目線を向けていた。

 

「アレックス、いいか」

 

……なぜ、と言いかける前に、アレックスへ空太郎は話しかけた。

 

「お前のサーヴァント。今、いるのはスパルタクスとレオニダスだけか?」

「そうだな。それがどうしたのだ」

「……戦闘配置。敵は」

 

 

 

 

 

——————立花、響!!

 

 と言った刹那、立花から黒いものが噴き上がる。それは彼女の身体へ巻きつき、彼女を黒い影のシルエットへと染め上げていく。

 

 あれは……。

 

「暴走!? なぜ……!」

「アレックス! レオニダスは翼とクリスの盾として、宝具を配置! 残りは響ちゃんを抑える!!」

 

 暴走した立花に対し、的確な指示を出していく空太郎。

 

「……マリアさん達は撤退。そこの薬局屋は放っておくなり、なんなりしててもいい」

「空太郎……あなたは?」

「……俺の()()()()()()がした後始末をつける。絶対に、響ちゃん達を死なせない……!!」

 

 アレックスは空太郎のホールドをとき、立花を見据える。立花がまず、動いたのは……ネフィリムへ攻撃だ。

 

 彼女の拳が通常の十倍以上の速さで振り抜き、ネフィリムを飛ばした。目で捉えきれないほど、だと!?

 

 それなりに自信があった実戦経験が塵となるほどのパワーとスピードを見せていく立花。

 

……その姿は、まさに凶戦士。どこかの()()()()()()()()であった。

 

「◼️◼️◼️◼️ォォォォォォ!!」

「つよ、いた、いィィ、まし、たァァァァァ!!」

 

ソノコエ、デ、カレニ、ハナスナァァァァァ!!

 

 立花の怒りが伝わる。ニセモノこどきが。

 

 私のモノに話しかけるな。

 私のモノに手を出すな。

 私のモノを奪うな。

 

 そう言わんばかりに、ネフィリムの腕を仕返しとばかりに引きちぎり、更には抉るように心臓部を突き刺した。

 

 これは……凶悪だ。今は、ネフィリムへ敵意と殺意を向けてるが、それが私達へ向かうとは限らない。

 

 前のように……今の彼女は見境がないのだから。

 

「ま、まさか・・・や、やめろぉぉぉぉぉッ! やめるんだぁぁぁぁッ! 成長したネフィリムは これからの新世界に必要不可欠なものだ。それを・・・それをォォォォォォッ!!」

 

 いつの間にか目覚めていた葡萄ジュース博士が叫ぶ。ネフィリムの心臓を、立花は引っこ抜き、投げ捨てた。

 

「いやァァァァァ! ネフィリムがぁぁぁぁぁ!?」

 

 博士の叫びと共に、ネフィリムは断末魔をあげ、地へ倒れていった。そんなネフィリムへ止めばかりに、高エネルギーを溜めた拳を振りかざそうとしていた。

 

……アレは、まずい。このままでは私達を含めた全員が危険だ。

 

「いくぞ、みんな!!」

 

 そうなる前に、空太郎の声と共に、エミヤ、アルトリア、スパルタクスが飛び出す。アレックスが拳を合わせて、詠唱を唱え始めていた。

 

 彼らは今から、立花を止めるために戦うつもりか!

 

「つーか、オジマンディアスと始皇帝も手伝って!」

「フッ、このファラオが今、動けると? 瀕死だッッッ!!」

「朕も疲れてからムリ。というわけで、太陽王、黄金のところ行こう」

「そうだな!! ハハハハハハ!!」

「このフリーダムキングダム共! 別にいいけどネ!!」

 

 空太郎は彼らがギルガメッシュ殿の乗る飛行船へ乗るところを見届け、すぐさま立花へ視線を向ける。

 

 エミヤが立花を蹴り、ネフィリムから引き剥がし、アルトリアが聖剣を振りかざす。……それを、立花は片手で受け止めた!?

 

 サーヴァントと同じ力なのか!?

 

「ヒビキ……アナタは」

「◼️◼️◼️◼️ァァァァァ!!」

 

 アルトリアを聖剣ごとぶん投げて、エネルギーを溜めた拳をかざして、空太郎へ突貫していく。エミヤが盾を魔術で生み出し、それをアレックスへ投げつけた。

 

 アレックスはそれで、立花の拳を受け止めた……が。

 

「ぬぐ、ォォォォォォ!?」

 

 盾が粉砕され、アレックスが力で負けた。あのサーヴァントととも渡り合える筋力であってもでもか!?

 

 今の立花は……危険すぎる!!

 

「……槍ニキ、最悪は想定する。だけど、絶対に殺すな」

「りょーかい。……こりゃ、しんどいな」

「なら、逃げるか? セタンタ」

「冗談。敵が強いなら嬉しいことこの上ないね!!」

 

 クー・フーリンとスカサハは槍を構える。

 

「これは大層なもんだ。やるか、坊主」

「致し方ない。空太郎とアレックスだけでは、相手はマズイ。我々も参戦する」

「瀕死であろうに」

「回復した。やるしかない」

 

 イスカンダルと孔明も参戦。これは……いけるか?

 

「というわけだ。ビキオ。お前を止める。絶対だ

「◼️◼️◼️ォォォォォォ!!」

 

 今、戦いがはじまる。

 

 

ーーーー

 

(戦闘中)

 

ーーーー

 

「◼️◼️ァァァァァ!!」

「んなっ、 遥かなる蹂躙制覇(ヴィア・エクスプグナティオ)を受け止めた……だと!?」

 

 イスカンダルの電撃を帯びた牛車の突撃を受け止め切り、それをイスカンダルと孔明ごと、豪快に彼方へ投げ捨てた!?

 

「ぬぉ!? こりゃ、豪快な!」

神威の車輪(ゴルディアス・ホイール)を投げ捨てるほどって、どれだけの馬鹿力あるんだよ!?」

「坊主、ウェイバーに戻ってるぞ」

「どうでもいいわ!!」

「ゴッドブルドーザー轢き逃げアタックが破られただと!?」

「その呼び名はやめろマスタァァァァァ!」

 

 そう叫びながら退場していく二人、続いてエミヤとクー・フーリンが突貫していく。しかし、どこからか作り出したかわからない、石斧剣を振り回して、二人を吹き飛ばしていく。

 

「クッ、ここまでやるとは!」

「あれ、ヘラクレス混ざってねぇか!? なんか、

石斧剣っぽいの使い始めてんだけど!」

「まさか、私の真似事か? 冗談がキツい!」

 

 悪態を突きながら、後ろへ滑走するエミヤとクー・フーリン。これは正直、驚くほかがない。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()の動きを見せているのだ。まるで、彼女では()()()()()()()()いるかのように。

 

「……まさか、本当に憑かれているのか?」

「ぬぅ。ある得ないとは言えぬ……な。彼女の本来の力としてあり得る」

 

 ()()()()()()()。それこそが、立花響の本質であり、力の源。……あり得ないわけではない。空太郎を通して、誰かと繋がったまま暴走状態へ移行しているのか?

 

「アレックス!」

「承知した。我らの筋肉で動きを止めよう!」

 

 アレックスとスパルタクスが同時に飛び出し、立花を掴む。

 

 その隙に、エミヤとクー・フーリンが飛び出し、得物を構える。このまま、立花にダメージを与えて立てなくさせるつもりか。

 

 しかし、そんな目論みを紙吹雪のように吹き飛ばされた。アレックスとスパルタクスが、羽のようにぶん投げられたのだ。そのまま、筋肉二人は飛び出していた英霊二人をぶち当たった。

 

「みんな!」

「空太郎殿! 前!」

 

 今度は立花が空太郎へ鋭い爪の切っ先を向けて飛び出した。今の彼に守る者は……ない。

 

 このままだとネフィリムのように、心臓を、かつての私のように貫かれる!

 

 飛び出そうとする私だが、ノイズの糸がまだ張り付き、動けない!

 

 空太郎……!

 

 

 

 そんな彼に向かう凶器は……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

——————一体の怪物が止める。

 

 ネフィリムが……その身で止めた、だと?

 

 

「まし、たー。われ、まもる。ま、したーのため、に……」

 

 立花の声で、ネフィリムは暴れる黒い立花をホールドする。

 

 

「わた、し。まだ、がんばる。ましたー、の、さーゔ、あん、と、だから……!!」

 

 なんとネフィリムは、ホールドしたまま、立花からエネルギーを吸い取っていった!

 

 自身の危機を感じてさらに暴れる立花。その際に、ネフィリムの身体は傷つき、抉れ、無惨な姿へ変えていく。

 

 力が弱くなり、暴れることがなくなり始めた立花は、その姿を元の形へ、変えていった。噛みちぎられた腕も再生していた。

 

 それを見てホッと息をついたのも束の間、ネフィリムは立花から離れていく。その身体は先ほど黒いエネルギーを溜めたかのように、黒く輝いていた。

 

「まし、たー。ここ、から、にげる」

「ネフィリム、お前……」

「わた、し。ひどい、こと、した。せれ、な、まり、あに、ひど、いこと、した。そし、て、こんど、は、この、こ、にも」

「……ネフィリム。お前……

 

 

 

 

 

死ぬつもり、なのか……?

 

 覚悟を決めた感じがした。ネフィリムは我が身を犠牲にして、その身に宿した力を処理しようとしていた。

 

「こあ、ない。だか、ら、いつ、か。し、ぬ。なら、このいの、ち。ここ、つか、う、とき」

「……本気か」

 

 空太郎の声に頷くネフィリム。まるで、それは人のために逝く英雄のように。

 

「わた、し。ばくは、する。ここ、され———ここから、早く去れ!!

 

 ネフィリムはその言葉を最後に、グッと堪える仕草のまま止まる。

 

 その怪物の覚悟。決意。……人として無碍にしていいものではなかった。

 

 空太郎も私と同じ気持ちなのか、私達を縛るノイズをクー・フーリンに処理してもらい、立花を抱えて、ネフィリムに背を向けた。

 

 

 

「ありがとう、ネフィリム。お前はすごいサーヴァントだよ」

 

 

 彼はそう言って、雪音をエミヤに、私をクー・フーリンに預け、共に一緒にギルガメッシュの船へ飛び乗った。全員、舟に乗ったことにより、この場から離れた。

 

「雑種。王の舟に無断に乗って覚悟はできてるだろうな?」

「……ああ。わかってる。でも、こうしなきゃ、誰も助からない。きっとネフィリムのアレは……」

「……フンッ。なら、いい。特別だ、許す。これまでの道化っぷりの礼だ。せいぜい、気ままに過ごすが良い」

「……ありがとうございます。ギルガメッシュ王」

 

 ギルガメッシュは空太郎や私達の搭乗を許したのか、玉座に座り込む。

 

 空太郎はジッとネフィリムを見ていた。ネフィリムの光が輝きを増していき、遂には姿が見えにくくなっていった。

 

「まし、たー……ま、た」

 

 ネフィリムは最期に笑ったかのような感じで——————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

———大きな大爆発を起こした。

 

 

ありがとう、名前を呼んでくれて

 

 最後に聞こえた言葉を、空太郎は聞いていたのか、涙を流していた。私は何も言えなかった。

 

 

ーーーー

 

 

 ネフィリムは一度死んだ。一体のサーヴァントとして。英雄として。

 

 ()()()()()()擬似サーヴァントのネフィリムは死んだ。

 

 それが()()()()だった。

 

 ネフィリムにより、旧リディアンの土地はクレーターとなった。その爆破地から、白い卵があった。

 

 それがひび割れ、中から誰かが出てきた。

 

 その者は、夜空を見上げ、呟く。

 

「……いかなきゃ」

 

 彼女はそう言ってどこかへ飛び去る。卵の跡、魔力の粒子となって消えていった。




オリ回でしたー。
今回は響が呪いにより人類悪擬きになりました。

まあ、行動そのものが人類愛でしたから、これでいいかなと思った設定でしたが(汗)

なお、なぜヘラクレスの動きとエミヤの投影ができたのかは……秘密というわけで。御察しの方もいると思いますが、空太郎くんと響ちゃんはまだドッキングしてませんからね!?(まだ)

次回は、まあ、落ち着いた話です。

———一応、原作通りの流れだけど、合ってるかな……(汗)
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